事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)介護保険制度について

当社グループの主要な事業であります介護サービス事業のうち、介護保険法上の訪問介護、訪問入浴介護、居宅介護支援、訪問看護、福祉用具貸与・販売、通所介護(デイサービス)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム)、短期入所生活介護(ショートステイ)、看護小規模多機能型居宅介護等のサービスが、当社グループの連結売上高の大部分を占めるため、当社グループの事業は介護保険法の影響を強く受けることとなり、次のようなリスクがあります。

①  法的規制について

介護保険法に基づく介護サービスを行うには、事業所としての指定を都道府県知事等から受ける必要があります。指定を受けた事業所は、サービス毎に定められた事業の人員、設備及び運営に関する基準、並びに労働法規(労働基準法及び最低賃金法等)を遵守する必要があります。この基準及び労働法規を遵守することができなかった場合やサービス費を不正に請求した場合などにおいては、指定の取消又は停止処分を受ける可能性があります。

また、事業所の指定取消処分がなされ、その理由となった不正行為に対して事業者(法人)の組織的関与が認められた場合、当該事業者及びそのグループ会社(当該事業者の親会社、子会社、兄弟会社)は、同一のサービス類型の他事業所について新規指定や更新を受けることができないものとされております(連座制)。なお、指定事業所としての指定は6年ごとに更新を受けなければ効力を失うものとされております。

当社グループでは、介護サービスを提供する子会社各社において、選任された法令遵守責任者を中心とした業務管理体制の中で事業所の運営体制を常時指導・監督するとともに、当社品質管理部を中心として、各種マニュアルの整備及び研修を充実させることで管理体制の強化や教育の徹底を行い、適切な事業経営に努めております。また、当社人事部を中心として、研修・指導を実施することで各事業所における労働法規の遵守に努めております。

なお、当該リスクが顕現する可能性については、近年において軽微な指導や自主的な過誤調整などが発生しているものの、指定の取消又は停止処分を受ける事案は発生しておりません。しかし万一、一部の事業所において指定の取消又は停止処分を受けた場合には、当該事業所の収益を失う可能性があります。さらに、連座制が適用された場合には、当該子会社及びグループ各社における当該サービス類型の事業所の新規指定及び更新を受けられず、計画している収益を達成できない可能性があります。

②  介護保険制度の改正について

介護保険法については、定期的に法律全般に関する検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等が行われるとともに、概ね3年に1度介護報酬の改定が行われることとされております。2021年4月に行われた介護報酬改定では、全体として0.70%のプラス改定となっており、引き続き給付の適正化が行われる一方で、介護サービス事業者として感染症等への対応力強化やICT化の促進が求められるなど、メリハリある改定内容となっております。

介護サービスに係る単位数、地域区分による一単位の単価及び一人当たりの支給限度額等については、介護保険法及びその他の省令により定められているため、その変更等は当社グループの収益性に影響を与える可能性があります。さらに、高齢化の進展に伴い年金・医療・介護等の社会保障財政上の課題が生じ、お客様や介護サービス事業者にとって不利となるような制度の見直しが行われた場合には、お客様数や売上単価の減少によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループでは、多様なサービスアイテムを揃えることで地域性やお客様ニーズの変化に対応していく方針のもと、引き続き制度改正に対して広く情報収集に努め、柔軟に対応してまいります。

 

(2)有資格者の確保について

当社グループがお客様に提供するほとんどの介護サービスについては、看護師・介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護福祉士・実務者研修修了者等の有資格者によるサービスが義務付けられております。

当社グループでは、給与や待遇の改善により労働環境の改善を図り、有資格者の採用を強化すると同時に、実務経験に応じた段階的な技術向上を図り資格の取得を推奨するなど、有資格者の確保に努めております。

しかし、いずれの職種においても同業他社及び医療機関等と雇用関係で継続的に競合しているため、今後有資格者の確保が思うように進まない場合、当社グループの事業の維持、拡大に影響を与える可能性があります。

(3)安全管理及び健康管理について

当社グループの提供する介護サービス事業のお客様は主に要介護認定を受けた高齢者を対象としており、お客様の転倒事故の発生や状態急変といった体調悪化の危険が高いものと考えられます。また、新型コロナウイルス等の感染症等がお客様やスタッフにおいて生じた場合には、状況に応じて当社グループの判断や自治体からの要請によりサービスの縮小や休止となる状況が生じるおそれがあります。

