事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

(当社のリスク管理体制)

当社のリスク管理体制は、リスクマネジメント基本規程に従ってリスク管理の責任部門を明確化し、担当役員を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しております。リスクマネジメント委員会は、予め具体的なリスクを想定・分類するほか、危機管理に必要な体制の整備と運用にあたることで、経営に重大な影響を及ぼす危機を未然に防止するとともに万一発生した場合の被害の極小化を図っております。子会社のリスク管理については、関係会社管理規程に従って当社との間に経営管理契約を締結し、事前協議を必要とする重要事項を規定するとともに、重要な事実が発生若しくは発生することが予想される場合には速やかに当社に報告することとし、当社にて一元的にリスク管理を行っております。

また、常勤取締役及び役付執行役員が出席する経営会議を開催し、業務執行状況の早期把握と迅速な対応に努めるとともに、重要なものについては取締役会に報告しております。監査部は内部統制の有効性に関する監査を行い、結果を取締役会に報告しております。これら取組みにより、取締役会が当社グループの状況や対応を適切にモニタリングできる体制を整えております。

 

(当社グループの経営成績等に影響を与える可能性のあるリスク)

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項は、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記述しております。

なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載のない限り当連結会計年度末現在において判断したものであり、当社株式への投資に関連するすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)当社グループ事業のオペレーションについて

①人材の確保について

当社グループ事業においては多くの成長機会が見込まれておりますが、事業拡大で見込まれる業務量増大に対し営業職や専門職などの人材を十分に確保し、能力向上を適時図っていく必要があります。当社グループでは、オンラインでの営業活動・業務処理の推進、業務標準化による個人事業主等の外部労働力活用推進など、独自の働き方改革で生産性向上に取り組んでおります。

とりわけ事業成長期待が高いヘルスケア事業においては、保健指導を行う管理栄養士等有資格者の確保が重要であり、積極的な採用活動や自社での人材育成、M&Aによる人材確保等の施策に加え、ICT面談の推進による業務効率化などの対応により、成長機会を逃さない体制づくりに努めております。

また、当社グループが競争上の優位性を確保し、環境変化に対応して事業を進化させ、持続的な成長を可能とするためには、優秀なITエンジニアの確保が重要と認識しており、積極的な採用活動やM&Aにより人材確保に努めております。

こうした人材確保の取組みに加え、変化の激しい事業環境に迅速かつ柔軟に対応し、持続的な成長を実現していくためには、異なるバックグラウンドを有する人材の多様な視点や価値観を経営に取り入れ、事業創造やサービス変革を推し進めていくことが必要と考えております。当社グループでは、性別や国籍、採用時期の違い等によらず社員一人ひとりが最大能力を発揮し活躍できるような環境や風土の整備を重要な経営課題としてとらえ、人材の多様性確保に取り組んでおります。なかでも女性の活躍推進をダイバーシティの主テーマとして中核人材の女性比率40%以上を目標として設定し、短時間勤務・在宅勤務の制度化や職場復帰プログラムの提供など、仕組みや環境の整備・活用を推進しております。

 

 

②システムリスクについて

2021年5月に発表した中期経営計画に沿い、ベネワン・プラットフォームを中核としたHRDX推進戦略のもと積極的なソフトウエア投資を実行していることから、当連結会計年度末日現在5,315百万円のソフトウエア資産(仮勘定を含む)を計上しており、今後も継続的な投資を見込んでおります。当社グループでは、これらソフトウエア投資を行うことにより、ベネワン・プラットフォームを顧客企業従業員の人事・健康データを効率よく管理・活用するプラットフォームとして業界標準とし、将来の会員拡大による収益獲得や業務効率化等を実現することを目指しております。投資の実施にあたっては、開発の方向性や投資方針について経営会議や取締役会などで議論を行い、職務権限及び業務分掌規程に従った機関決定手続きを行ったうえで、開発状況についても経営会議や取締役会を通じて適宜モニタリングを実施するなど、慎重に投資実行しております。このような取組みにもかかわらず、当該ソフトウエア資産から見込まれる将来キャッシュ・フローが当初想定を下回るなど期待した効果が得られないと判断される場合には、固定資産の減損処理等を通じ当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、事業拡大による取り扱いデータ量の増大に対処し、安定的なシステム基盤の運用管理に対処していくため、当社グループでは、十分な安全対策が施されたクラウド基盤の活用を進め、機動的な拡張や運用管理の効率化に取り組むとともに、重要な情報システムやネットワーク設備については、これらの機器設備を二重化するなど障害対策を施しております。また、ファイヤーウォールによる外部からの不正アクセスの防止等によるセキュリティ対策にも努めております。

