文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「誇りうるナンバーワンホテルグループの創造を通じ、社会に貢献すること」を経営の基本理念としております。そしてお客様に「感動と満足を提供するホテルとなること」を目指して、「新規需要の開拓」と「マーケット毎の施策推進」を戦略の柱に、多様なお客様のニーズに対応した商品(サービス)を開発して事業の発展を図ることで「最高級のホテルとしてのブランド」を確立し、お客様・株主・従業員などすべての利害関係者が求める「企業価値」を高めていくことを基本方針としております。
(2) 経営環境
① 市場環境
(プラスの環境)
・大阪・関西万博の開催(2025年)
・統合型リゾート施設(IR)の開業
・なにわ筋線の開業
(マイナスの環境)
・新型コロナウイルスの感染拡大・長期化によるインバウンド需要や宿泊、宴会、レストラン利用の減少
・新規開業ホテルの増加
② 競合他社の状況
当社グループは、ホテルの経営を主たる事業としておりますが、当該事業は比較的参入障壁が低く、中小事業者を含め、市場には多数の競合が存在します。また、新型コロナウイルスの影響によりインバウンド需要が縮小している中、他業種の新規参入が相次ぐ等、ホテル市場は供給過多が懸念されております。
当社グループは、主要ホテルがフルサービス型のシティホテルであるため、宿泊、宴会、レストラン部門などバランスのとれた売上構成であります。当社が培ってきた永年の歴史に裏打ちされた顧客基盤を有し、顧客セグメントに応じてそれぞれの部門において販売施策を講じております。
③ その他
社会のデジタル化が急速に進展する中で、変化にスピーディーに対応し、様々な新しい技術を積極的に取り入れ、当社グループの生産性向上・業務効率化並びにお客様の利便性向上につなげることが必要不可欠であると認識しております。
(当社グループにおけるデジタル化の取り組み)
・新会員サービス「リーガメンバーズ」システムの導入
・海外向けデジタルマーケティングやプロモーションの強化
・新レストランシステム・オールインワン決済端末の導入
・購買・調理・物販製造等の新システムの構築
・IT企業との人材交流 等
(3) 中期経営戦略ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、我が国においても3回目のワクチン接種が進展するなど明るい兆しは見られるものの、新たな変異種への対応も迫られる中、新型コロナウイルス感染症への警戒を解くわけにはまいりません。
ホテル業界におきましても、コロナ禍の収束を期待する一方で、その時間軸を読み違えることがないよう準備しておかなければなりません。また大きく変化した社会生活の中、コロナ後を見据えた戦略も重要となってまいります。
こうした環境認識を踏まえ、引き続き「生産性と業務効率の向上」を柱に、「ホテルビジネスの再構築」、「マーケティング力の強化」、「人事運営の改革」に取り組んでまいります。
①生産性と業務効率の向上
コロナ後の需要拡大期を見据え、部門を越えたサポート体制を充実し多役化の練度を上げることにより、さらなる生産性の向上を実現してまいります。加えて、購買・調理・物販製造等、新システムの導入プロジェクトを推進し、棚卸業務、食材管理、原価データ、レシピの記録、調理売上と受発注の統括管理を行います。これらのシステムを相互に連携させそれぞれの作業時間を大幅に削減いたします。グループの購買を一元化し、スケールメリットを活かしたコスト削減を図るとともに、食品製造に関する業務効率と精度を飛躍的に向上させてまいります。また、前年度から取り組んでいる複数の部門に跨る予約業務の一元化を進めます。客室からのルームサービスや備品注文にネットを活用させ、お客様のご注文対応業務の効率化を図るとともに、ご注文対応に係る時間を短縮し精度を高めます。
②ホテルビジネスの再構築
宿泊部門において中長期の滞在プランの企画・販売を強化し、安定収入が見込めるレジデンスビジネスとして取り組んでまいります。リーガロイヤルホテル(大阪)では、長期滞在プラン「Home Hotel」が前年の販売当初から多数の反響をいただき、当初予定を延長し販売を継続しております。エグゼクティブ層のセカンドハウスや仕事場として、長期出張や自宅のリフォーム時の住まいとしての需要や、近隣病院施設の看護や通院の拠点としてのご利用を見込んでおります。レストランとホテル製品事業部門においては、海外で研鑽を重ねた多数の料理人やソムリエ等スペシャリストの知識や技術、受け継がれるレシピを強みに、高付加価値の商品、サービスの提供に努めてまいります。リーガロイヤルホテル(大阪)では、フランス料理店「レストランシャンボール」を、1973年の開店から受け継ぐ伝統の継承とサービスへの「原点回帰」をテーマとして、4月にリニューアルオープンいたしました。料理はフランス・パリの三ツ星レストランなどで研鑽を重ねたシェフによる新たな試みも取り入れたメニューに一新いたしました。他のレストランにつきましても、他店との差別化を目的とした営業戦略の見直しを継続してまいります。また、ホテル事業のウイングを拡げる取り組みとして、運営受託やフランチャイズによる新規出店に積極的に取り組んでまいります。
③マーケティング力の強化
新会員サービス「リーガメンバーズ」において新規登録キャンペーンを当社グループ全体で引き続き展開し、会員獲得に注力してまいります。また、アプリ機能の活用と顧客データ分析による販売促進に積極的に取り組みます。
新たに「宿泊戦略推進室」を本社に発足させ、当社グループを横断して宿泊部門の販売戦略や業務効率化の支援を開始いたします。グループ共通の海外向けデジタルマーケティングやプロモーションを主導し、コロナ後のインバウンド受注に向けた取り組みを推進してまいります。さらに、テナントを積極的に誘致することにより不動産賃貸収入の増大を目指します。菓子、パン、惣菜等を製造販売するホテル製品事業部門やテナント部門はホテル附帯事業と位置づけ注力してまいります。
④人事運営の改革
当社グループの持続的成長のためには、従業員のやりがいを引き出し、一人一人が意欲的に力を発揮できる環境の整備が重要と考えています。エンパワーメントに取り組み、従業員が会社や社会にどのように貢献しているかを実感できるコミュニケーションやフィードバックを各職場で行い、モチベーションの向上を図ります。
また、AIやデジタルトランスフォーメーションを始めとする新たな知識やスキルを学ぶオンライン社員研修を開始し、従業員のリスキリング(学び直し)、自己実現をサポートいたします。女性活躍推進を目的として、ホテルの様々な部門で働く女性からなるチームを2022年4月に発足させました。女性のキャリア構築や働き方に関する施策にチームの見解を反映してまいります。前年から実施しているIT企業との相互出向による人材交流を継続し、IT化とシステム投資による業務効率化、マーケティング力の強化等を牽引するIT人材の育成を引き続き推進してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
3ヵ年の中期経営計画の最終年度にあたる当連結会計年度におきましても、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う事業環境の悪化等により以下のとおり計画値を下回りましたが、未だに新型コロナウイルスの感染症の収束が見通せず、業績に与える影響も不透明であることから、新たな中期経営計画は作成しておりません。
当連結会計年度の中期経営計画に対する進捗状況は以下のとおりであります。
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