(1)経営成績等の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、複数の都道府県で緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の実施が継続されるなど、経済活動は著しく冷え込みました。秋以降の感染者数減少を受け、2021年9月末に緊急事態宣言が全面的に解除されたことで景気が回復に転じる兆しもありましたが、一方ではオミクロン株の出現による感染第6波により、感染再拡大への懸念や、原油価格の高騰が個人消費に与える影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが主に属する食品小売業界におきましては、依然として消費者の節約志向、内食・まとめ買い志向が根強い一方、世帯収入の減少や消費者物価の上昇により、厳しい家計状況と消費減退が想定され、前年と同様の収益確保が難しい状況となっております。
このような環境の中、当社グループにおきましては、「毎日の生活に必要な商品を新鮮で美味しく、安く提供する事により、食生活を豊かにし地域社会に貢献する」という経営理念のもと、お客様と従業員の安全を最優先に、引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止策を講じながら、地域のお客様の生活を支える商品の供給、提供に努めてまいりました。そのうえで、「地域のお客様に繰り返しご来店していただける店づくり」に向け、『わくわくする、よい店つくろう』を本年度のスローガンに掲げ、全社一丸となって各施策の実行及び検証を行ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ15億29百万円減少し、493億73百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ16億9百万円減少し、205億61百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ80百万円増加し、288億12百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は1,106億73百万円(前年同期比2.0%減)、営業利益は11億円(同55.3%減)、経常利益は11億61百万円(同51.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億68百万円(同58.1%減)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
スーパーマーケット事業におきましては、営業面におきまして、お客様の来店動機になるような魅力的な店づくりのため、既存店の販売力強化に注力いたしました。バイヤーこだわりの商品・企画を、テーマに沿った提案・売場づくりで、全店で徹底し販売することで、売上と利益の最大化に取り組みました。具体的には、「今週の一品」と称して、週単位・単品での売込企画を実施し、また、旬・トレンドに対応した部門横断的な企画設定により、購買意欲をかきたてる売場づくりに取り組みました。あわせて、売場のゾーン化(これまでの部門ごとの商品展開から、お客様のニーズ・食シーンに合わせた部門横断的な集合陳列を行う事)を推進し、よりお客様が買いやすく、快適にお買物をいただけるよう努めました。集客・価格戦略といたしましては、集客対策として、平日強化のためのポイント販促を継続実施、また、価格対策として、単品ディスカウントに偏らないバランスのとれた価格設定に努めました。2021年3月より加工食品や日用品を中心に商品を厳選した「スペシャルプライス」・「パワープライス」・「ロングランプライス」といった期間毎に異なるお買い得商品を販売し、買上点数増を図りました。さらに、当社グループ独自の電子マネー機能付きポイントカード「にこかカード」の利用拡大のため、チャージ機利用による特典付与等の販促活動を継続的に実施いたしました。
また、店舗へのご来店が困難なお客様の利便性向上を目的とし、販売パートナー(個人事業主)が商品を車に積み込み、依頼されたお客様のご自宅まで伺い、お買物をいただくサービスである、移動スーパー「とくし丸」事業も引き続きご好評を得ており、株式会社ヤマザワが山形県内におきまして7台、よねや商事株式会社が秋田県内におきまして9台稼働しております。引き続きエリアを拡大して運行を随時増やしていく予定です。
設備投資といたしましては、株式会社ヤマザワにおきまして、既存店舗の「高砂店」(宮城県仙台市)を閉店(2020年7月)し、2021年5月に「中野栄店」(宮城県仙台市)を、名称を変更して同敷地へ新設いたしました。売場面積は300坪と、旧店舗よりも売場面積を縮小いたしましたが、品揃えの拡充、商圏ニーズに合った商品展開およびゾーン化の推進により、地域のお客様からより一層ご支持をいただける店づくりを行いました。
既存店の活性化といたしましては、株式会社ヤマザワにおきまして2021年6月に「寒河江西店」(山形県寒河江市)、同年7月に「相生町店」(山形県米沢市)、同年9月に「花沢町店」(山形県米沢市)、同年11月に「富谷成田店」(宮城県富谷市)の改装を実施いたしました。また、よねや商事株式会社におきまして2021年11月に「ハッピーモール店」(秋田県横手市)の改装を実施いたしました。
以上によりまして、株式会社ヤマザワの店舗が山形県内41店舗、宮城県内19店舗、よねや商事株式会社の店舗が秋田県内9店舗となり、スーパーマーケット事業の合計店舗数は69店舗(改装休業中の2店舗を除く稼働店舗数)となりました。
この結果、スーパーマーケット事業の売上高は975億円(同1.8%減)となりました。
ドラッグストア事業におきましては、地域のお客様の「生活の質」の向上に貢献し、快適な生活をサポートするべく、販促活動の強化に取り組むとともに、全社的なコスト削減活動であるトータルコストリダクションを推進し、全社一丸となって経費削減活動に取り組みました。
設備投資といたしましては、2021年6月に「調剤薬局多賀城店」(宮城県多賀城市)、2022年2月に「調剤薬局杜のまち店」(宮城県黒川郡大和町)を開店いたしました。また、既存店の活性化といたしましては、同年6月の「ドラッグ寒河江西店」(山形県寒河江市)を含め7店舗で改装・売場手直しを実施いたしました。なお、2021年11月に「ドラッグ尾花沢店」(山形県尾花沢市)、12月に「ドラッグ中山店」(山形県東村山郡中山町)を閉店いたしております。
この結果、ドラッグストア事業の売上高は131億66百万円(同3.8%減)となりました。
その他事業におきましては、惣菜及び日配商品を開発製造して当社グループへ納品しており、スーパーマーケット事業との連携を密にし、安全・安心で美味しいオリジナル商品の開発を行ってまいりました。
この結果、その他事業の売上高は6百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15億59百万円減少し、当連結会計年度末は57億21百万円(前連結会計年度比21.4%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は22億53百万円となり、前連結会計年度に比べ34億34百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が7億78百万円となり、前連結会計年度と比べて10億12百万円減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は31億13百万円となり、前連結会計年度に比べ4億86百万円減少しました。これは主に、新店舗・設備改修に伴い有形固定資産の取得による支出が28億56百万円となり、前連結会計年度と比べて14億21百万円減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は6億99百万円となり、前連結会計年度に比べ8億51百万円減少しました。これは主に、短期借入金の純増減額が4億円の減少となったこと(前連結会計年度は11億50百万円の減少)によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、スーパーマーケット事業及びドラッグストア事業を主な事業としており、当社グループにおける食品の製造は当社グループへの商品の納入となっておりますので、生産及び受注については記載しておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比増減(%) |
