(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2021年6月1日~2022年5月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により経済活動・個人消費ともに低迷、さらには、中国のゼロコロナ政策に伴う上海のロックダウンによるサプライチェーンの停滞が、企業活動にも大きなマイナスの影響をもたらしました。
また、ロシアのウクライナ侵攻により、原油をはじめとする各種資源や穀物の価格高騰、流通の滞りが、物価の上昇や食料の供給不足へとつながり、日本を含む世界に暗い影を落としております。加えて、円安による海外からの調達価格の値上がりが、コストアップに拍車をかける大変厳しい状況となりました。
国内農業の状況は、少子高齢化による食料消費の減少や農家の後継者不足等の従前からの課題に加え、コロナ禍により外食産業の農産物需要大幅減や、原料の多くを輸入に頼る飼料や肥料が、輸入物価高騰から大幅に価格が上昇するなど、農家経営に大きな影響を与える事象が多数みられる状況となりました。
このような状況のなか当社グループの業績は、施設材事業の販売が低迷したことから、売上高606億91百万円で前年同期比87百万円(0.1%)の減収となりました。利益面では、種苗事業の業績が堅調に推移したことにより、営業利益18億35百万円で前年同期比1億74百万円(10.5%)増、経常利益19億9百万円で前年同期比1億43百万円(8.1%)増、親会社株主に帰属する当期純利益13億2百万円で前年同期比1億33百万円(9.3%)減となりました。なお、営業利益や経常利益が増益にもかかわらず、親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったのは、前期は区画整理事業に伴う移転補償金を特別利益に計上したことによるものであります。
また、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用したことにより、売上高は1億15百万円増加、売上原価は86百万円増加し、営業利益・経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ28百万円増加しております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
種苗事業
種苗事業においては、野菜種子関係でエダマメの国内販売やカボチャの輸出が増加したものの、タマネギの輸出が減少したことから、野菜種子トータルでは売上高は横ばいとなりました。また、飼料作物種子の価格高騰に伴い販売額が増加したことや、ウイルスフリーサツマ苗の販売が好調に推移し、売上高84億98百万円で前年同期比2.0%の増収となりました。利益面でも、品質向上のため前期まで積極的に進めた種子の選抜廃棄が一巡したことや、自社品の増収に伴う採算性の向上、飼料作物種子の増収に伴う利益増などにより、セグメント利益12億81百万円で前年同期比45.5%増となりました。
花き事業
花き事業においては、花苗の販売が大きく伸長したほか、園芸雑貨や肥料などが好調に推移したものの、夏場の長雨による散布機会の喪失や、大口得意先が一部商品の仕入先を他社に変更したことなどにより園芸農薬の販売が減少し、売上高93億29百万円で前年同期比1.5%減収となり、利益面でも、セグメント利益1億60百万円で前年同期比2.5%減となりました。
農材事業
農材事業においては、流通在庫過多による水稲農薬の販売減があったものの、茎葉除草剤が省力化を求める農家及び一般家庭に普及拡大したことで堅調に推移いたしました。また、原料価格の高騰により大幅値上げとなった被覆肥料は、値上げ前の駆込み需要が発生したことから販売増となり、売上高282億98百万円で前年同期比1.2%の増収となりました。利益面では、需要が伸びないなか競争が激化したことから、セグメント利益9億51百万円で前年同期比7.2%減となりました。
施設材事業
施設材事業においては、資源高による農業用フィルムや各種農業資材の値上げにより農家の設備投資や更新需要が減退いたしました。また、過年度に発生した大型台風襲来で被害を受けた農業用施設の復旧特需の反動から販売が低迷し、売上高145億64百万円で前年同期比3.0%減収となりました。利益面でも、セグメント利益4億21百万円で前年同期比1.1%減となりました。
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における「資産の部」の残高は489億32百万円となり、前連結会計年度末と比較して14億80百万円増加いたしました。これは主に今期から適用された収益認識会計基準の影響から未収入金が増加したことや、種子の安定供給等を考慮して在庫を厚く保有し商品が増加したことによるものであります。
また、「負債の部」の残高は262億86百万円となり、前連結会計年度末と比較して5億31百万円増加いたしました。これは主に収益認識会計基準の影響からその他流動負債に含まれる返金負債が増加したことによるものであります。
「純資産の部」の残高は、226億45百万円となり、前連結会計年度末と比較して9億48百万円増加いたしました。これは主に利益計上に伴うものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して7億9百万円減少し、47億76百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、5億70百万円(前年同期比75.1%減)となりました。
これは主に、棚卸資産が9億85百万円増加したことや、法人税等を4億55百万円支払うなどで資金を使用したものの、税金等調整前当期純利益18億47百万円を計上したことなどにより資金を獲得したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、7億52百万円(前年同期比10.3%減)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得に4億16百万円、無形固定資産の取得に3億5百万円を支出したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、5億31百万円(前年同期比38.1%増)となりました。
