業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、資本の財源及び資金の流動性についての分析並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

この連結財務諸表の作成にあたっての会計基準は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりです。

 

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

(2)経営成績等

(連結業績)                                      

(単位:百万円)

2021年3月
(前連結会計年度)

2022年3月
(当連結会計年度)

増減額(増減率)

売上高

37,841

38,362

521

( 1.4%)

営業利益

9,774

12,770

+2,996

( +30.7%)

経常利益

9,858

12,826

2,967

( +30.1%)

親会社株主に帰属する

当期純利益

6,766

8,949

2,183

( +32.3%)

 

 

(会員数)                             

(単位:万人)

2021年3月

2022年3月

増減数

福利厚生事業

621

893

272

パーソナル事業

111

96

△15

CRM事業

130

141

11

会員数合計

862

1,130

268

 

 

(決済事業年間利用額)

(単位:百万円)

2021年3月期

(前連結会計年度)

2022年3月期

(当連結会計年度)

増減数

年間利用額

0

+0

 

 

 

2020年以降、わが国経済は新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が続きましたが、当年度末にかけては徐々に持ち直しの動きも見られるようになりました。当社グループにおいては、2021年5月12日付で公表した中期経営計画の初年度として、①HRDX支援を軸とした会員基盤拡大と、②決済事業への挑戦を柱とした成長戦略に取り組んでまいりました。

 

① HRDX支援を軸とした会員基盤拡大

「ベネワン・プラットフォームの活用推進」と、「M&Aによる会員基盤拡大」を実施しました。

まず「ベネワン・プラットフォームの活用推進」では、福利厚生事業の取引先企業を中心に、2021年6月以降、480万人以上の会員データを「ベネワン・プラットフォーム」に移行・登録するとともに、第三者の提供する複数のHRテクノロジーサービスと「ベネワン・プラットフォーム」のデータ連携拡大にも積極的に取り組みました。今後は更なる会員データの移行を進めるとともに、様々なHRサービスで共通利用可能な会員ID「ベネアカウント」の利用普及に注力していく考えです。

次に「M&Aによる会員基盤拡大」では、2021年10月29日付で株式会社JTBベネフィットの株式を取得し、会員基盤を飛躍的に拡大させております。2022年4月1日には同社を吸収合併し、グループ内で重複するサービスと組織機能の統合を進め、スケールメリットの追求及びサービスメニューの質的・量的改善に取り組んでおります。

 

② 決済事業への挑戦

2021年6月より給与天引きの仕組みを活用した「給トク払い」サービスを開始いたしました。同サービスを通じた決済事業の収益化に向けて、主に福利厚生サービスの顧客に向けて活用提案を進めるとともに、生活インフラ分野や定額課金メニューを中心に加盟店開拓に注力しております。

 

このような中長期成長戦略の取組みを行いつつも、当連結会計年度において短期的には事業成長が新型コロナウイルス感染症の一定の影響を受ける場面もありました。一方で社会経済動向をとらえた新たな収益事業を伸ばすことでこれを吸収することができたことから、当社グループの業績は計画を上回って推移いたしました。

福利厚生事業では、期中における会員数は横ばい圏で推移する一方、緊急事態宣言明けの2021年10月以降は会員のサービス利用が回復傾向となり、これに伴い補助金支出が増加いたしました。また、期中に株式を取得して子会社化した株式会社JTBベネフィットについては第4四半期より連結損益計算書に反映させており、連結業績の拡大に寄与しております。ヘルスケア事業では、新型コロナワクチン接種支援など社会経済の要請に応えた新たな健康支援サービス展開に注力した結果、期初想定以上の成果となり、連結全体の利益押し上げに貢献しております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は38,362百万円(前期比1.4%増)、営業利益は12,770百万円(前期比30.7%増)、経常利益は12,826百万円(前期比30.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,949百万円(前期比32.3%増)となりました。なお、当社グループでは当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用しております。同基準等適用による上記業績への影響として、従前の計上基準に比べて売上高が8,058百万円減少、売上原価が8,056百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ1百万円減少しております。

 

なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。

福利厚生・パーソナル・CRM事業の増益  +1,095百万円

インセンティブ事業の減益             △194百万円

ヘルスケア事業の増益             +3,801百万円

購買・精算代行事業の増益             +23百万円

ペイメント事業の減益             △78百万円

海外事業の減益                     △66百万円

その他                     △1,585百万円

 

事業別の業績は、次のとおりです。

①福利厚生・パーソナル・CRM事業

売上高は22,176百万円(前期比1,717百万円の増収)となり、営業利益は9,484百万円(同1,095百万円の増益)となりました。売上高及び営業利益の増加は、期中に株式を取得して子会社化した株式会社JTBベネフィットについて第4四半期より連結損益計算書に反映したこと、また、全社共通費等の配賦方法の変更により費用が減少したことによります。

 

②インセンティブ事業

売上高は3,473百万円(前期比484百万円の減収)となり、営業利益は781百万円(同194百万円の減益)となりました。売上高及び営業利益の減少は、特定顧客の利用が低調となったことによります。

 

③ヘルスケア事業

売上高は9,609百万円(前期比757百万円の減収)となり、営業利益は4,557百万円(同3,801百万円の増益)となりました。売上高の減少は、「収益認識に関する会計基準」等の適用により従前の計上基準に比べて売上高及び売上原価が7,678百万円減少したことによります。また、営業利益の増加は、新型コロナワクチン接種支援など社会経済の要請に応えた新たな健康支援サービスが伸長したことによります。

 

④購買・精算代行事業

売上高は641百万円(前期比53百万円の減収)となり、営業利益は96百万円(同23百万円の増益)となりました。売上高の減少は、特定顧客の契約が終了したことによります。また、営業利益の増加は、出張利用が一部回復したことによります。

 

⑤ペイメント事業

売上高は17百万円(前期比0百万円の減収)となり、営業損益は△61百万円(同78百万円の減益)となりました。営業損益の減少は、新たな「給トク払い」リリースによりシステム開発や店舗開拓などの費用が先行したことによります。

 

⑥海外事業

売上高は1,474百万円(前期比50百万円の増収)となり、営業損益は△170百万円(同66百万円の減益)となりました。売上高の増加は、主に中国・シンガポールでの取引先の拡大によります。また、営業損益の減少は、米国・シンガポールでの人員拡充やシステム開発などの費用が先行したことによります。

 

⑦その他

営業損益は△1,917百万円(同1,585百万円の減益)となりました。営業損益の減少は、全社共通費等の配賦方法の変更により費用が増加したことによります。

 

以上の結果、当連結会計年度において、売上高営業利益率は33.3%(前連結会計年度は25.8%)、売上高経常利益率は33.4%(前連結会計年度は26.1%)と、それぞれ改善いたしました。

 

(生産、受注及び販売の状況

当社グループは、企業の福利厚生代行サービスを中心に行っているため、生産実績及び受注実績について、該当事項はありません。

 

 

(財政状態)

①資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比して21,875百万円増加し、58,047百万円となりました。

流動資産は、3,452百万円増加し、32,148百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加4,922百万円、棚卸資産の増加622百万円、未収入金の増加1,987百万円、預け金の減少4,500百万円等によるものであります。

また、固定資産は、18,422百万円増加し、25,898百万円となりました。これは主に連結子会社の取得によるのれん・顧客関係資産の増加14,169百万円、システム設備投資によるソフトウエアの増加2,938百万円等によるものであります。

 

②負債

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比して16,828百万円増加し、33,134百万円となりました。

流動負債は、6,173百万円増加し、21,357百万円となりました。これは主に資金調達による1年内返済予定の長期借入金の増加1,000百万円、買掛金の増加2,420百万円、未払金の増加1,278百万円、契約負債(前連結会計年度末においては前受金)の増加1,262百万円等によるものであります。

また、固定負債は、10,655百万円増加し、11,776百万円となりました。これは主に資金調達による長期借入金の増加8,500百万円、連結子会社の取得による繰延税金負債の増加2,465百万円等によるものであります。

 

③純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比して5,046百万円増加し、24,912百万円となりました。これは主に当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益8,949百万円、配当金の支払4,785百万円等によるものであります。