当社グループは、介護サービス手順のマニュアルによる標準化や社内研修の充実により、事故の発生防止や感染症の感染・拡大の防止、お客様の状態急変等の緊急時対策について積極的に取り組んでおり、緊急時には当社において対策本部を立ち上げ、グループの状況を把握・指示できる体制をとっております。しかし万一、サービス提供時に重大な事故等が発生し、又は感染症が拡大し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

(4)災害等発生時の対応について

グループホームや有料老人ホーム等の介護施設において地震・洪水等の災害や火災が発生した場合、入居されているお客様は主に要介護認定を受けた高齢者であるため、避難が困難となる危険性を有しております。

当社グループでは、お客様が宿泊される全ての施設においてスプリンクラーを設置しております。また、防災マニュアルを作成し周知徹底するほか、防火管理者等を選任し避難訓練や防火訓練を実施する等火災の予防や被害発生の最小化に努めております。2021年4月の介護報酬改定では、2024年3月31日までに各事業所における「感染症や自然災害発生時の事業継続計画」の策定が義務付けられており、当社グループでは2023年3月期中に計画を策定し、自然災害が発生した場合においても、必要なサービスが継続的に提供でき、早期に復旧ができる体制を整備してまいります。

しかし、万一災害等が発生し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

(5)お客様の情報管理について

当社グループが提供しているサービスは主にお客様個人を対象としているため、当社グループのスタッフは、お客様本人の個人情報はもちろん、そのご家族等を含めた様々な個人情報に日々接することになります。これらの情報は、その機密保持について十分な配慮をしなければならないと認識しております。

当社グループでは、個人情報の管理方法についての教育研修を定期的に実施するほか各種マニュアルを整備するなど、様々な機会でその重要性を周知徹底しておりますが、万一情報管理上の問題が発生した場合、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)コンプライアンスについて

当社グループは、社会的信用が企業価値に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループでは、コンプライアンスの徹底による社会的信用の構築を図るため、コンプライアンス推進の方針を定め、教育研修を行うなどにより、事業の適切性や運営の透明性維持を図り、従業員のコンプライアンスに対する意識の啓蒙・強化に努めております。また、内部統制委員会を設け、内部統制体制及びコンプライアンス体制の検証を行い、改善に努めております。

また、コンプライアンス違反の早期発見・是正を図るために、従業員から通報・相談を受け付ける内部通報窓口を整備しております。

しかし、万一コンプライアンスに反する事態が発生した場合などには、当社グループへの社会的信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

(7)環境問題への対応について

今後の気候変動に伴い自然災害の激甚化や環境に対する法的規制の強化等により、想定以上の対策コストや関連する費用が生じた場合、当社グループの事業や業績、財務状況に影響が生じる可能性があります。

当社グループにおいては、この可能性を最小限に留めるとともに、気候変動への取り組みを持続可能性の確保及び中長期的な企業価値向上のための重要な課題として認識し、気候変動に関するガバナンスを整備、強化し、リスクを管理してまいります。

また、今後、外部専門家の知見を活用し気候変動がおよぼす当社グループの財務的な影響について国際的に確立された枠組みに基づいた情報の開示に取り組む考えにあります。

 

①  ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ基本方針を定め、それに基づき2022年4月に代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を発足させております。当委員会では、気候変動への対応をその重要な課題のひとつとして位置づけ、課題に対する目標設定・進捗状況をモニタリング、評価し管理してまいります。この活動状況はガバナンス委員会を経て取締役会に報告されることとなっております。

②  リスク管理

当社グループにおいては、内部統制担当役員のもと内部統制委員会を通し内部統制の推進、リスク管理及びコンプライアンス体制の整備に取り組んでおります。リスク管理においては、管理本部、品質企画本部等がそれぞれの所管領域においてリスクの識別、評価、管理を行うと共に、その状況について定期的に取締役会への報告がなされております。

事業の安定的な運営の観点から、大規模な自然災害発生時への対応として事業継続計画(BCP)を策定し、それに基づいて体制等の整備が進められておりますが、今後におきましてはサステナビリティ委員会が中心となって気候変動関連リスクを当社グループのリスクマネジメントへの織り込みをはかり取り組みを強化してまいります。

 

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