当連結会計年度の研究開発活動は、エネルギーバリューチェーン技術、資源の循環利用技術、生産システムの変革技術と先進的な環境提供技術の開発を活動方針に掲げ、脱炭素社会の実現、地球環境保全、生産性向上・働き方改革、その他多様な顧客ニーズに応える技術と商品の創出に注力してまいりました。
具体的には、再生可能エネルギー・未利用エネルギー利活用技術の開発、資源循環利用技術の開発、現場作業の効率化ツールの開発、高砂熱学イノベーションセンター導入技術の性能向上・検証に取り組んでおります。
特に、脱炭素の推進への寄与が期待される水素エネルギー利用技術を重要開発課題と位置付け、関連する技術開発、事業開発を推進いたしました。
一昨年より運用開始した高砂イノベーションセンターにて、導入した当社独自の空調システムや省・創・蓄エネルギーシステムの継続的な運用改善に取り組みました。その結果、エネルギーの自立性をさらに高めることに成功し、敷地全体でNeary ZEBを達成いたしました。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は、
セグメントごとの主な成果は、次のとおりであります。
(1) 水素エネルギー利用技術
これまで二十年近くにわたり建築設備向け水素利用システム開発で培ってきた技術を基に上市しましたグリーン水素製造用水電解装置は、順調に市場展開しております。北海道石狩市の厚田地区マイクログリッド事業向けに導入を2022年3月に完了し、太陽光発電、二次電池、燃料電池、これらを制御するエネルギーマネジメントシステムと融合させ、環境性と強靭性を兼ね備えた分散型電源系統の構築を実現いたしました。同年4月より当社は運用事業者として石狩市より委託を請け、グリッドのさらなる運用改善に取り組んでまいります。なお、当連結会計年度には本取組みにおいて石狩市と共同で、「NIKKEI脱炭素アワード大賞」を受賞いたしました。また、水素社会実現を加速化することのできる高性能水素製造装置の開発にも引き続き取り組んでおります。さらには、将来の月面経済圏でのビジネス展開可能性に着目し、月面での世界初の水電解による水素製造への挑戦にも継続して取り組んでおります。
(2) 高砂熱学イノベーションセンター
茨城県つくばみらい市に新たな研究開発拠点として「高砂熱学イノベーションセンター」を開設し、2020年3月より運用しています。「地球環境負荷低減と知的生産性向上を両立したサスティナブル建築」を設計コンセプトとし、再生可能エネルギーの積極的活用による「ZEB」の達成やワークスタイルの変革に呼応した多様な執務空間や地域貢献の場の提供を目指してきました。
再生可能エネルギー利用として、太陽光発電200kWに加え、地元茨城県産の木質チップを燃料としたバイオマスガス化発電80kWを導入するとともに、余剰電力を電力会社の系統に逆潮流できないという制約のなか再生可能エネルギーの有効活用のために2021年4月に大規模な蓄電池(蓄電量、約4,200kWh)を増設しました。2年間の運用改善と検証の結果、敷地全体でNearly ZEBを達成するとともに、受電電力量の比率を20%まで下げその電力も水力発電由来のグリーン電力とすることによりカーボンフリーを実現しております。また、地下水とバイオマスガス化発電の排熱を利用したデシカント外調機や天井放射空調パネル、パーソナル端末で操作できる個別空調機により、執務者の健康性や快適性を実現しております。これらの結果は各学協会の報文や、関連雑誌にて発表しており、当連結会計年度には「茨城建築文化賞知事賞」、「日経ニューオフィス賞 関東ニューオフィス奨励賞」を受賞いたしました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、
建物のZEB化とコロナ禍での換気設備需要に対応した製品として、除湿精度の高い冷却除湿型でありながら、低温冷水を必要とせず、冷水製造時の効率が高い高温冷水や再生可能エネルギーである地下水等を主熱源にできる独自のヒートポンプモジュールを組込んだ「低湿度空気供給型外気処理機」を開発し販売を開始いたしました。既に販売されている個別空調用小型パーソナルクーラー「ミニマック」をWEB会議の増加に伴って需要が増加している個別ブースに向けた「ブース用小型空調機」として改良開発および実証試験を実施、2022年度の汎用製品化を目指します。温泉地特有の腐食性ガスを有する環境下でも、これまでより高い耐久性を実現した「温泉地用高耐久型水熱源ヒートポンプ付きファンコイルユニット」の開発に成功し、2022年4月より販売を開始しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、
(その他)
該当事項はありません。
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