課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、創業以来、従業員はもとより、お客様、お取引先様、メーカー等の仕入先様と、共存・共栄を基本理念としてまいりました。上場以降は株主の皆様をはじめ多くのステークホルダー(利害関係者)に対する責任がより増し、株主の皆様に対しましては、利益還元を重要な経営課題として認識し、将来の事業展開と経営体質の強化のために、必要な内部留保を確保しつつ、収益状況に応じて、株主の皆様への配当を実施することを基本方針としております。当社グループは単に利潤追求を図るだけでなく、持続的な成長をする企業として社会的責任を果たし、今後とも成長を続けたいと考えております。

当社グループのステークホルダーの中心をなすのは、一般消費者です。当社グループは、セルフ方式で商品を販売するのではなく、お客様のメガネに関する要望や問題をカウンセリングによって解決し、安心と信頼を付与することで永く出店地域で支持を得てまいりました。お客様が当社グループに求める商品価値、高い視力補正技術力、経済性、利便性、接客サービス面の価値に対し常に改善・改良を加え、総合的に愛眼ブランドの価値を高めることでお客様の満足度アップに努め、ロイヤルカスタマー化を図ってまいりました。当社グループは、お客様との信頼関係の構築により、企業及び店舗の総合価値がさらに高まり、メガネを通じて長期にわたり地域社会に貢献してきたと考えております。

そのため、当社グループは、「お客さまの暮らしを、より快適に、より豊かにする企業となることを目指し、安心の技術、納得の商品、気持ちに寄り添うサービスを提供します。」を経営方針に掲げ、眼鏡専門店の本来の使命と責任である「快適な視力補正」の提供と、T.P.O.に応じた「オシャレの楽しさ」を提案してまいります。

 

①取り組み姿勢

○「安心の技術」

快適な視力補正を提供するため、眼や眼鏡に関する知識を深め、視力測定から加工・調整に至るまでの技術力、お客様が抱えている問題やニーズをつかみ的確な提案ができる接客に関する技術力の向上に取り組みます。

○「納得の商品」

機能・性能・ファッション性などお客様の様々なニーズに即した品揃えの充実に加え、「目の健康」をテーマとした快適で機能的なレンズやフレームなどの高付加価値商品の開発を推進することで、幅広い年齢層の多岐にわたるニーズに対応してまいります。また、卸売業と小売業を営んでいるメリットを生かし、流行を見極め、集中仕入れによるコスト削減とお買い得感を追求した商品開発に努めることで、お客様へのできる限りの還元に取り組みます。

○「気持ちに寄り添うサービス」

店頭の販売員のみならず、全社をあげてお客様満足度向上を目指しており、明るく清潔で快適な雰囲気の店内演出、カウンセリング販売の強化、ロールプレイング学習の充実などハード、ソフト両面から真心を込めた接客サービスの向上に取り組みます。

 

②「快適な視力補正」の提供

お客様は日常生活において仕事、趣味、スポーツ、ドライブなど様々なシーンに係わっており、メガネの使用条件は千差万別です。使用距離や使用状況を考慮して、最適なメガネを提供し、快適な視力補正と眼精疲労の改善に努めることが、眼鏡専門店としての使命と責任であり、企業として継続していくための必須条件と確信しております。

 

③「オシャレの楽しさ」の提案

将来的には、少子高齢化社会のもとでの需要の変動が懸念されます。当社グループは、眼鏡小売市場の維持・拡大と生活環境の変化によって両眼視による眼精疲労や視力低下の増加などの社会状況に配慮し、顧客の様々なライフスタイルや生活シーンに対応したメガネの必要性と複数所持を提唱しております。店舗レイアウトや商品陳列を性別、年代別、用途別に展開し、メガネを服装と同じようにT.P.O.にあわせて気軽に着替えていただき、オシャレを楽しんでいただきたいと考えております。また、蓄積したメガネに関するオシャレのノウハウを商品開発や店舗づくりにも活用し、お客様からの支持・信頼の拡大を図ってまいります。

 

