当事業年度における日本経済は、ワクチン接種をはじめとした新型コロナウイルス感染拡大に対する防止策が講じられるなか、経済社会活動の正常化が進み、緩やかな景気回復傾向が見られたものの、ウクライナ情勢の長期化や変異株の感染拡大など、依然として先行きは極めて不透明な状況で推移しました。
当社事業が中心的に関わる一般消費財流通業界においては、一部の感染症対策関連商品で前年の特需への反動が見られましたが、消費者の衛生に対する意識は高く、底堅く推移しました。また、化粧品やOTC医薬品の一部については、コロナ禍における需要減少の影響が残るものの、消費者の生活習慣がコロナ禍初期より変わってきており、市場は前年をやや上回りました。一方、コロナワクチンの副反応対策として解熱鎮痛剤に特需がみられたことに加え、在宅時間の増加により、自宅で快適に過ごすための高機能商品やペット関連商品の需要が増えたことなどから、全体としての需要は、引き続き堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社は継続して感染予防策をとるとともに、「プラネット ビジョン2025」に基づき、中立的な立場で「企業間取引における業務効率の追求」「企業間におけるコミュニケーションの活性化」「流通における情報活用の推進」「社会に役立つ情報の収集と発信」を行うことで業界と社会に貢献すべく各施策への取り組みを継続しました。
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて454,078千円増加し、6,273,752千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて125,831千円増加し、1,112,483千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて328,247千円増加し、5,161,268千円となりました。
当事業年度の経営成績は、主に「基幹EDI」と「販売レポートサービス」の売上増加に支えられ、3,130,947千円(前期比2.1%増)となりました。一方、売上原価は、運用業務のアウトソーシングに伴う費用などが増加したものの、全体としては前期並みに抑えることができたことにより、1,055,482千円(前期比0.7%減)、販売費及び一般管理費は、研究開発費や業務委託費などの増加により、1,369,995千円(前期比5.5%増)となりました。その結果、営業利益は705,468千円(前期比0.0%増)、経常利益は732,199千円(前期比0.8%増)となりました。当期純利益は投資有価証券売却益などの計上により、526,116千円(前期比5.6%増)となりました。
プラネットの事業部門は、基幹系サービスである「EDI事業」と、情報系サービスである「データベース事業」「その他事業」から構成されております。
事業部門別の業績を示すと、次のとおりであります。
(EDI事業)
日用品・化粧品、ペットフード・ペット用品、OTC医薬品(一般用医薬品)に加え、健康食品や介護用品などの隣接した各業界において、メーカー・卸売業間の「基幹EDI」サービスのさらなる普及活動を継続しました。
また、業界のオンライン取引の一層の推進を図るべく、主に中小メーカー・大手卸売業間の「Web受注-仕入通信サービス『MITEOS(ミテオス)』」や、卸売業の販売実績をメーカーに通知する「販売データ」を簡易に利用できる「販売レポートサービス」の普及活動に注力しました。コロナ禍で直接訪問による営業活動の機会は減少しましたが、Web会議形式や動画活用による営業活動の定着を図り、顧客の獲得・維持に努めました。販売データ活用セミナーや、2023年10月1日から施行される消費税の適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)への準備に関するセミナーなど、Webセミナーを中心にユーザーに役立つ情報の提供に努めました。
さらに、一般消費財流通業界の物流業務に関する課題解決策として当社のEDIサービスを提供し、メーカー・卸売業間のシステム標準化・効率化を進めております。この活動の一環として、2022年1月に、公益財団法人流通経済研究所とともに『日用品における物流標準化ガイドライン』を取りまとめました。物流業務の課題解決にはシステム対応だけでなく外装表示や荷姿の標準化も必要なことから、基本的な指針をガイドラインとしてまとめたものです。
これらの結果、利用企業数の増加、データ種類の利用拡大等によるEDI通信処理データ量の増加、販売レポートサービスの利用拡大に支えられ、売上高は2,874,629千円(前期比2.4%の増)となりました。
(データベース事業)
各データベースサービスの付加価値向上のための取り組みを継続しました。
小売業の店舗や、卸売業の支店・物流センターなどを示す「標準取引先コード」を蓄積した「取引先データベース」のシステムリニューアルを行いました。検索画面の検索機能強化や照会結果一覧画面の追加など、操作性を高めたり、これまでユーザーからの要望が多かった機能を取り入れたりし、利便性の向上を図りました。
また、販売促進に関する様々な情報を発信したいメーカー担当者と、卸売業・小売業担当者とをつなぐマッチングサービス「THE PRODUCT TIMES(ザ プロダクト タイムズ、TPT)」は、ユーザー獲得に向けた普及活動を行いましたが、十分なユーザーが獲得できなかったため、TPTサービスとして提供するのではなく、開発した機能をデータベース事業の中で有効活用することとしました。
これらの結果、売上高は251,357千円(前期比0.4%増)となりました。
(その他事業)
AI・ビッグデータ活用の調査研究、そして開発への取り組みを継続しました。
また、2022年3月には、株式会社True Dataと「POSデータクレンジングサービス」について業務提携することを発表しました。両社がこれまで培ってきた機能やノウハウを組み合わせることで、幅広い企業に対して、データ標準化・フォーマット交換・データ連携などの作業をワンストップで代行できる強いソリューションの提供を目指し、新たなサービスの提供に向けた共同研究や開発を進めています。
なお、「バイヤーズネット」上で提供してきたバイヤーズルームなどのサービスについては、ビジネス環境の変化に伴い、その役割を終えたと判断し終了しました。
