課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は「創意革新」「人間尊重」「責任自覚」のもと「夢と若さをもって全員一致協力し、新しい豊かな技術で顧客と社会公共に奉仕することに努め、会社の安定成長と従業員の福祉向上を期する」ことを経営理念とし、これを実践することにより、建設を営む企業として社会的要請に適った建設技術の研鑚に努め、より良質で価値ある社会基盤の構築に貢献することを目指しております。

(2) 経営環境

建設産業におきましては、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」により公共建設投資は堅調に推移すると見込まれますが、民間設備投資については昨今の世界情勢による企業収益の圧迫が懸念され、先行きに不透明感が強まっております。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループでは、中期経営計画“Being a resilient company”の最終年度である2022年度は、レジリエント企業の実現に向けた次のステップにつなげるために、基幹3事業である国内土木、国内建築、海外建設各事業における重点施策を積み残しなく実行し、計画達成に向けて邁進してまいります。

 

■課題解決に向けた主な取り組み

 

◇会社を取り巻く課題への対応

 

●働き方改革への対応

 全ての作業所における週休二日の早期実現に向けて、社員の意識改革やICT施工の高度化のみならず、業界団体を通じた発注者への適正工期の理解促進に着実に取り組んでおります。

(2021年度進捗状況)

・週休二日100%達成に向け、作業所の4週8閉所率は着実に向上

・現場業務の効率化につながるデジタライゼーションツールの早期導入を検討

・日本建設業連合会や日本埋立浚渫協会等を通じ、発注者への適正工期や施工時期平準化の理解促進の取り組み実施

・社員の働き甲斐向上に向けた人事制度改革の検討完了

(2022年度の取り組み)

・遠隔管理ソフト、データベース型の施工情報共有システム等、デジタライゼーションツールの積極導入による現場業務の生産性向上

・発注者へ適正工期や施工時期平準化について継続した働きかけ

・時短に関する教育と指導による意識改革

・改正育児・介護休業法への適切な対応

 

●建設生産体制の維持に向けた取り組み

 建設産業全体の課題である担い手不足の解消に向けて、協力会社と一体となり生産性向上や建設産業の魅力向上を目標とするアクションプランを策定し実行します。

(2021年度進捗状況)

・協力会社が抱える問題・ニーズの把握

・担い手確保、生産性の向上、働き方改革、安定経営、業務支援等13項目の取り組みを掲げたアクションプランの策定完了

(2022年度の取り組み)

・上記のアクションプランを実行

・協力会社が抱える問題・ニーズの継続把握とフォローアップ

 

●人財育成

 当社の経営理念を体現できる次世代の人財を早期に育成します。

(2021年度進捗状況)

・階層別研修、新入社員長期育成プログラムを実施

・年功序列型の職能資格制度の見直しや役割、成果に応じた賃金体系拡充の検討完了

(2022年度の取り組み)

・生産性向上に向けた人事制度改革を実現

・次世代リーダー育成プログラムを検討

・安定的に入職者を確保できる体制を構築

 

●建設資機材価格等の高騰への対応

 新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの寸断やロシア・ウクライナ情勢、さらには急激な円安により、建設産業におきましては、建設資機材価格や輸送価格等の高騰、及び納期遅延が大きな課題となっております。市場コストや為替変動、及び資機材の納期状況に関する最新動向を入手し早期調達や調達先の多様化に取り組むほか、発注者との請負契約において物価スライド条項を定める等の工事採算確保に向けた対策、さらには納期に関する契約条件を明確にする等の契約履行リスクのヘッジを実施してまいります。

 

 

◇社会を取り巻く課題(SDGs)への主な対応

社会課題は成長機会のシーズであり、経営理念の実践(事業活動)を通じ、社会課題の解決に積極的に取り組んでおります。

 

●カーボンニュートラルに向けた取り組み

 洋上風力発電施設に関する事業参画と建設コスト低減の技術開発や、ZEB(Zero Energy Building)の建築技術の確立に積極的に取り組みます。

(2021年度進捗状況)

〔国内土木〕

・洋上風力発電事業の低コスト工法の技術開発を継続

・㈱商船三井と洋上風力発電関連作業船の協業検討に関する覚書を締結

・ケーブル敷設船の建造を発表

・石炭灰およびバイオマス灰等によるCO₂固定・有効活用に関する要素技術を検討

〔国内建築〕

・当社初の設計施工「ZEB Ready」(省エネにより従来の建物で必要なエネルギーを50%以下まで削減)の事務所が完成

(2022年度の取り組み)

