アサヒグループでは、第7次中期経営計画の最終年として計画達成、そしてグループの掲げる5つのマテリアリティの実現に向けて、酒類、飲料、食品の各事業においてこれまでにない新たな価値創造に基づく商品の開発を進めると共に、持続可能な社会の実現のための革新的な技術開発に取り組んでいます。不確定な時代だからこそ将来を見通した研究開発の重要性を再認識し、研究開発費の増額を行いました。増額分の主な使途として、研究領域の拡大、個々の研究テーマのさらなる深耕、そしてオープンイノベーションのより一層の加速に充てることで、グループの未来に繋がる研究開発を進めてきました。また、海外のグループ会社も含めたグループ内のシナジーの創出にも努めてきました。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は、
[酒類事業]
(商品開発関連)
アサヒビール㈱は、「スーパードライ」のブランドメッセージである「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」に沿った、“ビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出すること”を活動テーマとした取り組みを展開しました。家庭内での飲用をより楽しく、ワクワクさせる新しい価値を提供する商品として、開栓するときめ細かい泡が自然に発生して飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』を発売しました。開栓したふたと缶体の飲み口は、飲料缶では初採用となるダブルセーフティー構造により、手や口を切る恐れがなく、安心して飲用することができます。更に、家庭用生ビールサービス『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』を開始しました。『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』は、当社が独自に開発した「本格泡リッチサーバー」を会員に貸し出し、「スーパードライ」(ミニ樽2L)を毎月2回、自宅に定期配送するサービスです。また、多様化するお客さまのニーズにお応えすべく、季節や地域に応じた限定醸造品を発売しました。『アサヒスーパードライ 北海道工場限定醸造』は北海道厚真産米を用いて北海道工場で製造し、北海道限定で発売しました。『アサヒスーパードライ 東北復興応援 東北素材』は岩手県産ホップと宮城県産米「だて正夢」を使用し、福島工場で製造し東北6県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県)で限定発売しました。中元ギフト限定商品は『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 涼味』を発売しました。国産原料100%のこだわりはそのままに、「ジャパンスペシャル」よりも発酵度を上げた「高発酵醸造」と国産の希少ホップを2回に分けて投入する「ホップ2段添加製法」を採用することで、上質なうま味と爽快な後味を実現しました。歳暮ギフト限定商品は、『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 香り華やぎ』と『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 熟成仕立て』を発売しました。『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 香り華やぎ』は「ジャパンスペシャル」よりも高い濃度で麦汁を発酵させる「高濃度醸造」と希少な国産ホップを2回に分けて投入する「ホップ2段添加製法」を採用することで、華やかな香りと余韻を実現し、『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 熟成仕立て』は「ジャパンスペシャル」よりも熟成期間を長くし、アルコール度数6%の飲みごたえと芳醇な味わいに仕上げました。
また、『アサヒ生ビール』の缶を発売しました。長年飲食店の専用商品として愛され続けてきた “コクがあってキレがある。さらにまろやかなうまみのある”ビールです。商品を開発する際の社内での呼称である開発記号として“幸運の不死鳥(FORTUNE PHOENIX)”を由来とする“マルエフ(F)”と名付けられていたため、パッケージには“幸運の不死鳥”のアイコンとともに“通称 マルエフ”と“復活の生”という文言を記載しました。
和のプレミアムビール『花鳥風月』を東北6県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県)で限定発売しました。国産麦芽とアロマホップを100%使用するとともに、上面発酵酵母を用いて、厳選した原料でじっくり丁寧に醸造する「吟醸づくり」により、華やかで心地よい吟醸香と味わい深い芳醇なコクを実現しました。
発泡酒市場では、業界で初めて“糖質ゼロ※1”を実現した発泡酒である『アサヒスタイルフリー<生>』のクオリティアップを行いました。『アサヒスタイルフリー<生>』はすっきり爽快な飲みやすさとしっかりとした麦の味わいが特長で、今回のクオリティアップでは仕込み工程において煮沸時間を短くすることで、麦の芳醇な香りを高め、ビールらしい飲みごたえを向上させました。
