業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ワクチン接種の進展等により経済社会活動が持ち直しの動きを見せたものの、ウクライナ情勢等に起因する地政学リスクの高まりにより、世界的な経済活動の停滞が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、超高齢社会を背景に今後サービスに対する需要の増加が予想されております。その一方で、生産年齢人口の減少とともに人材の確保がより一層厳しさを増しているものの、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき、介護職員の収入を3%程度(月額 9,000 円相当)引き上げるための措置として2022年2月より介護職員処遇改善支援補助金が交付されるなど、国の政策は追い風となっております。また、新型コロナウイルス感染症に対してはお客様、従業員及びその家族の安全確保、感染予防、感染拡大防止対策を講じ、事業継続に向けた対策を徹底してまいりました。

当社グループは、介護サービスの領域におけるお客様の多様なニーズに対応した付加価値の高いサービス・商品を幅広く提供しております。このような事業展開により、感染拡大・再拡大下においては、訪問介護や訪問看護等の訪問系サービスが堅調に推移いたしました。施設系サービスでは特にデイサービスを中心に感染症予防のための利用控え等の影響を色濃く受けました。集客面では夏場の第5波及び冬場の第6波といった感染の波に連動するような形でアップダウンする期となりましたが、前期及び当期において新規開設した拠点の貢献や11月に株式会社福祉の里を連結子会社化したこともあり、売上高は488億76百万円(前年同期比6.5%増)となりました。

費用面においては、仕入れや外注派遣費等の低減が進んだ一方で、新規開設等に伴う人件費や採用費といった人的投資に関わる費用に加えて、従業員に対して特別勤務手当や休業補償、見舞金の支給などの感染拡大下のなかでサービス提供を継続するための環境整備を積極的に実施したことで人件費が増加しました。また主に、セグメントに帰属しない本社部門において、移動等の物理的な活動費は引き続き抑制されたほか、事務所の一部解約(サテライトオフィスの活用)による固定費の削減等、リモート環境の推進による効果も出ており、この結果、営業利益は28億65百万円(同2.1%増)、経常利益は28億17百万円(同1.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前第3四半期において特別損失に計上した新型コロナウイルスに関する従業員へのお見舞金及び投資有価証券評価損の反動もあり、18億36百万円(同23.6%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これによる重要な影響はありません。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご覧ください。

 

当連結会計年度におけるセグメントの業績を示すと、次のとおりであります(セグメント間取引を含む)。

 

・介護サービス事業

訪問系サービスにおいては、主に訪問介護でコロナ禍を背景としたご自宅でのサービス利用の需要を取り込み、お客様数が増加したことにより増収増益となりました。また、訪問看護は既存拠点の堅調な成長に加え、当期に開設した拠点の貢献により、売上が増加しております。一方で訪問入浴は、集客が進み増収となったものの、売上に占める人件費が増加したこと等で減益となりました。

施設系サービスにおいては、デイサービスで10月以降は一旦は回復基調となったものの、その後も新型コロナウイルス感染症予防のための利用控え等の影響により減収となり、人件費を吸収できなかったこと等で減益となりました。看護小規模多機能型居宅介護では、前期8ヶ所の開設に加えて、今期も8ヶ所を開設するなど積極的に規模拡大を進めたことで売上を大きく伸ばしております。一方で前期の開設拠点が利益貢献したものの、既存拠点や今期開設拠点における費用の増加などにより増収減益となりました。

その他、11月に株式会社福祉の里が連結子会社になったことも業績に寄与いたしました。これらの結果、売上高は477億85百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は21億38百万円(同2.3%減)となりました。

 

・その他

その他においては、ケアボット株式会社の介護ロボット販売事業では販売が堅調に推移した一方、費用が増加し利益が減少しました。また、セントワークス株式会社における介護保険ASPシステムの販売事業で費用が増加し利益が減少しました。その結果、売上高は15億1百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は78百万円(同34.4%減)となりました。

 

また、当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億80百万円増加し274億91百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ74百万円増加し138億36百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億6百万円増加し136億55百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益27億60百 万円等の営業活動による収入があった一方で有形固定資産の取得による支出長期借入金の返済による支出等に より前連結会計年度末に比べ1億77百万円減少し、当連結会計年度末には56億5百万円となりました。

 

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、25億70百万円(前年同期比12.7%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益27億60百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は、16億8百万円(同132.6%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出13億29百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4億68百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果使用した資金は、11億38百万円(同11億36百万円増)となりました。これは主に長期借入れによる収入5億円があった一方で、長期借入金の返済による支出8億26百万円、配当金の支払3億99百万円によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

