業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

①経営成績の状況

 当社グループの当連結会計年度(2021年6月1日から2022年5月31日まで)における業績につきましては、資材や苗木の売上は収益認識会計基準等の適用による影響などにより減少しましたが、野菜種子と花種子が大幅な増収となったことや、為替レートも全面的に円安となったことなどから、売上高は730億49百万円(前期比38億31百万円、5.5%増)となりました。営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上増加と粗利益率の改善による売上総利益の増益で吸収し、111億81百万円(前期比14億56百万円、15.0%増)となりました。経常利益は、主に為替影響による営業外損益の改善を受けて、121億14百万円(前期比20億35百万円、20.2%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益の計上などにより、122億56百万円(前期比46億19百万円、60.5%増)となりました。品目別では、野菜種子は、ブロッコリー、ニンジン、ペッパー、トマトなどが大幅に増加しました。花種子は、ヒマワリが大幅に増加したほか、トルコギキョウ、パンジー、ストック、カンパニュラ、ジニアなど、多くの品目が好調に推移しました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、前期比較は基準の異なる算定方法に基づく数値と比較しております。詳細については、「第5 経理の状況 注記事項(会計方針の変更)」をご参照下さい。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前期末に比べ143億46百万円増加し、1,474億23百万円となりました。これは、現金及び預金が70億80百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が17億15百万円、商品及び製品が18億92百万円増加したことなどによるものです。

 

(負債)

負債合計は、前期末に比べ7億77百万円増加し、219億56百万円となりました。これは、未払法人税等が10億41百万円、流動負債のその他が10億21百万円増加した一方で、短期借入金が9億57百万円減少したことなどによるものです。

 

(純資産)

 純資産合計は、前期末に比べ135億68百万円増加し、1,254億66百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、株主資本が92億20百万円、為替換算調整勘定が増加したことなどから、その他の包括利益累計額が42億47百万円増加したことなどによるものです。

 なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の当期首残高は3億4百万円減少しています。

 以上の結果、自己資本比率は84.9%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期比69億89百万円増加し、217億47百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によって得られた資金は100億39百万円(前期は得られた資金113億62百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益166億円、減価償却費34億67百万円、固定資産売却益51億2百万円、法人税等の支払額27億13百万円、売上債権及び契約資産の増加による資金の減少8億58百万円などによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によって得られた資金は4億68百万円(前期は支出した資金51億65百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出39億50百万円、無形固定資産の取得による支出8億41百万円、有形固定資産の売却による収入52億27百万円などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によって支出した資金は45億81百万円(前期は支出した資金40億5百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額18億24百万円、短期借入金の純減額11億2百万円、自己株式の取得による支出9億10百万円などによるものです。

 

④仕入及び販売の実績

a. 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

  至 2022年5月31日)

前年同期比(%)

国内卸売事業(百万円)

7,567

△6.4

海外卸売事業(百万円)

15,683

4.2

小売事業(百万円)

3,539

△5.9

報告セグメント計(百万円)

26,789

△0.4

その他事業(百万円)

2,744

2.2

合計(百万円)

29,533

△0.2

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

  至 2022年5月31日)

前年同期比(%)

国内卸売事業(百万円)

12,784

△23.5

海外卸売事業(百万円)

52,044

18.9

小売事業(百万円)

5,152

△10.9

報告セグメント計(百万円)

69,981

5.6

その他事業(百万円)

3,068

4.0

合計(百万円)

73,049

5.5

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度(2021年6月1日から2022年5月31日まで)における世界経済及びわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進捗などにより経済活動が段階的に再開され、景気回復の動きが見られました。一方で、感染力が強い変異株の流行、世界的なインフレ懸念の高まり、サプライチェーンの乱れのほか、ロシアによるウクライナ侵攻や、これに伴う資源価格のさらなる高騰など、先行きの不透明感が強まりました。

 このような状況のなか当社グループでは、前倒しなどの入出荷の工夫のほか、在宅勤務や時差勤務の推進、ウェブ会議やプロモーション動画の活用など、ステークホルダーの方々の感染防止を最大限図りつつ、必要な事業の継続に努めました。

