当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の制限、
停滞から一時的に持ち直しの動きが見られたものの、新たな変異株の出現により感染が再拡大する
一方で、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクが顕在化したほか、急激な円安が進行するなど、先
行き不透明な状況が続きました。
水産・食品業界におきましても、欧米を中心とした需要回復による水産物の引き合いの高まり
や、中国、東南アジア等でのコロナ禍の影響による供給減少もあり、原材料価格や輸送費が高騰す
るなど、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況のもとで、中期経営計画『Build Up Platform 2024』(2021年度~2023年度)の
初年度として、『経営基盤の強化を図りながら、「事業課題への継続的取組み」と「持続的成長へ
の挑戦」を柱とする戦略を進め、社会と極洋それぞれが共有するべき価値を創造していくことで、
新たな成長への礎となる「高収益構造への転換」を目指す。』という基本方針のもと、ESG、SDGs
といった持続可能な社会の実現に向けた責任を果たしながら、目標達成に向け取り組んでまいりま
した。
当連結会計年度の売上高は、水産商事、鰹・鮪、物流サービスの各セグメントで前年実績を上回りました。その結果、2,535億75百万円と前期比43億78百万円増加(前期比1.8%増)しました。
営業利益は、水産商事及び鰹・鮪セグメントは前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルス感染症拡大により業務用冷凍食品の需要が減少し、影響を受けた食品セグメント、在庫数量が減少した物流サービスセグメントは前年実績を下回りました。その結果、63億92百万円と前期比17億34百万円増加(前期比37.2%増)しました。
経常利益は69億4百万円と前期比20億25百万円増加(前期比41.5%増)し、親会社株主に帰属する当期純利益は、46億34百万円と前期比7億96百万円増加(前期比20.7%増)しました
また、当社グループが重視しております経営指標の当期実績は海外売上高が183億円(前期比19.4%減)、有利子負債資本倍率が1.5倍(前期比0.1ポイント悪化)、営業利益率が2.5%(前期比0.6ポイント上昇)、経常利益率が2.7%(前期比0.7ポイント上昇)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、当社グループの管理区分を見直したことに伴い、従来の「冷凍食品」と「常温食品」を統合し、「食品」セグメントに変更しております。このため、前期との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。
水産商事セグメント
国内販売では、長引くコロナ禍にあって、主要魚種のサケやエビについて、量販店を中心に加工品の販売が順調に推移したことに加え、年末商戦では高額商品のカニ、魚卵の販売が伸長しました。また、北洋魚も在庫管理の徹底により、利益が改善しました。さらに、欧米各国ではウィズコロナ政策の浸透により水産物の需要が回復したことから、先高観が強まり、日本国内でも加工用原料の販売が伸長しました。以上のことから、計画を大幅に上回る利益を確保しました。海外事業については、中国向けのホタテの輸出が伸長したほか、消費が回復した北米の現地販売が持ち直しました。この結果、売上・利益とも前期を上回りました。
水産商事セグメントの売上高は1,207億96百万円(前期比1.6%増)、営業利益は51億50百万円(前期比67.9%増)となりました。
業務用冷凍食品は、寿司種をはじめとする生食商材は一定の販売を確保しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、外食・給食ルートにおいて主力の水産フライ製品を中心に販売が減少しました。
市販用冷凍食品は、煮魚・焼魚の東南アジア工場における生産量が一時的に減少したものの、ドラッグストア向けに販売が伸長しました。缶詰は健康志向を捉えた新商品を投入し、主力の青物缶詰、ツナ缶の拡販に努めましたが、巣ごもり需要が一服し、主力量販店での売上が減少しました。全体として、原材料高騰や海上運賃の上昇により収益が圧迫されました。この結果、売上・利益とも前期を下回りました。
食品セグメントの売上高は968億83百万円(前期比1.9%減)、営業利益は10億46百万円(前期比37.9%減)となりました。
輸入冷凍クロマグロの取扱いが増加し、量販店、回転寿司ルートを中心に加工品も好調に推移しました。国産クロマグロの養殖事業は、品質の向上及び出荷体制の安定化により、利益改善に貢献しました。また、海外まき網事業は、水揚げ数量は減少したものの、カツオの魚価回復により、収支が改善しました。この結果、売上・利益とも前期を上回りました。
鰹・鮪セグメントの売上高は342億95百万円(前期比14.6%増)、営業利益は9億88百万円(前期比95.2%増)となりました。
物流サービスセグメント
配送事業は、海上輸送の混乱による国内幹線輸送の増加に対して取組みを強化し、売上を伸ばしました。倉庫事業は、水産物の堅調な需要に支えられ、出庫数量は増加したものの、入庫数量が前年並みに止まり、在庫数量の減少により利益面で影響を受けました。この結果、売上は前期を上回りましたが、利益は前期を下回りました。
物流サービスセグメントの売上高は11億76百万円(前期比8.9%増)、営業利益は2億18百万円(前期比41.0%減)となりました。
生産・仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
総資産は、前連結会計年度末に比べ141億29百万円増加し、1,304億60百万円となりました。流動
資産は、棚卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ128億77百万円増加し、995
億27百万円となりました。固定資産は、有形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度
末に比べ12億51百万円増加し、309億32百万円となりました。
負債合計は、短期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ119億29百万円増
加し、882億85百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度に比べ21億99百万円増加し、421億74百万円となりました。
この結果、自己資本比率は32.7%(前連結会計年度末比2.0ポイント減)となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加などにより、11
億28百万円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより、52億25百万円の
支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより、57億43百万円の収入となりま
した。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期首残高より5億57百万円減少し、65億39百万円と
なりました。
当社グループは、事業活動に適切な流動性の維持と十分な資金を確保すると共に、グループ内でキャッシュマネージメントシステムを活用するなど運転資金の効率的な管理により、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。また、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を資金の主な源泉と考え、さらに金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行などによる資金調達を必要に応じて行い、十分な流動性の確保と財務体質の向上を図っております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)及び(追加情報)に記載しております。
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