課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

我が国の経済は、米中の通商問題を巡る動向や英国のEU離脱問題等による世界経済への影響に加え、相次ぐ自然災害による経済への影響や消費税率引上げによる消費者マインドの動向に留意しつつも、政府の経済対策による下支えを背景に、景気の拡大基調が続くと見られていました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が国内外問わず経済に与える影響は大きく、今後悪化していくことが見込まれます。建設業界においても、昨年までの都市部の再開発や商業施設、ホテル等の需要の高まりは一変することが見込まれ、また、資材調達環境や労働環境にも影響を及ぼすことから、今後の動向には不透明感が強まっております。

2019年度のマンション市場においては、新規供給戸数は首都圏で2万8,563戸、近畿圏では1万7,452戸と、共に2018年度を下回りました。特に、首都圏では新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛要請の影響が出始めたことで3月の新規供給戸数が大幅減となり、1992年度(2万8,460戸)以来27年ぶりに3万戸を下回る低調な供給にとどまりました。新規供給戸数については2020年度においても首都圏で4万戸、近畿圏で2万戸程度の供給能力が存在する傾向は継続していますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため販売活動の自粛等が長期となった場合には、2019年度をさらに下回る可能性があります。

また、販売面においても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から経済状況の悪化、雇用・所得環境に大きな変化が生じた場合には、2019年度を下回る可能性があります。

当社グループは、2018年3月期より開始したNBj計画の最終年となる2020年3月期において、建設関連事業においては当社の土地情報収集力や商品企画力、施工品質や工期遵守に対する姿勢、効率的な生産体制等についてお客様や事業主様から評価頂いている一方、受注時採算の悪化及び資材労務費の上昇等により完成工事総利益率は低下しました。サービス関連事業においては分譲マンションの大型物件の引渡など、各社の業績が堅調に推移し利益を着実に積み重ねることができました。その結果、期初予想であった経常利益850億円を達成することができました。

2021年3月期より、「長谷工グループ長期ビジョン」ならびに新たな5か年の中期経営計画として「HASEKO Next Stage Plan(略称:NS計画)」をスタートします。世帯数の減少、消費者行動の変化やニーズの多様化、日々進化するIT技術など、急速に変化していく時代にマンション市場も大きく変化していくことが予想され、これらの変化に対応するため、長期的な視点も明確にした上で事業改革に取組みます。

NS計画は、長期ビジョンを実現するための道筋として、2025年3月期までの5か年を対象期間とする中期経営計画とし、コア事業の競争力の強化や不動産関連事業の投資拡大、将来の成長に向けた取組みを重点戦略と位置付け、成長戦略投資を実施してまいります。また、強固な財務基盤を維持しつつ株主還元の拡充を図り、資本効率性をより意識した経営に努めてまいります。新型コロナウイルス感染症の影響により、この先2年、3年は厳しい状況が続くことを想定しますが、この期間に足腰を鍛えた上で事業モデルを再構築し、5年目に経常利益1,000億円を達成すべく取組んでまいります。

今後、当社を取り巻く事業環境は大きく変化することが想定されますが、当社グループは、事業を通して社会課題の解決に取組むべくCSR経営の確立を目指すとともに、人的資産とグループ力を結集し、しなやかで強靭な経営を追求し持続可能な企業グループとして発展を続けてまいります。

 

長谷工グループ長期ビジョン ~2030年3月期に目指す姿~

 

■目指す姿

少子化・高齢化、人口減少、都市のコンパクト化、災害、建築物の老朽化、環境配慮・省エネルギー、コミュニティ形成などの社会情勢の変化に対応し、当社の企業理念である「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」を具体的に実現する為、分譲マンションを中心に、賃貸・高齢者住宅や商業・介護・子育て・健康・医療・教育等を組み合わせ、ハード・ソフト両面から「住まいと暮らしの創造企業グループ」における更なる飛躍を目指す。 

 

■目指す姿の実現に向けた事業戦略

①事業領域の拡大(事業エリア、建築メニュー)

②安定収益分野と成長分野へのバランスの取れた戦略投資

③サービス関連事業の拡大に向けて、デジタル技術などの先進技術等を積極活用し、新たな事業モデルによる商品・サービスの競争力強化および労働生産性の向上

④新たな事業分野への挑戦

 