これは主に、配当金の支払や自己株式の取得によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
種苗事業 |
5,448,390 |
18.2 |
花き事業 |
8,009,605 |
△2.0 |
農材事業 |
25,667,760 |
2.8 |
施設材事業 |
13,067,785 |
△1.5 |
合計 |
52,193,540 |
2.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
種苗事業 |
8,498,208 |
2.0 |
花き事業 |
9,329,594 |
△1.5 |
農材事業 |
28,298,993 |
1.2 |
施設材事業 |
14,564,970 |
△3.0 |
合計 |
60,691,766 |
△0.1 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績の分析
⒜ 売上高
売上高につきましては、花き事業と施設材事業の販売が低迷し、売上高606億91百万円で前年同期比87百万円(0.1%)の減収となりました。
減収の要因となった花き事業及び施設材事業の状況は、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (経営成績の状況)」に記載のとおりであります。
⒝ 営業利益
売上総利益は94億87百万円で前年同期比61百万円(0.7%)増となりました。これは主に種苗事業で、品質向上のため前期まで積極的に進めた種子の選抜廃棄が一巡したことや、自社品の増収に伴う採算性の向上、飼料作物種子の増収に伴う利益増などによるものであります。
販売費及び一般管理費は76億52百万円で前年同期比1億12百万円(1.5%)減となりました。これは、物流費や各種諸経費を圧縮したことなどによるものであります。売上総利益から販売費及び一般管理費を差引いた営業利益は18億35百万円で前年同期比1億74百万円(10.5%)増となりました。
⒞ 経常利益
営業外収益は1億54百万円で前年同期比4百万円(3.0%)増となりました。前年同期から大きな変動はありません。
営業外費用は80百万円で前年同期比35百万円(77.4%)増となりました。これは主に円安の影響から為替差損が増加したことによるものであります。
この結果、経常利益は19億9百万円で前年同期比1億43百万円(8.1%)増となりました。
⒟ 親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、651千円で前年同期比2億5百万円(99.7%)減となりました。前期は区画整理事業に伴う移転補償金を計上いたしましたが、今期はそのようなスポット的な利益の発生はありませんでした。
特別損失は、61百万円で前年同期比36百万円(37.3%)減となりました。前期は前述の区画整理の対象となった土地が遊休化し減損損失を計上いたしましたが、今期は大きな減損損失の計上はなかったことによります。
この結果親会社株主に帰属する当期純利益は、13億2百万円で前年同期比1億33百万円(9.3%)減となりました。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
ハ.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (財政状態の状況)」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。
|
2018年5月期 |
2019年5月期 |
2020年5月期 |
2021年5月期 |
2022年5月期 |
自己資本比率(%) |
41.6 |
43.1 |
43.6 |
45.7 |
46.3 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
42.1 |
34.8 |
35.7 |
36.3 |
43.0 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.1 |
0.1 |
0.2 |
0.0 |
0.2 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
117.7 |
71.3 |
46.5 |
193.3 |
48.2 |
(注)1.各指標は、下記の基準で算出しております。
(1)自己資本比率=自己資本÷総資産
(2)時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産
(3)キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債÷キャッシュ・フロー
(4)インタレスト・カバレッジ・レシオ=キャッシュ・フロー÷利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
6.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、営業債権及び在庫のための費用及び販売費及び一般管理費であります。
また、設備資金需要といたしましては、圃場の取得や本社及び支店の事務所及び倉庫の改修や建替え等があります。
これらの資金需要に対するための資金調達は、営業活動によるキャッシュ・フローによる資金獲得及び金融機関からの短期借入金によっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。また、この連結財務諸表における見積りにつきましては、経営者により一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して検証し必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りは不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。
なお、当社グループの会計上の重要な見積りに、今般の新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響は現時点では認識しておらず、その内容は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
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