事業等のリスク

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも事業遂行上のリスクとは捉えていない事項についても、投資者の投資判断上もしくは当社の事業を理解いただく上で重要と考えられる事項は、投資者に対する情報開示の観点から記載しております。また、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項」に記載の通り、取締役会において経営リスクにつき活発な討議を行うことにより、リスクの早期発見及び未然の防止に努めておりますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております 。

なお、本文中における将来に関する事項は本書提出日現在における当社の判断に基づくものであり、不確実性を内在しているため実際の結果と異なる可能性があります。

〔1〕当社グループの事業に関するリスクについて

① 治療費及び症例数について

当社グループは、樹状細胞ワクチン療法を中心としたがん治療等に係る技術・ノウハウを提供し、契約医療機関で実施される治療数に応じて対価を受けとっております。また、参入の準備を行っている細胞加工の製造開発受託業では、製造した樹状細胞ワクチン数に応じた対価を受け取ることとなります。このため、治療費と症例数の動向は当社グループ収益に大きな影響を与える要素となります。

近年、がん治療技術の多様化及び競争環境の激化に伴い、症例数が減少している傾向があります。今後、樹状細胞ワクチン療法をはじめとするがん免疫療法の普及過程において、何らかの理由で治療費が低下し、当社グループが受けとる対価の価格等が見直された場合や、契約医療機関における症例数がさらに減少した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響する可能性があります。

② 競合他社との価格競争について

樹状細胞ワクチン療法をはじめとするがん免疫療法は、その新規性及び成長性から、これに着目した新規参入企業等や既存業者との競争が今後更に激化していく可能性があります。また、当社グループが技術・ノウハウを提供している樹状細胞ワクチン療法は、がん免疫療法の一つに分類され、その中に含まれる他の療法と類似のものとみなされる可能性があります。当社グループとしては、そのような他の療法との差別化に努めてまいりますが、提供サービスの対価に係る価格競争が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

③ 樹状細胞ワクチン療法等に対するイメージの低下について

当社グループが技術・ノウハウを提供している樹状細胞ワクチン療法等は、現時点においては、自由診療で実施されております。自由診療は、厚生労働大臣による治療の安全性・有効性の確認を経ずに行うことが可能であることから、保険診療に比べてその内容は玉石混交の状態となっており、がん免疫療法を提供する一部競合先が十分な品質を維持していない技術・ノウハウまたはサービスを提供すること等により、患者に健康被害が生じたり、関連法令違反を起こしたりする可能性もあります。そのような事態が発生した場合には、樹状細胞ワクチン療法等に対するイメージが低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 市場動向及び需要動向について

当社グループの収益は、がん治療市場の動向、自由診療市場の動向、がん免疫療法市場の動向、ひいては樹状細胞ワクチン療法等に対する需要動向に左右されるものと認識しております。今後、人口の減少、がん予防技術の向上・普及によりがん罹患数の減少が起こった場合や、保険診療での新規がん治療選択肢の拡大により自由診療での治療数が減少、あるいはがん免疫療法領域で樹状細胞ワクチン療法以外の治療が台頭した場合等には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 技術革新について

当社グループの事業対象領域であるがん治療の分野は、技術革新のスピードが速く、新しい治療薬や治療方法の研究開発が盛んに行われております。当社グループの樹状細胞ワクチン療法等も新しい知見をもとに、常に改良を続けていく必要があるとの認識のもとで研究開発を行っておりますが、今後、他社の技術開発が先行し、当社グループが技術革新に遅れをとり、結果として競争力を失った場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

⑥ 品質管理支援体制について

当社グループは樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウを契約医療機関に提供しており、細胞培養は各々の契約医療機関で行われておりますが、細胞加工の製造開発受託業への参入に伴い、当社でも細胞培養を行うこととなります。当社グループでは、契約医療機関に対して、以下について徹底することで、高品質の治療用細胞が培養できるよう支援しております。また、細胞加工の製造開発受託業を開始するにあたっては、当社内においても同様に徹底し、高品質の治療用細胞が培養できるようにいたします。ただし、対応を徹底したとしても、何らかの理由により、契約医療機関または当社で培養する細胞の品質、ひいては提供する医療の質が低下する可能性はあり、その場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 膵臓がんを対象とした樹状細胞ワクチンの治験について