新ジャンル市場では、『クリアアサヒ』から季節限定商品を発売しました。春限定商品『クリアアサヒ 桜の宴』は「クリアアサヒ」ならではの“爽快な飲みごたえ”はそのままに、ドイツ産ホップ「カリスタ」を一部使用し、華やかな香りで春らしい味わいに仕上げました。夏限定商品『クリアアサヒ 夏日和』は、冷涼感を感じられる香料を使用することで、冷たくひんやりとした爽快な飲みごたえとすっきりした味わいを実現しました。秋限定商品『クリアアサヒ 秋の宴』は「ミュンヘン麦芽」「クリスタル麦芽」「ロースト麦芽」といった3種の濃色麦芽を一部使用し、原麦汁エキス濃度を高めることで、秋らしい焙煎香としっかりとしたコクのある味わいを実現しました。冬限定商品『クリアアサヒ 冬みやび』は華やかな香りが特長のサフィアホップを一部使用して、華やかな香りとまろやかなコクが特長に仕上げました。更に、地域限定商品『クリアアサヒ 東北の恵み』を発売しました。山形県産「初摘みホップ」と宮城県産「希望の大麦※2」を一部使用し、華やかなホップの香りと大麦の芳醇な味わいに仕上げました。
また、発売2年目となる『アサヒ ザ・リッチ』のクオリティアップを実施しました。今回のクオリティアップでは、ドイツ・ハラタウ産ホップの使用量を増やすとともに、副原料の使用量など原料配合の最適化により後味を良くすることで、これまで以上に飲み飽きない味わいを実現しました。“泡持ち”を良くする成分を極力多く残す製法「泡リッチ製法」により、クリーミーで豊かな泡の“泡持ち”が向上しました。
その他として、『アサヒ オフ』のクオリティアップを行いました。『アサヒ オフ』は、“プリン体ゼロ※3・糖質ゼロ※1・人工甘味料ゼロ”の3つのゼロが特長のカロリー最少級※4の新ジャンルです。今回のクオリティアップでは、うまみ成分を増量したコクの強い麦芽エキスを新たに採用することで、麦由来の香味を高めました。
ビールテイスト飲料市場では、アルコール度数0.5%の“微アルコール”ビールテイスト飲料『アサヒ ビアリー』を発売しました。お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」※5の考え方のもと、アルコールが微かに含まれるアルコール度数1%未満の商品を新カテゴリー“微アルコール”として展開しました。『アサヒ ビアリー』は、100%ビール由来原料ならではの麦のうまみとコクを実現したアルコール度数0.5%のビールテイスト飲料です。ビールのようなうまさを楽しめてちょっと心地いい、自分時間を大切にしたい人たちへご提案する“微アルコール”という新しいカテゴリーの商品です。独自の仕込工程で香り豊かでコク深いビールを醸造した後、脱アルコール工程でアルコールを除去する製造手法を採用しました。ビール特有の「発酵由来の複雑な香気成分」を残しつつ、アルコール分だけを丁寧に抜き取る独自の蒸溜技術でビールらしい本格的な味わいに仕上げました。仕込工程においては、ビール類製造で培った独自技術によってエキス分に含まれる糖を調節し、味わいの骨格やコクを担保しました。脱アルコール工程では、独自の低温蒸溜によってビール由来の香味を損なうことなくアルコールを分離させました。約3年半の開発期間に約100回の試験製造を繰り返して、アルコール度数0.5%の“微アルコール”でビールらしい麦のうまみやコクを楽しめる味わいを実現しました。更に、麦のうまみとコクに加えて、フルーティーで華やかな香りが感じられる『アサヒ ビアリー 香るクラフト』を発売しました。
また、「アサヒドライゼロ」から期間限定『アサヒ ドライゼロサマーショット』を発売しました。『アサヒ ドライゼロサマーショット』は、「ドライゼロ」ブランドの特長であるビールらしい味わいはそのままに、冷涼感を感じられる香料を使用することで、冷たくひんやりとしたのどごしを実現しました。
RTD※6市場では、「アサヒ贅沢搾り」のリニューアルを実施しました。各フレーバーで原材料の配合比率を見直すことで、ブランド特長であり、お客様からも高く評価いただいている果実の味わいを強化し、従来以上に豊潤な味わいや香りを実現しました。また、「アサヒ贅沢搾りプラス」シリーズである『アサヒ贅沢搾りヨーグルトテイストプラスベリーミックス』と『アサヒ贅沢搾りヨーグルトテイストプラス柑橘ミックス』のリニューアルも実施しました。更に、厳選された果汁を使用した “プレミアム”シリーズとして『アサヒ贅沢搾り プレミアムみかんテイスト』と『アサヒ贅沢搾り 期間限定プレミアムトマト』を発売しました。『アサヒ贅沢搾り プレミアムみかんテイスト』は、果汁100%ジュースのロングセラーブランド「ポンジュース」でおなじみの株式会社えひめ飲料が製造する“ポン果汁”を30%使用しました。『アサヒ贅沢搾り 期間限定プレミアムトマト』は、カゴメ社のトマト1個分の果汁を使用したトマトテイストのチューハイで、“トマトのプロ”であるカゴメ社が厳選したトマトを、独自技術で濃縮したトマト果汁を使用しました。その他、限定商品として「パイナップル」、「ライチ」、「りんご」、「3種の柑橘クエン酸」、「国産和梨」、「洋なし」、「ハニープラスレモン」のフレーバーを発売しました。
「樽ハイ倶楽部」ブランドから『樽ハイ倶楽部梅干しサワー』を通年商品として発売しました。「樽ハイ倶楽部」は1984年より飲食店向けに展開している“日本初”の樽詰めサワーで、2020年末時点で約10万店の飲食店にて取り扱われている35年以上の歴史があるブランドです。また、限定商品としては『樽ハイ倶楽部 期間限定レモンマシマシサワー』を発売しました。「樽ハイ倶楽部」のレモンサワーが自宅で味わえる瓶入りリキュール『樽ハイ倶楽部レモンサワーの素』も発売しました。
