文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進展する中、企業の業況判断が改善傾向を見せる等、緩やかながらも景気は持ち直しの動きが続きましたが、足元での世界的な政治・経済情勢の変動の影響により、足踏みの様相も出ております。
日本経済の先行きにつきましては、継続的な財政・金融政策の下支えもあり、経済・社会活動の正常化、景気の持ち直しの動きが期待されますが、ロシアによるウクライナへの侵攻の影響による原材料価格の上昇、海外での金融緩和政策の見直しに伴う円安が経済に与える影響、また、サプライチェーンの混乱による供給面への制約については、引き続き注視する必要があります。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、顧客企業におけるIT投資の拡大基調が続いております。コロナ禍におけるニューノーマルを模索するなかで、社会のデジタル化の加速に対応するためのシステムの再構築需要等、事業の拡大、競争力強化に向けたIT投資への意欲は高まっており、世界的な物価上昇やサプライチェーン混乱の長期化に伴う事業への影響を見定めながらではあるものの、投資は加速していくものと想定されます。
当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、製造業企業は、事業基盤強化のための基幹システムや生産管理システムの再構築等、デジタル化に向けたIT投資需要は堅調に推移いたしました。金融業企業は、銀行業を中心に、海外オペレーションの強化・拡充に向けた対応案件の継続も含め、IT投資需要は増加基調を続けております。通信業企業は、オンラインを含む顧客接点強化に向けた投資やネットワーク強化等により、IT投資需要は増加しております。
また、顧客企業のIT人材不足や顧客企業経営層の業務効率と生産性向上への強い意欲等を背景に、各種クラウド型ITサービスへの需要、ソフトウェアのエンドオブサービスに対応する基幹システム再構築等の投資需要は継続しており、加えてニューノーマルに向けた取り組みのなかで、リモートワークを主体とした非対面・非接触を前提としたデジタル化投資への積極的な取り組みが続いています。
こうした動きのなか、DXを想定したシステムの再構築や顧客接点の高度化等への戦略的IT投資需要は、今後も継続するものと考えております。
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し27,209百万円増加し、407,609百万円となりました。
(a) 流動資産
当連結会計年度末の流動資産は、契約資産の減少等はあるものの、現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権の増加等により、前連結会計年度末に対し17,531百万円増加し、230,055百万円となりました。
(b) 非流動資産
当連結会計年度末の非流動資産は、有形固定資産及び使用権資産の取得による増加等により、前連結会計年度末に対し9,678百万円増加し、177,553百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に対し7,184百万円増加し、160,245百万円となりました。
(a) 流動負債
当連結会計年度末の流動負債は、有利子負債の返済による減少等はあるものの、未払法人所得税の増加等により、前連結会計年度末に対し3,355百万円増加し、101,175百万円となりました。
(b) 非流動負債
当連結会計年度末の非流動負債は、有利子負債の増加等により、前連結会計年度末に対し3,829百万円増加し、59,069百万円となりました。
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末に対し20,025百万円増加し、247,363百万円となりました。
主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益33,470百万円によるものであります。
主な減少要因は、2021年3月期期末配当金(1株当たり70.00円)7,283百万円並びに2022年3月期中間配当金(1株当たり70.00円)7,283百万円によるものであります。
セグメント別資産の状況
(産業IT)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、106百万円増加し、50,682百万円となりました。
(金融IT)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、604百万円減少し、14,931百万円となりました。
(ITソリューション)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、3,621百万円増加し、21,419百万円となりました。
(ITプラットフォーム)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、3,618百万円増加し、44,243百万円となりました。
(ITマネジメント)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、7,057百万円増加し、73,470百万円となりました。
(その他)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、974百万円減少し、24,556百万円となりました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、製造業向けのシステム開発需要や銀行業・証券業へのIT投資需要、通信業向けシステム開発需要の増加、また、通信業向けネットワーク機器や自動車業・学術研究機関向けの大型ハードウェア販売によって、システム開発、保守運用・サービス、システム販売の全ての売上区分において増加し、前期比 4.4%増 の 414,150百万円 となりました。
売上総利益は、売上高の伸びや業務品質向上施策による生産性向上等により増益となりました。また、販売費及び一般管理費につきましては、当社中期経営計画における基本戦略に沿った各種事業投資等により増加しましたが、増収並びに生産性の向上を伴って、営業利益は前期比 3.7%増 の 47,555百万円 となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、前期、賃上げ税制の適用により法人税費用が減少した影響で、前期比 0.1%増 の 33,470百万円 となりました。