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は42.9%(前連結会計年度末は54.9%)、当連結会計年度の自己資本当期純利益率(ROE)は40.0%(前連結会計年度は37.1%)となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比して429百万円増加し、17,983百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因を以下に記載します。

 

①営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、10,080百万円の増加(前連結会計年度は9,862百万円の増加)となりました。

資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益12,848百万円(同9,852百万円)、減価償却費1,060百万円(同778百万円)、仕入債務の増加1,698百万円(同1,013百万円の増加)等によるものであります。

資金減少の主な内訳は、未収入金の増加1,772百万円(同482百万円の減少)、法人税等の支払3,726百万円(同2,647百万円)等によるものであります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、14,247百万円の減少(同1,175百万円の減少)となりました。

資金減少の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10,451百万円、有形・無形固定資産の取得による支出3,671百万円(同1,119百万円)等によるものであります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、4,544百万円の増加(同4,110百万円の減少)となりました。

資金増加の主な内訳は、長期借入れによる収入10,000百万円等によるものであります。

資金減少の主な内訳は、配当金の支払4,784百万円(同3,986百万円)等によるものであります。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①流動性と資金の源泉

当社グループの所要資金は、大きく分けてシステム開発等の設備投資や、子会社・関連会社等への事業投資資金及び経常の運転資金となっております。これら所要資金のうち、設備投資、取得・出資等の事業投資関連については、適宜、自己資金、銀行借入及びファイナンス・リースにより調達しております。また、経常運転資金については、自己資金により対応しております。

当連結会計年度の設備投資は総額3,382百万円であり、HRDX推進のためのシステム開発投資やシステムハードウェア投資等を実施しております。また、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得により10,451百万円を支出しております。

現状、当社グループでは必要な事業資金は充分に確保されていると認識しており、さらに金融機関との間にコミットメントラインを設定すること等により、急な資金需要や不測の事態にも備えております。

 

②資金配分についての考え方

当社では、事業年度ごとの利益状況、将来の事業展開及び投資予定等を勘案したうえで、年間の純資産配当率10%以上、連結配当性向70%以上を目標に、継続的かつ安定的な配当成長に努めてまいりたいと考えております。

自己株式の取得につきましては、株主還元策の一つとして財務状況や株式需給バランスへの影響等を考慮したうえで、総合的に実施判断することとしております。

内部留保金につきましては、経営基盤の充実を図りつつ、事業基盤統合・サービス品質向上・業務省力化等へのIT投資や新規事業への投資、M&A投資等に充当することで、今後の収益力の強化に努めてまいります。

 

(4)経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略」に記載のとおり、当社グループでは人事労務関連の多様なアウトソーシングサービスと連携して人事・健康データの管理・活用を可能とする基盤「ベネワン・プラットフォーム」の活用促進の取組みとともに、給与天引きの仕組みを活用した決済事業収益化への取組みを中長期の重要課題と考えております。

「ベネワン・プラットフォーム」の活用推進の取組みにおいては、株式会社JTBベネフィットのM&A効果により、会員数の獲得は前倒しで推移しております。今後、さらに会員のサービス利用を伸ばし会員拡大を加速させていくために、中長期の環境好転を見通した大型プロモーション投資やシステム刷新などの基盤づくりを積極的に推し進めていく考えです。

また、決済事業収益化の取組みにおいては、給与天引きの仕組みを活用した「給トク払い」をリリースし、加盟店開拓を進めておりますが、会員のサービス利用普及に時間を要しております。今後、提携サービス数の拡大と並行して大型のキラーコンテンツの拡充を進めることで、決済事業収益化の早期実現を図ってまいります。

さらに将来的には、決済手数料で得られる収益を原資に、福利厚生サービスの会費単価引き下げも視野に入れており、一層の会員獲得とサービス流通拡大に取り組んでまいります。

こうした取組みを中核戦略として進めるとともに、顧客開拓や加盟店開拓における外部労働力の活用や、業務の自動化による社内工数の削減など、業務効率化への取組みを同時的に進めることで、高い成長を目指しつつ、売上高経常利益率及び自己資本当期純利益率(ROE)の更なる向上に努めてまいります。

 

 

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