文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、農業関連の総合企業として、また、グリーン事業のトータルプランナーとして農業及び園芸の発展に努めてまいりました。
当社グループは次のものを「信条」に掲げ、社業を推進しております。
「大同に生きる経営」
1.社会に必要とされ、社会に貢献する価値ある会社に育てよう。
2.働くものにとって、その人生を託するに値する生きがいのある職場をつくろう。
3.われわれのあげた成果によって会社の存在意義と価値を高めよう。
厚い蓄積によって安定した会社
適正な配分によって信頼される会社
合理的投資によって成長する会社
その意義は、企業の社会的責任を全うし、社会に必要とされ、貢献できる会社のみが、安定した企業として成長できるという堅い信念を表わしています。
これを実現するため、「ハイテクと国際化」を経営の基本方針として、新商品・新技術の研究開発と、種子の生産・販売両面での積極的な全国展開、海外展開に取り組んでおります。
(2) 経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社を取り巻く環境
当社は、農業分野を中心に、家庭園芸の分野などでも事業を展開しております。日本国内においては、出生率の低下や長寿社会の到来に人口減少が相俟って食料の消費量は減少傾向にあり、また、食料自給率は40%を割込む低水準で、食料供給を海外に依存する傾向に大きな改善はみられません。このような状況は、国内農業向けの展開を主力としている当社にとって、厳しい事業環境であると言えます。
一方海外に目を向けてみますと、発展途上国などの生活水準の向上により、高品質な食品に対する嗜好が高まったことや、人口の増加に伴い食料の絶対量の確保が必要になるとともに、穀物を直接食べることから、穀物を家畜に飼料として与えその家畜を食料とすることで、従前よりも多くの農作物を必要とする状況が、食料不足を助長する要因となっております。加えて、近年の天候不順や温暖化が農作物の作柄にマイナス影響を及ぼし、食料の安定供給や増産の重要性がますます高まる情勢であります。
また、生活に潤いを与える園芸の分野では、消費者のニーズの多様化や巣ごもり需要の一巡などの対応が難しい事態が発生し、SDGsにマッチした事業活動の重要性も高まっております。
当社は「ハイテクと国際化」「農業関連の総合企業」「グリーン事業のトータルプランナー」との経営基本方針を掲げ、これらの課題に対処してまいります。
国内農業への対応
人口減少や高齢化により食料需要は減少する傾向にありますが、食料安全保障の観点からも、国内での食料増産が望まれます。また、消費者の安全安心で美味しい食品へのニーズは高いものがあります。これらに対しハイテクの分野では、野菜種苗において、収量性や耐病虫性・良食味性を備えた品種を開発供給し、食料の安定生産や消費者のニーズに応えております。
また、多くを輸入に頼る飼料についても、良質な飼料作物種子を開発販売し、自給率向上に貢献してまいります。
国民全体の高齢化以上に農業従事者の高齢化問題は深刻で、作業負荷の軽減は重要課題となっています。これらを実現するAIや環境制御技術を活用した養液栽培プラントの開発に取組むとともに、高品質な農作物の生産に加え農作業の効率化・省力化に有効な農業資材や農薬、被覆肥料を、高いコスト競争力と「農業関連の総合企業」としての強みを生かして供給してまいります。
また、園芸の分野では、「グリーン事業のトータルプランナー」として、一般家庭向けにニーズをとらえた苗や園芸資材の供給、営利栽培農家向けでは、花の色や生産性等に優れた品種開発を目指しております。
海外農業への対応
世界的には人口増加による食料需要の増大に加え、温暖化などの気象変動による栽培環境の劣化が食料不足を助長する状況となっております。これらへの対応については、野菜種子関係で、収量性や耐病虫性を備えた品種を供給することで、栽培過程での病害や虫害による被害を軽減し、また、輸送性の高い品種を開発してロスを減少させることなどで生産量の増加を実現してまいります。品質の良い食品を求める傾向の高まりに対しても、良食味性を備えた種苗を開発することで対処いたします。
温暖化などの気象変動は、食料生産の面に加え種子生産の難易度を上昇させるなどのマイナス影響を及ぼしております。世界的な視野で種子の安定生産を目指していくことも当社にとって重要なテーマの一つとなっています。
また、飼料作物種子や花き種苗の分野でも、海外展開を拡充すべく品種開発・普及に努めております。
当社は持続可能な農業経営に貢献しており、事業活動の多くはSDGsにマッチしたものとなっています。また、野菜生産用の暖房に廃油を利用する設備を供給するなど、再生可能エネルギーの活用にも取り組んでおります。今後も持続可能な未来を築くための行動を深化させることを当社の課題としてまいります。
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