「アサヒ ザ・レモンクラフト」はリニューアルを実施し、コンビニエンスストア限定から全業態に販路を拡大しました。「アサヒ ザ・レモンクラフト」は、5種類のレモン素材※7を使用したレモンのみずみずしい香りと豊かな果実味が特長のボトル缶チューハイです。リニューアルでは原材料の一部を見直し、香りと味わいを強化しました。また、限定商品として『アサヒ ザ・レモンクラフト 期間限定 地中海レモン』と『アサヒ ザ・レモンクラフト 期間限定 至福のレモン』を発売しました。
その他、「カロリー60%オフ」「糖類0※1」というお客さまの健康意識に配慮した特長にくわえ、つぶつぶの果肉やアロエによる食感を楽しめる「アサヒ Slat(すらっと)」から『アサヒ Slat(すらっと)期間限定南国ライチサワー』と『アサヒ Slat(すらっと)冬限定和柑橘サワー』を発売しました。また、「ウィルキンソン タンサン」を使用し、当社RTD史上“過去最高のガス圧”による炭酸の爽快さが特長の「『ウィルキンソン』・ハイボール」から、「『ウィルキンソン』・ハイボール 期間限定ジンジャエール」を発売しました。
お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の考え方に基づき、アルコール分0.5%の“微アルコール”ハイボール『アサヒ ハイボリー』とアルコール分3%のハイボール『アサヒ ハイボリー 3%』発売しました。「ハイボリー」は、ウイスキーを炭酸水で割った本格的な香りや味わいが楽しめる缶ハイボールです。ニッカウヰスキー社のブレンダーが厳選した華やかな香りが特長のモルト原酒とまろやかな味わいが特長のグレーン原酒を使用しています。キーモルトにスコットランド産のヘビーピート原酒を使用することで、香味に深みや重厚さが加わり、アルコール分低めの0.5%と3%でありながらも、ウイスキーの本格的な味わいや上質な余韻をお楽しみいただけます。
サワーテイスト清涼飲料※8市場においては、『アサヒスタイルバランス』をリニューアルし、新たに『アサヒスタイルバランスプラス』として発売しました。<レモンサワーテイスト>、<香り華やぐハイボールテイスト>は中味とパッケージを、その他フレーバーはパッケージをリニューアルしました。今回のリニューアルにより<レモンサワーテイスト>は、甘さを抑えたすっきりしたレモンの酸味で、レモン特有の果実感のある香味を実現し、飲みやすい味わいに仕上げました。<香り華やぐハイボールテイスト>は、炭酸ガス圧を高め、爽快感のある味わいを実現しました。
ウイスキー市場では、『ブラックニッカ クリア 紙パック1,800ml』のパッケージをリニューアルし、捨てやすさを訴求し、様々な飲み方を提案するデザインにしました。更に森林を守ることにつながるFSC認証を取得した紙パックに変更しました。『ブラックニッカ ディープブレンド 瓶・180ml』を新発売し、ラインアップを拡充しました。限定商品として『シングルモルト余市 ノンピーテッド』『シングルモルト宮城峡 ピーテッド』を発売しました。
焼酎市場では焼酎甲類乙類混和売上No.1ブランド「かのか」から、ブランド初のコラボレーション商品となる『イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎 かのか 25度1.8L』と『のり天にぴったりな麦焼酎かのか 25度1.8L』を発売しました。まるか食品株式会社が製造・販売する人気商品『イカ天瀬戸内れもん味』と「のり天」シリーズにぴったりの味わいに仕上げました。
ワイン市場では、『ニッカ シードル紅玉リンゴ』『ニッカシードル トキりんご』『ニッカ シードルヌーヴォスパークリング2021』を期間限定で発売しました。
※1:食品表示基準による。以下同様。
※2:「希望の大麦」は、(一社)東松島みらいとし機構(HOPE)とアサヒグループの協働プロジェクト「希望の大麦プロジェクト」により誕生しました。本プロジェクトは、宮城県東松島市の被災した土地で栽培した「大麦」を通じて、地域に「なりわい」と「にぎわい」を創出することを目指しています。
※3:100ml当たりプリン体0.5mg未満を「プリン体0」と表示しています。
※4:100ml当たり22kcal。発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)②」比
※5:「スマートドリンキング」とは、お酒を飲む人・飲まない人、飲める人・飲めない人、飲みたい時・飲めない時、あえて飲まない時など、さまざまな人々の状況や場面における “飲み方”の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現するために商品やサービスの開発、環境づくりを推進していくことです。当社は、お酒の飲み方に多様性を提案する「スマートドリンキング」宣言を2020年12月に発表しました。
※6:「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
※7:レモンオイル/グリーンレモンオイル、旬果レモンスピリッツ、凍結レモンピールエキス、瀬戸内産レモンエキス、シチリア産レモン果汁。
※8:ノンアルコールでサワーやカクテルのような味わいを楽しめる清涼飲料の総称です。
(技術開発関連)
中味開発において、「スーパードライ」がイギリスの酒類専門誌「ドリンクス・インターナショナル」が発行する「Drinks International Annual Brands Report2021(ドリンクス・インターナショナル2021)※1」のビールカテゴリーにおいて、「BEST SELLING部門」「TOP TRENDING部門」の2部門で、日本のビールメーカーとして初めて“最高賞”を獲得しました。ビールカテゴリーの賞は「BEST SELLING」「TOP TRENDING」の2部門があり、すべてのブランドの中で最も売れているもの(BEST SELLING)、最も注目されているもの(TOP TRENDING)という観点で、それぞれ最高賞が決められます。
