(1)経営方針
当社は、「品質・誠実・奉仕」を社是に掲げ、「三者共栄」(顧客・取引先・当社の共栄)、「三位一体」(社員・経営者・株主の相互繁栄)、「三層共生」(自然・社会・企業の共生)の経営理念の下、良質な商品とサービスの提供によって、世界の人々の生活と文化の向上に貢献し、世界一の種苗会社を目指してまいります。
当社は、採算性と財務の健全性を重視する堅実な経営と株主利益の追求によって企業価値の増大に努めます。
また、生産者にも消費者にも喜んでいただける「野菜と花の種苗」をいち早く開発するとともに、高品質種子の安定生産と供給を実現することによって、世界の種苗界をリードする種苗会社として躍進することを目指します。
(2)経営環境及び対処すべき課題
世界的な大規模自然災害や地球温暖化などの大きな課題が山積する中で、食料分野においては持続可能な食料システムの構築、農林水産業の生産力向上など、食料の安定確保、栄養状態の改善を図ることが喫緊の課題となっており、各企業にもその貢献が求められております。
また、新型コロナウイルス感染症の蔓延や、近年の世界的政情不安は、各国における景気や消費動向に様々なインパクトを与えています。
国内の農業分野に目を向けますと、農業人口の減少、農村地帯の過疎化、食料自給率の低迷等が、引き続き大きな課題となっております。2021年5月、農林水産省は、「みどりの食料システム戦略」を策定し、国内農業における生産性の向上、農村の振興、食料の安定供給の確保、農業の持続的な成長を遂げるための改革を進めております。
このように社会や農業を取り巻く環境が大きく変わる中で、農業の根幹と言うべき種苗そのものが担うべき役割への期待は加速的に高まっております。今まで以上の高い付加価値を種苗に付与し、それを生産者の方々に安定供給する事、この当たり前のことが私ども種苗会社に託された使命です。
必須の業種「エッセンシャルカテゴリー」に身を置く当社として、下記に掲げた課題に取り組みながら、地球上の自然と、その自然に内包される社会、そして社会に帰属する企業である当社が持続的に共生するため、社業である種苗事業や緑花事業を通じて貢献してまいります。
①高収益ビジネスモデルの確立
生産者の皆様が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、当社では高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。
また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中と、アジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を確立いたします。
②各地域における健全な収益構造の構築と重点戦略の推進
成長市場における市場拡大、成熟市場における高収益モデルの確立を行うことによって、アジア・北米・南米・欧州アフリカの各地域における健全な収益構造を確立いたします。具体的には、成熟市場においては、戦略品目におけるシェアの拡大、新興国市場においては、野菜や花の消費需要の喚起と、地域ごとの栽培環境に応じた商品の開発等、各市場にむけて重点戦略を立案、実行いたします。
③安定供給と効率化を実現するサプライチェーンインフラの整備
種子の安定供給を実現する生産体制・技術・機能を強化し、効率的なグローバルサプライチェーンマネジメント体制の実現に向けた仕組みづくりを行い、コストと在庫の削減を目指します。
④グローバルカンパニー実現に向けた人材育成、組織、マネジメント体制の構築
日本国籍のグローバルカンパニー実現に向けた人的資源の管理体制の構築や、経営体制の整備、およびグループマネジメントの高度化をさらに進めます。
⑤経営の効率化を実現するグローバルIT基盤の整備
情報系、会計、サプライチェーン管理のシステムを再整備し、グローバルに最適な事業管理や、経営判断を支援するITシステム基盤を構築します。
また、当社グループでは、2015年9月、「国連持続可能な開発サミット」において採択された「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」、そして2020年10月、内閣総理大臣から宣言された「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けた取り組みを進めるべく、サステナビリティ基本方針を定めました。気候変動については、当社の事業に大きな影響を与える可能性があると認識しておりますので、リスク・機会については、TCFD提言に沿った分析を行い、事業を通じて持続可能な社会づくりに貢献してまいります。
社会や環境が大きく変わる中で、当社は引き続き、人々の心の栄養をもたらす花、身体の栄養をもたらす野菜へのニーズに応えてまいります。
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