業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大により特定地域を対象とした緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出と解除に伴う経済活動の制限と緩和が繰り返され、全般的に厳しい状況で推移しました。ワクチン接種の促進や社会全体での感染予防対策の効果により、経済活動が正常化に向かったことで、企業収益や雇用・所得情勢に加え個人消費にも持ち直しの動きがみられるなど、景気回復への期待がありました。しかしながら、先行きにつきましては、感染再拡大やインフレ圧力に加えウクライナ情勢をめぐる経済への影響懸念により、極めて不透明な状況にあります。

情報サービス産業におきましては、IoT、AIを活用したITサービスの進展、クラウドサービスやセキュリティ対策、RPA等の需要に加え、テレワーク環境の整備・強化に向けた需要も底堅く推移しました。また、企業等のIT投資は慎重な姿勢ながらも回復傾向にありましたが、既存システムにおけるITサービスに対するコスト抑制姿勢は根強く、当社を取り巻く環境は厳しさが継続しました。

このような情勢の下、当社ではテレワーク対応や提案活動の継続強化により、顧客との綿密なコミュニケーションを図り、新規案件の獲得や既存案件の追加受注に注力しました。

当事業年度の経営成績は、売上高12,971百万円(前期比5.6%増)、経常利益1,265百万円(前期比2.5%増)、当期純利益863百万円(前期比2.3%増)となりました。

 

部門別の概況は、次のとおりであります。

 

(ネットワークサービス)

アウトソーシング案件の取引拡大を図るとともに、顧客への提案活動を強化し、案件の早期受注に注力した結果、売上高は10,555百万円(前期比7.4%増)となりました。

 

(システム開発)

業務系アプリケーション等の案件獲得に努めましたが、開発案件の延期や縮小などが発生した結果、売上高は2,084百万円(前期比1.8%減)となりました。

 

(システム運用)

汎用系の運用やオペレーション業務は、市場の縮小とともに価格下落が継続していることから、汎用系技術からネットワーク系技術への移行に継続して取り組んだ結果、売上高は331百万円(前期比0.9%減)となりました。

 

② 資産及び負債・純資産
イ.資産

当事業年度末における流動資産は、前事業年度末より479百万円増加し、8,916百万円となりました。これは主に、売掛金117百万円、有価証券498百万円の増加と、現金及び預金135百万円の減少によるものであります。固定資産は、前事業年度末より141百万円増加し、3,239百万円となりました。これは主に、投資有価証券12百万円、保険積立金99百万円、前払年金費用32百万円の増加によるものであります。

この結果、資産総額は、前事業年度末より620百万円増加し、12,156百万円となりました。

 

ロ.負債

当事業年度末における流動負債は、前事業年度末より57百万円増加し、2,466百万円となりました。これは主に未払金39百万円、未払費用47百万円、賞与引当金42百万円の増加と、未払法人税等16百万円、その他に含まれる未払消費税等57百万円の減少によるものであります。固定負債は、前事業年度末より2百万円減少し、98百万円となりました。これは主に、役員退職慰労引当金2百万円の減少によるものであります。

この結果、負債総額は、前事業年度末より54百万円増加し、2,564百万円となりました。

 

ハ.純資産

当事業年度末における純資産は、前事業年度末より566百万円増加し、9,591百万円となりました。これは主に、当期純利益863百万円の計上による増加と、配当金307百万円の支払いに伴う減少によるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より135百万円減少し、4,943百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

イ.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果増加した資金は781百万円(前事業年度は992百万円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益1,265百万円、売上債権の増加117百万円、法人税等の支払額426百万円によるものであります。

 

ロ.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果減少した資金は610百万円(前事業年度は0百万円の増加)となりました。これは主に、投資有価証券取得による支出500百万円、有価証券取得による支出800百万円、保険積立金の積立による支出99百万円、有価証券の償還による収入800百万円によるものであります。

 

ハ.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果減少した資金は307百万円(前事業年度は308百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額307百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績

当事業年度の生産実績を部門別に示すと、次のとおりであります。

部門別

生産高(千円)

