業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度(2021年3月21日~2022年3月20日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響下にあり、全国各地で緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返し行われ、経済活動の制限や停滞により厳しい状況が続いておりましたが、ワクチン接種の普及拡大による感染者数の減少傾向から、経済回復への期待感が高まりつつありました。しかしながら、新たな変異株による急激な感染拡大の影響は大きく、また、原材料高やエネルギー価格の高騰などにより企業収益は悪化しており、加えて米国の金融引き締めやロシアのウクライナ侵攻を契機に先行きの不透明感は一層高まることとなりました。

 当機械工具業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による企業活動が制限される中で、自動車や半導体関係を始めとする製造業において輸出増加による生産が上向くなど一部の業種で回復の動きが見られました。期の後半におきましては世界的な半導体不足や部品の供給不足による自動車の減産の影響はありましたものの製造業の生産活動は年間を通して底堅く推移しました。

 このような状況のもと、当社は、新型コロナウイルス感染症の影響により満足な営業活動を行えない状況が長期化する中で、引き続き感染防止策や衛生管理対策を講じながら営業を継続し商品供給及びサービスの提供に努め、売上の回復を図ってまいりました。また、営業の効率化及び採算性を目的とした営業所の統合やあらゆる角度から利益の創出に取り組んでまいりました。

 以上の結果、当事業年度の業績は、売上高6,118百万円(前年同期比20.1%増)となりました。利益面では、人件費の増加などによる販売費及び一般管理費の増加はあったものの、増収効果から、営業利益17百万円(前年同期は営業損失54百万円)、経常利益87百万円(前年同期は経常損失7百万円)、当期純利益52百万円(前年同期は当期純損失21百万円)となり、前事業年度よりいずれも黒字転換を実現いたしました。

主要セグメントについては下記のとおりであります。

 当社は、機械、工具及び産業機械・器具等の販売事業の単一セグメントであるため、記載しておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ102百万円減少し、493百万円(前年同期比17.2%減)となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は28百万円(前年同期比64.9%減)となりました。その主な要因は、売上債権の増加額288百万円の資金減少要因がありましたが、一方で、税引前当期純利益の計上96百万円、仕入債務の増加額182百万円及び未払消費税の増加額31百万円等の増加要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は113百万円(前年同期は280百万円の取得)となりました。その主な要因は、投資有価証券の取得による支出139百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は18百万円(前年同期比77.5%減)となりました。その主な要因は、配当金の支払額11百万円とファイナンス・リース債務の返済による支出10百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.商品仕入実績

区分

第68期

(自 2021年3月21日

至 2022年3月20日)

前期比(%)

機械(千円)

300,402

129.5

工具(千円)

1,334,837

113.1

産機(千円)

2,589,789

124.9

伝導機器(千円)

528,529

127.6

その他(千円)

517,640

108.7

計(千円)

5,271,200

120.5

 (注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

b.受注実績

 該当事項はありません。

c.販売実績

区分

第68期

(自 2021年3月21日

至 2022年3月20日)

前期比(%)

機械(千円)

334,643

123.1

工具(千円)

1,536,463

112.2

産機(千円)

3,010,618

124.7

伝導機器(千円)

643,240

132.3

その他(千円)

593,329

107.6

合計(千円)

6,118,293

120.1

 (注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、期末時点の資産、負債、偶発債務の報告金額、及び期中の収益、費用の報告金額に影響を与える見積りや判断及び仮定を使用することが必要となります。当社の経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報を継続的に検証し、見積り及び判断の基礎としております。しかしながら、これらの見積りや判断及び仮定はしばしば不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 当社の経営陣が、見積りや判断及び仮定により当社の財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えている項目は以下の通りであります。

a. 貸倒引当金

 当社の財務諸表において、売掛金・受取手形及び電子記録債権等の営業債権の残高は多額であるため、債権の評価に対する会計上の見積りは重要な要素となっております。

 当社では、債務者からの債権回収状況、債務者の財務内容及び過去の貸倒実績率などを総合的に判断した上で債権の回収可能性を見積り、貸倒引当金を計上しております。

 当社の経営陣は、これらの貸倒引当金の見積りは合理的であると判断しておりますが、債務者の財政状態の悪化等の場合には、追加引当が必要となる可能性があります。

b. 固定資産の減損

 当社では、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の認識及び測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、経営環境等の前提条件の変化により、追加の減損処理又は新たな減損処理が必要となる可能性があります。

c. 有価証券の減損

 当社では、債券、投資信託及び業務上の関連を有する取引先企業の株式を有しております。

 当社は、市場性のある有価証券について、時価が取得価額の一定水準を下回った場合に、回復の可能性を検討し可能性がないと判断した場合には、有価証券の減損を計上しております。

