文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日(2022年3月30日)現在において判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、キャンディNo.1企業としてさらなる成長を遂げると共に、事業を通じて社会的課題の解決に貢献してまいります。その実現の為、外部環境の変化が激しく、先行きが不透明・不確実な時代において、当社がこれまで歩んできた道程を確認の上、自分たちの未来への想いを言語化し、2022年2月に新たな企業理念としてパーパス「Sweeten the Future 心がひとつぶ、大きくなる。」を策定し、企業理念体系を再構築いたしました。
糖から未来をつくり、糖の力を引き出すことに挑み続けてきた当社が長年の事業活動で培った技術をさらに進化させることにより、「心がひとつぶ、大きくなる。」瞬間を積み重ね、「人と社会の持続可能な未来に貢献するパーパスドリブン企業」を目指します。
企業理念体系
① 企業理念
「Sweeten the Future 心がひとつぶ、大きくなる。」を、優しい未来へリードする素材の力と機能を追求した商品・サービスで実現する
② クレド(行動指針)
創意工夫: 変化を恐れず、自ら考え、新たな価値をつくり続ける
信義誠実: 誠実な言動を通じて、すべてのステークホルダーからの信頼に応える
百万一心: 多様性や専門性を受け入れ活かし合い、パーパスに向かって社員、会社とともに成長する
当社は、2022年度の経営指標として売上高226億円、営業利益11.4億円、経常利益11.6億円、当期純利益8.2億円を目標としております。
① Kanro Vision 2030
当社は2021年2月に、次期中期経営計画の前提となる羅針盤として「Kanro Vision 2030」を公表し、2030年に売上500億円、営業利益率9%以上、ROIC10%以上を目標に掲げました。また、3つの重点戦略「価値創造」、「ESG経営」、「事業領域の拡大」を定めております。
Kanro Vision2030の全体像
② 中期経営計画
当社は2022年2月、2022~2024年までの3か年の中期経営計画として「中期経営計画2024」を発表いたしました。当中計の位置付けは、パーパスを起点に、長期ビジョン「Kanro Vision 2030」の実現に向けて、2022年からNew Chapter(新章)をスタートさせるというもので、当中計はその1stステップと定めております。
中期経営計画2024は主要財務数値目標として、(イ)中計期間売上高年平均成長率5%以上、(ロ)2024年度営業利益率7%、(ハ)2024年度ROIC7.5%以上を掲げており、「Kanro Vison 2030」の「3つの重点戦略」とそれを支える「人財と組織」につき、以下の施策を推進してまいります。
価値創造
・デジタル起点のイノベーション
データドリブンによるデジタルマーケティングを展開し、生活者のニーズをとらえ、飴離れが進むZ世代 やグローバルを含む新たな顧客価値を創造する。
・研究技術のイノベーション
永年の知見・あらゆるテクノロジーを駆使し、シーズをプロダクトアウトに繋げて新たな商品価値を創出する。サステナブルという観点からも「素材」「機能性」の追求を強化する。
事業領域の拡大
・コア事業
永年向き合ってきたキャンディで生活者にエールを送る。ブランドごとに設定するパーパスを起点に、飴のZ世代との新たな共創を実現し、商品・販売・プロモーションのマーケティングミックスによりグミ市場の成長を捉える(キャンディ市場でのトップシェアを維持・グミのシェアNO.1を目指す)。
・デジタルコマース事業
ヒトツブカンロを足掛かりに事業の基盤を築き健康と笑顔に満ちた未来を目指したEC専用商品・サービスを世界を視野に提供することで事業を拡大する。
・グローバル事業
グローバル化を推進し、カンロクオリティで世界の人々の笑顔あふれる豊かで健やかな生活に貢献する。
・フューチャーデザイン事業
「未来の市場・生活者」に向けて、地球にやさしい、「心がひとつぶ、大きくなる」商品・サービスをデ ザイン、創出する。
ESG経営
・SDGs目標達成に向けた内部体制強化
全社員がサステナビリティへの意識をより一層高め、これまでの取組みを深化させるため、組織横断の「サステナビリティ委員会」を新設し、同委員会による推進体制へ変更する。
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・ガバナンスの強化
TCFD関連含む非財務情報の開示充実を促進する。
人財と組織
・多様な人財の活躍のための環境整備
・エンゲージメントの向上(企業パーパスに基づく自律的経営)
・新型コロナウイルス感染症への対応
