当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の断続的な拡大が引き続き社会や人々の生活にさまざまな変化をもたらしているほか、当期末にかけては燃料や原材料価格の高騰などの影響が顕在化してきており、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
「清潔と健康」に関わる幅広い事業を展開する当社グループにおいては、従業員やその家族の感染症罹患防止・安全確保に最大限配慮するとともに、サービス提供時の徹底した感染防止対策を継続することで、人々の生活に欠かすことのできない医療や介護分野のサービスを安定的に供給するという社会的責任を果たせるよう努めてまいりました。
また、SDGs(持続的な開発目標)などで示される持続的な社会の実現に向けては、企業の果たすべき役割が年々大きくなっております。当社は、創業以来、「レンタル」のビジネスモデルを通じて、廃棄物の削減や循環型社会の実現に努めており、当期のレンタル売上は470億円を超える規模となりました。今後も、そのレンタルビジネスを中心に、「医療」「介護」「環境」分野の社会課題の解決に寄与していくことで、SDGs理念の具現化に取り組んでまいります。
当期につきましては、コロナ禍で病院・施設等においてご家族等との面会が制限されるなか、安心して入院・入居いただけるよう入院セットの提供に力を入れるとともに、感染者数増加時に首都圏等に開設された酸素ステーションへのベッドや寝具類の提供、感染者の受け入れ病床における清掃業務の受託、たんぽぽ薬局での社会福祉協議会や地域包括支援センター等の地域団体と連携した健康イベントの開催や店舗内での健康相談の実施など、事業を通じた「医療」「介護」分野での社会貢献を積極的に行っております。
なお、当社グループは、2021年5月に中期経営計画「Challenge for the new stage!」を公表いたしました。2025年3月期の数値目標として掲げる売上高1,400億円、営業利益95億円の達成に向け、また、持続的な成長を実現できる新たなステージを目指し、「続ける」「変える」「創る」の3つの基本方針に沿った施策を推進しております。
① 前期比分析
売上高につきましては、主力事業である病院関連事業、シルバー事業、調剤薬局事業が好調に推移したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける寝具・リネンサプライ事業、クリーニング設備製造事業、リースキン事業につきましても徐々に回復がみられ、前年同期比増収となりました。
利益面につきましては、事業拡大のための費用の増加はあるものの、好調に推移した事業の利益貢献により、営業利益が前年同期比増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高123,484百万円(前年同期比5,475百万円増、4.6%増)、営業利益8,252百万円(前年同期比957百万円増、13.1%増)、経常利益8,878百万円(前年同期比827百万円増、10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,806百万円(前年同期比324百万円増、5.9%増)と前年同期比増収増益となりました。売上・利益ともに、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年3月期を上回り、売上高、営業利益、経常利益につきましては、過去最高を更新いたしました。
(単位:百万円)
(注) 調整額は、主に事業セグメントに帰属しない一般管理費及びセグメント間取引消去であります。
新型コロナウイルスの感染対策が引き続き求められるなか、シルバー事業では在宅介護需要の高まりを受けて介護用品レンタルが好調に推移しました。病院関連事業においては、入院患者や入居者への面会が制限されていたこともあり「入院セット」が好調に推移しました。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける寝具・リネンサプライ事業及びクリーニング設備製造事業につきましても、コロナ以前には至っていないものの徐々に回復し、当セグメントは前年同期比増収となりました。利益面につきましては、事業拡大のための人件費の増加、レンタル資材費の増加はあるものの、売上増加に伴う利益増等により前年同期比増益となりました。
(参考:主な指標等)
・病院関連事業
入院セット売上高の推移 ネクサージ売上高の推移
・シルバー事業
介護用品直販レンタル売上の推移
※出所:厚生労働省「介護給付費等実態統計」
当期11店舗の出店、4店舗の閉店により、145店舗の事業展開となりました。
前期に出店した7店舗を含む新店効果に加え、受診控えによる処方患者数減少から若干の回復の傾向が見られ処方箋枚数が増加したこと、また、地域に密着したかかりつけ機能の強化等により技術料単価が上昇したことから、前年同期比増収増益となりました。
(参考:主な指標等)
処方箋枚数・単価の推移
c.環境サービス
感染症対策需要により病院清掃を中心としたビル清掃管理事業が堅調に推移したことに加え、飲食店等取引先の業況悪化による影響を受けるリースキン事業においてもトイレ周り商材に重点を置いた営業活動の推進及び一部需要の回復により、前年同期比増収となりました。利益面につきましては、売上増加に伴う利益増に加え、ビル清掃管理事業の収益性が向上したことにより、前年同期比増益となりました。
(参考:主な指標等)
トイレ周り商品の売上推移 病院清掃の売上推移
② 数値目標(計画)比分析
当連結会計年度につきましては、売上高123,160百万円、営業利益7,732百万円を数値目標として掲げ、その達成に向けて取り組んでまいりました。
売上高につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける事業の回復が計画に対し若干遅れているものの、病院関連事業、シルバー事業、調剤薬局事業が好調に推移したことから、計画比323百万円増(0.3%増)の123,484百万円となりました。
