文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)再拡大の影響で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されたことにより、昨年度から引き続き経済活動が制限されました。また、ワクチン接種が進んだものの、感染再拡大への警戒感から、依然として不透明な状況が続いております。
こうした環境のもと、企業はビジネスモデルや組織の変革に迫られ、社会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が高まっております。一方で、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する人材は社会全体で不足しており、国内のデジタル人材に対する需要が供給を上回るペースで増加していき、今後デジタル人材不足はさらに加速していくと考えられます。
当社グループにおきましては、個人向け事業と法人向け事業の二軸により社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すべく、「DXプラットフォーム事業」を新たに今後の成長を見込む最注力事業と位置付け、事業の成長及び収益性の改善に取り組んでまいりました。
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,655,044千円減少し、38,701,056千円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・現金及び預金の主な増減理由は「② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
・営業投資有価証券は、投資先株式の時価評価等により、前連結会計年度末に比べ12,163,872千円減少しております。
・デリバティブ債権は、デリバティブ契約の新規締結及び投資先株式の時価評価等により、前連結会計年度末に比べ4,560,028千円増加しております。
・のれんは、㈱リベイス及び㈱イケてるやつらの株式取得に伴い、前連結会計年度末に比べ327,664千円増加しております。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,908,575千円減少し、8,412,531千円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・繰延税金負債は、投資先株式の時価評価等により、前連結会計年度末に比べ2,574,349千円減少しております。
・未払法人税等は、前連結会計年度末に比べ312,084千円減少しております。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,746,469千円減少し、30,288,524千円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・その他有価証券評価差額金は、投資先株式の時価評価等により、前連結会計年度末に比べ8,970,104千円減少しております。
・繰延ヘッジ損益は、デリバティブ契約の新規締結及び投資先株式の時価評価等により、前連結会計年度末に比べ3,163,747千円増加しております。
・利益剰余金は、主に次の要因により、前連結会計年度末に比べ372,292千円増加しております。
・親会社株主に帰属する当期純利益の計上により3,825,590千円増加
・剰余金の配当により775,876千円減少
・自己株式の消却に伴うその他資本剰余金からの振替により2,642,263千円減少
・資本剰余金は、自己株式の消却等の影響により、前連結会計年度末に比べ1,953,242千円減少しております。
・自己株式は、主に取得による3,000,139千円増加及び消却による4,600,631千円減少により、前連結会計年度末に比べ1,655,002千円減少しております。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、事業への投資は継続して実施しているものの、既存事業における競合の激化やコロナ禍における一時的な需要の減少といった事業環境の変化により、売上高12,714,596千円(前年同期は16,338,529千円)、営業利益5,738,381千円(前年同期は5,606,568千円)、経常利益5,757,571千円(前年同期は5,645,808千円)、親会社株主に帰属する当期純利益3,825,590千円(前年同期は3,728,099千円)となりました。
なお、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) 1 報告セグメントの概要(1)報告セグメントの決定方法」をご参照ください。
事業別の経営成績は以下のとおりとなります。
年度別営業利益推移
当連結会計年度における各セグメントの概況は、以下のとおりであります。
(a) DXプラットフォーム事業
DXプラットフォーム事業は、オンラインプログラミング教育事業を運営するキラメックス㈱、アプリ・システム開発事業を運営する㈱ブリューアス、デザイナー特化型クラウドソーシングサービスを運営する㈱リベイス及びユナイテッド㈱のDXコンサルティング事業等により構成されております。
当連結会計年度は、法人向け事業は積極的な事業領域拡張により継続的に増収となったものの、キラメックス㈱が運営するオンラインプログラミング教育事業において競合が増加した影響が大きく、売上高は2,335,022千円(前年同期は2,578,684千円)、セグメント損失は382,494千円(前年同期はセグメント損失193,096千円)となりました。
(b) インベストメント事業
インベストメント事業は、シード/アーリーステージを中心としたスタートアップ企業への投資を行っております。
当連結会計年度は、投資先の営業投資有価証券の売却等の影響により、売上高は6,580,227千円(前年同期は5,937,907千円)、セグメント利益は6,206,125千円(前年同期は5,647,504千円)となりました。
(c) アドテクノロジー事業
アドテクノロジー事業は、ウェブ広告領域において、SSP『adstir』、DSP『Bypass』、アドネットワーク『HaiNa』を提供するユナイテッドマーケティングテクノロジーズ㈱により構成されております。
当連結会計年度は、前連結会計年度で撤退したアプリ広告領域の縮小により売上高917,911千円(前年同期は5,055,020千円)、セグメント利益は453,546千円(前年同期は599,821千円)となりました。
(d) コンテンツ事業
コンテンツ事業は、スマートフォン向けアプリやウェブサイトを通した様々なサービスを提供しており、フォッグ㈱、㈱インターナショナルスポーツマーケティング、トレイス㈱及びプラスユー㈱により構成されております。
当連結会計年度は、安定的な収益創出を目指す事業運営の結果、売上高は2,886,483千円(前年同期は2,783,692千円)、セグメント利益は418,802千円(前年同期は466,689千円)となりました。