当社グループはさらなる成長に向け、成長戦略として「サステナビリティ経営」を推進します。経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義としたうえで、社会と共に持続的発展を目指し、「2030年 共創ITカンパニー」の実現のため、策定した中期経営計画において、3つの基本戦略「事業革新」、「DX事業化」、「人財投資」と、3つの経営基盤強化策「グループ総合力強化」、「人を活かす経営の推進」、「共創の企業文化づくり」に取り組むことにより、グローバルベースでの事業拡大を目指します。
当連結会計年度の売上高は、前期比4.4%増の414,150百万円となりました。
また、サービス特性別の「システム開発」「保守運用・サービス」「システム販売」の各売上区分別売上高は次のとおりであります。
システム開発は、製造業や銀行業、通信業からの引き続き強いIT投資需要を背景に、事業基盤強化のための基幹システムや生産管理システムの再構築案件、顧客接点強化のためのIT投資等が貢献し、売上高は前期比 3.0%増 の 167,967百万円 となりました。
保守運用・サービスは、非対面・非接触を前提とした事業転換などを背景に、コンタクトセンターの需要増加によるBPOビジネスが堅調に推移したこと、また、データセンタービジネスやマネジメントサービス、検証サービスが拡大し、売上高は前期比 6.5%増 の 162,407百万円 となりました。
システム販売は、自動車業及び学術研究機関向けの大型ハードウェア製品の販売増や、通信業向けネットワーク機器販売の増加により、売上高は前期比 3.1%増 の 83,776百万円 となりました。
当連結会計年度の売上総利益は、増収に伴う増益や生産性向上等により、前期比5.1%増の108,187百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費については、事業投資等により前期比6.3%増の60,780百万円となりました。
当連結会計年度のその他収益(費用)は、前連結会計年度の77百万円の収益[純額]から71百万円増加し、148百万円の収益[純額]となりました。
以上により、当連結会計年度の営業利益は、前期比3.7%増の47,555百万円となりました。
当連結会計年度の金融費用(収益)は、前連結会計年度の318百万円の費用[純額]から173百万円増加し、492百万円の費用[純額]となりました。また、当連結会計年度の持分法による投資利益(損失)は、前連結会計年度の997百万円の利益[純額]から254百万円増加し、1,252百万円の利益[純額]となりました。
当連結会計年度の税引前当期利益は、前期比3.8%増の48,315百万円となりました。
当連結会計年度の法人所得税費用は、前期比13.9%増の14,816百万円となりました。
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期利益は、28百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比0.1%増の33,470百万円となりました。また、1株当たり当期利益は、前連結会計年度の107.09円から0.11円増加し107.20円となりました。
セグメント別業績の概要は次のとおりとなっております。なお、売上高につきましては外部顧客への売上高を表示しております。
(単位:百万円)
(産業IT)
ガス業における開発案件の収束がありましたが、自動車業、通信業においてシステム開発が増加したこと、また、検証サービスの増加により、売上高は前期比 2.7%増 の 135,768百万円 、営業利益につきましては、前期比 2.9%増 の 16,676百万円 となりました。
(金融IT)
主には、銀行業向け並びに証券業向けのシステム開発の案件拡大により、売上高は前期比 7.1%増 の 56,526百万円 、営業利益につきましては、前期比 6.6%増 の 6,653百万円 となりました。
(ITソリューション)
流通業向け開発案件にて収束がありましたが、基幹システム構築案件やBPOビジネスが堅調に推移し、売上高は前期比 3.8%増 の 56,872百万円 、営業利益につきましては、コンタクトセンタービジネスの拠点拡大に伴う事業関連投資費用が影響し、前期比 0.4%減 の 5,559百万円 となりました。
(ITプラットフォーム)
通信業向けネットワーク機器の売上拡大や自動車業及び学術研究機関向けの大型ハードウェアの販売増加により、売上高は前期比 8.4%増 の 83,969百万円 、営業利益につきましては、前期比 9.0%増 の 11,884百万円 となりました。
(ITマネジメント)
主には、クラウドサービス需要を受けたデータセンター事業が増加したことにより、売上高は前期比 3.1%増 の 58,477百万円 、営業利益につきましては前期比 6.2%増 の 7,412百万円 となりました。
(その他)
グループ再編によるセグメントの変更により、売上高は前期比 0.8%減 の 22,713百万円 、営業利益につきましては、SCSK Minoriソリューションズ㈱の統合関連費用により、前期比 17.4%減 の 1,599百万円 となりました。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.見積り及び判断の利用」に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
なお、当社グループは受注実績を下記の基準にて従来より開示しております。
・役務サービス等に関する複数年契約について、基準日以降1年間の売上高を算出し、受注残高とする。
・保守サービス等の自動更新条項が付与された契約について、契約が継続されることを前提とし、基準日以降1年間の売上を算出し、受注残高とする。
上記の基準で作成した受注実績は以下のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績(直接販売)及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