スーパーマーケット事業 |
97,500 |
△1.8 |
ドラッグストア事業 |
13,166 |
△3.9 |
報告セグメント計 |
110,666 |
△2.1 |
その他事業 |
6 |
12.1 |
合計 |
110,673 |
△2.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の経営者による財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、記載事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。従いまして、将来に関する事項には不確実性を内在しておりますので、将来生じる実際の結果とは異なる可能性もあります。
① 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は123億93百万円(前連結会計年度末140億8百万円)となり、前連結会計年度末と比べ16億15百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が15億69百万円減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は369億80百万円(同368億94百万円)となり、前連結会計年度末と比べ86百万円増加しました。これは主に、繰延税金資産が1億19百万円増加したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は163億27百万円(同182億65百万円)となり、前連結会計年度末と比べ19億37百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が7億59百万円、短期借入金が4億円減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は42億33百万円(同39億5百万円)となり、前連結会計年度末と比べ3億28百万円増加しました。これは主に、長期借入金が3億43百万円増加したことによるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は288億12百万円(同287億32百万円)となり、前連結会計年度末と比べ80百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものです。自己資本比率は58.3%となりました。
② 経営成績の分析
(営業収益及び売上総利益)
売上高は1,106億73百万円となりました。
セグメント別の売上高の詳細については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③ 生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
また、売上総利益は316億79百万円、売上総利益率は28.6%と前連結会計年度と比較し0.1ポイント減となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は305億79百万円となりました。
販売費及び一般管理費を要約すると下記のとおりです。
区分 |
金額(百万円) |
前年同期比増減(%) |
販売費 |
3,262 |
△2.5 |
人件費 |
14,293 |
1.1 |
設備費 |
11,097 |
4.1 |
管理費 |
1,926 |
2.4 |
合計 |
30,579 |
1.8 |
販売費は32億62百万円となりました。これは、ポイント費用及び広告宣伝費等によるものです。
人件費は142億93百万円となりました。当社グループにおきましては、従業員数が1,289名、1日8時間換算による臨時従業員数が3,401名となっております。
設備費は110億97百万円となりました。これは光熱費、地代家賃、減価償却費、店舗管理費等によるものです。
(営業利益及び経常利益)
営業利益は11億円、経常利益は11億61百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は3億68百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の見積りの判断が当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損)
当社グループは、主としてスーパーマーケット事業を営んでおり、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として店舗を基本単位とし、また、賃貸不動産及び遊休資産及び売却予定資産については物件単位毎にグルーピングしており、本社資産等については共用資産としております。収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。当資産グループの回収可能価額は正味売却価額により測定しており、土地及び建物については、原則として不動産鑑定評価額から処分費用見込額を控除し評価しております。今後、時価等の大幅な下落や店舗を取り巻く競争環境の激化等、想定を上回る変化が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産の計上にあたっては、回収可能性を考慮して、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額しております。繰延税金資産の回収可能性については、当社グループの業績の推移などから将来の課税所得を合理的に見積り判断しておりますが、今後、経営環境に著しい変化が生じるなどにより将来の課税所得の予測に影響を与える変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
退職給付費用及び債務は、割引率、死亡率、退職率等の数理計算上の前提条件に基づき算出しております。今後、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び債務が変動する可能性があります。
(資産除去債務の計上)
当社グループは、主に店舗用に賃借した土地建物において、不動産賃借契約に基づき返還時に必要とされる原状回復義務等に備えるため、資産除去債務を計上しております。計上にあたっては、過去の実績を基に算定した原状回復費用の見込み額を現在価値に割り引いて算出しているため、今後、過去の実績と実際の原状回復費用が異なる場合や見積りに影響する新たな事実等が発生した場合には、資産除去債務の見積り額が変動する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは運転資金及び店舗に係る設備投資によるものであります。その資金源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び借入金による資金調達によっております。
当連結会計年度では、新規出店を中心に35億27百万円の投資を行なっており、これらは銀行借入金及び自己資金で賄っております。
また、翌連結会計年度の資金需要については、引き続き店舗の新設及び活性化による設備投資を45億円予定しており、これらに必要な資金は自己資金及び借入金で賄う予定です。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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