容器包装分野では、『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』が国際的なビールコンテスト「International Beer Challenge 2021※2」の「Design & Packaging Awards」において金賞を受賞しました。「Design & Packaging Awards」は“オリジナリティー、市場や産地との関連性、缶や瓶の形状、中身の液体との関連性、缶や瓶のラベル・デザイン・素材の創造性”などの観点で審査され、最も優れた商品が表彰されます。
また、環境に配慮したパッケージ開発の一環として国産最軽量※3となるビール類202径アルミ缶蓋を東洋製罐株式会社と共同で開発しました。202径アルミ缶蓋はこれまでの204径アルミ缶蓋に比べ、缶の品質や強度はそのままに缶蓋の直径を約3mm小さく、缶蓋1枚あたりのアルミニウム使用量は従来の約2割減となる2.5gとなりました。これまで204径缶蓋を使用している当社商品全てをこの202径缶蓋に切り替えた場合、年間約14,300tのCO2排出量を削減できる見込みです。北海道工場で「アサヒ スーパードライ」「アサヒスタイルフリー〈生〉」「クリアアサヒ」「クリアアサヒ贅沢ゼロ」「アサヒオフ」ブランドでテスト販売した結果も良好であり、本格的な展開を検討していきます。
また、6缶パックにおける紙の使用量を大幅に削減した新資材「エコパック」を採用しました。「エコパック」は、缶の上部のみ固定する紙資材で、缶容器の6缶パックとして日本で初めての採用となりました。「エコパック」を採用することで、従来使用していた6缶パック資材と比べ、紙の面積は缶350mlの6缶パックで77%、缶500mlの6缶パックで81%削減できます。使用する紙の重量は缶350mlの6缶パックで65%、缶500mlの6缶パックで73%の削減を実現できます。仮に、当社が製造する6缶パック全てを本資材に切り替えた場合、年間で紙の使用量は約8,800t、資材製造に伴うCO2排出量を7,400t削減※4できる見込みです。本資材を使用した『アサヒスーパードライ エコパック』をテスト販売した結果も良好であり、2023年からの本格展開を目指します。
地球にやさしいエコカップ「森のタンブラー」をリニューアルしました。「森のタンブラー」は“使い捨て”という消費行動自体を変革することを目標とし、“使い捨て”しない飲料容器として開発したエコカップです。パナソニックが開発した「高濃度セルロースファイバー成形材料」を原材料としています。今回のリニューアルでは、使用している材料の植物繊維(セルロースファイバー)の使用比率を55%から70%まで引き上げ、「森のタンブラー」1個あたりのプラスチック使用量を33%削減し、さらなる環境負荷の低減を実現します。また、地域と連携した環境負荷低減の取り組みに力を入れました。株式会社アップサイクルジャパンと協業して神奈川県秦野市のヒノキの梢を主原料とした「梢プロジェクト 森のタンブラーHINOKI」や、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドと同施設のSDGsパートナーであるおもろいカンパニー合同会社と協力し、飼育するパンダが食べずに廃棄していた竹を使った「パンダバンブータンブラー」を開発しました。
※1:イギリスの酒類専門誌「ドリンクス・インターナショナル」が毎年発行している、世界一流のバーを対象にしたブランド調査です。調査の対象となるバーは、「THE WORLD'S 50 BEST BARS」に選ばれている50店のバーの他、世界の主要な賞にノミネートされるバーから厳選されており、2021年は世界33カ国のトップバー100店舗が調査に参加しました。
※2:「International Beer Challenge」は、本年創設25周年を迎えた国際的なビールコンテストで、香りや味を審査する「Tasting Awards」、デザインなどを審査する「Design & Packaging Awards」があります。毎年40カ国以上からエントリーがあり、国際的に著名な審査員による厳正なる審査の上、それぞれの賞が決定されます。
※3:当社調査によるもので、缶135mlを除くビール類用缶胴(66mm径)向けの缶蓋として国産最軽量(2021年8月時点)
※4:2019年当社6缶パック全商品の出荷実績による。
[飲料事業]
(商品開発関連)
アサヒ飲料㈱は「ブランドを磨き、ブランドで挑む」との方針のもと、「お客様との共感」をテーマに、変化する生活に寄り添い、当社の強みをさらに磨き、商品・活動を通じて「健康」「環境」「地域共創」の領域で社会課題解決に向け取り組むことで、社会でひときわ存在価値が高く社会からいちばん信頼される企業を目指しております。
研究開発部門においては、「三ツ矢」、「ウィルキンソン」、「カルピス」、「ワンダ」、「十六茶」、「おいしい水」の6つの重点ブランドについて、ブランド価値向上、および新規領域の強化に取り組んで参りました。
