有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)新設住宅着工戸数が業績に与える影響について
住宅関連業界の業績は、新設住宅着工戸数の増減に大きく左右されます。なかでも当社グループは、木造戸建住宅関連の商品が取扱いの中心であることから、新設住宅のうち持ち家部門の増減の影響を大きく受けます。
当社グループといたしましては、建て替え需要を含む新設住宅需要の掘り起こしに努めるとともに、住宅リフォーム市場や木質系非住宅市場での販路拡大に注力し、木造戸建住宅の新築に依存しない経営体質造りに努めております。しかし、現時点では、業績面での木造戸建住宅の新築依存は相対的に大きく、住宅資材の高騰、住宅ローン金利の上昇、住宅ローン減税制度の縮小・廃止、消費税率の引き上げ等により新設住宅着工戸数が大幅に減少するような状況が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)新型コロナウイルス感染症が業績に与える影響について
一昨年来の新型コロナウイルス感染症が当社グループの業績に与える影響はこれまでのところ限定的です。しかし、新たな変異の発生などもありその影響がいつ収束するのか、未だはっきりとした見通しが立っておりません。当社グループとしては、感染の未然防止に向けた様々な対策を打つのと同時に、感染者が出た場合には、その拡大の封じ込めを図りつつ事業を継続するためにBCPを発動するなどの態勢を整えておりますが、クラスターの同時発生など想定を上回る事態となった場合には、一時的かつ局所的に事業継続が困難となる可能性があります。
(3)「ウッドショック」やウクライナ情勢が業績に与える影響について
昨年来の「ウッドショック」により木材需給は逼迫し価格の高騰が続いているところ、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発し、需給及び価格がいつどのような水準に落ち着くのか、先行きがさらに見通しづらくなっています。
これに対して当社グループは、木質系建材流通の川上から川下まで手掛け、また、製造部門や海外拠点も有するなどのグループ総合力を活かし、引き続き十分な量の木材調達に努めるほか、代替材の調達や生産などにより供給責任を果たす所存であります。
その一方、「ウッドショック」等による住宅資材の需給の逼迫や価格の高騰が収束するまでに相当の時間を要することになれば、わが国の新設住宅着工戸数の減少につながる懸念があり、その場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)市況商品である合板の価格変動リスクについて
当社グループの主力販売商品である合板は市況商品であり、価格が大きく変動することがあります。
国内の合板市場は、数量ベースで国産品、輸入品各々半々の構成比となっています。国産品は着工戸数等と生産量の需給バランスにより、また、輸入品はこれに加えて原木生産国や製品輸出国の国内事情あるいは製品輸入国の需要動向などから販売量及び価格が大きく左右される可能性があります。
以上のような、価格、数量に対する様々な変動要因によるリスクを軽減するため、国内にあっては、製造子会社における生産調整や販売子会社による仕入れの調整を機動的に実施しています。海外にあっては、マレーシア(ミリ)及びインドネシア(ジャカルタ)ほかASEAN諸国数ヶ所に駐在員を派遣、現地メーカー等と常にコンタクトを取り情報収集を行うことにより、価格の安定化や利益の確保に努めております。しかし、国産、輸入いずれにおいても、急激かつ大幅な市況変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)リベート等の変動によるリスクについて
当社グループの主たる事業である総合建材卸売事業の売上総利益の主な構成は、販売価格と仕入価格の差である売買差益と、一定期間の仕入金額や販売金額に応じて建材メーカーや商社から支払われる割戻金及び販売奨励金からなります。今後、当社グループの仕入・販売金額の減少や、建材メーカー等の価格政策の見直しによる取引条件の変更が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)信用リスクについて
中核企業であるジャパン建材株式会社のお取引先は全国約1万先に及ぶなど、グループ各社は、多数のお取引先に企業間信用を供与しています。このため、グループ全体での与信管理体制を逐年強化しており、当連結会計年度におきましても、新規不良債権発生額は予算を大幅に下回りました。
引き続き与信の分散化に努めるとともに、グループ全体での与信管理のシステム化や動態観察の重視等、きめ細かい管理と早期対応により、不良債権発生の抑制に努める所存でありますが、想定の範囲を超える不良債権が発生いたしますと、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、また、「ウッドショック」による木材価格の急騰や品不足が進展する昨今、信用リスク管理には従来以上に取り組みを強化しておりますが、今後、住宅業界において倒産が大きく増えることも懸念され、想定を超える不良債権が発生する場合には当社グループの業績も大きく影響を受ける可能性があります。
(7)為替リスク及びカントリーリスクについて
当社グループの主力商品である合板については、その材料となる単板、製品を問わず、輸入価格は為替相場の変動及びカントリーリスクの顕在化による影響を受けます。
中核企業であるジャパン建材株式会社は、合板販売総額の約3割程度を直接輸入しており、為替相場の変動に対しては契約額の50%以上を先物為替予約でヘッジする方針で対応し、為替相場の変動が経営成績に及ぼす影響を軽減するよう努めておりますが、急激かつ大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、合板以外にも、製材品や原材料としての木質系素材を輸入している子会社も複数あり、これらの子会社も、為替リスクのみならず、輸入国のカントリーリスクも負っています。実際、現に発生しているロシアへの経済制裁により、同国産の製材品や木質系素材の調達が困難となっており、代替材での対応を迫られています。
(8)企業買収等にかかるリスクについて
当社グループが所属する住宅関連業界は、中長期的な市場規模の縮小が予想されるなか、今後も業界再編等が進むものと見込まれます。当社グループにおきましても、営業基盤の拡充・強化を図る観点から、企業買収等を積極的に推進しています。個別の企業買収等の際には適切なデュー・デリジェンスを実施しますが、買収した企業の価値が大幅に減少するような状況が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)自然災害・事故等にかかるリスクについて
当社グループは、大規模な自然災害や事故、感染症のパンデミック等が発生した場合、営業・製造拠点や本社、サプライチェーン、従業員等が深刻な被害を被る可能性があります。このような事態に備え、当社グループは事業継続計画(BCP)を定めておりますが、その想定を超える被害を被った場合は、当社グループの業績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
(10)サイバー攻撃にかかるリスクについて
当社グループは、生産、販売、会計、人事その他業務全般をITシステムにより管理しております。また、当社グループは、お取引先の個人情報や営業秘密情報など、業務に必要な重要情報を取り扱っております。
一方、様々なサイバー攻撃が世界中で活発化しており、当社グループのITシステムもその攻撃対象となり得ることを認識しております。このため、社内ネットワーク上で異常が検知された場合は、直ちにアラームを発するとともに必要な対応を行う仕組みの導入、各種データの定期的なバックアップの実行、各種端末へのセキュリティソフトの導入、セキュリティに関する社員教育等適切に対策することによってリスクの低減に努めております。
しかしながら、想定を超えるレベルで攻撃を受けた場合には、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩等による事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策コストの増加等により、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
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