当社は、研究開発活動は当社の競争優位の源泉を支えるものであり、この優位性を維持し高めることは経営戦略上の重点課題と捉えております。
「安価でおいしい」、「食の安全の確保」、「安定した大量供給」及び「企画開発から納品までのリードタイムの短縮」など、お客様が当社に要求されるハードルは年々高くなっており、当社はより一層の経営努力を求められております。しかしながら、これらは競合他社との差別化を図り、売上拡大を図る好機と捉え、競争に勝てる研究開発体制の構築に努めてまいりました。
これらを達成するため、次の3つのポイントに重点を置き、研究開発活動を推進してまいりました。
(1) 製品に関する知的財産の蓄積
当社製品は一般のチルド製品と異なり、冷凍保存した後に解凍して食べるところに特徴があるため、解凍しても味を落とさず、そのケーキにあった食感を再現できるという、高い品質が求められます。加えて、安定かつ大量の供給を実現するために、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析重要管理点))に準じた衛生管理及びISO9001並びにFSSC22000に対応した製造工程で一定の品質を確保しつつ、ライン製造で大量生産できることも同時に求められます。このため、原料の配合や製造工程は非常に繊細なものであり、研究開発を通じて得られたノウハウは非常に価値の高いものでありますが、これを属人的なものとせず全社資産として有効活用するために、製品レシピの標準化、生産工程の標準化及びレシピ・ノウハウのデータベース化に継続して取組んでおります。
(2) “企画開発型営業スタイル”の追求と人材の採用及び育成
当社の強みである“企画開発型営業スタイル”を追求するため、開発部門の業務を単なる製品開発に留めず、営業に同行してお客様からニーズを汲取る方法を徹底して行っております。お客様と円滑なコミュニケーションをとることで的確なニーズ把握が可能となり、試作改良及びフィードバックサイクルに要する時間の短縮につながりました。また、企画開発段階から、生産現場と打ち合わせを行うことで、生産効率の向上と、品質の安定を実現することができました。
このように営業、開発、生産が三位一体となって競争力のある製品の企画、開発、生産に取組むことで案件成約率の向上に努めております。
一方で、今後も“企画開発型営業スタイル”の更なる強化と増加傾向にある案件に対応するべく、製品開発に係る人材の採用育成が急務となっており、パティシエとしての専門的知識を有し、製品開発の中核を担える優秀な人材の採用を積極的に進めるとともに、年次を問わず、意欲が高くやる気のある担当者を積極的に案件に参画させ、OJTを通じた人材育成にも取組んでまいりました。今後も継続して人員の増強を行ってまいります。
(3) 新しい分野へのチャレンジ
市場の潜在的需要を開拓するべく、個食タイプ製品の開発、大学等の研究機関・協業事業会社・当社による産学連携を通じた健康、美容、医療用途等の機能性商品など、新しいカテゴリーの商品の開発検討にも取組んでおります。なかには設備投資が必要となるものがあり、時間を要するかもしれませんが、当社はチャレンジを是とする社風であり、これからも将来展望を見据えた製品開発に積極的に取組んでまいります。
以上のように、より魅力ある商品を提供すべくお客様の目線で商品開発に取組み、当事業年度における新製品及びリニューアル品の売上高は1,106,340千円となりました。
これらの結果、当事業年度に要した研究開発費の総額は
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