「三ツ矢」ブランドにおいては、昨年好評であった復刻版シリーズの『三ツ矢サイダーレモラ』のリニューアルを3月に実施。有糖炭酸の“おいしさ”と無糖炭酸の“さっぱり”を兼ね備えた、甘すぎないハイブリッドな炭酸飲料として、レモンの爽やかな香りにライムフレーバーのアクセントを効かせた味わいが支持され、目標300万箱を超える販売数量を達成しました。有糖炭酸飲料領域においては、「さっぱりしたい」「リフレッシュしたい」といったニーズに応えるため、本格的な果実の味わいや爽やかな酸味を追求した「『三ツ矢』特濃」シリーズとして「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」、「『三ツ矢』特濃レモンスカッシュ」「『三ツ矢』 特濃ライムミックス」など3品を展開。さらに国産品種指定果実の果汁を使用した「『三ツ矢』にほんくだもの」シリーズを4品展開いたしました。また、「三ツ矢」ブランド史上初のフローズン飲料となる「『三ツ矢サイダー』フローズン」、暑い夏の健康的な生活のサポートに適した熱中症対策飲料として「『三ツ矢』ソルティ」など、多様な消費者のニーズに対応して参りました。加えて、チャネル限定ではありましたが、果汁100%の炭酸飲料として他社と差別化し、高価格帯で発売した「『三ツ矢』クラフト」シリーズが好評を博すなど、今後の高付加価領域への展開に関して良好な感触を得ることが出来ました。これらの活動の結果として、「三ツ矢」ブランドの年間販売数量4,162万箱(前年比102%)となり、2年連続で過去最高を更新しました。
「ウィルキンソン」ブランドにおいては、コロナ禍における消費者の生活スタイルが変化し在宅時間が多くなる中、「気分をすっきりさせたい」「リフレッシュしたい」という意識や、コロナ太りなどを気にした健康意識の高まりから無糖炭酸飲料の需要が高まっています。そのような中で家での直接飲用や家飲みの割り材として家ナカ需要に対応したことでPET1Lや4本パック、箱売りが好調に推移しました。中でもPET1Lは各種キャンペーンや販促が奏功し、前年から大きく伸張して販売数量の拡大に大きく貢献しました。また、「ウィルキンソン」ブランドの第2の柱である『ウィルキンソン タンサン レモン』のリニューアルを7月に実施。女性ユーザーの飲用拡大に成功し、前年を上回る販売数量を達成しました。新規ユーザー拡大に向けたフレーバー展開としては、3月に『ウィルキンソン タンサン グレープフルーツ』、4月に『ウィルキンソン タンサン ウメ』、7月に『ウィルキンソン タンサン ピーチ』、9月に『ウィルキンソン タンサン マスカット』、12月に『ウィルキンソン タンサン ライム』を継続して発売しました。「ウィルキンソン」ブランドはメガブランドと位置付けられる3,000万箱の大台を1904年の発売から初めて突破し、14年連続で過去最高の販売数量を更新しました。
カルピスブランドでは、発売30周年を迎える「カルピスウォーター」のリニューアルを実施し、さらに新たな顧客開拓を目的とした新商品「CALPIS Light Blue」を開発、発売しました。また、希釈して飲用するコンクタイプ、そのまま飲用するストレートタイプ、炭酸タイプにおいて、季節ごとに様々な種類の果実と「カルピス」を組み合わせた新商品を数多く展開しました。昨年、発売した乳原料を使用せず豆乳で作った「GREEN CALPIS」は容器を変更しながら、さらにおいしくカルピスの味わいが楽しめる中身のリニューアルを実施し、乳アレルギーを持つ方々から引き続き好評を得ております。
「ワンダ」ブランドでは、引き続きボトル缶市場への継続的な商品展開を行いました。ボトル缶市場に向けては、継続して「ワンダ 極」シリーズを積極的に展開。「微糖」、「ブラック」、「カフェオレ」に加えて「贅沢な糖類ゼロ」を発売し、コロナ禍における健康意識や気分切り替えニーズに対応した飲用機会の拡大を図りました。PETコーヒー市場では、ドトールコーヒー社監修の「ドトール カフェ・オ・レ」、季節限定の「ドトール シーズンカフェ」シリーズを展開。 「塩キャラメルラテ」、「ほうじ茶ラテ」を新発売し、コーヒー市場の活性化を図りました。
「十六茶」ブランドにおいては、「アサヒ 十六茶」が2005年から「カフェインゼロ」として生まれ変わり、2021年で17年目をむかえました。2021年は、新たに発酵素材をブレンドし、香ばしさを強化。中味・容器・パッケージを一新しました。また、健康機能価値を付与した「十六茶プラス」シリーズを改訂。内臓脂肪、脂肪、糖のトリプルヘルスクレームの機能性表示食品「『アサヒ 十六茶プラス』3つのはたらき」を発売しました。その他、「十六茶麦茶」、「十六茶旬素材ブレンド」、「ぎゅっと濃い十六茶」、「十六茶 ほっと温まる 機能性表示食品」を展開し、「十六茶」ブランドの飲用機会拡大を図りました。
「おいしい水」ブランドにおいては、これまで展開していた「ラベルレス」ボトルに加え、新たに「シンプルecoラベル」を投入することで、環境負荷低減という新たな価値の提供を進めて参ります。
また、海外展開の取り組みとして、台湾においては、「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ワンダ」ブランド、「三ツ矢」ブランド、「ウィルキンソン」ブランド、「ほっとレモン」を展開しています。特に「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ほっとレモン」は現地製造品を展開しており、「十六茶」ではLL紙容器を本年ラインナップに加えました。台湾は従来リサイクルPETボトルの流通が認められていませんでしたが、本年当社を含めた企業・業界の働きかけにより、一定条件下においてリサイクルPETの使用が認められる状況となりました。米国は「CALPICO」ブランド、「十六茶」ブランドを展開しており、「CALPICO」のOriginal、Mango、Strawberry、Lychee、White Peachの5フレーバーについて、現地の健康ニーズの高まりに対応し、砂糖類を減量した配合での展開を完了しました。また、従来からロシアへは一部製品を輸出しておりましたが、この度隣国のモンゴルへ「カルピス」製品の輸出を開始しました。
