当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下が挙げられます。
なお、本記載は本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。将来に関する事項につきましては、不確実性やリスクが内在しており、そのため実際の結果と大きく異なる可能性がありますのでご留意ください。
(1) 市場環境について
情報通信分野では、いわゆるトリプルプレイ(放送、インターネット、電話)において大手通信事業者とケーブルテレビ事業者の放送・通信の相互参入に加え、インターネット動画配信事業者によるサービスの拡大に伴い競争が激化しており、各事業者は加入者確保のために新たなサービスを模索しています。また、FTTH関連の製品需要は継続して高水準にあり、さらにインターネット回線を利用した放送の技術基準や法整備、2020年春に携帯電話事業者による全国向け商用サービスが開始された5Gサービスとは別に、地域の企業や自治体等の様々な主体が自らの建物や敷地内でスポット的に柔軟にネットワークを構築し利用可能とする新しい仕組みである「ローカル5G」など、技術革新に伴うビジネスモデルの変化が起こりつつあります。そういった時流の要請に応えて費用便益的にも優れた製品やシステムを継続的に開発し、提供できるかが当社グループの業績の鍵となります。
こういった製品・システム開発の遅れ等により市場へタイムリーに提供できない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、民間投資や公共投資の鈍化・縮小による市場環境の悪化、製商品の需給に関する急激な変動、競争激化に伴う製商品の大幅な価格下落などがあった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2) 生産体制について
当社グループの生産拠点は、国内生産工場(可児工場)と中国生産工場(愛知電子(中山)有限公司)であり、これまでに生産能力や品質等について重大な問題が発生したことはありません。国内のFTTH関連機器、光端末器等の需要が継続して高水準にあること、また、BCP対策の観点からも当面は国内生産工場と中国生産工場の二拠点による生産体制を維持しますが、経営環境等の変化により体制を見直す可能性があります。この場合、工場規模の拡大による設備投資や経費増あるいは移転や閉鎖による一時的な経費増等が発生する可能性があります。
また、中国における経済情勢の変化、関連法令や制度の変更など当社を取り巻く経営環境に著しい変化が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) 季節変動について
当社グループの主要取引先であるケーブルテレビ事業者の会計年度の関係上、1月から3月末にかけて完了する設備投資案件が多いことから、当社グループの売上高は第1四半期の割合が大きくなっておりました。
但し、会計期間を変更した2019年度頃から工事進行基準の影響に加え、機器販売の増加などにより、業績の季節変動は以前と比べて緩やかになっております。
(4) 開発技術等について
当社グループが製造するFTTH関連機器、通信関連機器および端末機器等は、技術的な進歩をはじめとして急速に進化しており、個々の製品の特徴や適性を活かした組み合せ等、専業メーカーとしての強みを生かしたトータルシステムとしての開発に努力してきました。
新製品の開発についてはその性質から複雑かつ不確実なものであり、以下のような様々なリスクが含まれます。
・新製品または新技術への投資を適切な時期に必要なだけ充当できる保証がないこと
・研究開発テーマのすべてが新製品または新技術の創造に繋がるとは限らないこと
・市場のニーズを的確に捉えた新製品または新技術を正確に予想できるとは限らないこと
・新製品または新技術が経営成績の向上に即貢献できるとは限らないこと
・新製品または新技術が独自の知的財産として保護される保証がないこと
・技術の急速な進歩や変化により研究開発テーマに影響を受けること
・新製品または新技術の開発期間の長期化が販売機会損失になり得ること
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品または新技術を開発できない場合、将来の成長と収益性を低下させ、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 海外における事業活動について
当社グループは、国内生産工場の他、中国に設立した現地法人(愛知電子(中山)有限公司)において機器生産を行っており、当該現地法人に対する投資に加え、人材派遣あるいは技術支援を通じて経営指導を行っております。中国での事業活動では、現地における予期しない法律や制度・規制の変更、経済的要因による部材の高騰や人件費の上昇、為替の変動のほか取引先の信用不安、社会的混乱等のリスクがあり、これらによって当社グループの価格競争力の低下を招いたり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、各国が抱える諸問題、いわゆる地政学的リスクにより当社の海外事業活動に影響を与える可能性があります。
(6) 特許について
当社グループでは、技術部門において新製品および新技術の研究開発を行っており、社員が成した発明に対する特許の帰属は社内規程に基づいて対応しております。他社との共同開発等の共同行為では、その着手当初から研究開発の範囲・費用の分担、権利の帰属および第三者への譲渡等にいたるまで契約書で取り決めを行い、共同出願についても同様に取り決めを行っております。しかしながら、社会では特許の帰属や報酬等について係争に至る例もあり、判例の中には多額な報酬や賠償が認められたものもあること等から、開発型メーカーである当社においては、これらに対して費用負担が発生する可能性は否定できません。