前期比(%)

ネットワークサービス

10,548,333

107.3

システム開発

2,084,275

98.2

システム運用

331,264

99.1

合計

12,963,873

105.5

 

 

ロ.受注実績

当事業年度の受注実績を部門別に示すと、次のとおりであります。

部門別

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

ネットワークサービス

10,566,659

107.5

50,059

127.8

システム開発

2,084,275

98.2

システム運用

331,264

99.1

合計

12,982,200

105.6

50,059

127.8

 

 

ハ.販売実績

当事業年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。

部門別

販売高(千円)

前期比(%)

ネットワークサービス

10,555,769

107.4

システム開発

2,084,275

98.2

システム運用

331,264

99.1

合計

12,971,309

105.6

 

(注) 最近2事業年度の主な取引先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社トヨタシステムズ

2,550,558

20.8

2,816,155

21.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に関する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。また、この財務諸表作成における見積りにつきましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。

なお、当社の会計上の重要な見積りに、新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響は現時点では認識されておりません。

 

② 当事業年度の経営成績の分析
イ.売上高

当事業年度の売上高は、顧客のシステム投資計画延期等の発生や事業活動面では対面営業の制限等があったものの、テレワーク対応や提案活動の継続強化により、顧客との綿密なコミュニケーションを図り、新規案件の獲得や既存案件の追加受注に注力した結果、12,971百万円(前期比5.6%増)となりました。

部門別では、ネットワークサービス部門10,555百万円(前期比7.4%増)、システム開発部門2,084百万円(前期比1.8%減)、システム運用部門331百万円(前期比0.9%減)となりました。

 

ロ.売上原価

当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べ588百万円増加10,191百万円(前期比6.1%増)となりました。これは主に、技術者の増員等による労務費とビジネスパートナー活用推進に伴う外注費の増加によるものであります。なお、売上高に対する比率は0.4ポイント増加の78.6%となりました。

 

ハ.販売費及び一般管理費

当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ62百万円増加1,532百万円(前期比4.2%増)となりました。これは主に、コロナ禍による活動制限が緩和された影響を受け、募集費が増加したことによるものであります。なお、売上高に対する比率は0.2ポイント減少の11.8%となりました。

 

ニ.営業利益

上記の結果、営業利益は前事業年度に比べ37百万円増加1,248百万円(前期比3.1%増)となりました。

 

ホ.経常利益

当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べ31百万円増加1,265百万円(前期比2.5%増)となりました。これは主に、営業利益の増加によるものであります。

 

ヘ.当期純利益

当事業年度の当期純利益は、前事業年度に比べ19百万円増加863百万円(前期比2.3%増)となりました。

なお、1株当たり当期純利益は、前事業年度に比べ2円52銭増加111円04銭となり、1株当たり年間配当金は、創立60周年記念配当3円を含み、前事業年度に比べ3円50銭増額の43円といたしました。この結果、配当性向は38.7%となりました。

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フロー

当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

79.0

77.6

77.9

78.2

78.9

時価ベースの自己資本比率(%)

98.2

80.1

72.3

83.1

76.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.3

0.3

0.3

0.3

0.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

308.4

376.1

368.4

524.7

438.4

 

※ 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。

2.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

また、利払いについてはキャッシュ・フロー計算書の利息額を使用しております。

 

② 資本政策

当社は、イベントリスクによって経済や市場が混乱し、当社事業においても多大な影響が生じた場合でも、ステークホルダーに影響を及ぼさないだけの手元現預金を保有し、それを超える部分については企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。

事業への資源配分については、既存事業のさらなる強化・成長に資する投資を最優先としながら、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(人材・ICT)への資源配分を継続的に実施します。

株主還元については、経営における最重要課題の一つと考えており配当性向を重視し、増配を目標に継続的に実施していきます。

 

③ 財務政策

当社は、事業運営上必要な流動性を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び設備資金は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,943百万円、短期借入金の残高は260百万円であります。

また、重要な資本的支出の予定はありません。

 

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