研究開発に関しましては、常に高付加価値で新規性のあるオリジナル商品の開発をグローバルな視点で取り組んでおります。
種苗事業では「野菜類及び飼料作物類」と「カンショ(サツマイモ)などの栄養繁殖性野菜類」の品種開発、花き事業では「ユーストマ・カーネーションなどの花き類」と「ホームユース向け花き類・野菜類」の品種開発、また施設材事業では「自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場」の開発を行っております。これらの研究部門が連携をとりながら、持続可能な社会を支える農業システムを構築すべく研究開発活動を行っております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、
セグメント別研究開発の状況は次のとおりであります。
(1)種苗事業
くにさだ育種農場では、野菜類及び飼料作物類の品種開発を行っております。当連結会計年度につきましては、一般社団法人日本種苗協会主催の第72回と第73回全日本野菜品種審査会におきましてエダマメ、キャベツ、ブロッコリー、コマツナで8点が入賞いたしました。また第63回東京都野菜・花き種苗改善審査会におきましてはコカブ、コマツナで2点が入賞いたしました。特に第72回全日本野菜品種審査会のエダマメ審査におきましては、“陽恵”が1位となり農林水産省輸出・国際局長賞を受賞いたしました。“陽恵”は産地においても高い評価を頂いており栽培が拡大しております。
当年度につきましては、野菜類9品種・飼料作物類5品種を新発売といたしました。形状が安定し肥大性に優れ、また収穫適期の短いレタスの中では収穫適期が長く生産者に好評な玉レタス“チアフル”、密植しても玉揃いが良く収穫作業が容易なキャベツ“優彩”、小型サイズで形状がユニークな尖り型キャベツ“ユニコーン”、好評いただいているミニトマト“イエローミミ”の食味の良さはそのままで耐病性を強化した“TYイエローミミ”等を発表いたしました。それぞれの特性を生かし順調に産地への普及が始まっております。飼料作物類では、多収で病気に強く北海道に向く飼料用トウモロコシ“KD082ゲルセミ”、硝酸態窒素の含有量が少ない早生F1イタリアンライグラス“ライジン®2”、病気に強い芝草“スラッガー3GL”、倒伏に強い超極早生えん麦“はやわざ”、ダイズシストセンチュウ密度を低減させる効果のあるクリムソンクローバー“シストル”を発表いたしました。引き続き新規性のある品種の開発を国内外に向け積極的に行ってまいります。
波志江研究所ではバイオテクノロジー技術を利用して主に栄養繁殖性作物の品種開発を行っております。当年度につきましては、カンショ(サツマイモ)におきまして“栗かぐや®”を新品種として発表いたしました。この品種は果肉が黄金色で甘く、ホクホク系の食感であるため惣菜などの加工品にも適する形質を持っています。現在産地展開を進めており、栽培面積が増加して消費者の評価が高いしっとり系の“シルクスイート®”とともに今後の展開が期待されます。今後は、耐病性、寒冷地適性、機能性などにも着目して積極的に品種開発を行ってまいります。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、
(2)花き事業
花き育種研究室では営利栽培農家向け花き類とホームユース向けの花き類及び野菜類の開発を行っております。一般社団法人日本種苗協会主催の第67回と第68回全日本花卉品種審査会におきまして、ユーストマ、スターチス・シヌアータ、キンギョソウで4点が入賞いたしました。また、新品種のコンテストであるジャパンフラワーセレクションに、カーネーション、デルフィニウム、オキシペタルムの出品を行い、カーネーション“アフォガード”とオキシペタルム“オルキブルー”が特別賞を受賞いたしました。
当年度につきましては、5品目で合計26品種を新発売といたしました。ユーストマでは4品種を新発売とし、その中で“エレスライトピンク”は中晩生の中大輪フリル咲き品種で、高温期を経過する秋出荷作型においてもボリュームがある切り花が収穫できるという優れた特性を有しており、非常に高い評価を得ております。今後はこの品種のシリーズ化を図ってまいります。また、フリンジ咲きの“エグゼ”シリーズに“エグゼグリーン”と“エグゼアンティークピンク”を追加いたしました。カーネーションのスプレー系では7品種を新発売といたしました。その中で大輪の“ラグジュアホットピンク”(チェリー色)と“ラグジュアチェリーアイ”(中心がチェリー色で縁が白色の複色)を既存の大輪品種である“ラグジュアライトピンク”と同じカテゴリーとしてシリーズ化を行いました。スターチス・シヌアータでは暖地向けとして3品種、高寒冷地向けとして1品種を新発売といたしました。暖地向けの“スピアラベンダー”は草丈が良く伸びる点が、また高寒冷地向けの“アティスラベンダー”は花色が美しい点が特に評価されております。ホームユース向けでは国内外から花き類と野菜類の品種を多数導入し、花き類で6品目16品種、野菜類で3品目3品種を新発売とし、商品のより一層の充実を図りました。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、
(3)施設材事業
開発部では、種苗会社という長年の栽培技術を生かし、自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場において、他社にはないシステムプラントの開発、提供を行っています。栽培する品目に適したシステムプラントを開発し、これまでも好評を得ております“マルチリーフ®レタス”や細ネギ(小ネギ)などの葉菜類を栽培する“EK式ハイドロポニック”、トマトやキュウリなどの果菜類を栽培する“スプレーポニック®”、イチゴを栽培する“ココベリーファーム®”など、それぞれの品目について生産者のニーズに合った養液栽培プラントを提供しております。
当年度につきましては、省力化、環境にやさしい無培地での栽培が可能なキュウリの“スプレーポニック®”が着目され、各地に導入されました。群馬県をはじめとした公共の機関や民間の研究機関と共同研究や提携を拡大し、新しい品目の導入、栽培技術の改良を行い、SDGsや「みどりの食料システム戦略」が目指す持続可能な社会を支える農業を実現することができるシステムプラントの開発、提供に貢献してまいります。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、
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