当社グループは、医薬品事業において膵臓がんを対象とした樹状細胞ワクチンの再生医療等製品としての承認取得を目指し、公立大学法人 和歌山県立医科大学と医師主導治験に関する契約を締結しました。同大学は2017年1月9日に治験計画届書を提出し、同年3月より被験者の募集を開始しました。現在は、安全性試験から他施設による検証性試験へと移行していますが、患者の1次登録が2022年3月まで、2次登録が2022年9月までと決まりました。連結子会社テラファーマ株式会社は同治験に治験製品を提供しておりますが、当初の計画より製造販売承認申請するまでの期間についても延長となることから、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔2〕継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、2021年8月6日、社内調査報告書の受領について開示し、また、同年9月27日、追加調査報告書の受領について開示し、さらに、同年9月28日、メキシコ合衆国における新型コロナウイルス感染症に対する治療法開発に関する訂正等について開示しました。その結果、2020年4月27日から2021年2月15日までに行った開示のうち24件において、記載内容の一部またはその全部に事実と異なる内容またはそのおそれがある内容が記載され、上場規則に違反する行為が行われていたことが判明しました。こうした事実は、投資者の投資判断に深刻な影響を与える不適切と認められる開示が行われたものであり、当社グループの内部管理体制等については、情報開示体制にとどまらず、ガバナンスやリスク管理等に関する体制も含め改善の必要性が高いと認められることから、当社株式は株式会社東京証券取引所により特設注意市場銘柄に指定されました。

特設注意市場銘柄の指定により上場継続にも懸念が出ており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

当社グループは、当該状況を解消すべく、営業活動の強化や事業コストの適正化に努めてまいりましたが、前連結会計年度に引き続き当連結会計年度においても、営業損失794,062千円、経常損失792,232千円、親会社株主に帰属する当期純損失948,759千円を計上した結果、当連結会計年度において債務超過には該当しないものの、株主資本合計が167,731千円のマイナスとなっております。

また新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等を考慮し、今後の当社グループの業績見通しについて不確実性が存在すること、また現時点において、事業運営のための十分な資金を確保できていないことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす事象が生じた場合、当社グループの事業展開、設備投資、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは将来、エクイティファイナンスによる資金調達も検討しております。株式市場における調達は、株式の希薄化を生じさせ、株価に影響を与える可能性があります。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。

 

〔3〕特定の取引先・製品・技術等への依存

① 特定の販売先への依存について

当社グループの技術・ノウハウ等の提供先は主に医療機関です。今後、細胞加工の製造開発受託業を開始し新たな医療機関との契約を増やしていく計画ですが、新規契約医療機関の開拓や細胞加工の製造開発受託業の開始の遅れ、既存の契約医療機関の当社グループとの取引方針の変更等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 契約医療機関との契約について

当社グループでは樹状細胞ワクチン療法等の実施に係る提携契約を契約医療機関と締結しており、原則契約期間満了後については、一定期間前までに双方いずれからも別段の意思表示がなければ、自動継続することになっております。しかしながら、各契約医療機関の経営方針の変更や、当社グループに起因する各契約医療機関との契約における解約事項に抵触するような事態の発生等により契約が解除された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 契約医療機関の医師及び培養担当者への依存について

当社グループの収益は、現在は主として契約医療機関において行われる治療行為・細胞培養を基礎としており、治療行為の実施については医師の判断等に依存し、細胞培養は培養技術者の手技に依存することとなります。また、細胞加工の製造開発受託業においても、細胞培養は培養技術者の手技に依存することとなります。今後、契約医療機関において樹状細胞ワクチン療法等に詳しい医師や細胞培養に精通した培養技術者が退職する場合や、当社において細胞培養に精通した培養技術者が退職する場合等、何らかの理由により適切な治療や培養が実施できなくなると、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

④ 知的財産権の侵害について

当社グループが他社の特許等知的財産権を侵害する可能性につきましては、専門家を通じて、技術や特許の調査を行うことで、侵害が生じないよう努めております。しかしながら、技術競争の激しいがん治療分野において当社グループの認識していない特許等知的財産権が成立し、他者の権利に抵触する可能性があります。そのような事案が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 技術・ノウハウの流出について