■目指す利益水準

連結経常利益 1,500億円

 

中期経営計画概要

・計画名称 HASEKO Next Stage Plan(略称:NS計画)

      ~次なるステージへの成長を目指して~

 

・計画期間 2021年3月期~2025年3月期

 

・数値目標

 2025年3月期 連結経常利益 1,000億円

 2025年3月期 連結子会社経常利益 300億円以上

 2021年3月期~2025年3月期 5期合計連結経常利益 4,000億円

 

・基本方針

 1.新規の住宅供給等を主なマーケットとする建設関連事業と既存の住宅関連等を中心とするサービス関連事業
      の両方に軸足をおく経営の強化

 2.グループ連携を深化させ、都市居住生活者の信頼に応える企業体の実現

 3.安全・安心で快適な住まいと都市環境を提供

 4.成長戦略投資による安定した収益基盤の構築

 5.強固な財務基盤の維持と株主還元の拡充

 6.中長期的な視点を踏まえた新たな取組みへの挑戦

 7.CSR経営の確立に向け注力

 

・重点戦略

1.コア事業の競争力強化

(1)建設関連事業の領域拡大

①超高層マンションの施工拡大等により、分譲マンション建設での優位性を維持・強化

②賃貸マンション、学生・シニア向けマンション、寮・社宅、ホテル、オフィス、物流施設など分譲マンション以外での建設受注拡大

③BIM及びその他のICT関連技術の活用による工期短縮・コスト競争力の強化

④環境配慮技術・IoTを活用した商品開発

(2)再開発・建替事業の拡大・コンパクトシティ化への対応

(3)サービス関連事業の継続強化

①事業エリアを大都市圏から地方主要都市へと拡大

②先進技術導入による事業モデルの再構築

 

2.不動産関連事業の投資拡大

(1)マンション分譲事業の事業エリア拡大

(2)賃貸不動産の保有・開発事業の展開

①安定収益源の底上げを目的とした賃貸不動産の保有

②私募REIT創設による開発案件の多様化、新たな収益源の確保

 

3.将来の成長に向けた取組み

(1)デジタルトランスフォーメーション(DX)の具現化に向けた投資

 

①AI、センサー、通信、ロボット等の最新のIT関連技術を活用し、各種メーカー、ベンチャー企業、大学、研究機関等、外部との連携を行い、デジタルトランスフォーメーションの推進

(2)価値創生部門による先進技術導入に向けた投資

①サービス関連事業を中心に、既存ビジネスの生産性の抜本的な改革

②先進技術を積極的に活用した新たな事業モデルの創生

(3)海外事業への投資

①米国(ハワイ)における収益基盤の再確立

②東南アジアにおける設計・施工生産体制の確立

③不動産開発プロジェクトへの参画

(4)新規投資

①時代のニーズに合わせた住まい方の提案、新商品、新サービスの開発

②既存事業のサービス向上や成長性のある事業領域拡大を重点対象としたM&Aの実施

(5)人的資産への投資

①成長戦略の基盤となる自律型の人材・組織づくり

②人材の多様性と社員一人ひとりの働きがいを引き出す環境づくり

③新たな価値を生み出す、イノベーティブ人材・グローバルに活躍する人材の育成

④社員の挑戦を後押しするメリハリのある処遇

 

4.投資計画

5か年合計投資額 2,400億円

(1)分譲事業 500億円

(2)賃貸不動産の保有・開発事業 700億円

(3)海外事業 600億円

(4)先進技術投資 200億円

(5)新規事業、M&A等 400億円

 

5.財務戦略・株主還元

(1)強固な財務基盤を維持しつつ、成長戦略投資の加速と株主還元の拡充

(2)安定的な配当の継続実施。加えて、自己株式の取得は、経営環境、成長投資機会、当社株価水準や資本効率向上等を踏まえ柔軟に対応

   <株主還元方針>

①1株当たり年間配当金の下限を70円と設定

②5期合計の親会社株主に帰属する当期純利益に対して、総還元性向40%程度と設定

 

6.CSR経営への取組み

(1)事業を通じた課題解決によって「社会価値の創造」と「グループの成長」を両立させ、企業価値向上を実現

(2)長期的な成長を図るうえで重要なESG要素と当社グループの強みをCSR取組みテーマに取り纏め、CSRの目指す姿として推進

 

※なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末日現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

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