1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により、長期にわたって経済活動が抑制されるなど、厳しい状況で推移しました。ワクチン接種が進んだことにより感染拡大状況は一時落ち着きを見せ、政府の施策等により一部持ち直しの動きも見られたものの、オミクロン株による感染再拡大の懸念や、原油や原材料価格の高騰による影響などリスクの高まりもあり、先行き不透明な状況で推移いたしました。
ケーブルテレビ業界におきましては、ケーブルテレビ加入世帯数は2021年3月末時点でわが国の総世帯普及率約52.4%にあたる約3,117万世帯(前年同月末加入世帯数は約3,091万世帯)と緩やかな増加が続いております。特に、通信サービス(インターネット、電話、ケーブルスマホ、WiFiなど)での増加が顕著であり、放送と通信両方のサービスを提供する重要な社会基盤としての役割を担っております。
株式会社MM総研がまとめた「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査」においても、2021年9月末時点のFTTH(光回線サービス)契約数は3,601.4万件と、2021年3月末から半年で100万件以上の増加となりました。2021年3月から2024年3月までの年平均成長率は4%程度で継続的に拡大すると予測されており、通信分野全体として、引き続き高水準の伸びとなる見込みです。
これらを背景とした官民一体の取り組みとして、地理的に条件不利な地域において伝送路設備等の整備を支援するための「高度無線環境整備推進事業」(総務省)等、ネットワークの更なる高度化のための環境整備事業や、社会構造の変化により発生する地域課題の解決に向けた技術革新事業が引き続き進められました。当社におきましても、既存事業への受注活動を進めるとともに、「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」(総務省)に選定された「ローカル5Gを活用した港湾内安全管理に向けた実証実験」へ参画するなど、新たな需要の創出・獲得のための事業にも積極的に取り組んでおります。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ950百万円増加し、10,335百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ778百万円減少し、5,295百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,728百万円増加し、5,040百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、当社グループは高速大容量化並びに高い安定性確保のためのインターネット接続サービス用センター設備強化を含むFTTH化工事の受注拡大や、宅内に設置する通信系機器全般の受注及び販売拡大に注力いたしました。また、世界的な半導体不足による生産への懸念がありましたが、サプライチェーンを駆使した部材調達等による生産・物流体制維持に努めた結果、連結売上高は13,061百万円(前年同期比19.9%増)となりました。通信系機器全般の受注及び販売の伸長に加え、コロナ禍によるリスク管理のため大型工事の進捗を早めたことから、売上が前倒しとなり、連結売上高の大幅な増加に繋がりました。
利益面では、売上の増加に加え、業務効率の向上による原価低減や販売管理費の抑制及び為替差益計上により、営業利益は1,208百万円(同58.0%増)、経常利益1,319百万円(同87.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益871百万円(同64.5%増)となり、いずれも上場来最高益を更新いたしました。
当連結会計年度における各部門の業績は、次のとおりであります。
(a) トータル・インテグレーション部門
高速大容量化に伴うインターネット接続サービス用センター設備強化を含むFTTH化工事をコロナ禍によるリスク管理のため前倒しで進捗したことにより、当部門の連結売上高は6,219百万円(前期比2.5%増)となりました。
(b) 機器インテグレーション部門
放送系機器全般の堅調な推移とともに、特に宅内に設置する通信系機器全般の受注及び販売が伸長したことにより、当部門の連結売上高は6,842百万円(同41.8%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,600百万円と、前連結会計年度末と比べ604百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は661百万円(前年同期比38.3%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,320百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は187百万円(同49.8%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出153百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は121百万円(前年同期は727百万円の使用)となりました。これは主に、新株予約権の行使による新株発行による収入843百万円、短期借入金の減少額550百万円等によるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
生産実績(百万円) |
前年同期比(%) |
|
トータル・インテグレーション部門 |
6,193 |
102.0 |
機器インテグレーション部門 |
2,118 |
84.2 |
合計 |
8,312 |
96.8 |
(注) 金額は販売価格によっており、上記の金額には消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|||
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
トータル・インテグレーション部門 |
4,225 |
59.8 |
1,404 |
41.3 |
機器インテグレーション部門 |
8,072 |
167.3 |
2,592 |
190.4 |
合計 |
12,297 |
103.4 |
3,997 |
84.0 |
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
販売実績(百万円) |
前年同期比(%) |
|
トータル・インテグレーション部門 |
6,219 |
102.5 |
機器インテグレーション部門 |
6,842 |
141.8 |
合計 |
13,061 |
119.9 |
(注)1 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2 総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がありませんので、主要な販売先の記載を省略しております。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きく影響を及ぼすと考えております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
① 収益の認識
当社グループのトータル・インテグレーション部門の売上高は、連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積は原価比例法)を、その他の工事については契約書及び注文書に基づいた顧客による完了確認に基づき計上され、機器インテグレーション部門の売上高は、顧客からの注文書に基づき商品及び製品が出荷された時点で計上されます。
② 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見込額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
③ たな卸資産
当社グループは、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積額との差額に相当するたな卸資産の収益性の低下額及び陳腐化の見積額について、評価減を計上しております。実際の将来需要又は市場状況が当社グループ経営陣の見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産についてその回収可能性を毎期見直し、当該判断を行った期間に法人税等調整額により費用又は利益として計上します。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の額は10,335百万円と、前連結会計年度末に比べ950百万円の増加となりました。資産の増加の主な原因は、現金及び預金が604百万円、商品及び製品が102百万円及び原材料及び貯蔵品が226百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の額は5,295百万円と、前連結会計年度末に比べ778百万円の減少となりました。負債の増加の主な原因は、支払手形及び買掛金が134百万円増加、工事未払金が419百万円及び短期借入金が550百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の額は5,040百万円と、前連結会計年度末に比べ1,728百万円の増加となりました。純資産の増加の主な原因は、資本金が424百万円、資本剰余金が434百万円及び利益剰余金が827百万円増加したことによるものであります。
(自己資本比率)
上記の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の35.3%から48.8%となりました。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は13,061百万円(前期比19.9%増)、営業利益は1,208百万円(同58.0%増)、経常利益は1,319百万円(同87.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は871百万円(同64.5%増)となりました。主な原因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(3) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。また、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものです。
これらの資金は、自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く経営環境は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、また、「2 事業等のリスク」及び「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1)重要な会計方針及び見積り」に記載している各要因が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
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