当社グループは、契約医療機関に対する樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウの提供を主たる収益基盤としております。当社グループは、契約医療機関との間で秘密保持契約を締結し、加えて、契約医療機関と従業員等関係者との間での秘密保持契約締結の徹底についても指導しております。また、機密性の高い書類等の保管・取扱方法についても厳密な取り決めを行っております。そして、細胞加工の製造開発受託業への参入に伴い、当社内においても、担当従業員との間での秘密保持契約締結の徹底や、機密性の高い書類等の保管・取扱方法についての厳密な取り決めを行います。これらに加え、樹状細胞ワクチン療法等に関連する特許の専用実施権や独占使用権等の取得を進め、万が一、当社グループの技術・ノウハウが流出した場合でも、当社グループとの契約が無ければ、同様の療法等が行えないよう対策をとっております。しかしながら、これらの技術・ノウハウが流出した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 権利者から許諾を得られない可能性について

当社グループが技術・ノウハウを提供する樹状細胞ワクチン療法において、WT1ペプチドを人工抗原として用いる場合がありますが、これは、権利者より当該ペプチドの使用に関する独占使用権を得て行っております。今後、権利者の方針変更や、当社グループに起因する契約の解約事項に抵触するような事態の発生等により、権利許諾に係る費用の増加や権利者から許諾を得られなくなった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 研究開発及び研究開発費用について

当社グループでは、樹状細胞ワクチン療法等の臨床効果向上及びその他の中長期的な収益基盤の確立を目指して、グループ内での研究開発を推進するとともに、複数の企業や大学等と共同で様々な研究開発を行っております。今後、共同開発先等の方針変更や研究開発期間の長期化等により、研究開発費用が増大した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔4〕特有の法的規制・取引慣行・経営方針

① 人材の確保・育成等について

当社グループの事業は、その大半が研究者や技術者等の専門性を有する人材に依存しており、OJT等を通じた人材育成に努めております。しかしながら、投資に見合う人材の確保ができない場合、また人材育成が図れない場合には、事業拡大の制約要因となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 法的規制等について

当社グループは創業以来、関係法令に抵触することがないよう慎重にビジネスモデルを構築しており、法令を遵守し事業推進すべく、これらの法律に対しても十分な調査の上、綿密な準備を進めておりますが、当社グループが想定し得ない事象が生じた場合、または、予期せず罰則規定に抵触する事態が生じた場合には、当社グループ及び契約医療機関が、罰則金の支払いや対応コストが発生するのみならず社会的な信用を失うこととなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、関連する法的規制等の変更が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。

 

〔5〕重要な訴訟事件等の発生

当社グループはこれまで、契約医療機関及び契約医療機関の患者やその関係者からの損害賠償の訴訟等を起こされたことはありませんが、今後何らかの理由により、それらが生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その他の取引先等についても同様に、今後何らかの理由により、当社が提訴された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔6〕新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループは、新株予約権の第三者割当契約、また、役員及び従業員等の当社事業に対する貢献意欲及び経営への参画意識を高めるため、新株予約権方式によるストックオプション制度を採用しております。この新株予約権が行使されれば、当社グループの1株当たりの株式価値は希薄化します。また、当社株式の株価次第では、短期的な需給バランスの変動が発生し、株価形成に影響を及ぼす可能性もあります。

 

〔7〕新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報について

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、国内提携クリニックでの患者数の減少や、海外患者の来日が難しくなったために業績に影響を及ぼす可能性があります。2022年末頃までは外出自粛の影響が一定程度あると仮定して会計上の見積りを行っております。なお、将来における実績値に基づく結果が、これらの見積り及び仮定とは異なる場合には、当社の財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

〔8〕その他

① 自然災害等に関するリスクについて

地震等の自然災害等の発生は予測不能ではありますが、自然災害等が発生して当社グループ及び契約医療機関が被害を受けた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

② 新規事業展開について

当社グループは、樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウを契約医療機関へ提供しているほか、細胞加工の製造開発受託業へ参入しましたが、さらなる企業価値向上のため、新たなビジネスモデルの構築、関連事業の推進、海外展開等の新規事業にも積極的に取り組んでおります。事業投資には十分な研究、調査を行っておりますが、市場環境が急速に変化する場合や想定以上に人材の確保、設備の増強等追加的な費用が発生した場合、また大幅に事業計画の進捗が遅れた場合の他、新規事業においては、その事業固有のリスク要因が新たに加わることとなり、これらリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 海外事業のリスク

当社グループは、樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウをアジア地域の国において事業展開を予定しております。すでに台湾においては、Vectorite Biomedical Inc.で当社の樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウを用いたがん治療用細胞加工が実施されています。こうしたアジア地域の国での事業活動には、予期しえない法律の変更、規制強化及び伝染病等による社会的混乱のリスクがあり、これらの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

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