(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により経済活動が停滞する中、企業収益や個人消費も大幅に落ち込み、非常に厳しい状況で推移しました。5月に緊急事態宣言が一旦解除されましたが、11月以降の感染再拡大により、2021年1月8日から2021年3月21日まで再び緊急事態宣言が当社の営業エリアである1都3県で出される等、依然として新型コロナウイルス感染症の終息見込みが立たず、景気の先行きは大変不透明な状況となっております。
電設資材卸売業界においては、新設住宅着工戸数が4月から2月までの11ヵ月間で前年比8.7%減と一戸建てを中心にいまだ回復の足取りは遅く、建設技術者の慢性的な人手不足や労務費・建設資材価格の高止まりにより需要獲得の競争が激しく、収益環境は依然として厳しい状況です。また新型コロナウイルス感染症の影響により建設工事の一部に着工や進捗の遅延等も発生したため、上半期の業績に少なからず影響を受けました。
このような状況の中、当社においては4月12日に開催を予定していた展示即売会「AIKOフェスタ2020」を中止した他、緊急事態宣言発令中は、在宅勤務、時差出勤、事前アポイントメントによりお客様の了解を得た訪問営業等の対策をとっており、緊急事態宣言解除後についても感染リスクを抑える為の対応策をとりつつ状況を考慮しながら営業活動を行っております。
結果、当事業年度における売上高は10,263百万円(前年同期比15.3%減)となりました。
利益面につきましては、人件費等の減少により販売費及び一般管理費の総額は1,533百万円(前年同期比13.4%減)となりました。これらの要因により営業利益223百万円(前年同期比30.2%減)となり、経常利益226百万円(前年同期比30.0%減)、当期純利益は144百万円(前年同期比31.0%減)となりました。
財政状態につきましては、当事業年度末の総資産は6,492百万円となり、前事業年度末に比べ242百万円減少いたしました。流動資産は5,717百万円となり、172百万円減少いたしました。主な変動要因は現金及び預金の増加(前期末比335百万円増)と、売上債権の減少(前期末比489百万円減)です。固定資産は774百万円となり、前事業年度末に比べ69百万円減少しております。主な変動要因は繰延税金資産の減少(前期末比72百万円減)によるものです。
当事業年度末の負債合計は3,812百万円となり、前事業年度末に比べ348百万円減少いたしました。流動負債は3,588百万円となり、前事業年度末に比べ110百万円増加いたしました。主な変動要因は未払金の減少(前期末比119百万円減)、未払法人税等の減少(前期末比77百万円減)と、長期借入金400百万円を1年内返済予定の長期借入金として流動負債へ変更したことによる増加です。この変更に伴い固定負債も前事業年度末に比べ400百万円減少しております。固定負債は224百万円となり、前事業年度末に比べ458百万円減少いたしました。主な変動要因は役員退職慰労引当金の減少(前期末比47百万円減)と前述の長期借入金の減少によるものです。
これらにより当事業年度末の純資産の部は2,679百万円となり、前事業年度末と比べ105百万円増加いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末と比べて335百万円増加し、2,508百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は400百万円(前年同期は269百万円の増加)となりました。これは主に売上債権の入金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は12百万円(前年同期は23百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産及び無形固定資産の取得であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は52百万円(前年同期は44百万円の減少)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社は照明器具・電線等、電気機器電設資材の販売を行う単一セグメントであるため、「生産、受注及び販売の実績」につきましては品目別に記載しております。
イ.商品仕入実績
当事業年度の商品仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別 |
当事業年度 (自 2020年3月21日 至 2021年3月20日) |
|
金 額 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
照明器具類 |
2,159,418 |
78.6 |
電線・パイプ類 |
2,139,054 |
86.9 |
開閉器・盤・制御機器類 |
2,004,788 |
80.3 |
家電・住設・弱電機器類 |
1,301,526 |
98.1 |
その他 |
886,870 |
89.6 |
合 計 |
8,491,659 |
84.7 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
ロ.商品販売実績
当事業年度の商品販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別 |
当事業年度 (自 2020年3月21日 至 2021年3月20日) |
|
金 額 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
照明器具類 |
2,599,312 |
78.5 |
電線・パイプ類 |
2,626,207 |
85.6 |
開閉器・盤・制御機器類 |
2,291,514 |
78.1 |
家電・住設・弱電機器類 |
1,624,073 |
103.3 |
その他 |
1,122,269 |
91.0 |
合 計 |
10,263,378 |
84.7 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、見積特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や利益計画目標等の合理的な方法により見積りを行っており、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を計上しております。
固定資産の減損につきましては、主として管理会計上の区分に基づきグルーピングを行い、減損の兆候の有無の判定を行っております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フロー等を見積り、減損の要否を判定しております。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価額を回収可能額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