このような取組みにもかかわらず、アクセスの急激な増加やインターネット回線のトラブル、未知のコンピュータウイルスによるサイバーアタックの発生、停電、自然災害等の予測困難な様々な要因によって当社グループのシステムに被害または途絶が生じた場合、顧客のサービス利用に支障をきたすなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③個人情報の取り扱いについて

当社グループはサービス提供を通じ、多数の人事・健康情報等の個人情報を取り扱っております。当社グループでは、個人情報の取り扱いに関する重要性、危険性を十分に認識し、コンプライアンスマニュアル及び個人情報保護に関する諸規程を制定し、役職員に対する個人情報保護管理に関する研修・教育を徹底しており、従業員の採用時及び退職時には機密情報の漏洩をしないことを記載した誓約書を徴収するなど、情報管理に努めております。

これらに加え、外部からシステムへの不正アクセスを防止するため、ファイヤーウォールや暗号化技術の採用等による情報漏洩対策にも努めております。

このような取組みにもかかわらず、従業員等の故意または過失、不測の事態等により個人情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求やブランドイメージ悪化等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④立替金について

当連結会計年度末現在、当社連結財務諸表における立替金残高は2,388百万円あります。これは主に、購買・精算代行事業やヘルスケア事業などの取引の一部において、顧客との取り決めにより、当社提携先事業者のサービスを顧客が利用した際に当社が一時的に顧客に代わってサービス利用料を提携先事業者に支払い、事後的に顧客に同サービス利用料相当額を請求する取引を行っていることなどにより発生しております。購買・精算代行事業及びヘルスケア事業の業容拡大に伴い、立替金が生じる取引が増加する可能性があり、当社グループではシステム上の債権管理とオペレーション上のチェック体制を構築する等により、与信管理体制の強化に努めております。

このような取組みにもかかわらず、予期せぬシステム上のトラブルや従業員等の過失、顧客の経済状況の急速な悪化等が生じた場合、立替金の回収に支障が生じるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤業績の季節的な変動について

福利厚生事業における補助金は、夏季休暇などの季節的要因により上期は下期に比べて利用が集中し、原価率が高くなる傾向にあります。また、ヘルスケア事業においては、健康診断サービスや保健指導等の受託業務の実施、納品は下期に偏る傾向があり、収益の計上も下期偏重となる傾向があります。これら季節的な変動要因により、当社グループの業績は季節によって変動する傾向があります。

 

(2)事業投資について

①M&A、資本提携等について

当社グループでは、事業規模拡大による経済的効果や、周辺事業領域への進出によるシナジー効果などを期待し、M&Aによる企業買収や資本提携等も積極的に検討していく考えでおり、M&Aに伴って無形固定資産(顧客関係資産)8,345百万円、のれん5,824百万円を当連結会計年度末において計上しております。

M&Aや資本提携等を実施する場合には、対象となる企業の財務内容や事業についてデューデリジェンスを行うなど事前のリスク把握に努め、収益性や投資回収の可能性について慎重に検討することとしておりますが、このような取組みにもかかわらず、社会経済環境の変動や市場状況の変化等により、買収後の事業統合効果においては必ずしも当初の計画通りに推移するとは限らず、想定した収益規模が確保できない可能性があり、そのような場合には、のれんや無形固定資産の評価見直しなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

②新規事業について

当社グループは、福利厚生事業で培ったサービスインフラを多重的に活用しながら新規事業を立ち上げ、収益の多角化を推進してまいりました。具体的には、インセンティブ事業、ヘルスケア事業、購買・精算代行事業、ペイメント事業等に取り組んでおります。

新規事業の立ち上げに際しては、市場環境や顧客動向に関する認識前提、事業の収益構造、リスク管理の体制など、事業計画の妥当性や新規事業に固有のリスクを十分に検討した上で投資を行っております。また、事業の立ち上げ後は、事業計画の進捗状況の継続的な把握に努め、必要に応じて事業スキームの見直しや事業計画の修正を行っております。

このような取組みにもかかわらず、顧客ニーズの変化や競争環境の変化等により、対象の事業が期待した収益を生まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③海外事業について

当社グループは、シンガポール、中国、タイ、米国、インドネシア等に連結子会社を有しております。海外の各市場においては、人事制度や慣習に違いはありますが、人材獲得や社員の成果管理に関する企業のニーズは共通してあると認識しており、主にインセンティブ事業を中心に各国展開しております。海外事業展開に当たっては、進出先国の人材の中から中核人材への登用を積極的に進めており、総じて取引拡大傾向にありますが、いまだ先行投資の状況にあり、今後も投融資等の追加資金の投入が必要になる可能性があります。また、事業展開が想定通りにいかなかった場合には、投融資等の評価替えなどにより、想定外の損失を被る可能性があります。