介護サービス事業

1,527,267

106.2

その他

148,774

115.6

合計

1,676,042

107.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は仕入価格によっております。

 

c.受注実績

該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

介護サービス事業

47,782,332

106.6

その他

1,094,472

102.6

合計

48,876,805

106.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

千葉県国民健康保険団体連合会

5,970,541

13.0

6,096,220

12.5

神奈川県国民健康保険団体連合会

5,044,597

11.0

5,156,939

10.6

東京都国民健康保険団体連合会

4,432,022

9.7

4,600,225

9.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、売上高は488億76百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は28億65百万円(同2.1%増)、経常利益は28億17百万円(同1.2%増)及び親会社株主に帰属する当期純利益は18億36百万円(同23.6%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります(セグメント間取引を含まない)。

・介護サービス事業

各サービスの売上高では、施設系サービスにおいては、前期8ヶ所の開設に加えて、今期も8ヶ所を開設した看護小規模多機能型居宅介護(2022年3月末時点43ヶ所)において7億20百万円、小規模多機能型居宅介護(同45ヶ所)において1億58百万円、お客様数の増加によりそれぞれ増収となりました。また、訪問系サービスにおいては、当期9ヶ所を開設した訪問看護(同103ヶ所)において集客が進み4億26百万円の増収となったほか、訪問介護においても各種加算を取得したことなどにより、7億円の増収となりました。

利益面では、訪問系サービスにおいては、11月に株式会社福祉の里が連結子会社となったことによる利益貢献があった一方で、訪問入浴の内部体制強化に伴う人件費の増加などがありました。施設系サービスにおいては、前期に開設した看護小規模多機能型居宅介護・小規模多機能型居宅介護が利益貢献した一方で、既存拠点やデイサービスを中心に新型コロナウイルス感染症による利用控えの影響を受けたほか、新規開設拠点の費用負担などがあった結果、減益となりました。

 

・その他

セントワークス株式会社における介護保険ASPシステムの販売事業で販売数が増加し、ケアボット株式会社の介護ロボット販売事業が堅調に推移したことで、売上高は27百万円増加しております。

 

計画に対する状況としては、売上高の計画に対する達成率は99.7%、営業利益の計画に対する達成率は92.5%、経常利益の計画に対する達成率は93.2%、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成率は94.7%となりました。

 

②財政状態の分析

当社は、今後展開する事業活動のための資金確保を前提とした、健全なバランスシートの維持に努めることを財務方針としております。

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末(以下「前期末」という)より14億80百万円(前期末比5.7%)増加し、274億91百万円となりました。

流動資産は、前期末より7億11百万円(同5.3%)増加し、141億25百万円となりました。増加の主な要因としては、売掛金が7億46百万円(同11.2%)増加したことによるものであります。

固定資産は、前期末より7億68百万円(同6.1%)増加し、133億65百万円となりました。増加の主な要因としては、有形固定資産の内、リース資産が2億13百万円(同7.1%)減少した一方で、建設仮勘定が3億99百万円(前期末は30百万円)、建物及び構築物が2億40百万円(同6.0%)、土地が1億3百万円(同18.2%)、無形固定資産の内、のれんが2億51百万円(同126.2%)増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の負債は前期末より74百万円(同0.5%)増加し、138億36百万円となりました。

流動負債は、前期末より1億33百万円(同1.9%)増加し、70億84百万円となりました。増加の主な要因としては、賞与引当金が1億63百万円(同13.4%)増加したことによるものであります。

固定負債は、前期末より59百万円(同0.9%)減少し、67億51百万円となりました。減少の主な要因としては、退職給付に係る負債が2億73百万円(同18.7%)増加した一方で、長期借入金が2億27百万円(同13.1%)、リース債務が1億89百万円(同5.7%)減少したことによるものであります。

当連結会計年度末の純資産は前期末より14億6百万円(同11.5%)増加し、136億55百万円となりました。増加の主な要因としては、利益剰余金が14億37百万円(同16.4%)増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

a.資金需要

新規事業所の開設に伴う建物やソフトウェア等の取得を中心とした設備投資や運転資金、借入金の返済、利息の支払い、配当金の支払い及び法人税の支払い等に充当しております。

b.資金の源泉

主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入により、必要とする資金を調達しております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により不確実性が高まっていることから、売掛債権流動化、当座貸越契約及びコミットメントライン契約による手元流動性と資金調達枠の確保に努めております。なお、当座貸越契約及びコミットメントライン契約に係る当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり必要な見積りについては、合理的な基準に基づき実施しております。

特に、固定資産の減損損失及び繰延税金資産の回収可能性については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

 

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