研究開発活動

5【研究開発活動】

当社は、がん免疫療法及び難治性疾患治療のための再生医療等製品についての基礎研究、商業化を目指した技術開発からその臨床応用まで、幅広い研究開発活動を推進しており、マイルストーンに沿った進捗が得られるように管理、運営を図っております。各事業における研究内容は次のとおりであります。

なお、当事業年度における研究開発費は565,224千円であり、2022年9月末日現在、研究開発部門スタッフは総計21名おり、これは総従業員の約16%に当たります。

 

(1)細胞加工業

当事業では、細胞加工に関する技術の改良や様々な再生・細胞医療技術の開発を行っております。

当事業年度においては、再生医療等製品の開発を目的とした製造工程の検討等を実施しました。

なお、当事業年度における細胞加工業に係る研究開発費は29,291千円であります。

 

(2)再生医療等製品事業

当事業では、当社が行っている再生医療等製品の製造販売承認に向けた研究開発・技術開発に加え、国内外の有望な技術等を持つアカデミア等とのアライアンスを推進し、再生医療等製品の開発を加速し、製造販売承認の早期実現を目指しております。

2019年11月に、国立大学法人九州大学(以下、「九州大学」)との間で、慢性心不全治療に用いる再生医療等製品の実用化に向けた共同研究契約を締結し、α-ガラクトシルセラミドをパルスした樹状細胞のナチュラルキラーT細胞の活性化による慢性炎症の制御に基づく新しい慢性心不全治療薬の開発を進めており、医師主導第Ⅱb相試験の開始に向けて当社品川CPFで進めていた治験製品製造体制の確立が完了し、治験届が提出され、治験が開始されました。

自家細胞培養軟骨「MDNT-01」(米国製品名NeoCart®)の開発に関しましては、現在NeoCart®の資産を保有しておりますOcugen社(所在地:米国ペンシルベニア州モルバーン市)は、米国での開発再開を目指して、FDAと承認申請に必要な第Ⅲ相試験プロトコルについて協議を続けていますが、当事業年度中には合意に至っておりません。Ocugen社は、「NeoCart®」による成人の膝軟骨の修復治療に関して、米国FDAよりRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy)の指定を受けたことを発表しました。当社は米国での開発方針が決定された後、国内における自家細胞培養軟骨「MDNT-01」の開発方針を決定する予定です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く状況下において、当社では、自社特許技術であるゾレドロン酸感作樹状細胞を新型コロナワクチン開発に応用できないかと考え、2020年8月に国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、「国立がん研究センター」)と、新型コロナウイルス感染症の予防を目的としたSARS-CoV-2抗原パルス自家樹状細胞ワクチンの開発に向けた共同研究開発契約を締結し、現在非臨床試験を実施しております。

また、2019年10月に国立がん研究センターと締結いたしました、がん抗原タンパク質の1つであるHeat Shock Protein 105 (HSP105)に関連した新たながん免疫療法の実用化に向けた共同研究契約に基づき、研究員を国立がん研究センターに派遣し共同研究を推進しております。

加えて、2019年10月に京都府公立大学法人京都府立医科大学と自己中和抗体産生に起因する病態を対象とした、新しいキメラ受容体(B細胞抗体受容体:BARと呼びます)を遺伝子導入した免疫細胞(BAR-T細胞)による特異的B細胞除去法の実用化に向けた共同研究契約を締結し、BAR-T細胞の開発の可能性を検討するため非臨床薬効薬理試験を実施しております。

当社は、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科に免疫再生制御学共同研究講座を設け免疫細胞に関する研究を行ってまいりました。その研究成果である「糖鎖修飾・代謝制御による免疫細胞の新規培養技術によるリンパ球(2-DGリンパ球)」のヒトでの安全性及び有効性を検討する臨床研究を医療法人社団滉志会(以下、「滉志会」)と行っております。また、本技術で培養される免疫細胞は免疫細胞療法に望ましい特徴を有しており、CAR-T細胞への応用の可能性についても検討しております。

2020年12月に滉志会と、先制医療(病気の発生を未然に防ぐことを目的に、様々な背景因子等による予測・診断を踏まえ、症状や障害が起こる以前の段階から実施する医療)としての免疫細胞治療の有用性を適切に評価するために、免疫細胞投与前後で種々の免疫パラメーターがどのように変化するかを検討する臨床研究を実施しております。現在、被験者への免疫細胞投与が完了し、中間解析を行っております。今後、本共同研究で得られるがん予防、感染症予防、健康長寿に関する評価指標を活用し、先制医療における免疫細胞療法の有用性の確立に向けて研究を進める予定です。

岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科二見教授が開発された血液中の自己抗体を高感度で検出できる技術、MUSCAT Assay (Multiple S-cationized antigen beads array assay)に関して、共同で医療分野、特に腫瘍免疫学分野への応用を検討しております。多種多様で個人差が大きい「がん抗原」に対する自己抗体を網羅的に測定することにより、腫瘍免疫応答の活性化を高感度に定量評価し、免疫療法の効果予測が可能な抗体検査診断薬の開発を目指し共同研究を行っております。

なお、当事業年度における再生医療等製品事業に係る研究開発費は535,932千円であります。

 

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