事業等のリスク

2 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスク及び変動要因は下記のとおりです。当社グループでは、これらのリスク及び変動要因の存在を認識した上で、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)システム開発プロジェクトの採算性について

当社子会社の株式会社CAICAテクノロジーズ(以下、「CAICAテクノロジーズ」といいます。)が請け負うシステム開発では、顧客の要求する機能を実現するために必要な延べ作業時間(作業工数)を受注活動の準備段階で予め見積もり、制作に要するコストを確定させております。しかし、開発作業において何らかのトラブルがあり、予め見積もっていた作業時間を超える作業が発生した場合には、その費用をCAICAテクノロジーズが負担しなければならない場合があります。

 

また、開発途中に仕様変更が生じ、作業工数の増加が生じたものの、その費用負担がCAICAテクノロジーズに求められる場合があります。

さらに、開発したシステムを顧客に納品し、顧客が異常なしと判断して検収が完了したにも関わらず、その後不具合が発生した場合にも、その解消をCAICAテクノロジーズの費用負担で行わなければならない場合があります。

このようなリスクをふまえ、CAICAテクノロジーズでは、契約時における見積もりの精度の向上を図るべく、開発工程(フェーズ)ごとに細かく見積もりを行う等、見積もり作業工数と実際作業工数との乖離が生じないよう採算性には十分留意しております。

 

(2)情報システムの不稼働について

当社グループは、システム開発や情報システムを活用した事業を展開しておりますので、自然災害や事故等によるシステム障害、またはウィルスや外部からのコンピュータ内部への不正侵入による重要データ消失等により長期間にわたり不稼動になった場合には事業を中断せざるを得ず、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクをふまえ、当社グループでは、情報セキュリティ管理規程を定め、個人情報及び業務上取り扱う情報資産を各種の脅威から適切に保護する情報セキュリティポリシーを定義することにより、システムの安定稼働の維持に努めるとともに、セキュリティ強化に努めております。

 

(3)顧客情報の秘密保持について

当社グループは、サービスを提供する過程で、顧客の機密情報などを取り扱うことがあります。万が一、機密情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求または社会的信用失墜等が生じ当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、当社グループはこれらの情報の重要性を認識して、従業員から「機密保持誓約書」を取得するとともに、業務委託先と機密情報保護に関する「機密保持契約」を締結しております。また、CAICAテクノロジーズは、「プライバシーマーク」認証取得企業として、従業員への教育及び監査を通じて社内啓蒙活動を行っています。

 

(4)個人情報の保護に関するリスクについて

当社子会社のカイカ証券及びカイカエクスチェンジでは、サービスの利用にあたり個人情報の登録を求めており、データベースサーバには、氏名、住所、電話番号、メールアドレス等の個人情報がデータとして蓄積されております。

社内管理体制の問題又は社外からの侵入等によりこれらのデータが外部に漏洩した場合、 カイカ証券及びカイカエクスチェンジ への損害賠償請求や信用低下によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、データへアクセスできる人数の制限及び外部侵入防止のためのセキュリティ等の採用によりカイカ証券及びカイカエクスチェンジの管理部門及びシステム部門を中心に漏洩防止を図っております。

 

(5)金融商品取引に関する事業における法的規制等に関する事項

カイカ証券は、金融商品取引事業を営むため、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録等を受けており、金融商品取引法及び同法施行令等の関連法令の適用を受けております。また、金融商品取引法に基づき設置された業界団体である日本証券業協会の定める諸規則の適用を受けております。同社はこれらの法令及び諸規則に則り事業運営を行っており、現時点において法令違反等による行政処分に該当するような事実はないと認識しておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、当社グループの風評、事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(6)自己資本規制比率について

カイカ証券は、第一種金融商品取引業者として、金融商品取引法に基づき、同法に定める自己資本規制比率を120%以上に維持する必要があります。2021年10月31日時点におけるカイカ証券の自己資本規制比率は492.8%となっており、上記の自己資本規制比率の値を上回っております。

しかしながら、法令で定められた自己資本規制比率を維持できなかった場合には、監督官庁による行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)利用者財産の安全管理について

カイカ証券

金融商品取引業者であるカイカ証券は、顧客資産が確実に返還されるよう、顧客から預託を受けた金銭、有価証券について、金融商品取引業者の金銭、有価証券とは区別して管理することが義務付けられております。

① eワラントの分別管理について

顧客の保有するeワラントは海外の保管機関にて混蔵保管しています。顧客の持分は帳簿によって直ちに判別できるよう管理しています。

② 金銭の分別管理について

顧客からの預り金銭は顧客分別金として、カイカ証券の金銭とは区別して信託銀行に信託しています。

 