なお、当社は前述の部門以外の、例えばSE部門、営業部門および製造部門でも技術者が在籍していることから、発明が行われる可能性があります。
(7) 製品について
当社グループでは、昨今の世界的な半導体不足に対処し、製品の安定供給を目指すために部品材料等を一定量在庫しておく必要があります。これらが長期滞留となった場合には、社内規定に基づき評価減を行う必要があり四半期毎、相当額のたな卸資産評価損が発生します。さらに技術革新が目まぐるしい業界にあって、製品が市場ニーズに合わず陳腐化した場合、これらの評価損が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループでは品質マネジメントシステム(ISO9001)に則って製造を行っており、製品品質には万全を期しておりますが、全ての製品について欠陥がないという保証はありません。それらに対応するため、PL保険とリコール保険にも加入しておりますが、これらの保険が賠償や損失のすべてを十分にカバーできるという保証はありません。
なお、当社の製品に使用している半導体部品等一部の部品においては、自動車やスマートフォン、ゲーム機にも世界中で多く使用されている為、これらの業界で需要が急拡大した場合、入手性に影響が出ることが予想され、製品原価の増加に繋がり当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8) 商品について
国内におけるインターネット市場の急速な発展に伴い、インフラを構成する情報通信機器の分野においては国外通信機器メーカー(米国、中国、韓国、台湾等)の製品を輸入する割合が高まりつつあります。そのような情勢の中、国家間の経済的な利害対立から生じる経済摩擦や各国の施策等により、国内においても国外通信機器メーカーの製品の採用を見送る可能性があります。
また、国外通信機器メーカーの製品が性能、価格面で市場優位性が得られない場合、受注減となり当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、国外通信機器メーカーからの購入品に品質異常や性能に欠陥があった場合、事前に締結した契約書等があったとしても是正や解決ができない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9) 為替レートの変動リスクについて
外国通貨建て取引につきましては、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、予測を超える為替変動があった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(10) 人材の確保や育成について
当社グループが属する業界は技術革新が目まぐるしく、人材の流動性が高いこと、高度な技術力や施工技術が必要であること等が特徴となっており、当社グループでは各種技術者の確保と育成を最重要課題と位置付け、優秀な人材の確保を図るとともに、社内教育の充実や人材育成に積極的に取り組んでおりますが、仮に優秀な人材の確保や育成ができなかった場合、当社グループの将来の成長や業績に影響を与える可能性があります。
また、高水準の技術革新と進歩を維持するため、最新技術の経験を持つ優秀なエンジニア等の積極的な採用や継続的な社内教育は、採用コストと人件費を押し上げ、これらのコストの増加は当社グループの業績と財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) 環境問題について
当社可児工場は環境マネジメントシステム(ISO14001)の認証を取得しており、また、その他の拠点においても関係法令等の遵守に努めておりますが、万が一、事業活動を行う過程において環境事故等により関係法令等の違反が生じた場合、あるいは、今後新たに制定される法令等に対応するため多額の費用が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
一方、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に取り組むため、社内にプロジェクト体制の「推進室」を立ち上げ、全社展開を進めております。
(12) 工事事故について
当社グループでは、安全な工事の遂行を何よりも優先し、各種工事の施工をしておりますが、全ての工事において事故が発生しないという保証はありません。不可抗力を含めた事故による顧客からの信用低下は、受注環境に多大な影響を与え、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(13) 災害等について
大規模な自然災害や事故等、新たな感染症等が発生した際には、公共インフラ停止、設備被害および人的被害、さらにはサプライチェーンの寸断等により当社グループの事業活動と業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの社内ネットワークにつきましては、安定した運用を行うための体制を構築しておりますが、災害やコンピュータウイルスの侵入等により、稼働不能となった時は、事業活動に影響を与える可能性があります。
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