貸倒引当金につきましては「1 財務諸表等の(注記事項)」の記載をご参照ください。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性、固定資産の減損の判定、貸倒引当金)に与える 影響は軽微であります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、次期以降の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
②当事業年度の財政状態及び経営成績の分析
<財政状態の分析>
(流動資産)
前年第4四半期の売上債権の入金増及び、当事業年度の第2四半期の売上債権の入金増により、現金及び預金は増加したものの、売上債権の減少が大きく、結果、流動資産は5,717百万円となり、前事業年度末に比べ172百万円減少しております。当事業年度末の流動資産の主な内訳は、現金及び預金2,508百万円、売掛金1,830百万円であります。
(固定資産)
前期に繰延税金資産の対象となった一時差異の解消により繰延税金資産が減少しており、774百万円となり、前事業年度末に比べ69百万円減少しております。当事業年度末の固定資産の主な内訳は、有形固定資産453百万円、投資有価証券66百万円、差入保証金129百万円であります。
(総資産)
上記、流動資産、固定資産の減少により6,492百万円となり、前事業年度末に比べ242百万円減少しております。
(流動負債)
1年内返済予定の長期借入金等の増加と未払金の支払いにより3,588百万円となり、前事業年度末に比べ110百万円増加しております。当事業年度末の流動負債の主な内訳は、短期借入金1,400百万円、買掛金911百万円であります。
(固定負債)
長期借入金が1年内返済予定の長期借入金として流動負債へ変更したことによる減少と役員退職に伴う退職慰労金の支給により224百万円となり、前事業年度末に比べ458百万円減少しております。当事業年度末の固定負債の主な内訳は、退職給付引当金134百万円であります。
(純資産)
当期純利益の計上に伴う繰越利益剰余金の増加により2,679百万円となり、前事業年度末と比べ105百万円増加しております。当事業年度末の純資産の主な内訳は、資本金611百万円、資本剰余金691百万円、利益剰余金1,364百万円であります。
<経営成績の分析>
(売上高及び売上総利益)
売上高は前年同期比15.3%減の10,263百万円となりました。
品目別の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響による受注減から全般的に前期比で減少しておりますが、家電・住設・弱電機器類は前年実績を上回り好調に推移しました。品目別の売上高の内訳は、照明器具類2,599百万円(前年同期比21.5%減)、電線・パイプ類2,626百万円(前年同期比14.4%減)、開閉器・盤・制御機器類2,291百万円(前年同期比21.9%減)、家電・住設・弱電機器類1,624百万円(前年同期比3.3%増)、その他1,122百万円(前年同期比9.0%減)であります。
売上高の詳細につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 ③生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
(販売費及び一般管理費)
人件費等の減少により、1,533百万円となり、前年同期比で13.4%減少しております。なお、人件費の減少の主なものは業績連動に伴う賞与の減少であります。
(営業利益、経常利益)
営業利益は223百万円となり、前年同期比で30.2%減少しております。経常利益は226百万円となり、前年同期比で30.0%減少しております。
(当期純利益)
上記要因により、当期純利益は144百万円となり、前年同期比で31.0%減少しております。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
イ.キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」を参照して下さい。
なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標は次のとおりであります。
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
自己資本比率(%) |
36.8 |
37.6 |
38.2 |
41.3 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
24.0 |
29.4 |
16.4 |
20.7 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
4.1 |
14.9 |
6.7 |
4.5 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
61.5 |
17.7 |
40.7 |
62.0 |
※ 自己資本比率………………………………自己資本÷総資産
時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率…有利子負債÷キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ……キャッシュ・フロー÷利払い
(注1)株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
(注2)キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
(注3)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(注4)キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスの場合は記載しておりません。
ロ.資金需要
当社の事業活動に要する運転資金は、その殆どが営業活動から得られるキャッシュ・フローによって賄われております。また、業容の拡大に伴う資金需要につきましては適宜、金融機関からの短期借入で補填しております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載しております。なお、目標とする経営指標である自己資本比率及び売上高営業利益率の推移は以下のとおりであります。
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
自己資本比率(%) |
36.8 |
37.6 |
38.2 |
41.3 |
売上高営業利益率(%) |
2.4 |
2.7 |
2.6 |
2.2 |
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の販売商品のうち、全売上高の15%以上を占める電線類については銅市況により原価率変動の影響があります。また、住宅設備商品のうち空調、冷暖房関連につきましては夏季の猛暑あるいは冷夏により販売台数への影響が多分にあります。盤・制御機器類の商品については主に工場設備投資の景況、需要の影響を受けております。
なお、当社の業績に大きな影響を与える減損損失につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」の項目を参照して下さい。
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