・カイカエクスチェンジ

カイカエクスチェンジは、顧客からの預り金銭及び暗号資産は、カイカエクスチェンジの金銭及び暗号資産と分別して管理しています。カイカエクスチェンジの分別管理の方法は以下のとおりです。

① 法定通貨

カイカエクスチェンジは、顧客からの預り金銭を、日証金信託銀行株式会社に金銭信託を行う方法により、カイカエクスチェンジの金銭と明確に区分して管理しています。

② 暗号資産

カイカエクスチェンジは、顧客からの預り暗号資産を、インターネット等の外部のネットワークに接続されていないコールドウォレット及び接続されているホットウォレットにて、それぞれ顧客ごとの持ち分がデータ上直ちに判別できる状態で管理しています。カイカエクスチェンジは、顧客からの預り暗号資産の円評価額の95%以上をコールドウォレットに保管するよう営業日ごとに実施しています。また、コールドウォレットからホットウォレットに暗号資産を移動させる際は、複数部署の承認のもと、二人以上で実施しています。なお、暗号資産の分別管理はカイカエクスチェンジで実施しています。

 

カイカ証券及びカイカエクスチェンジは顧客からの預り資産について、金銭信託による保全を行う等、法令に則った管理を行っておりますが、今後、これに違反する事実が発生した場合には行政処分等を受ける可能性があり、その場合は、カイカ証券及びカイカエクスチェンジ並びに当社グループの風評、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)金融商品について

金融商品取引事業においては、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、長期にわたる投資資金は借入、増資及び社債の発行にて調達する方針であります。

また、取引先企業等に対して短期貸付、長期貸付及び社債の引受を行っております。 カバード・ワラント負債は、原資産価格の変動の影響を受けるので、時にはヘッジ取引を行なっても、損失を被ることがあります。

① 信用リスクの管理

カイカ証券は、主な取引先の信用状況を定期的に把握し、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。なお、デリバティブ取引の利用にあたっては、格付の高い金融機関とのみ取引を行う方針であり、信用リスクはほとんどないと認識しております。

 

② カイカ証券における市場リスクの管理

投資有価証券については、定期的に時価や発行体の財務状況等を把握し、また、満期保有目的の債券以外のものについては、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。また金融商品取引事業においては、市場リスクは保有する有価証券・派生商品(デリバティブ)等や外貨預金等の外貨建て資産・負債等に、株価、金利その他価格変動要因及び外国為替相場等など市場全体に共通の要素の変動によって発生し得る損失の危険とその他の理由によって発生し得る損失の危険をあらかじめ定めた限度額の範囲内に収めることでトレーディング部で管理しております。なお、当該限度額は投資・リスク管理委員会において決定し、リスク管理室でモニタリングしております。

③ カイカ証券における資金調達に係る流動性リスクの管理

カイカ証券は、担当部署が資金繰計画を作成するとともに、手元流動性の維持等により流動性の管理を行っております。

 

(9)暗号資産に関する事業における法的規制等に関する事項

当社子会社のカイカエクスチェンジでは、暗号資産交換業者として内閣総理大臣の登録を受け、資金決済法及び関係法令による各種規制並びに金融庁の監督を受けております。また、自主規制機関である一般社団法人日本暗号資産取引業協会(認定資金決済事業者協会)、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会、一般社団法人日本STO協会に加入しており、これらの協会の諸規則にも服しております。同社はこれらの法令及び諸規則に則り事業運営を行っており、現時点において法令違反等による行政処分に該当するような事実はないと認識しておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、当社グループの風評、事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10)暗号資産の運用について

当社及び当社子会社の株式会社カイカキャピタル(旧商号:株式会社Zaif Capital、以下「カイカキャピタル」といいます。)は、暗号資産の運用を行っております。暗号資産運用のリスクとしては、暗号資産の価格変動や、暗号資産市場の混乱等で暗号資産市場において取引ができなくなる、または通常より不利な取引を余儀なくされることによる損失リスクや、暗号資産のデリバティブ取引システムの障害、暗号資産交換所のシステムの障害及び破たん、サーバへの不正アクセスによる盗難等があります。万が一これらのリスクが顕在化した場合には、対応費用の増加、当社グループへの信用の低下等が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 暗号資産交換業について

当社子会社のカイカエクスチェンジは、暗号資産交換業者として金融庁・財務局への登録を行っております。将来的に、法令、税制又は政策の変更等により、暗号資産取引が禁止、制限又は課税の強化等がなされ、暗号資産の保有や取引が制限され、又は現状より不利な取扱いとなる可能性があります(以下、「法令・税制変更リスク」といいます。)。また、外部環境の変化(法令・税制変更リスクを含みます。)、同社にシステムその他の必要なサービスを提供する委託先等の破綻等によって、同社の事業が継続できなくなる可能性があります。これらによる同社の業績変動が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) サイバー攻撃による暗号資産の喪失について