なお、組織再編に伴って、一部の部門の帰属セグメントに変更が生じたため、セグメントの内訳についても変更を行っており、前連結会計年度のセグメント情報は、当該変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを記載しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は12,165,526千円となり、前連結会計年度末に比べ1,608,632千円減少しました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,718,903千円(前年同期は6,992,868千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上5,811,019千円、営業投資有価証券の増加額756,316千円及び法人税等の支払額2,107,514千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は477,735千円(前年同期は171,371千円の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出329,036千円、無形固定資産の取得による支出104,546千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,849,870千円(前年同期は1,428,140千円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出3,000,139千円及び配当金の支払額775,255千円があったことによるものであります。
a. 生産実績
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
b. 受注実績
受注確定から売上日までの期間が短期間であり、期末日現在の受注残高が年間売上高に比して僅少であるため、その記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額は、セグメント間の内部売上高を除いております。
2.当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、前年同期比(%)の記載を省略しております。なお、従来の方法に比べてアドテクノロジー事業及びコンテンツ事業の販売高がそれぞれ3,312,886千円、43,264千円減少しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
a. 財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
b. 経営成績の分析
当社グループにおきましては、個人向け事業と法人向け事業の二軸により社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すべく、「DXプラットフォーム事業」を新たに今後の成長を見込む最注力事業と位置付け、事業の成長及び収益性の改善に取り組んでまいりました。
これらを踏まえた当連結会計年度における経営成績の分析は、以下のとおりであります。
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度における売上高は12,714,596千円(前年同期は16,338,529千円)、営業利益は5,738,381千円(前年同期は5,606,568千円)となりました。
これは主に、事業への投資は継続して実施しているものの、既存事業における競合の激化やコロナ禍における一時的な需要の減少といった事業環境の変化によるものであります。
セグメント別の売上高及び営業利益の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は3,825,590千円(前年同期は3,728,099千円)となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c. 今後の見通し
2023年3月期は、新型コロナウイルス感染症の影響が依然として続くことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻で世界情勢が不安定となったことから、国内外の経済は先行き不透明な状況が続くことが予想されます。
当社は引き続きDXプラットフォーム事業及びインベストメント事業を中心に、持続的な成長を目指してまいります。
DXプラットフォーム事業及びインベストメント事業については、事業間連携を強化することでシナジーの創出を図ってまいります。具体的には、DXプラットフォーム事業において、デジタル人材を育成し、育成したデジタル人材と企業のマッチングを行うとともに、インベストメント事業の投資先に対して、成長に資するデジタル人材のマッチングを行うことで、投資先のバリューアップを図ってまいります。
また、DXプラットフォーム事業、インベストメント事業のそれぞれで個別成長を図りつつ、デジタル人材と企業のマッチング領域で新規事業開発を行い、連携をさらに強化してまいります。
アドテクノロジー事業及びコンテンツ事業につきましては、引き続き安定的な収益基盤を形成し、収益創出を継続してまいります。
a. キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、現時点においては、十分な流動性を確保しているものと認識しております。
なお、今後も規律を保ちつつ、継続して新規事業創出や既存事業の成長加速のための事業投資を行っていく方針です。原則として、自己資金及び営業投資有価証券の売却を中心とした営業活動によるキャッシュ・フローを充当していく方針でありますが、さらなる資金需要が発生した場合には、金融機関からの調達も含め、適時適切に対応を行ってまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としており、特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な情報を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、事業への影響について不確実性が多いものの、期末時点で入手可能な情報を基に予測や見積りを行っております。
a. 株式等の評価
当社グループは、株式等の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることを目的として株式を保有しております。当社は、投資による利益の獲得が見込めないと判断した場合に株式等の減損処理を実施しております。
市場価格のない株式等以外のものにつきましては期末時価が帳簿価額を50%以上下回った場合に、また、市場価格のない株式等につきましては評価対象となる純資産額が帳簿価額を50%以上下回り、かつ、財政状態の悪化及び実質価額の著しい低下が認められる場合に減損処理を実施しております。
投資先の業績や株式市場の動向によりこれら投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、株式等のうち、インベストメント事業に属するものから生じる損失につきましては、損益計算書において、売上原価へ表示しております。
b. 減損損失
当社グループは、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
c. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画及び将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を基にいわゆるタックス・プランニングを検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果将来実現が困難と判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
将来の業績及び課税所得実績の変動により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。
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