なお、「おいしさ」の定性・定量評価にかかる技術開発には特に力を入れており、比較的新しい官能評価手法であるCATA-PA法に当社独自の官能評価手法を融合させた高度化した商品評価方法を構築し、より精緻にお客様の嗜好性を把握して商品改善につなげる取り組みを進めています。
また、長引くコロナ禍において、社会として健康意識が高まる中、日本中のみなさまが毎日の「飲みもの」を通じて、ココロもカラダも健康になれる事を目指し、アサヒグループ独自の確かなエビデンスを有した素材を使用した製品の開発や、「安全」「安心」といった各ブランドがもつベーシックな「健康」価値の訴求を強化することで、健康課題解決に向けた取り組みを推進しています。これらの活動を通じて「アサヒ飲料㈱=健康に強みを持つ会社」というイメージの醸成を目指して積極的な取り組みを実施しています。その中でも、本年は昨年から継続して「炭酸水」のもつ健康増進効果の解明に取り組みました。理化学研究所 水野敬先生との取り組みでは、これまでに明らかとなった炭酸水を継続的に飲用することによる抗疲労をはじめ様々な健康増進効果について第17回日本疲労学会総会・学術集会で発表するなど、研究成果の発表を進めて参りました。また、これまでの「炭酸水」の健康増進効果の研究成果を世の中に向けて発信するためのプラットフォームである「アサヒ炭酸ラボ」を設立し情報発信の強化を推進しました。今後についてもみなさまにワクワクと笑顔をお届けできるよう情報発信を強化していく予定にしています。
これらの取り組みを通じて、お客様にとってアサヒ飲料㈱の商品は確かな価値ある商品であることの理解促進と満足度を高めて参ります。
“カラダの健康”に関しては、「カルピスの乳酸菌科学」シリーズとして、100mlの小型PETボトルの展開を進めて参りました。「L-92乳酸菌」を配合した「守る働く乳酸菌」に加え、機能性表示食品として、「ストレス・睡眠」、「腸内環境改善」領域では「ガセリ菌CP2305株」を機能性関与成分とした「届く強さの乳酸菌W(ダブル)」、「血圧」領域では「ラクトトリペプチド(VPP、IPP)」を機能性関与成分とした「『アミール』やさしい発酵乳仕立て」、「体脂肪」領域では「乳酸菌CP1563株由来10-ヒドロキシオクタデカン酸(10-HOA)」を機能性関与成分とした「ラクトスマート」を展開しております。また、「認知」領域においては、「年齢とともに低下する記憶力の維持」を訴求する「脳活サポート」を新たに発売いたしました。
今後ともアサヒグループの確かなエビデンスに裏打ちされた機能性素材や素材活用技術を用いて、新たな健康価値の提案を目指し、積極的な研究開発を推進して参ります。
(技術開発関連)
理化学および微生物分野における技術開発においては、製品や生産工程の品質保証に必要な安全・安心技術(新たな分析技術、解析技術)の拡充と、品質に影響を及ぼす微生物検出技術、同定技術、静菌技術の研究について継続して取り組んで参りました。品質保証のために出荷前に行う微生物検査において、AIを活用した新たな微生物迅速検査法「FLOX-AI」を当社で独自開発し、日本食品微生物学会および日本防菌防黴学会での発表も行いました。微生物検査の工程でAIを活用する取り組みは、清涼飲料業界で初となります。
容器包装開発においては、持続可能な容器包装の実現に向けて制定した「容器包装2030」に基づき、PETボトルでの環境配慮素材(リサイクル樹脂および植物由来原料を配合したバイオ樹脂)の拡大展開に向けて各種容器容量別での品質評価を行いました。また、プラスチック使用量削減に貢献するラベルレス商品の拡大に向けたあらたな取組みとして、清涼飲料業界初となるレーザーマーカーによるボトルへの表示で完全ラベルレスを実現した『「十六茶」PET630mlダイレクトマーキングボトル』発売に向けた技術評価を行い、ECチャネルにて函売りでのテスト販売を実現しました。単品販売可能なラベル最小化商品としては、『「アサヒおいしい水」天然水シンプルecoラベルPET585ml』の発売に向けた専用ボトルの開発を行いました。本ボトルはラベルレスボトル商品の単体販売による環境負荷低減の取り組みが評価され、グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしました。お客様の更なる利便性向上を目指した取組みでは、段ボールカートンについて店頭および家庭での開け易さと使用後の畳み易さの向上を目的とした開発を行い、「十六茶」「ウィルキンソン」「アサヒおいしい水」ブランドへの展開を行いました。引き続き、品質技術、容器包装技術の両面において飲料業界のリーディングカンパニーとしてふさわしい技術開発を推進して参ります。
[食品事業]
(食品開発関連)
アサヒグループ食品㈱は 主要ブランドを中心にアサヒグループ食品ならではの提供価値を訴求してきました。
