業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことなどから新規感染者数が大幅に減少し、景気に持ち直しの動きがみられたものの、オミクロン株による感染急拡大に加え、ロシア・ウクライナ情勢、世界的な資源・エネルギー価格の上昇や円安の進行など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 飼料業界におきましては、主原料のとうもろこし価格が、中国の旺盛な需要やエタノール需要の回復などから期初に急上昇しました。その後、米国産とうもろこしの生産量上方修正や良好な天候予測等で夏場にいったん値を下げたものの、エタノール生産量の増加や小麦・大豆価格の上昇などにより、秋口から上昇に転じた後、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、さらに上昇しました。このような状況を反映して、飼料メーカー各社は、上期に2度値上げした配合飼料価格を10月に値下げ、1月に値上げしましたが、下期は価格改定後に穀物価格が上昇したことや円安が進んだことなどにより、上期と比較して原料ポジションは悪化しました。また、前期に発生して急速に拡大した鳥インフルエンザによる影響が残る中、新たに鳥インフルエンザや豚熱などの疾病が発生するなど厳しい事業環境は続いております。

 このような状況のなか、当社は成長市場でのシェア拡大や高度な提案を実施する畜種別販売戦略、お客様の利益に貢献する差別化飼料の販売を行い、業績の向上に努めてまいりました。また、伊藤忠商事及び伊藤忠飼料との間の資本提携解消及び業務提携変更を行い、8月に当社と伊藤忠飼料の共同出資によるみらい飼料株式会社(以下、「みらい飼料」といいます。)が保有する4工場のうち、3工場を会社分割により分離しました。提携変更の理由は、スピード感に優れる自社一貫生産体制のメリットを最大限に生かしてお客様に貢献し、さらなる成長を目指すためであります。

 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,933億92百万円(前期比6.6%増)、営業利益41億38百万円(前期比23.2%減)、経常利益45億64百万円(前期比20.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益32億11百万円(前期比15.1%減)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は179億52百万円、売上原価は179億52百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ0百万円減少しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 売上高は、連結子会社の株式会社スマックを前期9月に事業譲渡、当期8月に一部の事業を会社分割により分離したことや収益認識会計基準適用による減少要因があったものの、主力の飼料事業が前期を上回ったことなどにより、6.6%の増収となりました。営業利益は、売上総利益率の低下や飼料価格安定基金負担金の増加などにより23.2%の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に特別損失に計上した事業譲渡損がなくなったことなどにより減益幅が縮小し、15.1%の減益となりました。

 セグメント別の業績は 次のとおりであります

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(飼料)

 売上高は、8月に連結子会社のみらい飼料の3工場を分離したものの、平均販売価格が前期を大幅に上回ったため、前期比18.4%増の1,813億33百万円となりました。セグメント利益は、前期比28.6%減の41億40百万円となりましたが、減益の主な要因は以下のとおりであります。

 畜産飼料の販売量は、豚熱の影響で養豚用飼料が減少したものの、成長市場である北海道やブロイラー用飼料、養牛用飼料が増加し、全体では微増となりました。販売量が増加し、前期と比較して原料ポジションが改善したものの、飼料価格安定基金負担金の大幅な増加や価格競争激化による収益性低下などにより、畜産飼料は減益となりました。また、水産飼料は販売量減少に加え、原料高騰による利益率低下などにより、減益となりました。

(その他)

 売上高は、前期比57.2%減の120億59百万円となりました。減収の主な要因は、収益認識会計基準を適用したこと、前期9月に連結子会社を事業譲渡したことであります。セグメント利益は前期比8.6%増の8億79百万円となりました。増益の主な要因は、畜産用機器事業は前期に販売した大型案件の反動により販売台数が減少し減益となったものの、特殊卵、畜産物、有機入り配合肥料の各事業が販売量を伸ばし増益となったためであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、47億41百万円となりました。当連結会計年度における資金の減少は69億95百万円でありました。

各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は24億66百万円(前期は52億81百万円の資金獲得)となりました。主な資金獲得の要因は税金等調整前当期純利益45億77百万円、減価償却費30億73百万円、仕入債務の増加22億50百万円であります。一方、主な資金使用の要因は売上債権の増加61億15百万円、棚卸資産の増加36億96百万円、法人税等の支払額11億50百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は4億68百万円(前期は15億52百万円の資金使用)となりました。主な資金獲得の要因は貸付金の回収による収入3億60百万円、事業譲渡による収入28億1百万円、主な資金使用の要因は固定資産の取得による支出26億79百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は50億28百万円(前期は2億72百万円の資金獲得)となりました。主な資金使用の要因は借入金の減少が純額で29億77百万円、自己株式の取得による支出6億99百万円、配当金の支払額8億99百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

飼料

178,366

118.2

合計

178,366

118.2

(注)1. 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2. 上記以外、その他において肥料の生産がありますが、僅少のため省略しております。

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前期比(%)

金額(百万円)

前期比(%)

その他

2,522

89.0

566

90.8

(注)受注生産を行っているのは畜産用機器のみであります。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

飼料

181,333

118.4

 報告セグメント計

181,333

118.4

その他

12,059

△57.2

合計

193,392

106.6

(注)1. セグメント間の取引は、相殺消去しております。

2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

伊藤忠飼料株式会社

31,398

17.3

24,780

12.81

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は、事業譲渡や収益認識会計基準適用などの減少要因があったものの、主力の飼料事業が前期を上回ったことなどにより、前期比6.6%の増収となりました。営業利益は、畜産用配合飼料における飼料価格安定基金負担金の増加や競争激化による収益性の低下、水産用配合飼料の利益減少などにより、23.2%の減益となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、畜産用配合飼料における原料ポジションがあります。配合飼料は、その飼料原料の90%以上を輸入穀物によって生産しております。穀物相場は、世界的な人口増加や新興国の急速な経済成長による需給バランスの変化や生産国の在庫率、世界経済の動向等により近年大きく変化しております。このように飼料における原料コストは穀物相場によって大きく影響を受けます。また輸入穀物のため為替、船運賃等の動きにも影響を受けます。これらの原料コストの変動に伴う対応として飼料業界では飼料販売価格の改定を四半期毎に行っておりますが、飼料販売価格の変動幅と原料コストの変動幅の乖離によって、原料ポジションが改善したり悪化したりします。また、飼料販売価格の変動による畜産経営への影響を緩和するために、配合飼料価格安定制度があります。同制度により、配合飼料メーカーが負担する飼料価格安定基金負担金の増減が当社の損益に大きく影響を及ぼします。

セグメントごとについては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動の結果使用した資金は24億66百万円、投資活動の結果獲得した資金は4億68百万円となりました。また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備資金を自己資金及び借入により調達することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。なお、現時点では新型コロナウイルス感染症による業績への影響は限定的であると判断しており、新型コロナウイルス感染症は当該見積りに影響を与えておりません。

 

 

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