文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「人と企業を繋ぐ 新たな価値の創造を目指し サービスの流通創造を通して 人々の心豊かな生活と 社会の発展に貢献しよう」を企業理念に、企業の経営課題解決や消費者の利用満足度向上に資する事業を展開しております。
(2)中長期的な経営戦略
足もと経済は、多くの企業においてコロナ後を見据えた動きが出始めており、経済活動を支える人材採用・人材定着施策としての福利厚生拡充、組織と個人の健康への関心の高まり、人事・健康管理におけるデジタル化推進など、HRDX(注1)支援が一層注目されるようになってきていると認識しております。
当社グループではこうした社会経済動向をとらえ、2022年3月期から2024年3月期までの3ヵ年の中期経営計画を策定し、以下のとおり取り組んでおります。
(注1)HRDX:人事領域におけるデジタルトランスフォーメーション
①企業のHRDX支援の取組み
企業の人事部門では今後ますます人事労務関連のアウトソーシングサービス活用が進むとともに、人事・健康データを整理してマネジメント活用するHRDXへの対応が重要な経営課題となる見通しです。
当社グループでは、福利厚生やヘルスケアなど人事労務関連の多様なアウトソーシングサービスと連携して人事・健康データの管理・活用を可能とする基盤「ベネワン・プラットフォーム(注2)」を開発しており、同基盤を広く普及させ会員拡大を加速させることで、顧客企業の人と組織のパフォーマンス向上に貢献していく考えです。
2022年3月期においては、「ベネワン・プラットフォームの活用推進」と、「M&Aによる会員基盤拡大」を実施しました。
まず「ベネワン・プラットフォームの活用推進」では、福利厚生事業の取引先企業を中心に、2021年6月以降、480万人以上の会員データを「ベネワン・プラットフォーム」に移行・登録するとともに、第三者の提供する複数のHRテクノロジーサービスと「ベネワン・プラットフォーム」のデータ連携拡大にも積極的に取り組みました。今後は更なる会員データの移行を進めるとともに、様々なHRサービスで共通利用可能な会員ID「ベネアカウント」の利用普及に注力していく考えです。
次に「M&Aによる会員基盤拡大」では、2021年10月29日付で株式会社JTBベネフィットの株式を取得し、会員基盤を飛躍的に拡大させております。2022年4月1日には同社を吸収合併し、グループ内で重複するサービスと組織機能の統合を進め、スケールメリットの追求及びサービスメニューの質的・量的改善に取り組んでおります。
(注2)ベネワン・プラットフォーム:企業の人事データや健康データなどを管理・活用する基盤。様々なHRサービスを共通IDで利用することが可能な会員専用ID「ベネアカウント」を活用し、人事部門のマネジメント効率化を図りながら、あらゆる従業員データの一元管理・見える化・分析を通じて、従業員のパフォーマンス向上や組織の活性化を目指す。
②サービス流通の進化、決済事業収益化への取組み
当社グループはこれまで、福利厚生のアウトソーシングサービス提供を通じ、顧客企業社員とサプライヤ(注3)をマッチングすることでサービス流通を成立させてきました。今後は「ベネワン・プラットフォーム」の普及、利用促進に伴い、サービス流通規模は飛躍的に増大すると見込んでいます。
当社グループでは新たな取組みとして、給与天引きの仕組みを活用し、顧客企業ごとに購買情報をとりまとめて決済代行することで流通コストの低減を図り、顧客企業社員、サプライヤ双方の満足向上を目指していきます。また同時に、この取組みによって生じる決済手数料は、当社グループの新たな収益の柱としていく考えです。
2022年3月期においては、2021年6月より給与天引きの仕組みを活用した「給トク払い」サービスを開始いたしました。同サービスを通じた決済事業の収益化に向けて、主に福利厚生サービスの顧客に向けて活用提案を進めるとともに、生活インフラ分野や定額課金メニューを中心に加盟店開拓に注力しております。
さらに中長期的には、決済手数料で得られる収益を原資に、福利厚生サービスの会費単価引き下げも視野に入れており、一層の会員獲得とサービス流通拡大に取り組んでまいります。
(注3)サプライヤ:福利厚生サービス提供事業者
なお、中期経営計画最終年度(2024年3月期)の経営指標及び進捗状況は以下のとおりです。
(連結業績目標)
(「会員の拡大加速」に関連する経営指標)
(「決済事業の収益化」に関連する経営指標)
(3)ESG・SDGsへの取組み
当社グループはこれまでも、事業を通じて顧客企業の健康経営推進や従業員エンゲージメント向上などをサポートしてまいりました。また、自社のサービスを活用し、「健康経営銘柄」に2年連続で選定されるなど、従業員の健康管理や生産性の向上にも積極的に取り組んでおります。
今後は、自社における紙媒体やオペレーションのデジタル化推進にとどまらず、当社のサービス流通・決済を広く普及させることで、サプライヤ企業の広告・媒体制作の削減や在庫削減にも貢献し、利便性が高く環境負荷の低いサービス流通網づくりに取り組んでまいる考えです。
(4)経営効率化のさらなる推進
当社グループでは、主力の福利厚生事業で培った経営資源を多重的に有効活用しながら事業を横展開するとともに、業務の標準化やIT化、アウトソース化にも積極的に取り組むことで、経営効率を高めてまいりました。
そして今後より一層の経営革新を図るべく、継続的なBPRや働き方改革を全社的に強力に推し進めることで、高い成長率を維持しつつ売上高経常利益率及び自己資本当期純利益率(ROE)の継続的な維持・向上に努めてまいります。
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