文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「社会にとって存在感のある企業を、社員にとって働き甲斐のある会社を目指す。」ことを経営理念としております。
「存在感のある企業」であり続けるため、誠実と信用を基本とした、高い専門性を擁する「行動の企業集団」を目指します。
また、株主、投資家、取引先、社員そして地域社会等、ステークホルダーとの共存共栄を行動指針として、企業の社会的責任を果たします。
(2)経営戦略等
当社グループの経営戦略として、前項の経営理念に基づき、2020年3月期から2024年3月期にかけての中期経営計画『Create New Value & Next Globalization』を発表し、以下のビジョンの実現に向けて主な経営課題に積極的に取り組んでまいります。
ビジョン
① 世界市場に広く展開し持続的に発展するグローバル企業を目指す
② 社員が働き甲斐を感じ安心して働ける職場環境づくりを推進する
③ 取引先様から信頼を集める化学品商社となる
また、主な重点活動分野として、以下の3項目を位置付け、スピーディーな事業拡大を目指します。
① 電子材料関連
コンデンサー・二次電池向け材料の拡大並びに原料の安定供給に向けた海外戦略の拡充を目指す
② 環境・機能材料関連
大気・水・生活資材等、地球に優しく人々の安心・安全な生活に貢献する材料を追求し、国や地域を限定することなく活動する
③ 衛生・産業材料関連
紙おむつ・生理用品・ペットトイレタリー・その他ヘルスケア商品及び土木工事・災害復旧事業等に使用されるあらゆる資材を地球規模で調達・販売することで社会を支える
中期経営計画のビジョン達成の進捗については、(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題において記載しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
高付加価値商品の拡販による利益の向上(収益性)と経営資源の集中(資本の効率)を経営戦略に掲げており、経営指標として営業利益及び自己資本利益率(ROE)の向上を目指します。当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度の858百万円に比べ20.4%増の1,033百万円となり、ROEにつきましても当連結会計年度は8.9%と前連結会計年度の6.6%に比べて2.3ポイントの増となりました。当連結会計年度においては、前連結会計年度に新型コロナウイルス感染症の影響等により落ち込んでいた環境・機能材料や電子材料が大きく伸長したこと等を主要因として、中期経営計画の2024年3月期目標である連結営業利益900百万円、連結ROE6.0%をそれぞれ達成いたしました。今後は、中長期的な視点での資本政策と利益の持続的な向上を実現し目標の継続を目指すとともに、中期経営計画の新たな展開の検討も進めてまいります。
(4)経営環境
化学品専門商社を取り巻く一般的な経営環境は、人口減少や高齢化による人材不足の恒常化や国内市場の縮小に加えて、新興国市場の拡大により市場の構造が急激に変化するとともに資源価格の高騰も継続しており、これに伴い販売先及び仕入先のグローバル化の加速や、急速な技術革新の波に晒されています。(2)経営戦略等のビジョン①や後述の(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題のアクションプラン①~③は、これらの潮流への対応策と考えております。
また、当社は、東京証券取引所プライム市場上場企業である「堺化学工業株式会社」が当社議決権の約64%を所有する第1位の株主であり、当社の親会社に該当いたします。親子上場については、2019年6月28日に経済産業省より公表された、「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(グループガイドライン)」にて、上場子会社は親会社と一般株主との間に利益相反リスクがあることを踏まえ、独立した意思決定を担保するための実効的ガバナンス体制の構築責任があると明示されました。当社グループにおいては、従来から利益相反リスク低減への対応を続けてまいりましたが、投資家等の親子上場企業に対する視点は批判的であり、一層のガバナンス体制の充実が必要と考えております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは(2)経営戦略等で記載しました、2020年3月期から2024年3月期にかけての中期経営計画のビジョンを達成するために、8点のアクションプランを掲げておりますが、当連結会計年度はその3年目に該当するため、進捗状況についてご報告いたします。
① 貿易比率を伸ばすべく海外における新市場・未開拓分野へ注力し海外事業の更なる拡大と深化を図る
親会社である堺化学工業株式会社以外の電子材料関連の更なる拡販・当社の強みであるアジア地域並びに他地域向けの商材の開発と展開を推進しております。当連結会計年度においては、コロナ禍による活動の制約により遅延しておりました新規地域への開発・開拓活動についての検討を再開し、一定の進展が見られました。
② 5年間で海外拠点を現在の8拠点から更に拡充し、約30名の要員(海外現地法人含む)を増やす
業績拡大及び海外拠点拡充のための先行投資としてグループ全体での増員を計画しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響や新卒及び転職市場における売り手市場の傾向が依然継続していることから、当社の期待する人材の確保が進まなかったこともあり従業員数に大きな変動はありませんでした。
③ 社員の多国籍化や女性・高齢者といった多様な力を競争力の源泉とし企業力向上を図る
当連結会計年度は新卒総合職の半数に女性を採用しており、将来の女性管理職育成のための布石として今後も継続する予定にしております。また、過年度に採用した国内における外国人総合職も順調に戦力化しております。高齢者につきましても定年後の再雇用制度における給与水準を引き上げる等の待遇改善を実施し、有用な人材を確保する体制を整えてまいりました。
④ チャレンジを促し、強みを伸ばすために組織・制度を見直すとともに、人材のグローバルベースでの適材適所を推進する
グローバル化推進のため予定しておりました海外駐在員のローテーションは、新型コロナウイルスの影響により延期せざるを得ない状況が続いておりましたが、当連結会計年度においては、コロナ禍中のため局所的ではありますが、海外拠点責任者の異動等を実施いたしました。
⑤ 魅力・活力に溢れる企業集団を目指して職場環境の改善に取り組み、社員のモチベーション向上を図る
職場環境の改善を目的として衛生委員会を設置するとともに産業医との契約を締結しメンタルヘルス等の相談窓口として活用しております。また、社宅補助制度の給付条件の緩和等の規程改定により福利厚生の充実に努めてまいりました。
⑥ 化学品ビジネスにおいて「堺商事ならでは」の価値を創造し、ステークホルダーのニーズに応えることにより社会に広く貢献する
当連結会計年度は、営業面においては農業関連商材の開拓やグローバルベースでの調達活動についての検討、社内機構面では従業員教育制度の拡充や新人事制度にフィットした新組織提案・与信管理手法の見直し等を企画してまいりました。
⑦ コーポレートガバナンスと内部統制システムの強化を通じた業務品質の向上を目指す
当連結会計年度においては、取締役会の運営改革や同規則の改定、改訂コーポレートガバナンスコードへの対応、コーポレートガバナンス基本方針や内部統制規程の見直し等を進めてまいりました。また、東京証券取引所の市場区分の見直しに対応し、東京証券取引所スタンダード市場への選択申請を行いました。
⑧ 経営環境の変化に耐えうる強い事業基盤を構築し、持続的な成長と企業価値の向上を目指す
①~⑦の推進により、中期経営計画のビジョンを達成することによって実現したいと考えております。
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