 成長戦略の取組みとしては、当社は、生産者が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。

 また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中とアジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を目指しております。

 このような取組みのもと、品目別では、野菜種子は、ブロッコリー、ニンジンなど、グローバルまたはローカルで高いシェアを持っている商品が好調に推移しました。加えて、トマト、ペッパーなど、シェアの拡大を目指している研究開発に注力してきた商品において、評価が高まったことで好調に推移し、大幅な増収となりました。花種子は、ヒマワリが、比較的短い栽培期間や切り花としての目新しさが評価され、中国などにおいて大幅に増加しました。そのほか、トルコギキョウなどの当社主力品種をはじめとした多くの品目が好調に推移し、大幅な増収となりました。地域別では、国内は新収益認識基準等の適用などにより減収となりましたが、海外においては全地域で増収となりました。

 これらの結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は730億49百万円(前期比38億31百万円、5.5%増)となりました。また、営業利益は111億81百万円(前期比14億56百万円、15.0%増)、経常利益は121億14百万円(前期比20億35百万円、20.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は122億56百万円(前期比46億19百万円、60.5%増)となりました。

 第4四半期も売上が引き続き好調に推移したことなどから、本年4月に公表した業績予想に対し、売上高は15億49百万円、営業利益は11億81百万円、経常利益は18億14百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は12億56百万円、それぞれ上回りました。この結果、前期に引き続き、各項目において過去最高を更新いたしました。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

a.国内卸売事業

 国内卸売事業は、青果市況が低調に推移した影響などから野菜種子の売上が減少したほか、苗木も商流変更により一部商品の取り扱いを中止したことなどから減収となりました。また、収益認識会計基準等の適用に伴う資材の代理人取引の純額表示もあり、前期比減収となりました。

 これらの影響を除く品目別動向では、野菜種子は、ブロッコリーやレタスなどが産地への導入が進んだことから増加しましたが、当社新基幹システムの円滑な導入推進のため前連結会計年度に出荷を一部早めた反動などから、トマトなどが減少しました。花種子は、トルコギキョウが、市場性の高い新品種群をデジタルツールで情報発信した結果、主要産地への導入が進み、売上が増加しました。また、パンジーなども高品質種子を苗木業者に安定供給できたことなどから、増加しました。資材は、低コスト環境制御システム「アルスプラウト」が好調に推移したことや値上がり前の駆け込み需要などもあり、収益認識会計基準等の適用に伴う影響を除いたベースでは、増収となりました。

 これらの結果、売上高は127億84百万円(前期比39億21百万円、23.5%減)、営業利益は49億29百万円(前期比3億62百万円、6.9%減)となりました。

 また、国内卸売事業の総資産は前期比93百万円増(0.5%増)の197億25百万円となりました。

 なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は33億9百万円減少しましたが、営業利益への影響は軽微です。

 

b.海外卸売事業

 海外卸売事業は、野菜種子、花種子とも、ほぼ全ての国と地域で売上が好調に推移しました。新型コロナウイルス感染症やウクライナ問題など、様々な要因による物流の混乱を回避するために前倒し需要が引き続き発生していることや、為替レートも全面的に円安となったことなどから、前期比、大幅な増収となりました。

 品目別では、野菜種子は、ペッパーが各地域のニーズに対応した商品開発などにより、全地域で大きく伸びました。また、ブロッコリーとトマトは北中米、欧州・中近東、南米で、ニンジンはアジアで、カボチャは南米で、特に売上が大幅に増加しました。花種子は、ヒマワリが新しいタイプの切り花として高い評価を得て、全地域で大幅に増加しました。また、トルコギキョウ、パンジー、ストック、カンパニュラ、ジニアなど、数多くの品目でも売上が大きく伸びました。

 これらの結果、売上高は520億44百万円(前期比82億67百万円、18.9%増)、営業利益は162億76百万円(前期比29億36百万円、22.0%増)となりました。

 また、海外卸売事業の総資産は前期比134億60百万円増(18.7%増)の853億14百万円となりました。これは主に、現金及び預金が74億95百万円、棚卸資産が20億7百万円、受取手形及び売掛金が12億45百万円増加したことによるものです。

