当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更) 及び (セグメント情報等)」に記載しています。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響下において、ワクチン接種が進展した一方、新たな変異株が流行するなど、一進一退の展開が続くなか、ウクライナ情勢の悪化等を背景に不透明感が強まる状況で推移しました。そのような中、建設業界においては、各種政策の下支えもあり、建設投資は一定の底堅さを維持したものの、受注競争の激化や鋼材をはじめとする資材価格の高騰が進むなど、厳しい事業環境に置かれました。
当社グループにおいては、売上高は、建築事業の増加等により、前年同期に比べ9.9%増加した242,458百万円となり、売上総利益は、売上高が増加したこと等により、同1.1%増加した31,837百万円となりました。営業利益は、販売費及び一般管理費の増加により、同1.8%減少した12,647百万円、経常利益は同5.2%減少した14,012百万円となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益が増加したこと等により、同21.9%増加した12,541百万円となりました。
(売上高)
土木事業の売上高が前年同期に比べ10.9%減少しましたが、建築事業の売上高が同30.0%増加したため、売上高合計は同9.9%増加した242,458百万円となりました。
(売上総利益)
土木事業の売上総利益が前年同期に比べ2.8%減少しましたが、建築事業の売上総利益が同9.2%増加したため、売上総利益合計は同1.1%増加した31,837百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
生産性の向上を図るため業務改革推進プロジェクトチームを新設したことによる人件費やシステム導入に伴うICT関連費用が増加したこと等により、前年同期に比べ591百万円増加した19,190百万円となりました。
(営業損益)
営業利益は、売上総利益が増加したものの、販売費及び一般管理費の増加により、前年同期に比べ1.8%減少した12,647百万円となりました。
(営業外損益)
前年同期に工事契約解除に伴う受取和解金や投資事業有限責任組合の当社持分利益の計上等があった反動により営業外収益が前年同期に比べ504百万円減少したことや、連結子会社の支払利息の増加等により営業外費用が同29百万円増加したことにより、営業外収支の黒字は同534百万円減少した1,365百万円となりました。
(経常損益)
経常利益は、営業利益の減少及び営業外収支の悪化により、前年同期に比べ5.2%減少した14,012百万円となりました。
(特別損益)
投資有価証券売却益が増加したこと等により特別利益が前年同期に比べ2,770百万円増加したことや、投資有価証券評価損が減少したこと等により特別損失が同299百万円減少したことにより、特別損益の黒字は同3,069百万円増加した3,190百万円となりました。
(法人税等)
法人税、住民税及び事業税が前年同期に比べ1,577百万円減少、法人税等調整額が同1,514百万円増加し、法人税等は同63百万円減少した5,188百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ21.9%増加した12,541百万円となりました。
また、2019年度を初年度として策定しました中期経営計画(2019~2021年度)の計画最終年度である当連結会計年度の経営成績を、同計画における主要数値目標と比較すると、次のとおりです。
売上高については、建設投資は一定の底堅さを維持し、手持ち工事が順調に進捗したことなどから、概ね目標を達成することができましたが、受注競争の激化や鋼材をはじめとする資材価格の高騰が進むなど、事業環境は厳しさを増し、営業利益及び経常利益の目標は未達となりました。一方、政策保有株式の縮減や自己株式の取得などにより、ROEは目標を達成しており、今後も引き続き資本効率を重視した経営を推進していきます。
なお、2022年度を初年度とする中期経営計画(2022~2024年度)の数値目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(土木事業)
売上高は前年同期に比べ10.9%減少した93,306百万円、営業利益は、高採算の手持工事を中心に損益改善が進み、売上総利益率が改善したこと等により同3.3%増加した9,547百万円となりました。
(建築事業)
売上高は前年同期が着工後間もない大型工事が複数あり施工高が伸びなかった反動等により、前年同期に比べ30.0%増加した136,599百万円、営業利益は、資材価格の高騰や受注時採算が低く売上総利益率が悪化したこと等により同55.7%減少した463百万円となりました。
(投資開発事業)
売上高は前年同期に比べ5.2%減少した4,838百万円、営業利益は同1.5%増加した2,112百万円となりました。
(その他)
売上高は前年同期に比べ32.9%増加した7,713百万円、営業利益は同7.3%減少した421百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりです。
② 売上実績
(注) 1 当社グループにおいては、土木事業、建築事業以外での受注及び生産は僅少なため、受注実績については、土木事業、建築事業のみ記載しています。
2 当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業では、生産実績を定義することが
困難なため、「生産の状況」は記載していません。
3 受注実績、売上実績については、セグメント間の取引を相殺消去して記載しています。
4 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高に
その増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用
しており、当事業年度の前期繰越工事高は前事業年度の次期繰越工事高と比べて2,949百万円減少して
います。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比です。
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりです。
前事業年度
当事業年度
2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
④ 次期繰越工事高(2022年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりです。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は332,348百万円、負債合計は164,923百万円、純資産合計は167,425百万円となりました。また、当社グループの自己資本比率は50.2%(前連結会計年度末は51.4%)となりました。
流動資産は、未成工事支出金、不動産事業支出金が減少しましたが、現金預金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ4,919百万円増加した192,014百万円となりました。
固定資産は、建設仮勘定が増加しましたが、投資有価証券が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,575百万円減少した140,334百万円となりました。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,343百万円増加した332,348百万円となりました。
流動負債は、未成工事受入金が減少しましたが、支払手形・工事未払金等が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,629百万円増加した126,810百万円となりました。
固定負債は、ノンリコース借入金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,252百万円増加した38,112百万円となりました。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,881百万円増加した164,923百万円となりました。
純資産合計は、その他有価証券評価差額金が減少したこと及び自己株式の取得等により、前連結会計年度末に比べ538百万円減少した167,425百万円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、投資活動により2,754百万円、財務活動により4,209百万円それぞれ減少しましたが、営業活動により18,289百万円増加したことにより、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ11,492百万円増加した31,622百万円となりました。
税金等調整前当期純利益の計上等により、18,289百万円の資金増加となりました。(前連結会計年度は、23百万円の資金増加)
有価証券及び投資有価証券の売却及び償還等により資金が増加しましたが、有形及び無形固定資産の取得等により、2,754百万円の資金減少となりました。(前連結会計年度は、8,963百万円の資金減少)
ノンリコース借入等により資金が増加しましたが、配当金の支払い及び自己株式の取得等により、4,209百万円の資金減少となりました。(前連結会計年度は、1,722百万円の資金増加)
キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
(注) キャッシュ・フロー指標のトレンドの計算式及び算出に利用した数字のベースについては次のとおりで
す。
有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対
象としています。
営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー
を使用しています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使
用しています。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。
また、「中期経営計画(2022~2024年度)」では「企業価値の向上」「事業領域の拡大」「人的資源の活用」を事業戦略の基本方針としており、これらに戦略的に投資することとしています。
上記の資金需要に対し、自己資金の活用及び金融機関からの借入(ノンリコース借入を含む)を基本として必要資金の調達を行う方針です。
なお、当社グループは運転資金の効率的かつ機動的な調達を行うため、取引銀行3行と総額80億円のコミットメントライン契約を締結しており、緊急の資金需要等の流動性リスクに備えています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載しています。
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