〔国内土木〕

・洋上風力発電事業における着床式(マルチバケット)及び浮体式(TLP)の商用化を目指した技術開発

・ケーブル敷設船の設計に着手

・保有作業船にてCO₂発生を軽減させる発電機を導入

・石炭灰処分場でのCO₂固定化技術の実証実験を実施

〔国内建築〕

・ZEB(Zero Energy Building)、ZEH(Zero Energy House)案件に注力

 

●途上国におけるインフラ整備に向けた取り組み

 海外における最重要拠点であるフィリピンを中心に、インドネシア、ケニアといった拠点国のインフラ整備事業に継続的に参画します。

(2021年度の進捗状況)

・フィリピンにおいて河川改修工事を2件受注

(2022年度の取り組み)

・海外事業自体を成長ドライバーと捉え、地域に根差した事業展開を継続

・若手職員やローカルスタッフの人財育成に注力

・当社関係会社の「快適トイレ」を海外現場に展開

・現地ニーズを踏まえ衛生環境の悪い地域に「快適トイレ」の提供を検討

 

●途上国における質の高い就学機会確保に向けた取り組み

 フィリピンとケニアにおいて給付型奨学金制度の設立等を計画しております。

(2021年度の進捗状況)

・フィリピンにおける給付型奨学金制度の設立を計画

(2022年度の取り組み)

・フィリピン、ケニアにおいて特定の大学や高校に給付型奨学金制度を導入

 

 

 

■中期経営計画(2020年度~2022年度)   “Being a resilient company”

●基本方針

レジリエント企業(*)へ変貌するために、基軸(原点)を持ち、

人を育て、問題に向き合い、付加価値生産性を高める

(*)レジリエント企業:ぶれない基軸を持ち、刻々と変化する環境にフレキシブルに対応し、厳しい逆境にも立ち向かうことができる持続可能な企業

●基本戦略

①人財への投資

②生産体制の維持

③付加価値生産性の向上

④海外建設市場における収益力の強化

⑤社会課題の解決による成長

 

●3年後(2023年3月期)達成目標

3年間の連結営業利益合計

300億円

連結営業利益率

6%以上

連結純資産

700億円

連結自己資本比率

45%

連結ROE

10%以上

 

(ご参考)

 中期経営計画の進捗状況

単位:億円

2021年3月期

 

2022年3月期

 

2023年3月期

 

中期経営計画

実績

計画比

 

中期経営計画

実績

計画比

 

中期経営計画

業績予想

 

売上高

 

1,750

1,729

△21

 

1,800

1,525

△275

 

1,770

1,820

国内土木

 

984

1,085

101

 

973

890

△83

 

986

911

国内建築

 

547

485

△62

 

585

435

△150

 

584

662

海外建設

 

211

151

△60

 

235

189

△46

 

192

240

不動産他

 

8

8

0

 

7

8

1

 

8

7

売上総利益

 

173

232

59

 

189

190

1

 

226

203

国内土木

 

108

178

70

 

118

125

7

 

141

132

国内建築

 

44

46

2

 

48

32

△16

 

56

48

海外建設

 

17

2

△15

 

19

27

8

 

22

19

不動産他

 

4

4

0

 

4

5

1

 

5

4

営業利益

 

81

142

61

 

91

96

5

 

128

97

営業利益率

 

4.6%

8.2%

3.6%

 

5.1%

6.3%

1.2%

 

7.2%

5.3%

経常利益

 

77

141

64

 

90

91

1

 

126

96

当期純利益*

 

50

91

41

 

59

58

△1

 

83

65

*親会社株主に帰属する当期純利益

純資産

 

593

658

65

 

636

698

62

 

700

740

自己資本比率

 

42.0%

43.1%

1.1%

 

43.0%

50.2%

7.2%

 

45.0%

ROE

 

8.7%

15.3%

6.6%

 

9.3%

8.9%

△0.4%

 

11.8%

9.1%

※計画値は2020年3月25日に発表した数値

※3年間の連結営業利益合計:333億円(予想)

※連結営業利益の3年間平均: 6.6%(予想)

なお、業績予想につきましては、本資料発表日において入手可能な情報に基づき当社で判断したものであり、実際の業績は様々な要因によって予想値と異なる場合があります。

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