営業利益につきましては、シルバー事業において、積極的に事業拡大に取り組んだ結果、レンタル資材費、人件費等が増加したものの、好調に推移した事業の利益貢献に加え、コスト低減に努めた結果、計画比519百万円増(6.7%増)の8,252百万円となりました。
(単位:百万円)
(注) 調整額は、主に事業セグメントに帰属しない一般管理費及びセグメント間取引消去であります。
病院関連事業、シルバー事業が好調に推移した一方、寝具・リネンサプライ事業及びクリーニング設備製造事業への新型コロナウイルス感染拡大の影響は続き、売上高はほぼ計画どおりとなりました。利益面につきましては、シルバー事業における事業拡大に伴うレンタル資材費、人件費の増加等があるものの、好調に推移した事業の利益貢献に加え、コスト低減に努めた結果、計画比増益となりました。
長期処方及び高額な医薬品の取扱高が増加したことから処方箋単価が上昇し、計画比増収となりました。利益面につきましては、計画比増収に伴う利益増はあるものの、出店に伴う費用増加等により、営業利益はほぼ計画どおりとなりました。
病院清掃事業が堅調に推移したものの、リースキン事業への新型コロナウイルス感染拡大の影響は続き、売上高はほぼ計画どおりとなりました。利益面につきましては、清掃事業の計画比増収に伴う利益増に加え、計画以上に収益性が向上したことから、計画比増益となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の102,180百万円から3,719百万円増加し、105,900百万円となりました。これは、主に棚卸資産が1,010百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が1,059百万円、投資有価証券が849百万円、現金及び預金が646百万円、差入保証金(投資その他の資産「その他」)が615百万円、並びにリース資産が432百万円増加したことが主な要因となっております。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の28,302百万円から78百万円増加し、28,381百万円となりました。これは、主に短期借入金が177百万円、長期借入金が147百万円、繰延税金負債が201百万円減少したものの、未払法人税等が394百万円、未払金が304百万円増加したことが主な要因となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末の73,878百万円から3,640百万円増加し、77,519百万円となりました。これは、主に自己株式の取得による減少824百万円、配当金の支払いによる減少1,203百万円、並びにその他有価証券評価差額金の減少222百万円あったものの、親会社株主に帰属する当期純利益5,806百万円を計上したことが主な要因となっております。
この結果、自己資本比率は72.7%(前連結会計年度末比0.9%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ521百万円(1.5%)増加し、当連結会計年度末には35,508百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は、10,133百万円(前年同期比903百万円増、9.8%増)となり、過去最高を更新いたしました。
この主な要因は、税金等調整前当期純利益8,647百万円、減価償却費3,863百万円、棚卸資産の減少1,010百万円による資金増加要因が、売上債権の増加1,022百万円、法人税等の支払2,603百万円による資金減少要因を上回ったことによるものであります。
当連結会計年度における投資活動により支出した資金は、6,738百万円(前年同期比2,542百万円増、60.6%増)となりました。
この主な要因は、有形固定資産の取得3,643百万円、無形固定資産の取得500百万円、投資有価証券の取得1,601百万円によるものであります。
当連結会計年度における財務活動により支出した資金は、2,897百万円(前年同期比923百万円増、46.8%増)となりました。
この主な要因は、長期借入金の返済514百万円、自己株式の取得824百万円、配当金の支払1,203百万円によるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性について
① 資本の財源
当社グループは、当連結会計年度末において3,398百万円の有利子負債残高があります。財政基盤の強化については収益力及び資産効率の向上によることを基本としております。
② 資金の流動性管理
当社グループの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の34,987百万円に比べて521百万円増加し、当連結会計年度末には35,508百万円となりました。
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしております。また、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しております。
なお、キャッシュ・フローの関連数値は以下のとおりであります。
(5) 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う事業への影響は「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループにおいて影響が見込まれるものの、ワクチン接種の進展等を背景に社会経済活動の正常化していくと仮定を置き、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、会計上の見積りを行っております。
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