研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社グループは、DX(デジタルトランスフォーメーション)やカーボンニュートラルの実現に向けた技術革新への対応等について、社内外における取り組みをさらに充実させるべく、建設技術に関する業務を集約し、より戦略的な技術開発を推進するための統括組織として、2022年4月1日付で技術本部を新設し、効率的な研究開発を進めています。

当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,629百万円です。

セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。

 

 (土木事業)

土木事業では、生産性向上に寄与する新技術の確立や当社保有技術の改良・高度化など、顧客に対する提案力の向上につながる技術の開発に注力しています。また、持続可能な社会への貢献を目指し、社会インフラの維持更新に関わる技術や環境に配慮した技術の開発などにも取り組んでいます。

(1) CIMによる5次元施工シミュレーションシステムを開発

建設工事における構造物の3次元モデル(CADオブジェクト)と工程情報(時間軸)を連携した4次元施工シミュレーションシステムに積算情報を加えた「5次元施工シミュレーションシステム」を開発しました。

本システムは、㈱パスコの3次元データ統合ソフト「PADMS」をベースとし、㈱ビーイングの工程管理ソフト「BeingProject-CCPM」と積算ソフト「Gaia」を連携させたものです。構造物のCADオブジェクトと工程情報、積算情報をIDで関連付けることで各情報を一元化し、時間軸で連動させることが可能となります。また、CADオブジェクトを工種ごとに色分けし、施工状況を可視化できるため、工程の進捗に応じた3次元モデルと積算情報のコストを一つの画面上で確認できます。さらに、本システムはシミュレーション機能を搭載しており、施工計画の変更に柔軟に対応することが可能です。

今後は、公共工事におけるBIM/CIMの原則適用を見据え、本システムの機能向上を図り、生産性向上に寄与するシステムとして展開していきます。

 

(2) 生物多様性の保全に貢献するビオトープを整備

建設工事において求められる動植物の環境保全対策や、工場・大規模商業施設などの敷地内の生態系に配慮した緑地整備など、生物多様性の保全に関する研究をさらに発展させるため、弊社技術研究所内に実験用ビオトープを整備しました。

ビオトープには、実験フィールドとなる「生育実験池」と「保全池」及び展示フィールドとなる「浮葉池」を設けました。流入水量や水位を調整できる5つの生育実験池では、異なる条件下における希少植物の生育状況を調査します。保全池では、植物の自生地以外での生育に向けた代償措置を実践します。また、浮葉池では、主に浮葉系の希少植物を生育・展示します。

今後、生物多様性の保全に貢献する研究を進めるとともに、ビオトープや緑地の設計・施工、維持管理に関する技術を蓄積し、顧客への提案につなげます。また、ビオトープを活用して地域の子どもたちの環境教育にも取り組んでいきます。

 

 

 (建築事業)

建築事業では、建築物の資産価値を維持し安全性を確保する免震・制振技術や、快適性を高める室内環境技術、SDGs達成にも貢献する省エネ・省資源・環境配慮技術などの開発、さらに企画・設計・施工の各フェーズにおける合理化に取り組んでいます。

(1) 改修工事に伴う既存梁の新たな貫通孔補強工法を開発し、建築技術性能証明を取得

既存建物の改修において既存梁に設備配管等の貫通孔を新たに設ける場合、貫通孔により低下した梁の構造性能を補強する必要がありますが、従来の認定補強工法は炭素繊維を用いるため高コストとなっていました。そこで、当社は炭素繊維を用いず、鋼板をアンカーで貫通孔の周りに固定して隙間をエポキシ充填する補強工法を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第22-05号)を取得しました。

これにより、梁貫通孔の補強にかかるコストを従来よりも大幅に低減することができるようになりました。今後は、建物の長寿命化を支えるリノベーション技術の一つとして、積極的に展開していきます。

 

(2) 複合構造梁「奥村式ハイブリッド梁構法」を開発し、建築技術性能証明を取得

柱をRC造、梁をS造とするハイブリッド構造は、全てをRC造とする場合に比べて建物の大スパン化と躯体重量軽減の両立を可能とする合理的な構造ですが、柱梁接合部の鉄骨部材加工が煩雑になることが課題でした。そこで、梁の端部をRC造、中央部をS造とする「奥村式ハイブリッド梁構法」を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第21-13号)を取得しました。

本構法を用いることで、柱梁接合部の合理化による施工性の向上及び躯体数量の低減が可能となります。また、従来のハイブリッド構法と併せて、建物の条件や顧客の要求性能に応じた最適な構法を選択できるようになります。今後は、大型物流倉庫や店舗などの設計施工案件で積極的に提案していきます。

 

 (投資開発事業)

研究開発活動は特段行われていません。

 

 (その他)

研究開発活動は特段行われていません。

 

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