 また、市場性のない有価証券については、純資産の下落幅、投資先の財政状態及び将来の業績見通し等を総合的に判断した上で減損計上の要否を決定しております。なお、将来の市況の悪化又は投資先の業績不振により、減損の追加計上が必要となる可能性があります。

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等

1) 財政状態

 当事業年度末の資産、負債及び純資産の状況は、以下のとおりです。

(資産)

 総資産は、4,704百万円となり前事業年度末に比べ、233百万円増加しました。この主な要因は、流動資産では191百万円の増加であり、現金及び預金が102百万円減少しましたが、一方で、売上高の増加に伴い、電子記録債権が285百万円増加しました。固定資産では41百万円の増加であり、有形固定資産と無形固定資産については、減価償却により12百万円の減少となりました。投資その他の資産においては、投資有価証券は時価の下落がありましたが、新規取得等により57百万円の増加となりました。

(負債)

負債合計は、1,842百万円となり前事業年度末に比べ、240百万円増加しました。この主な要因は、流動負債では259百万円の増加であり、支払手形は43百万円減少しましたが、一方で、電子記録債務が211百万円、未払法人税等が20百万円、未払消費税等が29百万円増加しました。固定負債では18百万円の減少であり、繰延税金負債が25百万円の減少となりました。

 

(純資産)

 純資産は、2,862百万円となり前事業年度末に比べ、7百万円減少しました。主な要因は、利益剰余金は当期純利益の計上52百万円と配当金の支払い11百万円により41百万円の増加となりました。自己株式につきましては、第三者割当による自己株式の処分により3百万円の減少となり、その他有価証券評価差額金が52百万円の減少となりました。

 なお、当事業年度末における自己資本比率は60.8%となり、前事業年度末に比べ3.4%低下しております。

 

2) 経営成績

 当事業年度における売上高は6,118百万円(前年同期比20.1%増)となり、前年同期と比べ1,024百万円の増収となりました。要因としては、新型コロナウイルス感染症の影響による企業活動が制限される中で、自動車や半導体関係を始めとする製造業において輸出増加による生産が上向くなど一部の業種で回復の動きが見られました。期の後半におきましては世界的な半導体不足や部品の供給不足による自動車の減産の影響はありましたものの製造業の生産活動は年間を通して底堅く推移しました。商品分類別の売上高を見ますと、生産設備関係の「機械」334百万円(前年当期比23.1%増)、「産機」3,010百万円(同24.7%増)、消耗品関係の「工具」1,536百万円(同12.2%増)、「伝導機器」643百万円(同32.3%増)、「その他」593百万円(同7.6%増)となり全ての分類で増加となりました。

売上総利益は、利益率が14.0%となり前年と比べ0.2%下降しましたが、855百万円(同17.9%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、賞与支給等の増加により人件費が増加となり、経費合計は838百万円(同7.5%増)となりました。その結果、営業利益は17百万円(前年同期は営業損失54百万円)となりました。

営業外収益は、全ての科目で増加となり営業外収益合計は74百万円(同31.0%増)となりました。営業外費用は、支払手数料が減少となり営業外費用合計は4百万円(同56.6%減)となりました。以上の結果、経常利益は87百万円(前年同期は経常損失7百万円)となりました。

特別利益には、投資有価証券売却益8百万円(同86.1%減)を計上しました。特別損失の発生はありません。

以上の結果、税引前当期純利益96百万円(同2,027.0%増)となり、法人税等合計が43百万円(同68.0%増)で、当期純利益は52百万円(前年同期は当期純損失21百万円)となりました。

b. 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

c. 資本の財源及び資金の流動性について

 当社のキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の運転資金及び設備投資資金は、原則として自己資金を原資としております。今後も適切な資金確保、流動性の維持及び財務体質の健全性を堅持してまいります。

d. 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、昨年12月に2023年3月期から2026年3月期までの4ケ年中期経営計画を策定いたしました。収益性の高い経営基盤の確立を目指しておりますことから、売上総利益率の改善、事業活動の成果を示す営業利益、経常利益を重要な経営指標と位置づけております。

 当事業年度における売上総利益率は14.0%で前事業年度に比べ0.2ポイント下降しました。また、営業利益、経常利益については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 引き続き、これら経営指標の改善ができるよう取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。

 

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