課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首より適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、①日本製鉄グループの中核商社として4事業分野の強化と拡充、②グローバル戦略の加速、③複合専業商社としての総合力の発揮、④コンプライアンスの徹底、を経営方針としております。

 

(2)経営戦略、経営環境及び会社の対処すべき課題等

 当社グループは、将来に亘って事業環境の構造的変化を乗り越え、社会的に価値ある製品とサービスの供給を通して「社会に貢献する強靱な成長企業」を実現すべく、

1)事業基盤強化策の実行による強靭な企業体質の構築

2)成長戦略の推進による持続的な利益成長の実現

3)ESG経営の深化

の3施策を軸とする「中長期経営計画」を策定し、鋭意取り組み中でありますが、当期における計画の進捗状況は以下の通りです。

 

1)定量的目標の進捗状況

・2021年度収益・財務指標

 定量的指標につきましては、経常利益、当期純利益、及びROEは、2021年度実績で事業基盤強化策や成長戦略推進等の効果に加え、鋼材価格上昇や価格上昇局面における在庫販売益等もあり、中長期経営計画2023年度計画を超過達成致しました。

 また主要財務指標につきましては、鋼材価格上昇に伴う運転資金所要等に伴いネットD/Eレシオが悪化しておりますが、引き続き事業基盤強化策及び成長戦略施策の実行による収益改善等により、有利子負債圧縮と資金効率向上に取り組んでまいります。

 

 

 

2019年度

実績

 

2020年度

実績

 

2021年度

実績

 

中長期経営計画

2023年度

 

 

 

 

経常利益

 

332億円

 

257億円

 

478億円

 

420億円

親会社株主に帰属する当期純利益

 

207億円

 

159億円

 

354億円

 

260億円

<主要財務指標>

ネットD/Eレシオ

 

1.16倍

 

0.95倍

 

1.36倍

 

1.0倍程度

ROE

 

8.9%

 

6.5%

 

13.2%

 

10%程度

ROIC

 

4.7%

 

3.9%

 

5.2%

 

6%程度

 

2)主要施策の進捗状況

 中長期経営計画の主要3施策に関する当期の進捗状況は以下のとおりです。

 

①事業基盤強化策の実行による強靭な企業体質の構築

 グループ社員の付加価値生産性を抜本的に向上させると共に、本体の部・支店・営業所の統廃合(13組織減)及びコイルセンター、鋼管子会社、棒線子会社の再編・統合(13社減)等を実行することで、固定費を54億円圧縮いたしました。

 実績(2019→2021年度)     〇54億円      中長期経営計画進捗率65%

 

 

②成長戦略の推進による持続的な利益成長の実現

 SDGs等の社会的ニーズに対応した新規需要捕捉と共に、伸長する海外市場において、各地域における加工拠点や販売網の拡充によりグローバルな需要拡大を捕捉することに加え、流通効率化や新たな事業創出に繋がるM&A、アライアンス及びデジタルトランスフォーメーション戦略に取り組み、58億円の利益拡大を実現いたしました。

 実績(2019→2021年度)     〇58億円      中長期経営計画進捗率56%

a.新規需要捕捉

・自動車分野(EV用モーター・電池関連素材、超ハイテン等)

・環境対応素材(船舶用スクラバー用ステンレス、再生可能エネルギー分野向け素材等)

・情報通信分野向け高機能素材(スマートフォン用ステンレス等)

・食糧事業におけるエシカル消費関連分野(ホルモンフリー豚肉、植物性代替肉等)

b.海外需要の捕捉

・自動車向け販売拡大(中国ホットプレス材・ハイテン、北米等)

・海外インサイダー化(ローカルミル活用による拡販、ヒューストンでのコイルセンター立ち上げ等)

・産機・インフラ事業におけるアルミ拡販

・食糧事業における東南アジアでの新規拠点設置及び販路拡大

c.流通対策、新商品等

・建材薄板分野での流通対策(月星商事株式会社の子会社化等)

・システム建築での新商品投入(「TIO」「NEO」)

d.鋼材流通DXプラットフォームの新規開発

 サプライチェーン(ユーザー・流通・メーカー)一貫での効率化、業務適確化と品質管理を向上させるとともに、情報のリアルタイム化・可視化による在庫・ロス削減、物流効率及び生産性向上を図るべく、トレーディング業務の徹底したデジタル化を推進中

・「入票システム」「自動財源管理システム」「統一コイルセンターシステム」「ポータルサイト(社外連携システム)」の開発・立ち上げ

 

③ESG経営の深化

 エコソリューションの提案により脱炭素・循環型社会に貢献すると共に、ダイバーシティ&インクルージョンに配慮した次世代を担う人材育成や安全・健康経営の更なる向上、信用・信頼に基づく経営、株主還元等に取り組んでまいりました。

a.環境課題への取組み

 鋼材・アルミ等におけるエコプロダクツの販売やブラックペレットなどの環境対応型原料・太陽光発電などの再生可能エネルギー供給強化への取組み等を通じて、脱炭素社会・環境保全への貢献に取り組んでおります。また当社グループのCO2排出量削減について2030年度30%削減、2050年度カーボンニュートラルの目標を設定し、省エネ活動や電力の再生可能エネルギーへの切替えに取り組んでおります。

b.社会課題への取組み

 ダイバーシティ&インクルージョンに関する取組みとしては、女性活躍推進や外国籍社員採用等について積極的に取り組んでまいりました。併せて働きやすい職場及び働き甲斐のある仕事の実現に向けて、会社と健康保険組合が一体となり健康経営を推進し、「健康経営優良法人 2022(大規模法人部門)」に3年連続認定されました。

 またエシカル消費等の社会ニーズに対応したサービスの提供やサプライチェーンにおけるCSRについても推進しております。

c.コーポレートガバナンス課題への取組み

 経営の健全性・透明性・効率性を確保した業務執行体制と、監視・監督機能及びリスクマネジメントが適切に組み込まれた実効性あるコーポレートガバナンス体制の構築に取り組んでおります。具体的にはESG委員会、リスクマネジメント委員会、ガバナンス委員会を新設し、一層の実効性向上に努めております。また、昨年11月には統合報告書を発行し、ステークホルダーへの持続可能な企業価値向上に関する情報発信力を強化すると共に、よりレベルの高い企業統治の実現を目指し、2022年4月からプライム市場へ移行しております。

 

(3)2022年度の経営環境と当社の対応方針

 2022年度の世界経済は、ウクライナ危機に伴う資源・素材価格の高騰や貿易条件の悪化に加えて、コロナ禍によるサプライチェーン制約の長期化等により、インフレの進行と経済成長の減速が懸念される不透明な状況であります。

 当社グループは中長期経営計画の諸施策の推進と必要な補強策を実行し、事業環境の変化を乗り越え、社会的に価値ある製品とサービスの供給を通して、社会に貢献し、企業価値向上を図ってまいります。

 

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