文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2021年10月1日から2022年9月30日まで)においては、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いたものの、ワクチン接種が進み、行動制限の緩和等により、経済活動は徐々に正常化に向かっていますが、一方で、急激な円安の進行、資源・エネルギー価格の高騰等により、先行きは依然として不透明な状況にあります。
こうした状況の中、当社は、前事業年度より引き続き、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」と「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」による法的枠組みの下、新たなビジネス展開による事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに収益構造の改善に注力しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の長期化により、当社の取引先医療機関における治療患者数の回復が遅れており、依然として厳しい状況にあります。
当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の長期化による取引先医療機関での国内患者数及びインバウンド患者数の低迷が続き、細胞加工数の回復が限定的になったこと等により、売上高は633百万円(前期比7.2%減)となりました。損益面につきましては、売上高の減少等により、売上総利益は127百万円(前期比29.1%減)となり、研究開発費の増加等により販売費及び一般管理費は1,461百万円(前期比15.9%増)となったことにより、営業損失は1,333百万円(前期は営業損失1,080百万円)となりました。また、加工中断収入10百万円、投資事業組合運用益1百万円(前期比99.1%減)、株式交付費7百万円(前期比8.4%増)等の営業外損益により、経常損失は1,314百万円(前期は経常損失870百万円)となり、資産除去債務戻入益66百万円を特別利益に計上したこと等により、当期純損失は1,254百万円(前期は当期純損失843百万円)となりました。
報告セグメント別の業績の概況は、以下のとおりであります。
Ⅰ 細胞加工業
細胞加工業については、細胞加工業の3つのビジネス領域(「特定細胞加工物製造業」・「バリューチェーン事業」・「CDMO事業」)の拡大に向けて積極的な活動を展開しております。当事業年度においては、バリューチェーン事業(再生医療関連サービス)の取引増加によりバリューチェーン事業の売上が拡大したものの、新型コロナウイルス感染症の長期化による取引先医療機関での国内患者数およびインバウンド患者数の低迷が続き、受託する細胞培養加工件数の回復が限定的になったこと等により、売上高は633百万円(前期比7.2%減)となり、売上高の減少に伴う利益の減少に加え、細胞培養加工に係る体制整備費用等の増加により、セグメント損失は232百万円(前期はセグメント損失132百万円)となりました。
Ⅱ 再生医療等製品事業
再生医療等製品事業については、再生医療等製品の開発を加速し、早期の収益化を目指すとともに、国内外で行われている再生医療等製品の開発動向にも注目し、それらのパイプライン取得、拡充を視野に入れた活動を行っております。当事業年度においては、売上高は0百万円(前期比7.2%増)となり、研究開発活動の進展に伴う研究開発費の増加等により、セグメント損失は582百万円(前期はセグメント損失450百万円)となりました。
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて700百万円増加し、6,078百万円となりました。流動資産は4,807百万円と前事業年度末に比べ402百万円増加しており、主な要因は、現金及び預金の増加403百万円です。固定資産は1,270百万円と前事業年度末に比べ297百万円増加しており、主な要因は、投資有価証券の増加319百万円、有形固定資産の減少83百万円、無形固定資産の増加54百万円によるものです。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べて91百万円増加し、566百万円となりました。流動負債は279百万円で前事業年度末に比べて4百万円増加しております。主な要因は、未払金の増加52百万円、未払法人税等の増加7百万円、賞与引当金の増加6百万円、買掛金の増加5百万円、資産除去債務の減少66百万円です。固定負債は286百万円と前事業年度末に比べて86百万円増加しており、主な要因は、繰延税金負債の増加87百万円です。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて609百万円増加し、5,511百万円となりました。主な要因は、新株予約権の行使による資本金809百万円及び資本剰余金809百万円の増加、その他有価証券評価差額金261百万円の増加の一方、当期純損失計上に伴う利益剰余金1,250百万円の減少、新株予約権21百万円の減少によるものです。
この結果、自己資本比率は、前事業年度末の90.8%から90.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ403百万円増加し、当事業年度末には4,499百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動に使用した資金は1,161百万円(前期は974百万円の使用)となりました。
主な増加は、減価償却費105百万円であり、主な減少は、税引前当期純損失1,248百万円、資産除去債務戻入益66百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用した資金は20百万円(前期は344百万円の獲得)となりました。
主な収入は、投資事業組合からの分配による収入30百万円、主な支出は、短期貸付けによる支出15百万円、無形固定資産の取得による支出26百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって獲得した資金は1,584百万円(前期は1,082百万円の獲得)となりました。
収入は、株式の発行による収入1,590百万円であり、主な支出は、リース債務の返済による支出3百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前期比(%) |