さらに、当社連結財務諸表において海外子会社の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、当社連結財務諸表は日本円と各通貨間の為替相場変動の影響を受けます。為替相場が異常な変動をした場合には、為替差損益の計上などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)自然災害や感染症の流行等によるリスクについて

自然災害や感染症流行等、社会経済全般に大きな影響を及ぼすような想定外の事態が発生した場合には、当社グループの事業においても取引の縮小や延期等の影響が考えられます。

当社グループでは、環境変化の早期情報収集に努めるとともに、事業の多角化やオペレーションの分散化、デジタル化を進めることでリスク分散に努めております。

なお、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の流行に関しては、福利厚生事業において会員のサービス利用減少やこれに伴う補助金支出の減少、ヘルスケア事業における健診・保健指導の実施時期遅れ、購買・精算代行事業における出張精算サービスの利用減少等、業績への影響が見られました。また、海外子会社においては、各国の規制やロックダウンなどの影響により、取引先の営業停止などの影響がみられました。提出日現在において影響範囲は縮小しつつあり、経済活動は正常化に向けた動きにあると認識しておりますが、今後、再流行する場合や、新たな未知のウイルスが流行する場合などには、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、その影響を提出日現在において合理的に予測することは困難であります。

 

(4)気候変動リスクへの対応について

当社グループでは、気候関連リスクへの対応を含むサステナビリティに関する課題への全社的な取組みを推進するため、サステナビリティ委員会を設置しております。提出日現在の委員長は、代表取締役社長の決定に基づき、代表取締役副社長が努めております。同委員会では、取締役会に対しサステナビリティに関する基本方針、指標や目標、施策等の企画・立案・提言を行うとともに、施策の実施状況や目標の達成状況のモニタリング、社内外への周知活動等を行います。また、検討事項や活動内容等については定期的に取締役会への提案、報告を行い、適宜指示を受けて活動しております。取締役会は、気候変動に関する重要な事項についてサステナビリティ委員会から定期的に報告を受け、必要に応じて指示や助言を行うことで、ガバナンス体制を整備しております。

また、当社グループでは、気候変動が事業活動や収益等に与える影響を把握し、適切に対処するため、サステナビリティ委員会においてTCFD(注)の枠組みを参考にして必要なデータの収集と分析を行い、これに基づき取締役会で気候関連リスクの事業への影響度合いを評価することとしており、提出日現在においては、当社グループにおいて気候変動に係るリスク及び収益機会への影響は限定的であると評価しております。

特定したリスク・機会に対しては、関係部門と連携しながら具体的な対応策や目標を事業戦略に反映し、サステナビリティ委員会にて進捗状況の管理やリスク・機会の再評価等を行うこととしております。また、その内容を定期的に取締役会へ報告することで、継続的な情報収集とリスク管理に努めることとしております。

(注)TCFD:「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称で、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び気候変動への金融機関の対応を検討するために設立されたもの。

 

(5)親会社との関係について

当社の親会社は株式会社パソナグループであり、2022年3月末現在同社は当社の議決権の50.91%を保有しております。また、提出日現在、当社の役員8名のうち、親会社の取締役を兼ねるものが1名おりますが、当社は上場会社として独立性を確保し、経営及び事業活動にあたっております。

また、親会社との取引に際しては、関連当事者取引管理規程及び職務権限に係る規定に従い当社の利益を害することのないよう取締役会で承認手続きを経て適切に対応しております。なお、当該取引のうち重要な取引については、取締役会の諮問機関として独立社外取締役のみで構成する指名報酬等委員会において、取引の必要性及び相当性について審議し、その答申・助言を得て取締役会の承認手続きを経ることとしております。

 

(6)経営指標について

当社グループが中期経営計画において目標としている経営指標については、その見積りにあたり、社会経済動向の変化や顧客企業の動向、個人ユーザーのニーズ、法規制の動向・効果等、事業環境に係る多くの前提に基づいて作成されております。

当社グループ事業においては多くの成長機会が見込まれておりますが、将来の事業環境の変化の程度やスピード等について正確に予測することは困難であるため、経営指標については、その達成時期や達成度合いが見込みどおりとならない可能性があります。必要に応じ適宜前提条件の見直しを行い、目標としている経営指標に修正が必要と判断する場合には速やかに情報開示を行うこととしております。

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