当社子会社のカイカエクスチェンジでは、同社が管理する電子ウォレットにおいて顧客の所有する暗号資産の預託を受けております。また、当社グループでは、国内外の暗号資産交換所を介して電子取引システムを利用する方法による暗号資産に対する投資を行っております。電子ウォレットに対して不正アクセスが行われた場合には、権限のない第三者によりこれらの電子ウォレットに保管される暗号資産が消失させられるとともに、当社グループはこれらの暗号資産を取り戻せない可能性があります。当社グループが保有する暗号資産の消失及び当社グループの顧客の暗号資産の消失により、顧客に対する多額の弁済が生じる可能性があるとともに、当社グループの業績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(13)財務制限条項について

当社連結子会社の主要借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されています。これらに抵触した場合には期限の利益を喪失する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは、当連結会計年度において3期連続で経常損失を計上したことで、当社連結子会社が主要取引金融機関と締結しているシンジケートローン契約の財務制限条項に抵触している状況を回避できておりませんが、取引銀行と緊密な関係を維持していることから、今後も取引銀行より継続的な支援が得られるものと考えており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

このような状況の解消を図るべく、当社グループは、営業赤字からの早期脱却が喫緊の課題であると認識しており、IT金融企業へと変革すべく事業構造の改革を柱とした施策により黒字転換を目指してまいります。

 

(14)投融資について

当社グループでは、今後の事業拡大のために、国内外を問わず設備投資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンスを目的とした事業投資、M&A等を実施する場合があります。

当社グループといたしましては、投融資案件に対しリスク及び回収可能性を十分に事前評価し、投融資を行っておりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予想することは困難な場合があり、今後投資先の業績が悪化し、その純資産が著しく毀損、減少した場合に評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、出資後は定期的なモニタリングを継続実施してまいります。

 

(15)知的財産権への対応について

当社グループにおいて、知的財産権の侵害等による損害賠償・差止請求等を受けた事実はありませんが、将来、顧客または第三者より損害賠償請求及び使用差し止め等の訴えを起こされた場合、あるいは特許権実施に関する対価の支払いが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、当社グループは、顧客または第三者に対する知的財産権を侵害することがないように、細心の注意を払って事業活動を行っております。

 

(16)大規模災害等について

大規模な災害や重大な伝染病が発生した場合には、当社グループが提供するシステムやサービス、事業所、及び従業員が被害を受ける可能性があり、その結果として、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下する恐れがある他、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、行政のガイドラインに準拠した事業継続のための体制整備や防災訓練を実施しております。

 

(17)新型コロナウイルス感染症の影響について

新型コロナウイルス等重大な感染症が長期間にわたり拡大・蔓延した場合、当社グループの事業活動においても影響が生じる懸念があります。CAICAテクノロジーズにおいては、受注に関するリスクとして、顧客における経営状況の変化や情報システムの投資計画の抜本的見直しが行われた場合、CAICAテクノロジーズとの契約が更新されない可能性や顧客の投資意欲が後退し、新たな顧客の獲得が想定通りに進まない可能性があります。生産に関するリスクとしては、CAICAテクノロジーズの従業員は、在宅勤務を推奨する勤務形態であり、顧客が期待する高い品質のサービスを提供できない可能性やコンサルティング、システム開発業務の遅延等が発生する可能性があります。カイカ証券及びカイカエクスチェンジにおいては投資家の投資需要の減少を招く可能性があります。また、セミナー・投資イベントの開催自粛等により収益の減少要因となる可能性があります。

このようなリスクをふまえ、全社に向けた注意喚起を行うとともに、緊急事態宣言の解除後も在宅勤務や時差出勤、Web会議の推奨、セミナー・投資イベントのweb化等による従業員及び取引先の安全確保と、マスクの着用、手洗い、アルコール消毒の徹底、検温等を行い感染拡大防止への対応を徹底し、感染症による影響の低減に努めております。

 

 

(18)調達資金の使途について

当社は、2020年9月のライツ・オファリングにより調達した資金は、予定した資金使途どおりに概ね充当済みであり、残額は採用・教育費用等に充当する予定であります。また、2021年5月の第三者割当による行使価額修正条項付株式会社CAICA第2回新株予約権(停止要請条項付)の発行により調達した資金は、主に暗号資産交換所Zaifの次世代システム開発費等に充当する予定です。しかしながら当社グループが属する業界の環境変化や、これに伴う今後の事業計画の見直し等により、投資による期待どおりの効果が上げられなくなる可能性や、場合によっては充当先の変更が生ずる可能性があります。この場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

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