研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、創業理念である「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念として、変化する社会やお客様のニーズに対応できる技術開発を、技術研究所を拠点に推進しております。

研究開発活動としては、免震及び制震技術などの高品質・高性能な構造物を実現する技術、ストック活用のためのリニューアル技術、ICTやIoTを活用した施工改善・生産性向上に資する技術の研究開発と商品化に注力しております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は574百万円であります。

当連結会計年度の主要な研究開発活動は以下のとおりであります。なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。

(建築及び土木)
[高品質・高性能な構造物を実現する技術]
(1) 柱RC梁Sハイブリッド構法の改良

柱RC梁Sハイブリッド構法は大型物流施設や商業施設に適した構法で、柱をRC(鉄筋コンクリート造)にすることで、特に価格が高騰している鉄骨の使用量を低減でき、柱・梁ともS(鉄骨造)にした場合に比べ建築費を抑制できる利点があります。当社では本構法の競争力を高めるため、さらなる改良を進めております。当連結会計年度では柱梁接合部分の検証実験を実施しており、翌連結会計年度では、第三者機関による技術認証を取得し、適用物件の拡大を目指してまいります。

 

(2) 免震及び制震技術の高度化

建築物の免震及び制震技術について、設計手法の高度化と当該技術による合理化を目指した研究開発を行っております。その一環として地震時における建物の揺れの大きさをリアルタイムに提供するモニタリングサービスのさらなる高度化を進めております。当連結会計年度では、建物挙動を把握するためのセンサーを設置していない階の、地震時における建物応答の推定手法の調査検討を行いました。翌連結会計年度では、振動模型を用いた検証実験を通じて建物応答推定手法を確立し、地震時のより正確な建物挙動の情報提供を目指しております。

 

(3) 鉄筋コンクリート造壁・床のひび割れ誘発目地工法「CCB工法」の展開

当社では、鉄筋コンクリート造の壁や床に不可避な乾燥収縮によるひび割れを壁や床に設けた目地内で確実に誘発させ、高品質な壁や床を築造する「CCB工法」を開発してきました。当連結会計年度では19物件に採用されております。翌連結会計年度には本工法を発展させた「PRS目地充填工法」について、一般財団法人日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明の取得を目指しております。

 

(4) 環境配慮型コンクリートの開発と適用 

環境配慮型コンクリートには低炭素性と資源循環性のものとがあり、当社ではCO2排出量を最大70%程度まで削減した低炭素性のものと、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを使用した資源循環性の2種類の環境配慮型コンクリートを開発しており、これらを当社の名古屋支店改修プロジェクトに適用いたしました。翌連結会計年度には、土木工事において低炭素性の環境配慮型コンクリートを適用予定であります。今後、環境経営に資する取組として、積極的に適用を推進してまいります。

 

 

[ストック活用のためのリニューアル技術]
(5) 環境配慮型リニューアルReQualityの推進

当連結会計年度の2021年4月に、当社の取組むリニューアル事業の目標として「人間にも地球にも良い循環をつくる」をかかげ、当社のリニューアル事業を『ReQuality』と命名いたしました。『ReQuality』の取組では、自然の力と人の創造力を掛け合わせた独自技術で、自然物と人工物のよりよい循環を生み出すことを目指した環境配慮型リニューアルを推進いたします。そのコンセプトを実現するフラッグシップのプロジェクトとして淺沼組名古屋支店改修プロジェクトを2021年9月に竣工させ社内外に公表いたしました。

翌連結会計年度では環境配慮型リニューアルReQualityに資する技術開発をさらに進化させ、リニューアル事業の受注拡大に繋げたいと考えております。

 

(6) 名古屋支店改修プロジェクトにおけるZEBready認証およびWELL認証

名古屋支店改修プロジェクトでは運用時のエネルギー消費量を旧支店の50%以下に削減する「ZEB ready」を省エネの目標としましたが、建物居住者の健康・快適性を評価する「WELL認証」も併せて取得を目指したため、省エネと快適性の両立の実現をはかりつつZEBready認証を取得いたしました。

WELL認証は、空間のデザインや運用に人間の健康の視点から、より良い居住環境の創造を目指し、アメリカの公益法人IWBI(International WELL Building Institute)が制定し、2014年から運用を開始した評価システムであり、当連結会計年度では、本認証の申請および現地審査の準備を行いました。翌連結会計年度では現地審査を受け、認証取得を目指しております。ZEBready認証およびWELL認証を併せて取得することでリニューアル事業の営業展開に繋げることを目指しております。

 

(7) 補強組積ブロック増設耐震壁による耐震補強工法の適用範囲拡大の開発

補強組積ブロック(RMユニット)を用いた増設耐震壁による耐震補強工法は、在来工法に比べ工期が短く、狭小な場所での施工が容易で、作業騒音が少ないなどの長所があり、これまで着実に施工実績を重ねております。当連結会計年度では、柱に接する開口を設けた増設壁について本工法の適用範囲を拡張し、一般財団法人日本建築総合試験所による建築技術性能証明の改定を行いました。本工法が適用可能な条件を拡大することにより、適用物件のさらなる増大を目指しております。

 

[施工改善・生産性向上に資する技術]

 (8) ICTを用いた品質・生産性向上のための開発

当社での設計・施工におけるBIM(ビルディング インフォメーション モデリング)活用はBIM推進室を中心に、全店的に進めております。技術研究所ではAI(人工知能)を利用した配筋自主検査システムの開発を進めており、当連結会計年度では配筋自主検査システムの試作機を作製し、現場での試験適用を行いました。翌連結会計年度では、本開発を深化させ、現場適用を目指す予定となります。

さらに、当連結会計年度において、建設現場での生産性・安全性の向上、コスト削減等を実現するため、施工ロボットやIoTアプリ等の開発と利用に係るロボティクストランフォーメーション(ロボット変革)の推進を図るべく設立された建設RXコンソーシアムに当社も参画し、活動を開始いたしました。

 

また、「その他」の事業においては、研究開発活動は特段行われておりません。

 

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