これらの結果、売上高は4,960千円(前期比53.3%減)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ195,440千円増加し、2,691,958千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動により得た資金は、689,046千円(前期比90,901千円の減少)となりました。これは、主に、税引前当期純利益(758,942千円)及び減価償却費(191,270千円)の計上があった一方で、法人税等の支払額(258,273千円)があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により使用した資金は、214,835千円(前期比28,592千円の減少)となりました。これは、ソフトウエアの取得による支出(220,848千円)及び投資有価証券の取得による支出(16,998千円)があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により使用した資金は、278,770千円(前期比3,570千円の増加)となりました。これは、配当金の支払額(278,764千円)があったことによるものであります。
該当事項はありません。
当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 2財務諸表等(1)財務諸表 重要な会計方針」に記載のとおりであり、過去の実績や状況等に応じ合理的に考えられる要因に基づき見積り及び判断を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、外部の情報源に基づく情報等を踏まえて、2023年7月期の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定のもと会計上の見積りを会計処理に反映しており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が重要な会計上の見積りの仮定に当事業年度及び翌事業年度以降も重要な影響を与えないと判断しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、翌事業年度の当社の財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産の部)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ454,078千円(7.8%)増加し、6,273,752千円となりました。
流動資産は、215,178千円(7.1%)増加し、3,254,498千円となりました。これは現金及び預金が増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ238,900千円(8.6%)増加し、3,019,253千円となりました。これは主に関係会社株式の評価額が増加したことなどによるものであります。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ125,831千円(12.8%)増加し、1,112,483千円となりました。
流動負債は、63,828千円(12.7%)増加し、566,045千円となりました。これは主に未払金が増加したこと等によるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて62,003千円(12.8%)増加し、546,438千円となりました。これは主に繰延税金負債が増加したことなどによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ328,247千円(6.8%)増加し、5,161,268千円となりました。これは利益剰余金などが増加したことなどによるものです。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ63,954千円(2.1%)増加し、3,130,947千円となりました。これは、主にEDI事業の伸びによるものであります。詳細については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載したとおりであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べ7,576千円(0.7%)減少し、1,055,482千円となりました。また、 販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ71,383千円(5.5%)増加し、1,369,995千円となりました。この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ147千円(0.0%)増加し705,468千円となりました。
(営業外損益、経常利益、特別損益、税引前当期純利益)
営業外収益は、前事業年度に比べ5,363千円(25.1%)増加し26,730千円となりました。この結果、経常利益は前事業年度に比べ5,510千円(0.8%)増加し732,199千円となりました。また、投資有価証券売却益を特別利益として計上したこと等により、税引前当期純利益は、前事業年度に比べ36,521千円(5.1%)増加し、758,942千円となりました。
(法人税等、当期純利益)
法人税等は法人税、住民税及び事業税の減少等により、前事業年度に比べ2,079千円(0.8%)減少し、242,785千円となりました。以上の結果、当期純利益は526,116千円となり、前事業年度に比べ28,036千円(5.6%)増加となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性の分析
(資金需要)
当社の資金需要は、運転資金として主にEDIをはじめとした各種サービスを安定して稼働するための運用費、人的リソースの確保、教育の費用等があります。設備投資資金としては主に各種サービスの改善のためのシステム開発投資があります。
(財務政策)
当社は、現在及び将来の事業活動のために適正な水準の流動性維持及び、効率的な資金の確保を最優先にしております。これに従い、営業活動のキャッシュ・フローの確保に努めると共に、自己資金を効率的に活用しております。
(d)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、安定的かつ継続的な企業価値の向上のため、売上高及び営業利益を成長の一つの指針として考えております。経営指標としては、売上高及び営業利益の前年比、営業利益率、配当性向を重視しております。
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