業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束せず、サプライチェーンの乱れから様々な資材の調達に支障を来し、価格も高騰するなど厳しい状況が続いていたところ、年明け以降は、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発し、この混乱をさらに助長する状況となっています。当社グループが属する住宅業界もその例外ではなく、木材や木質系素材の品不足が拡大し、価格面もかつてない程激しく高騰するなど、「ウッドショック」と称される様相を呈しているほか、半導体をはじめ様々な産業に向けた部品等の供給不足から、一部の住宅機器にも調達面での混乱が生じ、未だ収束に至っておりません。

一方、新設住宅着工戸数は、前年同期比では、全体でも、当社グループが主力とする持ち家でも6~7%程度の増加と堅調です。

このような状況下、当社グループは、新型コロナウイルスへの感染防止のための様々な手立てを講じながら慎重に営業活動を進めました。また、並行して2019~2021年度を対象とする中期経営計画 “Breakthrough 21”の最終年度として、その重点施策を実行に移し、次代を視野に入れた態勢整備を進めています。「ウッドショック」や住宅機器の供給制約に対しては、木質系建材流通の川上から川下までを一気通貫で手掛け、また、製造加工部門や海外部門も有するなどの当社グループの総合力を最大限に発揮するとともに、木質系建材卸トップ企業として築いたメーカーとの強固な関係を活かし、木材及び木質系建材、住宅機器等住宅資材全般にわたる供給責任を果たすべく、量の確保や代替材の調達、生産に努めました。

この結果、当連結会計年度における業績は以下のとおりとなりました。

売上高は3,761億20百万円(前期比9.6%増)と新設住宅着工戸数全体の伸び(同6.6%増)を大きく上回りました。なお、今期から新たな収益認識に関する会計基準を導入しており、この影響(169億94百万円)を考慮すると売上高は3,931億14百万円(同14.5%増)と、二桁の伸びとなっています。利益面では、一昨年春稼働開始した株式会社キーテック山梨合板工場が順調に稼働率を上げていることや、量質両面にわたる仕入・販売のきめ細かいコントロールによりグループ全体の粗利益率が向上したことなどが寄与し、営業利益は124億75百万円(同129.7%増)、経常利益は131億11百万円(同151.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は89億7百万円(同202.0%増)とかつてない大幅な増益となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

 (総合建材卸売事業)

「ウッドショック」の影響から、特に合板等素材商品の調達面の確保が難しい状況でしたが、取扱商品全般、特に合板等素材商品を主体に利益率は大きく改善しました。

この結果、当事業の売上高は3,104億51百万円(前期比6.6%増)、営業利益は73億1百万円(同46.0%増)とともに大きく増加しました。

 (合板製造・木材加工事業)

当事業の中核を占める株式会社キーテックは、主力のキーラム(LVL)事業が代替材としての需要拡大を受けて増収増益となったほか、一昨年稼働を開始した山梨合板工場の稼働率向上から増収増益となりました。また、ティンバラム株式会社をはじめ当事業に属するほとんどの子会社が黒字転換を伴う増収増益を果たしました。

この結果、当事業の売上高は180億81百万円(前期比55.7%増)の大幅増収、営業利益は42億14百万円(前期は5億65百万円の営業損失)と黒字転換しました。

 (総合建材小売事業)

総合建材小売業につきましては、2021年4月に、株式会社ティエフウッドを株式会社ブルケン・マルタマに、四辻製材株式会社を株式会社ハウス・デポ関西に各々吸収合併し、2021年9月には、サッシ等の販売及び施工を手掛けるハラコートーヨー住器株式会社(現 株式会社ハラコー)を新たに子会社とし、2021年10月には、株式会社タムラ建材を新たに連結子会社とする一方、井田商事株式会社を株式会社KEY BOARDに吸収合併しました。第4四半期連結会計期間には、株式会社ダイエイ及び株式会社三栄社を新たに連結子会社とする一方、INTERRA Japan株式会社を清算しました。このように、総合建材小売事業セグメントでは、積極的なM&Aを推進しつつ、グループ内再編をダイナミックに進めています。

この結果、当事業の売上高は442億50百万円(前期比17.3%増)、営業利益は7億95百万円(同69.0%増)増収増益となりました。

 

 (その他)

その他には、建材小売店の経営指導を中心にフランチャイズ事業を展開している株式会社ハウス・デポ・ジャパンのほか、建設工事業の子会社4社、物流関係等の子会社5社及び純粋持株会社でありますJKホールディングス株式会社の一部事業等を区分しております。2021年9月には、ハラコートーヨー住器株式会社(現 株式会社ハラコー)の子会社で、インターネットによるサッシ・エクステリア製品等の施工販売を手掛けるハッピーコーポレーション株式会社を新たに子会社としました。これらの子会社のうち建設工事業を手掛けるJKホーム株式会社及び株式会社ティンバースケープに対する新型コロナウイルス感染症の影響は依然大きく、これら2社は引き続き売上、利益両面で苦戦を強いられています。

この結果、当事業の売上高は33億36百万円(前期比18.9%増)、営業利益は96百万円(同74.6%減)となりました。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は2,249億32百万円となり、前連結会計年度末に比べて186億43百万円増加いたしました。増減の内訳としては、現金及び預金が29億円増加、受取手形、売掛金及び契約資産と電子記録債権の合計額が127億53百万円、棚卸資産が26億65百万円増加し、流動資産が190億4百万円増加いたしました。

固定資産は、無形固定資産が3億45百万円増加した一方、有形固定資産が6億32百万円減少、投資その他の資産が74百万円減少したことにより、固定資産合計では3億61百万円減少いたしました。