(2)経営戦略及び経営環境等

眼鏡小売市場は、人口減少構造の中で、高齢化の進展による老視人口の増加、また、パソコン・スマートフォン・タブレットなどの電子デバイスの普及に伴う若年層の視力低下、眼精疲労、スマホ老眼の増加など、眼鏡需要増加の事象も見られます。しかしながら、個人のライフスタイルや価値観の変化に伴う趣味・スポーツ熱や健康意識の高まりなどお客様のニーズが多様化する一方で、消費者マインドの回復の遅れが影響して、お客様の節約志向への対応も大変重要になってきております。このような状況に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による経済全体の大幅な悪化、外出の自粛や商業施設の休業及び営業時間短縮による消費活動の低下など先行きに対する不透明感は一層強まっております。また、同業者間の販売競争・価格競争も激しくなり、利益確保が厳しい事業環境が続くことが想定されています。

そこで当社グループは、主要顧客であるミドル・シニア世代のみならず、進取の気性に富み新しいものへの感度が高いニューファミリー世代からも支持を得る「愛眼ブランド」の構築を目的に、2012年に「NEW愛眼プロジェクト」をスタートさせ、企業ロゴを変更し、新ビジュアルアイデンティティーによる統一性のあるブランド訴求とお客様の嗜好やライフスタイルに合った最適な商品の提供を目指す「アイ・スタイリング・サービス」を掲げた事業戦略を開始しました。また、フレーム・レンズ一体の明瞭でお買い得な価格表示による「スマートプライス」の販売戦略も並行して推進してまいりました。2016年からは、高齢化や健康意識の高まりなど、社会変化への対応をより鮮明にして、「NEW愛眼プロジェクト」で築き上げたインフラや有効な営業施策を継続しつつ、固定客の中心を占めるミドル・シニア層のお客様に照準を合わせた商品・技術・接客サービス面のアプローチを積極的に強化・推進しております。

 

当社グループは、地域になくてはならない眼鏡専門店として、変化と鮮度を求める顧客の要求を常に意識し、以下の項目に注意を払い、改善・改革に取り組んでまいります。そして顧客満足度の向上を実現し、ロイヤルカスタマーに結びつけることで、企業価値の向上に努め、成長を図る所存です。

 

①「アイ・スタイリング・サービス」の推進

メガネのプロ、専門店として、お客様に最適な商品とサービスを提供することを「アイ・スタイリング・サービス」の核心として推進しております。従来店頭で行っていたメガネフレームのブランド・素材・機能やレンズの屈折率・性能といったハード面の説明だけでなく、お客様のライフスタイル、趣味、ファッション感覚、生活シーン別に利用目的を想定し、カウンセリングを通して、よりお客様の要望を満たす合致点を、お客様ご自身が理解し納得することで、「自分のメガネ」を選ぶ楽しさを実感していただきたいと考えております。そのため、お客様がお買い求めやすく楽しんでメガネを選んでいただけるように、店舗のレイアウトや売場の演出の改善にも取り組んでおります。

 

②「スマートプライス」の推進

従来より基本的に別々だったメガネフレームとレンズの料金体系について、愛眼が取り扱うメガネフレームをレンズ込みの明瞭な価格表示で販売してまいります。レンズは様々なライフシーンに合わせた豊富なバリエーションで構成され、従来よりも格段に用途・目的にマッチさせたレンズをご提案することが可能になり、来店されたお客様誰もがより分かりやすく安心してメガネを購入していただけるよう注力してまいります。

 

③付加価値の高い商品の投入

商品は、当社グループの生命線であります。オリジナルブランド商品を中心に、価格志向、機能・性能・デザイン性などお客様の様々なニーズに即した品揃えの充実に加え、「目の健康」をテーマとした快適で機能的なレンズやフレームなどの高付加価値商品を増強し、お客様にとって安心でお買い得な商品の拡充に努めることで幅広い年齢層の多様なニーズに対応してまいります。お客様へ自信を持って提供できる商品の投入が、従業員の仕事へのモチベーションアップに結びついています。これからも安心、安全を兼ね備え、品質・お買い得感で競合他社と差別化できる商品の開発に注力してまいります。

 