※外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
3 各報告セグメントの概要につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」の「(1)報告セグメントの概要」をご参照ください。
4 その他には、収益認識におけるIFRSとの調整額△177百万円が含まれております。
また、生産実績・受注実績・販売実績について、サービス特性により分類したシステム開発、保守運用・サービス、システム販売等に分類すると次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
上記各区分の概要は以下のとおりであります。
システム開発
広範な業種の顧客に対する、最新の情報通信技術と長年蓄積された豊富な業務ノウハウによる、一貫した信頼性の高いトータルソリューションサービスの提供
保守運用・サービス
専用データセンターの構築・運営管理並びに、長年の経験と培われたノウハウ、「ISO9001」をベースにした運用管理技術による、安全で、信頼性の高いコンピュータ、通信ネットワークシステムの保守・運用サービスなどの提供
システム販売
各メーカーの各種サーバ、クライアント機器、ストレージ機器、通信ネットワーク関連機器及びパッケージ・ソフトウェア商品等を組み合わせたソリューションの提供
なお、当社グループは受注実績を下記の基準にて従来より開示しております。
・役務サービス等に関する複数年契約について、基準日以降1年間の売上高を算出し、受注残高とする。
・保守サービス等の自動更新条項が付与された契約について、契約が継続されることを前提とし、基準日以降1年間の売上を算出し、受注残高とする。
上記の基準で作成した受注実績は以下のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12,483百万円増加し、121,251百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果、増加した資金は59,081百万円(前期比8,861百万円増加)となりました。
主な増加要因は、税引前当期利益48,315百万円、減価償却費及び償却費19,881百万円、契約資産の減少による資金の増加3,136百万円、営業債務及びその他の債務の増加による資金の増加2,832百万円によるものであります。主な減少要因は、営業債権及びその他の債権の増加による資金の減少4,220百万円、棚卸資産の増加による資金の減少1,414百万円、法人所得税の支払による資金の減少6,674百万円によるものであります。
投資活動の結果、減少した資金は14,927百万円(前期比5,659百万円増加)となりました。
主な減少要因は、有形固定資産の取得による資金の減少10,157百万円、無形資産の取得による資金の減少3,927百万円によるものであります。
財務活動の結果、減少した資金は32,342百万円(前期比145百万円増加)となりました。
主な増加要因は、借入による収入11,500百万円によるものであります。主な減少要因は、社債の償還及び借入金の返済による支出25,100百万円、リース負債の返済による支出9,086百万円、2021年3月期期末配当金(1株当たり70.0円)7,283百万円及び2022年3月期中間配当金(1株当たり70.0円)7,283百万円の支払によるものであります。
・基本方針・資金需要の主な内容
当社グループは、現在直面する技術パラダイムの変化、顧客ニーズの高度化など時代の大きな変革のなか、事業構造の転換を図り、中期的な高収益成長・企業価値向上を図るべく、前述の中期経営計画における基本戦略を推進しております。既存事業のさらなる高度化を推進するうえでのソフトウェアあるいはデータセンターへの投資などを行う一方、IoTやAIなどの技術の活用も含めた、DX事業化の推進に向けた各種の事業開発投資を積極的に検討してまいります。加えて、最先端技術の獲得、顧客基盤の強化など、事業成長の加速に資するM&Aの検討を継続的に行っております。
・資金調達
これら投資活動に係る資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでおりますが、必要に応じて、後述の強固な財務基盤を背景にした多様な資金調達(金融機関からの借入・シンジケートローン、各種社債の発行等)にて対応してまいります。
なお、当社グループの2022年3月末時点における銀行借入、社債発行等を通じた有利子負債が78,972百万円であるのに対し、現金及び現金同等物は121,251百万円と有利子負債を上回る水準となっており、強固な財務基盤を実現しております。
また、安定的な外部資金調達能力につきましても、当社グループは、本報告書提出時点において、㈱日本格付研究所より長期発行体格付A(ポジティブ)を取得していることに加え、主要な取引金融機関と良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては十分な能力を有しているものと認識しております。
引き続き、財務基盤の強化、外部資金調達能力の維持・向上に向けた財務運営を行ってまいります。
・経営資源の配分・株主還元に関する考え方
手許の運転資金につきましては、当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、十分な流動性を確保するとともに、資金効率の最適化を図っております。
また、株主還元については、財務状況、収益動向、また将来の事業投資に備えての内部留保などを総合的に勘案した上で、拡大を続ける当社グループのキャッシュ・フローを、将来の企業成長を支えるDX事業化を実現するための事業投資資金として最大限活用しながらも、同時に株主還元の強化を図るべく、想定される業績拡大に応じた配当の増額を図りたいと考えております。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済普通株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
※上記指標のうち、2020年3月期からは国際財務報告基準(IFRS)により作成した連結財務諸表に基づいております。
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