業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首より適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度の世界経済は、上期は新型コロナウイルス感染症対策の進展等により総じて回復しましたが、下期は変異株による感染の再拡大に伴う人手不足に加えて、ロシアのウクライナ侵攻に伴い経済の減速感が強まりました。日本においては、前期からの回復はありましたが、半導体の供給制約に伴う自動車生産の減産等により回復は緩慢となり、冬場の新型コロナウイルス感染者数の急増に伴う消費者心理の冷え込み等もあり、個人消費の低迷が継続しました。

 このような経営環境の中、当社グループは、将来にわたって事業環境の構造的変化を乗り越え、社会的に価値ある製品とサービスの供給を通して「社会に貢献する強靱な成長企業」を実現することを目指し、2021年5月に策定した「中長期経営計画」に基づく施策に取り組んでまいりました。

 当社グループの連結業績につきましては前期と比較し、売上高は46.8%、5,948億円増収となる1兆8,659億円となりました。営業利益は99.6%、222億円増益となる446億円、経常利益は85.5%、220億円増益となる478億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は121.5%、194億円増益となる354億円となり、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに過去最高益を記録いたしました。

 

 報告セグメントの業績は次のとおりであります。

(鉄鋼)

 鉄鋼事業の事業環境は、国内外での鉄鋼需要回復に伴い好転し、鋼材価格につきましては、需給バランスの改善や原材料価格の高騰等により前期対比で大きく上昇しました。

 鉄鋼事業の経常利益は、成長戦略推進や事業基盤強化等の効果に加え、販売数量の増加や鋼材価格上昇局面における在庫販売益等もあり、前期比約2.3倍、240億円の増益となる432億円となりました。

 

(産機・インフラ)

 産機・インフラ事業につきましては、アルミ等の高機能素材の販売は増加しましたが、メーカーの減産影響を受けた自動車部品事業等の事業環境は、引き続き厳しいものとなりました。

 産機・インフラ事業の経常利益は、グループ会社の損益悪化等もあり、前期比17%、4億円の減益となる21億円となりました。

 

(繊維)

 繊維事業を取り巻く事業環境は、国内アパレル市場の構造的な縮小に加え、新型コロナウイルス感染防止に伴う外出自粛や在宅勤務定着の影響等により衣料品販売が落ち込み、他地域への短納期振替生産によるコストアップ影響、物流費の高騰もあり、厳しい状況が継続しました。繊維事業の業績は、前期比22億円の減益となる5億円の経常損失となりました。

 本年1月に三井物産との繊維事業統合によりMNインターファッション株式会社を設立する等、事業基盤強化と成長戦略の推進に取り組んでおります。

 

(食糧)

 食糧事業を取り巻く事業環境は、外食店舗の休業や営業時間短縮等の影響等により厳しい状況が継続しましたが、業績面では中食需要の取り込みを含む成長戦略の実行に努めた結果、経常利益は、前期比24%、5億円の増益となる29億円となりました。

 

②財政状態の状況

a.資産

 当連結会計年度末の資産合計は、売上高の増加に伴う売掛金の増加等により、前期末比2,171億円の増加となる1兆1,004億円となりました。

b.負債

 負債合計は、運転資金の増加等に伴い、前期末比1,870億円の増加となる7,922億円となりました。

c.純資産

 純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前期末比301億円の増加となる3,081億円となりました。

 なお、当連結会計年度末の自己資本は2,825億円となり、自己資本比率は25.7%、ネット有利子負債自己資本比率(ネットD/Eレシオ)は、1.36倍となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前期末比270億円の減少となる288億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは1,130億円の支出となりました。主な資金減少要因は売上債権の増加1,345億円、棚卸資産の増加937億円、主な資金増加要因は仕入債務の増加658億円、税金等調整前当期純利益の計上521億円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは53億円の支出となりました。主な支出は有形固定資産の取得による支出

52億円であります。主な収入は投資有価証券の売却による収入42億円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは1,006億円の収入となりました。主な収入は短期借入金の増加725億円、コマーシャル・ペーパーの増加390億円であります。主な支出は配当金の支払額87億円であります。

 

④販売の状況

 販売の状況については、「①経営成績の状況」における報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 なお、当期において、主要な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、総販売実績の100分の10以上の販売実績を占める相手先がなかったため、記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に関連付けて記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行借入等による資金調達に加え、社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による資本市場からの調達も随時行っております。資金調達に関しては資産構成に合わせた最適な資金調達を基本方針とし、その時々の市場環境も考慮したうえで当社にとって有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っております。

 また、当社及び国内子会社間において導入しているキャッシュ・マネジメント・システムによりグループにおける効率的な資金調達を行うなど、安定的な流動性の確保と金融費用の削減を目指しております。

 当社グループの資金需要は、主に運転資金需要であります。

 なお、当連結会計年度末における当社グループの有利子負債の残高は4,156億円となりました。ネットDER(現預金控除後有利子負債対資本倍率)は1.36倍となりました。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a.有価証券の減損処理

 当社グループは、取引先の株式を保有しております。時価のある株式については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。また、市場価格のない株式等については、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合は、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。

 なお、連結財務諸表作成時点において、翌年度以降の連結財務諸表に及ぼす重要な影響はないものと判断しておりますが、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、追加の損失が発生する可能性があります。

b.棚卸資産の評価基準

 当社グループは、棚卸資産について主として次の方法により評価し、収益性が低下した棚卸資産については、帳簿価額を切り下げております。

鉄     鋼  移動平均法又は個別法による原価法

産機・インフラ  移動平均法又は個別法による原価法

繊     維  先入先出法又は個別法による原価法

食     糧  個別法による原価法

 棚卸資産は収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、帳簿価額の切り下げにより損失が発生する可能性があります。

 なお、連結財務諸表作成時点において、翌年度以降の連結財務諸表に及ぼす重要な影響はないものと判断しておりますが、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、追加の損失が発生する可能性があります。

c.貸倒引当金の計上基準

 当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、取引先の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 なお、連結財務諸表作成時点において、翌年度以降の連結財務諸表に及ぼす重要な影響はないものと判断しておりますが、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、追加の損失が発生する可能性があります。

d.繰延税金資産の回収可能性の評価

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が追加計上される可能性があります。

 なお、連結財務諸表作成時点において、翌年度以降の連結財務諸表に及ぼす重要な影響はないものと判断しておりますが、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、追加の損失が発生する可能性があります。

 

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