新型コロナウイルス感染症の動向が、国内外の経済・社会活動に引続き大きな影響を及ぼすものと想定され、生活者の消費行動の変容への対応とともに、安全安心な商品の安定供給への対応がこれまで以上に求められるものと認識しております。当社としては、商品の安定供給のため、当社3工場については外部者の立ち入りを原則禁止し、工場への出張者と関係事業者等に対して、PCR検査を事前に行うなど、感染防止策を徹底しております。また、全社における情報ネットワークの環境整備を進め、テレワーク等で在宅勤務率を高めることで社員の安全確保に努めております。今後も、新たな生活様式、生活者の意識の変化に適応し、研究技術あるいはデジタル起点のイノベーティブな商品を開発するとともに、上記「(3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載しております中期経営計画の各施策1つ1つに柔軟且つスピード感を持って取組みながら、付加価値を創出し、生活者へ提供してまいります。
・デジタル化への対応
急速に進化しているデジタル化への取組みは、生産性向上と新たな需要・付加価値創出の両面で不可欠であると認識しております。
当社としても、2023年に稼働予定の新基幹システムへの投資を始め、工場におけるIoTへの着手、データドリブンによるマーケティング・販売の推進、加えてコーポレート部門においてもRPA等の業務の効率化に取り組んでおります。これらの全社各部門でのデジタル化への取組みを通じて、経営基盤の強化、新たな顧客価値の創出を図ってまいります。
・原油高、原材料価格の高騰
昨今の原油高、原材料価格の高騰は、生産コストの上昇、原材料の安定調達に大きな影響を及ぼしておりますが、当社としては、コストの削減、デジタル化の推進による効率的な生産等へ継続的に取り組み、本年度は既存商品の価格は原則据え置き、新商品の価格は生産コストと価値観を踏まえた価格設定を行うことで対応していく方針です。
・TPP、日EU EPA及びRCEPの影響
TPP、日EU EPA及びRCEPの発効により、キャンディの輸入関税率は漸次低下・撤廃されることから、輸入品の競争力が高まり、国内キャンディ市場においては、将来国内外メーカーによる一層の競争激化が進むと予想しております。また、人口減少、少子高齢化によりキャンディ市場におけるオーガニックな成長も限定的と想定しております。このような市場環境下、当社としては、主力ブランドは各ブランドごとのパーパスを策定し、生活者に選ばれるさらに強いブランドへの成長を目指すとともに、「素材と機能性を軸」とする特徴ある商品・サービスを生活者に提供することで市場の活性化を図ってまいります。海外市場への輸出を現状の中華圏主体の取引にとどめず、アメリカ・東南アジア等新規開拓先含めて積極的に展開していくことで、海外での需要も取り込んでまいります。
・地球規模での気候変動
地球規模での気候変動は、当社の事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があり、サプライチェーン全体の環境負荷低減は重要な課題の1つであると認識しています。当社は、ESG経営の推進を通じて経営基盤の強化を図るとともに、SDGsにおける5つの領域と事業活動との関連性をより一層意識した施策を実施し、社会課題の解決を図ってまいります。また、全社員がサステナビリティへの意識をより一層高め、これまでの取組みを深化させるため、組織横断の「サステナビリティ委員会」を2022年4月1日に新設し、同委員会によりサステナビリティ活動を推進する体制を整えます。
・コーポレート・ガバナンス
当社は、この度の東証市場再編において、スタンダード市場の条件を充足し、同市場を選択いたしましたが、引続きガバナンス体制の更なる強化を図り、企業価値の更なる向上と持続的な成長を目指しております。新型コロナウイルスを含む感染症に対するBCP(事業継続計画)、直下型地震など自然災害時に備えたBCPの整備、併せてサイバーセキュリティの強化及びサイバーセキュリティリスクに備えた危機管理トレーニングを実施すること等によってリスクマネジメントを推進してまいります。2021年度は新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、取引先企業の経営状況把握に注力するとともに、河川氾濫による水害対策として松本工場の外周に浸水対策擁壁を設置する等の対応策を実施いたしました。
コンプライアンスへの対応は、チーフコンプライアンスオフィサーを委員長とするコンプライアンス委員会を定期的に実施しており、またコンプライアンスに関する各種社内研修を継続的に実施することでコンプライアンス意識の醸成とコンプライアンス対策の強化を図ってまいります。
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