(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度(2020年6月1日から2021年5月31日まで)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令など、経済活動に制限がかかる状況が続いており、ワクチン接種の広がりとともに経済活動の再開に希望があるものの、依然として先行き不透明な状況が続いております。
とりわけ、当社の冷凍洋菓子事業は需要の季節変動が大きく、毎年夏場にあたる第1四半期会計期間の売上高が低い一方で、第3四半期会計期間の12月が最需要期にあたります。
このような経営環境のなか、当社は4つの販売チャネルのそれぞれについて、新規の取引拡大に努めたほか、新たな事業展開としてタイ王国 Srifa Frozen Foods Co.,Ltd.との間で、当社のレシピ・仕様書提供に関する業務提携契約を2020年7月に締結しました。それにより、現地で製造された商品が当社のブランドで、タイ国内のセブン・イレブン全店舗において販売されました。
一方、費用面につきましては、継続して社員の熟練度向上の効果が現れているほか、IoT機器を活用して原材料の歩留まりや製品不良率をリアルタイムで計測および情報収集する等、「製造原価の見える化」を目指すプロジェクトを推進し、売上総損益の改善に努めました。また、緊急事態宣言下により県外への営業自粛や展示会の開催中止が続いたことで、経費支出の抑制に取り組みました。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比べ95,173千円減少し、2,316,994千円となりました。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比べ227,285千円減少し、1,672,850千円となりました。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比べ132,111千円増加し、644,144千円となりました。
当事業年度の経営成績は、売上高は2,158,819千円(前年同期は2,044,184千円、114,634千円の増収、対前年同期比5.6%増)、営業利益は136,632千円(前年同期は65,305千円、71,327千円の増益、対前年同期比109.2%増)、経常利益は119,498千円(前年同期は49,216千円、70,282千円の増益、対前年同期比142.8%増)当期純利益は132,130千円(前年同期は43,459千円、88,671千円の増益、対前年同期比204.0%増)となりました。
なお、当社は冷凍洋菓子事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、販売チャネル別における動向は以下の通りであります。
販売チャネル別の動向
(業務用チャネル)
昨年5月の緊急事態宣言解除後以降は外出を控える傾向や飲食店の休業によって、外食産業・大学生協などの業態で客足が遠のき、厳しい状況が続きましたが、政府によるGo to キャンペーンを転機に客足が徐々に戻り始め、例年並みの水準まで回復しつつあります。しかし、前年並みの回復までには至らず、業務用チャネルの売上高は1,242,849千円と前年同期と比べ106,630千円(7.9%)の減収となりました。
(宅配用チャネル)
コロナ禍以降、自宅での食事へ急速にシフトしていることから、生活協同組合(コープ)で全国的に組合員数が増加傾向にあり、売上は堅調に推移しております。その結果、宅配用チャネルの売上高は731,465千円と前年同期と比べ147,217千円(25.2%)の増収となりました。
(小売用チャネル)
スーパーマーケットにおける季節商品の売上獲得に至らず、小売用チャネルの売上高は22,218千円と前年同期と比べ10,866千円(32.8%)の減収となりました。
(輸出チャネル)
主要な輸出先であります香港及び北米においても国内同様に、外出禁止措置やStay Homeの推奨等の影響からテイク・アウトによる内食需要が伸びており、これまでにない動きが見られました。その結果、輸出チャネルの売上高は149,257千円と前年同期と比べ71,883千円(92.9%)の増収となりました。
(ロイヤリティー)
2020年7月、タイ王国Srifa Frozen Foods Co.,Ltd.との間で業務提携契約を締結後、同社の工場に対して当社のレシピ・仕様書に基づいた技術提供を行っており、現地で製造された商品の販売実績に応じたロイヤリティー収入を受領しております。セブン・イレブンをはじめとする小売店舗等で継続的に採用されたことで、ロイヤリティーによる売上高は13,030千円となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して16,207千円増加し、297,048千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動の結果獲得した資金は248,595千円(前年同期は142,763千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益144,616千円、減価償却費119,105千円及びたな卸資産の減少66,235千円によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は22,830千円(前年同期は9,251千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出22,870千円によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は209,557千円(前年同期は329,024千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出259,645千円、転換社債の償還による支出219,912千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額は、製造原価によっております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載されているとおりであります。財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(売上高)
売上高は、前事業年度に比べ114,634千円増加し、2,158,819千円となりました。これは主に、国内外を問わず、新型コロナウイルス感染拡大を背景とした内食需要の伸張が影響し、宅配チャネル及び輸出チャネルの売上が堅調に推移したことによるものであります。
(営業利益)
営業利益は、前事業年度に比べ71,327千円増加し、136,632千円となりました。これは主に、継続して社員の熟練度向上の効果が現れているほか、IoT機器を活用した製造原価の低減による売上原価の改善が図られたうえ、緊急事態宣言下により県外への営業自粛や展示会の開催中止を背景に、経費支出の抑制に取り組んだことによるものであります。
(経常利益)
経常利益は、前事業年度に比べ70,282千円増加し、119,498千円となりました。これは主に、営業利益の増加によるものであります。
(当期純利益)
当期純利益は、前事業年度に比べ88,671千円増加し、132,130千円となりました。これは主に、営業利益が増加したことに加え、補助金収入によるものであります。
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末と比べ32,318千円減少し、836,789千円となりました。これは主に、売掛金が34,896千円増加したものの、商品及び製品が59,448千円減少したことによるものであります。
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末と比べ62,686千円減少し、1,480,204千円となりました。これは主に、建物の減少48,902千円、機械及び装置の減少19,274千円によるものであります。
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末と比べ398,382千円減少し、422,929千円となりました。これは主に、1年内償還予定の新株予約権付社債の減少219,912千円、短期借入金の減少150,000千円、買掛金の減少66,514千円によるものであります。
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末と比べ171,097千円増加し、1,249,920千円となりました。これは主に、長期借入金が170,900千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比べ132,111千円増加し、644,144千円となりました。これは主に、当期純利益を132,130千円計上したことによるものであります。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2事業等のリスク」をご覧下さい。
当社の主な資金需要は、原材料費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、製造設備の更新・改修等に係る設備投資資金となっており、資金調達については主に金融機関からの借入により行っております。短期運転資金については、主に金融機関からの短期借入金を基本とし、設備投資や長期運転資金については金融機関からの長期借入金を基本としております。
当社が重要業績評価指標と位置付けているEBITDAは255,425千円(前年同期は190,087千円、65,337千円の増加、対前年同期比34.4%増)、EBITDAマージンは11.8%(前年同期は9.3%、2.5ポイント上昇)となりました。
※EBITDA=営業利益+減価償却費等の非現金支出費用
※EBITDAマージン=EBITDA÷売上高
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