 

c.小売事業

 小売事業は、一部の苗木商品の取り扱いを中止したことや収益認識会計基準等の適用などから、前期比、減収となりました。しかしながら、花種子が引き続き好調であったほか、量販店向けの資材取引において一部帳合替えもあったことなどから、期初計画比では好調に推移いたしました。

 分野別では、直売店ガーデンセンター横浜は、天候不良の影響はあったものの、売上はほぼ横ばいとなりました。通信販売分野では、オリジナル品への注力などから苗木の売上が減少しました。量販店向けのホームガーデン分野では、市況や天候不良の影響で野菜種子は減少しましたが、花種子はコロナ禍における旺盛な需要が継続、資材も一部ホームセンターへの納入品目が増えました。

 これらの結果、売上高は51億52百万円(前期比6億32百万円、10.9%減)、営業利益は31百万円(前期比79百万円、71.8%減)となりました。

 また、小売事業の総資産は前期比4億71百万円減(19.7%減)の19億27百万円となりました。

 なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は95百万円減少しましたが、営業利益への影響は軽微です。

 

d.その他事業

 造園緑花分野は、新型コロナウイルス感染症の動向が見通せない状況下でしたが、徹底した感染防止対策を講じながら営業活動を推進しました。その結果、民間及び公共工事の受注や緑花関係の育成維持管理業務を着実に実施することができたことから、前年同期を上回る売上高となりました。

 これらの結果、売上高は30億68百万円(前期比1億18百万円、4.0%増)、営業利益は81百万円(前期比42百万円、109.7%増)となりました。

 また、その他事業の総資産は前期比2億9百万円増(12.5%増)の18億76百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

2018年5月期

2019年5月期

2020年5月期

2021年5月期

2022年5月期

自己資本比率(%)

82.3

82.3

82.2

83.9

84.9

時価ベースの自己資本比率(%)

152.3

120.2

133.5

124.5

133.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

106.0

93.0

137.1

24.5

14.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

44.2

46.2

16.3

94.6

94.3

  (注)自己資本比率:自己資本/総資産

   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(リース債務は除く)/キャッシュ・フロー

   インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※ 2. 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

※ 3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

※ 4. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象としております。

※ 5. 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要のうち主なものは、種子および資材の購入費用のほか、生産経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、給与、賞与等の人件費、運搬費、販売荷造費、広告宣伝費等であります。

 また、当社グループは、生産設備の拡充、合理化および研究開発力の強化等を目的として、継続的に設備投資を実施しております。

 当社グループの当連結会計年度末における有利子負債に対する金利負担は、支出に占める割合としては十分低く、金利上昇による影響が限定的な範囲にとどまる有利子負債残高水準にあります。

 

c.資金調達の可能性

 資金の流動性については、手元流動性の確保により不測の事態に対応できるようにしております。資金の調達については、本社、国内各子会社および海外各子会社とも、取引金融機関との良好な関係を維持しており、適切な対応が可能な体制をとっております。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、予測不能な天候変動等によって業績が左右される可能性があることや研究開発に長期間要する事業特性があることなどから、中長期の経営計画数値は公表しておらず、単年度の計画を公表し着実に達成していく方針でおります。本年4月に公表した業績予想と比較した当連結会計年度の実績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりです。

 

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループが連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.新型コロナウイルス感染症拡大による影響

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりです。

 

b.棚卸資産の評価見積りによる影響

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりです。

 

c.固定資産の減損判定による影響

 当社グループは、主に研究開発や生産、販売などの事業を行うため、土地や建物、機械などの固定資産を多く保有しております。原則として、管理会計上の単位を資産グループの基礎として、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングしており、また、賃貸資産及び遊休資産については、個別の資産ごとにグルーピングを行っております。収益性が低下した資産グループについては固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少分を減損損失として計上しております。回収可能価額は、将来の利益計画に基づく将来キャッシュ・フローや不動産の時価を前提に作成されるため、経営環境の悪化や不動産の価格変動などにより回収可能価額が下がり、減損損失を計上するなどの影響が生じる可能性があります。

 

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