④販売促進活動の多様化

販売促進活動は、折り込みチラシやDMに加えて、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEBなど各種のマスメディア媒体をミックスさせた情報発信を強化することで、集客に努めてまいります。また、お客様がお買い求めやすく楽しんでメガネを選んでいただけるように、店舗の演出の改善にも取り組んでまいります。

 

⑤人材育成

視力矯正技術の重要な要素になるカウンセリング力の向上を最重点育成項目として捉え、加えて技術面から売場づくりまでを含めた一貫した「アイ・スタイリング・サービス」を、接客サービスの基軸として徹底指導することで、お客様からの支持・信頼の獲得に努めてまいります。

 

⑥経営効率の追求

経営方針を念頭に、企業として常に高付加価値を追求し、販売戦略、商品戦略、出店戦略、人材戦略を適時見直し、経営効率の改善を推進し、売上高経常利益率の向上を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、新規店舗の開発、既存店の活性化、素材・機能・デザインなどコストパフォーマンスに優れた商品の開発、従業員教育の充実などの事業基盤を強化するとともに、営業体制の整備や経費コントロールの徹底による経営効率の改善によって、中長期的な経営指標数値として売上高経常利益率5.0%、ROE4.0%の確保を目標にしてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

眼鏡小売市場は、消費者の価格志向が引き続き重要なファクターとなり、各企業間の販売競争・価格競争と相まって、販売単価は伸び悩みが続くものと予想されます。

一方で高齢化の進展による老視人口の増加や電子デバイスの普及など生活環境の変化に伴う眼鏡需要の増加の傾向も見られます。

このような状況のなかで、当社グループは、お客様からの支持・信頼の獲得に焦点を当てた諸施策の推進と経営資源の効率的活用を進め、事業収益の拡大を図ってまいります。組織面におきましても、業務の効率化と働き方改革に適切に対応し活性化を進めてまいります。

 

これらの経営方針を進めていく上において、以下の課題にも配慮してまいります。

 

①滞留商品の抑制

幅広い年齢層のお客様の多様なニーズに対応するには、品揃えの強化は欠かせないものですが、在庫商品が市場ニーズや流行にそぐわず、長期にわたり売れ残り陳腐化した場合、在庫商品の回転率を低下させ資産を眠らせることとなります。そのため、お客様のニーズを的確に把握して商品開発を進めるとともに、商品の在庫管理の徹底を図りつつ、長期の滞留品とならぬよう、販売促進イベントの開催や社内ネットワークによる情報提供・店舗間移動等による商品管理も併せて推進してまいります。

 

②女性活躍推進への取り組み

当社グループは、優秀な人材の確保と社員教育の充実は継続的な成長に必要不可欠であると考えており、その強化に努めております。それらの一環として、現在、「女性活躍推進」に取り組んでおり、全従業員のうち約4割を占める女性が職場で直面しているさまざまな課題をひとつずつ克服し、各従業員がもっと働き易く、能力を発揮できる職場環境作りを目指しております。また、店舗の従業員が生き生きとお客様に対応できる体制の構築を図ってまいります。

 

③デベロッパー、キーテナント撤退時の早期対応

全店の約6割をショッピングセンターのテナントとして出店しているため、デベロッパーやキーテナントの経営状況の変化によって、運営方針が変更になり、出店コンセプトが変わることで、出店店舗の予定外の改装や閉店を余儀なくされるケースがあります。特に閉店を余儀なくされるケースにおいては、企業業績にとって負担になりますが、極力、顧客、地域消費者の皆様にご不便・ご迷惑をかけないよう、可能な限りスクラップ&ビルドによって、お客様にとって利便性の高い他の商業施設やロードサイド立地に移転するなど、然るべき対策を早期に講じていく所存であります。

 

④内部管理体制の強化

今後の業容拡大を展望した場合、各種業務の標準化と効率化によって事業基盤を確立させることが重要な課題であると認識しております。そのため、適切かつ効率的な業務運営を遂行するために従業員に対し業務フローやコンプライアンスなどを周知徹底させ、内部管理体制の強化を図るとともに、業務の効率性と適正化の確保に努めてまいります。

 

 

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