当社で行っている研究開発は、建築設備(空調・換気・給排水衛生・電気・情報)としての居住環境・生産環境・高度情報処理システム並びにプラント設備としての環境保全に関する上下水処理・ごみ処理、産業設備に関する搬送システム・機器などの事業領域を基盤とし、快適環境の創造やサステナビリティ、脱炭素を中心とした新技術の研究開発、保有技術の改良、高品位化や業務の効率化に関する開発を推進しております。
また、子会社においては、特記すべき重要な研究開発活動は行われておりません。
当連結会計年度における研究開発費は
主な研究開発成果は以下のとおりであります。
(建築設備事業)
次世代電池評価向け環境試験設備の開発
電気自動車やモバイル機器の普及にともない、安全性や高エネルギー密度化など性能の大幅向上が期待され技術開発が進む“次世代電池”の評価用向け環境試験設備を開発し、当社のR&Dセンター(神奈川県大和市)で稼働中です。
車両や電子部品などの評価試験が行われる環境試験設備には、広範囲の温度条件の設定が可能であることに加え、それぞれの温度帯で高精度な制御性が求められます。自動車の電動化や自動運転装置の普及、通信分野におけるモバイル機器の高性能化が加速するにつれ、このような環境試験設備は今後、需要の増加が見込まれています。特に車載用電池の評価試験においては、-40~+100℃という非常に広範囲な温度条件が必要とされています。
広範囲な温度条件で室内の発熱負荷が変動する場合、温度制御が不安定になることがあります。従来、求められる温度条件を満たすためには、冷却装置で室内温度より低い温度まで下げ、その後、制御の容易な電気ヒーター等で再加熱制御を行っていました。本開発では高温冷媒(ホットガス)と、フィードフォワードの概念を取り入れた独自のロジック(特許出願中)で制御を行うことで、直膨コイルによる冷却方式でも再加熱用のヒーターを用いずに、最高精度±0.3℃(負荷一定時)の温度制御と約40%の省エネルギーを実現しました。
今後はさらなる高性能化を目指して検証を進めるとともに、オープンイノベーションの場としても積極的に活用してまいります。
(機械システム事業)
縦型搬送仕分装置「リバースソータ」の開発
eコマース物流向けにコンパクトでレイアウトフリーな縦型搬送仕分装置「リバースソータTM」を開発しました。キャリア(コンベヤ台車※)が縦方向に旋回する機構で、約40%の省スペースを実現(当社従来品と比較)しており、余剰スペースを保管や作業場所として有効活用することができます。また、リバースソータは縦方向に循環するため、上下2段に仕分間口を設置することができ、左右も合わせると多くの仕分間口が設置可能です。
さらに、ベルトコンベヤ方式を採用しているため、薄物・袋物・箱物など、さまざまな荷姿・サイズの搬送物に対応でき、1時間当たり最大6,000個を仕分けします。また、ベルトドライブ駆動方式を採用していることで、騒音も低減されます。ユニット化された機器構成のため、工期を従来よりも約30%短縮することが可能です。
※ 搬送物を載せて所定の場所で払い出すベルトコンベヤ方式の台車
(環境システム事業)
海外市場向けDHS※システムの開発
国内の下水処理場における実証事業により、技術的に確立したDHSシステムを海外市場向けに開発しました。日本下水道事業団が実施する「海外向け技術確認」に申請し、タイ王国における技術確認証を取得しました。また、環境省のアジア水環境改善モデル事業を通じて、マレーシア国コタキナバル市の水質改善を目的としたパイロット事業を実施しました。
本システムは、スポンジ状の担体を用いた水処理技術で、従来の下水処理で必要であった「ばっ気」が不要になります。下水処理を担う微生物を固定化したスポンジ状担体に下水を滴下させることで酸素を取り込み、スポンジ状担体に保水されたときに微生物により有機物が分解・除去されます。
東南アジアは下水道が普及していない地域も多いので、本システムの消費電力が少なく、運転管理が容易であるという特長を活かして海外市場開拓を進めていきます。
※ DHS(Down-flow Hanging Sponge):下降流スポンジ状担体(高濃度汚泥を保持し保水性を有する
スポンジ状担体を充填した装置の上部から下水を散水し生物処理を行う)
(不動産事業)
研究開発活動は特段行われておりません。
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