「ミンティア」ブランドは、タブレット菓子としてのおいしさや、食感、パッケージに至るまで全てにこだわった多彩な商品ラインアップの提案を続けてきました。2021年は、従来の“通勤・通学”などのオンタイム&リフレッシュに加え、新しい生活様式で高まる、“マスク着用時”や“在宅勤務中”のリフレッシュニーズにも対応した新たな商品『ミンティア +MASK ペパーミント』『ミンティア +MASK シトラスミント』『ミンティアブリーズ+MASK レモンライムミント』を全国で新発売し、継続的な需要喚起を図りました。また、オーラルケアへの関心の高まりに対応して、錠菓市場で国内初※1となる歯垢の生成を抑えるのを助ける機能が報告されているエピガロカテキンガレート(EGCg)を配合した機能性表示食品『ミンティアエクスケア デンタルプラス ペパーミント』を発売しました。
“おいしさ”と“食べ応え”のダブルの満足が得られることから好評をいただいている「1本満足バー」では、「1本満足バー プロテイン」シリーズから、プロテイン15g配合で、糖質をカットした甘さ控えめのブラックチョコレートを使用した『1本満足バー プロテインブラック』を追加販売しました。「1本満足バー プロテイン」シリーズにより、「1本満足バー」ブランドの売上は、好調に推移しています。
「クリーム玄米ブラン」ブランドから初の機能性表示食品として、不足しがちな栄養成分の補給とともに、腸内環境の改善に役立つ機能があることが報告されている ガセリ菌CP2305株が配合された『クリーム玄米ブランプラス 豆乳&カスタード』『クリーム玄米ブランプラス ごま&塩バター』を発売し、さらなる市場活性化を図りました。さらに、ダイエット意識の高まりに着目し、1個当たり80kcalでしっとりとした食感が特長の『クリーム玄米ブラン 80kcal バニラミルク』『クリーム玄米ブラン 80kcal ビターチョコ』を発売し、新規層のトライアル獲得に貢献しました。
「キャンディ」では、舐めることで栄養補給ができる「キャンディサプリ」としてキャンディ4粒で美味しく手軽に栄養補給ができる袋入りキャンディ『キャンディサプリ 1日分のビタミンC』を発売しました。間食などのリフレッシュタイムをはじめ、外出時にも手軽に健康をサポートできる商品としてキャンディのユーザー層や喫食機会の拡大を図りました。
カップスープカテゴリーでは、ワンカップ市場※2での独自ポジションの確立のため、小腹を満たしながらも特長のある製品を発売しております。2021年は手軽に糖質コントロールのできる「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズから『おどろき麺0(ゼロ) 鶏だし旨塩麺』を、「おどろき野菜」シリーズからは1食分の野菜※3が摂れ、さらに最近注目されているたんぱく質を5g配合した『おどろき野菜 1食分の野菜 チキンとキャベツのクリームスープ』他1品を発売しました。また、食べ応えが抜群で1/2日分の野菜※4が摂れるはるさめスープも含めて、手軽に野菜を摂取できるとともに本格的な味わいにこだわった多彩なメニュー提案を行いました。
フリーズドライ食品カテゴリーでは、主力の「いつものおみそ汁」シリーズからレギュラーライン1品、贅沢ライン3品の追加を行った他、素材と具材のうまみを楽しむ「Theうまみ」シリーズからスープ2品を追加いたしました。そして、惣菜、雑炊、シチュー、カレー、チーズリゾットを「お食事メニュー」シリーズとして、全13品のラインナップにて発売し、フリーズドライ製法の特長を活かし、“おいしさ”“楽しさ”“驚き”を提供しながら、お客様の毎日の食卓に健やかで笑顔のある食生活を提案いたしました。一方、通販専用商品としては、血圧が高めの方におすすめの機能性表示食品である「やさしいおみそ汁」シリーズを「やさしさプラス」シリーズにリニューアルし、おみそ汁以外の商品が欲しいとのお客様からの声を参考に、新たにスープ2品を追加、全7品でのシリーズ展開といたしました。また、通販商品の主力である「まごころ一杯」シリーズをリニューアル、同時に新商品4品を加え、定番、減塩それぞれ10品ずつの計20品の品揃えを行いました。今回のリニューアルでは、国産野菜にこだわり、おみそ汁に使う「みそ」は米糀をたっぷり使った「十割糀みそ」を採用し、商品ごとに配合率を変えています。また、かつお節や昆布などのだしを使用したおみそ汁に、香り高いかつおだしを重ねる当社独自の「重ねだし製法」を取り入れ、こだわった商品としています。さらには当社のフリーズドライ技術と工夫が詰まった『フリーズドライの匠 海老天とじ丼の素』を数量限定で発売し、フリーズドライのおみそ汁への関心が高まる中、みそ汁、吸物類フリーズドライ市場売上NO.1※5のメーカーとして、お客様のさらなるフリーズドライ商品の利用拡大に取組んでいます。
ベビーフードカテゴリーでは、「手作り応援」シリーズから、『たっぷり手作り応援 おいしいパンがゆ風』を新発売するとともに既存品2品をリニューアルいたしました。また、離乳食は手作りしたいけれどなるべく手間をかけずに準備をしたいとの声にお応えし、ご家庭にある食材と混ぜたりかけたりするだけで、離乳食の味付けが簡単にできるお子さま向け調味ソースとして「そのままソース」シリーズ3品を発売しました。ツインパウチタイプで1回分ずつ切り離せるため、1食分に最適な量が使え、保管に便利なことも特長となっています。1歳からのお子さまが自分で飲みやすくこぼしにくいジュレタイプ飲料の「1歳からのMYジュレドリンク」シリーズでは、8種の野菜と3種のくだものが入った「1/2食分の野菜※6&くだもの」シリーズ3品と『アクアライト りんご』をリニューアルするとともに『はじめてのカルピス®ジュレ』など4品を新発売し、伸長しているジュレタイプ飲料商品を強化することで市場の活性化とユーザー層の拡大を図りました。
