文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大による経済環境の悪化及びそれに伴う建設需要への影響については注視していきますが、現時点では下記の経営方針・事業環境認識に変更はありません。
当社グループは、前中期経営計画期間(2018~2020年度)を『ジェコスグループ10年VISION』の第一段階と位置づけ、既存事業の収益力強化、事業拡大分野の体制整備、生産性と働きやすさ向上のための投資といった、基盤確立の施策を推進してまいりました。
これに続く第二段階として、2021年4月に策定いたしました中期経営計画では、重仮設事業の競争力をさらに高めて業界トップシェアのポジションを盤石化するとともに、周辺事業の規模拡大を加速させ、事業規模・利益水準ともに拡大を目指します。
堅調な需要は想定されるものの、温暖化・自然災害・感染症等、その影響が想定し難い環境変化も予想される中、さまざまな変動要因に柔軟かつスピード感をもって対応し、『10年VISION』で掲げる「安心、安全な社会の建設に貢献し、働きがいの向上を追求する企業」の実現に向け、企業価値向上を進めてまいります。
中期経営計画対象期間(2021~2024年度)における当社グループを取り巻く事業環境として、建設需要は長期的には、再開発案件、老朽化インフラの更新、災害対策等により、堅調に推移するものと想定されます。また、首都圏以外でもリニア、大阪万博、北海道新幹線といったプロジェクトに関連する案件が控えています。
しかし、コロナ禍の収束時期がいまだ見通せない中、社会、経済構造が変化し需要に影響を及ぼすリスクも考慮に入れております。
[主な取り組み]
① 重仮設事業のコスト競争力向上とシェア拡大
主力事業である重仮設の賃貸、工事については、直接的なコストの削減のみならず、管理業務関連を中心とした生産性アップ、技術レベル向上による顧客指向提案力の強化等、総合的なコスト競争力を磨き、売上規模・利益水準の拡大に注力いたします。
② 加工事業の規模拡大
もう一つの柱である加工事業については、専用工場を有するという特色を活かしてシナジーを最大限に発揮するとともに、全国各地域での営業強化、対応可能製品の拡充を進め、事業規模の拡大を図ります。
③ 地下工事一式受注、仮設橋梁事業、インフラメンテナンス事業の成長加速
地下工事一式受注は、前中期経営計画期間に水処理、地盤改良、本杭工事等で実績を積み重ねてまいりましたが、さらに技術レベルの向上を進め、「地下工事のプラットフォーマー」としてのポジション確立を目指します。
仮設橋梁事業、インフラメンテナンス事業では、受注活動の強化、競争力のある新商品開発を進め、特色ある事業として市場で存在感を持つ規模まで育成してまいります。
これらの事業については、JFEグループとの連携強化、M&Aを含めたパートナー企業選定を早急に進め、成長を加速させます。
④ 建機事業の収益力向上
堅調な需要が見込まれる土木分野をはじめ、新たな需要を掘り起こし、これに合わせた体制強化、新商品投入を進めます。併せて、自社及び提携等による事業エリア拡大にも、引き続き取り組みます。さらに、建機関連システムのリフレッシュ等により管理業務の生産性を改善し、収益力を向上させます。
⑤ 海外展開における事業モデル再構築
ベトナム事業については、進出当初に想定していたODA案件対応だけではなく、現地パートナーとの提携、ジェコスの技術力を生かした事業の展開等により、収益を上げられる構造に転換することを目指します。
⑥ ICT推進、人材育成
上記の施策を遂行するにあたり、昨年来のコロナ対策として従来以上に進めてきたペーパーレス・押印廃止等の執務環境整備をICTによりさらに推進します。あわせて社内のチャレンジ・マインドを高め、意思決定をスピードアップするために、キャリアや年齢、性別を問わず、すべての社員が生き生きと活躍できるよう、各階層でレベルアップした人材育成に向けた取り組みを進めます。
なお、主要財務指標の、最終年度(2024年度)における数値目標は以下の通りです。
(2) 次期の経営環境と課題
2022年度の事業環境は、当面は足下の厳しい状況が続くものの、下期にかけて需要が回復基調に転じるものと想定しています。一方、資源価格、諸物価の上昇傾向は当面続くものと見ております。
そのような中、重仮設事業においては、鋼材価格高騰下での新品購入による中期的な影響を緩和するために中古品販売を抑制し減収減益となる見込みですが、総合的な競争力の強化と価格適正化、工場への自動化設備導入拡大等による生産性アップを進め、採算性の改善を図り、収益影響をミニマイズします。また、加工分野については東西2グループ化による全国展開強化、地下工事一式分野では2022年4月1日に子会社化した株式会社オトワコーエイとのシナジー効果発揮により規模拡大を進めます。
一方、建設機械事業では、子会社統合による資産購入の集約、既存資産の再配置といった効果を早期に実現すること等により、増収増益を計画しています。
以上により、次期の連結業績見通しにつきましては、売上高115,000百万円、営業利益4,950百万円、経常利益5,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,550百万円を見込んでおります。なお、セグメント別の業績見通しは下表の通りです。
※ セグメント売上高の調整額はセグメント間の内部売上高又は振替高の消去額であり、セグメント利益の調整額は連結調整であります。
(3) 気候変動への取り組み
気候変動への取り組みは極めて重要な課題と認識しております。当社の重仮設事業では賃貸用鋼材の90%をリユースし、また最終的にはスクラップとしてリサイクルしており、事業自体が循環型社会構築への貢献、温室効果ガス削減に大きな役割を果たしていると考えています。また今後、シナリオ分析及び取り組み内容の検討、温室効果ガス排出量の測定と目標設定について、専門部会を設けて着手する予定としており、その進捗を踏まえて、今後開示の充実も図ってまいります。
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