細胞加工業(千円) |
633,450 |
92.8 |
再生医療等製品事業(千円) |
221 |
107.2 |
合計(千円) |
633,672 |
92.8 |
(注)1.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
医療法人社団滉志会 |
453,823 |
66.4 |
383,259 |
60.5 |
ヤンセンファーマ株式会社 |
102,699 |
15.0 |
- |
- |
セルソース株式会社 |
- |
- |
107,727 |
17.0 |
2.前事業年度のセルソース株式会社の販売実績及び当事業年度のヤンセンファーマ株式会社の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当社の当事業年度の売上高は633百万円(前期比49百万円減、7.2%減)となりました。
(細胞加工業)
細胞加工業の売上高は、633百万円(前期比49百万円減、7.2%減)となりました。当事業年度の売上高の減少は、新型コロナウイルス感染症の影響により、取引先医療機関でのインバウンド等の患者数の低迷が続いたことが主な要因であります。新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは不透明であることから、既存の細胞加工に加え、新たな細胞加工の拡充やCDMOの展開等に注力し、収益の拡大を図ってまいります。
(再生医療等製品事業)
再生医療等製品事業の売上高は、0.2百万円(前期比7.2%増)となりました。再生医療等製品事業の売上高は、現時点では上市できている再生医療等製品がないため、ライセンス収入に留まっており、再生医療等製品の製造販売に向けて、研究開発投資が先行している状況にあります。
当事業年度の営業損失は1,333百万円(前期は営業損失1,080百万円)となり、前期に比べて252百万円損失が増加しました。これは、売上高の減少等により売上総利益は127百万円(前期比52百万円減、29.1%減)となったことに加え、経費の効率化等により販売費と一般管理費は減少した一方で、研究開発活動の進展に伴う研究開発費の増加等により、販売費及び一般管理費は1,461百万円(前期比199百万円増、15.9%増)となったことによるものです。その内訳は、研究開発費は565百万円(前期比239百万円増、73.5%増)、販売費は112百万円(前期比13百万円減、10.4%減)、一般管理費は783百万円(前期比26百万円減、3.3%減)となりました。
(細胞加工業)
当事業年度においては、前事業年度に引き続き、セグメント利益の計上を目指してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による売上高の減少に加え、細胞培養加工に係る体制整備費用等の増加等により、当事業年度ではセグメント損失232百万円(前期はセグメント損失132百万円)となりました。今後は、多種多様な細胞の培養・加工に対応する製造体制の強化を図り、事業の拡大を図ることにより、早期の黒字回復を目指してまいります。
(再生医療等製品事業)
当事業年度においては、研究開発活動の進展に伴う研究開発費の増加等により、セグメント損失は582百万円(前期はセグメント損失450百万円)となりました。今後は、現在進めている再生医療等製品の開発を加速し、早期の製造販売承認の獲得を目指してまいります。
(財政状態の分析)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて700百万円増加し、6,078百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加403百万円、投資有価証券の増加319百万円、有形固定資産の減少83百万円、無形固定資産の増加54百万円によるものです。
このうち、現金及び預金は主に第18回新株予約権の行使等により増加したものです。
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べて91百万円増加し、566百万円となりました。これは主に未払金の増加52百万円、未払法人税等の増加7百万円、賞与引当金の増加6百万円、買掛金の増加5百万円、資産除去債務の減少66百万円、繰延税金負債の増加87百万円によるものです。このうち、未払金は主に販売費及び一般管理費の増加によるものです。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて609百万円増加し、5,511百万円となりました。これは主に新株予約権の行使による資本金809百万円及び資本剰余金809百万円の増加、その他有価証券評価差額金261百万円の増加の一方、当期純損失計上に伴う利益剰余金1,250百万円の減少、新株予約権21百万円の減少によるものです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金の需要)
当社の資金需要の主なものは、製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用による運転資金と品川CPF等への設備投資及び再生医療等製品の研究開発投資等によるものであります。
(資金の源泉及び資金の流動性)
当社の資金の源泉の主なものは、運転資金については自己資金と金融機関からの借入により、設備投資や研究開発投資については、新株予約権の発行による資金調達であります。
当事業年度末におけるリース債務による有利子負債残高は4百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,499百万円となっております。
資金の流動性については、当事業年度においては、第18回の新株予約権の行使により資金を調達しております。今後も細胞加工の新規顧客の獲得や研究開発の効率化等によりキャッシュ・フローの改善を図り、資金の流動性の確保に努めてまいります。
なお、当面の資金繰りのための資金は十分に確保していると判断しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、会計上の見積りを行うに際しての新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
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