負債は1,716億52百万円となり、前連結会計年度末に比べて105億39百万円増加いたしました。増減の内訳としては、支払手形及び買掛金と電子記録債務の合計額が136億46百万円増加した一方、短期借入金が5億47百万円減少したことなどにより流動負債が122億46百万円増加いたしました。

一方、固定負債は、長期借入金が14億78百万円減少したことを主因として、固定負債合計では17億7百万円減少いたしました。

純資産は532億79百万円となり、前連結会計年度末に比べて81億3百万円増加いたしました。利益剰余金が82億23百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ27億35百万円増加し、387億94百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は81億82百万円(前期は88億46百万円の獲得)となりました。税金等調整前当期純利益130億64百万円、減価償却費24億21百万円といった資金獲得要因がありましたが、一方で棚卸資産の増減額が25億41百万円及び法人税等の支払額22億57百万円の資金使用要因があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は18億55百万円(前期は25億23百万円の使用)となりました。固定資産の取得と売却の差額14億90百万円の資金使用要因があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は35億91百万円(前期は27億79百万円の使用)となりました。長期借入金の純減額19億29百万円、短期借入金の純減額5億47百万円、配当金の支払額7億45百万円といった資金使用要因があったこと等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

 前年同期比(%)

総合建材卸売事業

(百万円)

合板製造・木材加工事業

(百万円)

19,003

154.6

総合建材小売事業

(百万円)

報告セグメント計

(百万円)

19,003

154.6

その他

(百万円)

合計

(百万円)

19,003

154.6

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

 前年同期比(%)

総合建材卸売事業

(百万円)

291,658

109.0

合板製造・木材加工事業

(百万円)

1,315

118.3

総合建材小売事業

(百万円)

13,970

147.1

報告セグメント計

(百万円)

306,944

110.3

その他

(百万円)

536

138.4

合計

(百万円)

307,480

110.4

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

総合建材卸売事業

合板製造・木材加工事業

5,345

143.6

234

197.9

総合建材小売事業

報告セグメント計

5,345

143.6

234

197.9

その他

2,000

109.9

801

85.4

 合計

7,346

132.6

1,035

98.0

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

 前年同期比(%)

総合建材卸売事業

(百万円)

310,451

106.6

合板製造・木材加工事業

(百万円)

18,081

155.7

総合建材小売事業

(百万円)

44,250

117.3

報告セグメント計

(百万円)

372,784

109.5

その他

(百万円)

3,336

118.9

合計

(百万円)

376,120

109.6

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における財政状態及び経営成績につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

当連結会計年度においては、売上高は3,761億20百万円と収益認識基準の変更を考慮した実質ベースで前期比498億60百万円増(14.5%増)となりました。このように前期比二桁の増収となった背景には、住宅取得を巡る金利、税制などの優遇政策が継続していることに加え、在宅勤務の浸透によるライフスタイルの変化などを受け、住宅への関心が高まるのとともに戸建て住宅への需要が増加し、新設住宅着工戸数が前期比6.6%増加するなど需要が堅調であったことが挙げられます。また、新型コロナウイルス感染症の影響から、生産及び物流の面で住宅資材全般について供給制約が生じ需給がタイトになったことから、住宅資材全般の価格が上昇したことがもう一つの要因です。このような状況は特に木質系建材の流通に強く表れており、「ウッドショック」と称されるほどになっています。

利益面においても「ウッドショック」の影響は大きく、売上高総利益率が12.3%と前期比1.4%ポイント増加し(収益認識基準の変更を考慮した実質ベース)、売上総利益は483億74百万円と前期比110億37百万円増(29.6%増)の大幅な増益となりました。「ウッドショック」のプラスの影響をセグメント別に分析しますと、リードタイムの長い流通の上流ほど影響が強く表れており、合板製造・木材加工業>総合建材卸売業>総合建材小売業の順に増収増益の幅が大きくなっています。

なお、当連結会計年度における増収増益の要因は以上のような環境要因だけではありません。まず、供給制約に対しては、木質系建材流通の川上から川下までを一気通貫で手掛け、また、製造加工部門や海外部門も有するなどの当社グループの総合力を最大限に発揮するとともに、木質系建材卸トップ企業として築いたメーカーとの強固な関係を活かし、木材及び木質系建材、住宅機器等住宅資材全般にわたる供給責任を果たすべく、量の確保や代替材の調達、生産に努めたことが挙げられます。また、数年来取り組んできた利益率の向上に向けた意識改革と、その実現のための努力の積み重ねが実を結んだものと認識しています。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金は、グループ内の資金を効率的に活用することによって賄うことを基本とし、不足額や緊急に必要となる資金については、当座借越枠、CP枠、中核企業であるジャパン建材株式会社の手形流動化枠等にて対応しております。運転資金以外の資金需要の主なものは、製造子会社の機械等の設備資金や販売子会社の事務所・倉庫等の営業用不動産への投資のほか、M&Aによる会社の取得資金など持株会社である当社の投資に要する資金です。この投資資金については、自己資金を充てることを基本に不足額を銀行借入によって調達しております。銀行借入については、半期ごとに長期資金の調達計画を立て、計画的に調達しております。

当連結会計年度においては、子会社の事務所・倉庫・機械の新増設や補修等の設備投資を行っておりますが、その規模は減価償却の範囲にとどまる一方、グループ各社の業況が順調であり、グループ内金融が返済超過となったことから、グループ全体の借入金も減少しました。

 

③重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって、過去の実績や現状等を勘案して、合理的と考えられる方法により会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

以下の事項については、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢及びウッドショックの影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、現時点で入手可能な情報を基に、2023年3月期の一定期間にわたり継続するとの仮定のもと見積りを行っております。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

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