シニア向けカテゴリーでは、“かまなくてよい”区分の『バランス献立 なめらかおかず 鶏と野菜のシチュー』『バランス献立 なめらかおかず 牛肉と野菜のビーフシチュー』『バランス献立 なめらかおかず 鶏肉と野菜 筑前煮風』『バランス献立 なめらかおかず 牛肉と野菜 しぐれ煮風』『バランス献立 なめらかおかず 白身魚と野菜 クリーム煮』の5品をリニューアル発売し、“容易にかめる”“歯ぐきでつぶせる”区分から、見た目や食感の満足感を向上させた「具材を楽しむ」ラインなど、新しい生活様式下で増えつつある在宅介護に向けた新価値を提案しています。
当社調査によると、20~50代女性が魅力的に感じるダイエット関連のヘルスクレームの上位に「体脂肪を減らす」「内臓脂肪を減らす」等が挙がっています。そこで、粉末シェイクに「肥満気味の方のおなかの脂肪(体脂肪・内臓脂肪)を減らすのを助ける」機能性関与成分、乳酸菌CP1563株を配合した新ブランド「SUS(エスユーエス)」を発売しました。
家族の健康維持のために毎日の食生活の栄養サポートがますます求められる中、ディアナチュラから乳酸菌や、ビタミンDを強化したラインアップ『ディアナチュラ ビタミンD強化マルチビタミン・亜鉛・乳酸菌 30日』『ディアナチュラスタイル 乳酸菌×マルチビタミン 20日』を発売しました。
新しい生活様式下で衛生用マスク着用が求められている中、当社調査によると、現在気になっている肌悩みとして「しみ」・「毛穴」・「しわ」・「ハリ・弾力」等、なんらかのお悩みを挙げた方のうち、約半数はその悩みは2020年3月以降から気になるようになったと回答しています。その肌悩みに対応すべく、プラセンタを手軽に使えるブランド「素肌しずく」から『素肌しずく ジェルマスク』『素肌しずく クリームマスク』を発売しました。2品ともに、シート貼りなし・放置時間なし・洗い流し不要・拭き取り不要・ワンタッチ容器という時短簡便を叶えるスキンケアアイテムです。
機能性表示食品市場は年々拡大しています。通販カテゴリーでは、既存ブランドの『ビオマイン』(枯草菌(バチルス・サブチルス)C-3102株を配合)を機能性表示食品としてリニューアル発売しました。枯草菌C-3102株には、腸内にもともといる善玉菌(ビフィズス菌、酪酸産生菌)を増やすことで腸内環境(腸内フローラ)を整えることが報告されています。また、『ロコトモ』(乳酸菌CP2998株 (L. curvatus CP2998)を配合)に関しても、機能性表示食品としてリニューアル致しました。乳酸菌CP2998株は、健常な高齢者の加齢によって衰える太ももの筋肉の活動量を上げることにより、歩くピッチおよび歩行速度の向上に役立つ機能が報告されています。
※1:機能性表示食品の届け出情報検索を用いたアサヒグループ食品調べ
※2:容器付きでお湯を注いで飲めるものやそのままレンジで温めるだけのもの(インテージ分類定義)
※3:厚生労働省が推奨する1日の野菜目標摂取量(350g)の1/3量(生換算)
※4:厚生労働省が推奨する1日の野菜目標摂取量(350g)の1/2量(生換算)
※5:インテージSRI+:みそ汁、吸物類フリーズドライ市場2019年7月~2021年6月メーカー別累計販売金額
※6:「授乳・離乳の支援ガイド」をもとに算出
(技術開発関連)
当社では、牛乳アレルギーの乳児に対する大豆乳の有用性・安全性に関する研究に助成を行い、その研究成果が国立病院機構相模原病院より第70回日本アレルギー学会学術大会にて発表されました。海外向け育児用粉乳の微生物検査の迅速化に関する研究を行い、その成果を日本食品衛生学会第117回講演会にて発表いたしました。またアサヒグループの独自素材であるラクトトリペプチド(LTP)の摂取による血流への影響に関する論文を「薬理と治療」誌に発表いたしました。
[先端研究]
(ヘルス&ウェルネス)
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、アサヒグループの先端研究の拠点として、グローカルな独自価値創造の源泉となることを長期ビジョンに掲げ、研究開発を推進しています。その中で、酵母・乳酸菌をはじめとする微生物活用技術や、これまで培ってきた機能性評価技術を活かして、これからの社会に求められる健康機能を有する独自価値を有した素材の開発、飲食の持つ価値の科学的検証、発酵技術を活かした新たな商品開発への貢献、などに取り組んでいます。具体的な研究成果のひとつとして、乳酸菌ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株について、新たに免疫調整機能を有することを明らかとしました。L-92株はこれまでもアレルギー症状の緩和などについて既に論文発表を行っていましたが、昨今のコロナ禍において関心の高い免疫機能の分野においても同素材の有用性を科学的に証明いたしました。また、近年注目を集め、世界的にも市場が急成長しているフェムテック分野においても、ラクトバチルス・ガセリCP2305株が女性の月経前の精神的な症状緩和に効果があることを見出しました。女性の約90%が経験したことのある月経前のゆううつな気分、不安感、無気力、疲れやすさ、眠気といった症状の緩和に効果があるパラプロバイオティクス素材であり、女性のQOL改善に大きく貢献することができると期待しております。その他、脳科学とAIを活用するためのコンソーシアムへ参画し、五感入力(刺激情報)を中心にした身体内外の環境変化に対する脳反応のデータを蓄積、解析することで、脳モデルの構築を目指しています。また、酵母に関する蓄積された知見、発酵技術を基にした研究では、その成果を国内はもとより海外グループ会社とも密に連携を行い、その成果を実際の商品開発に活かしています。一方で、アルコール飲料を製造、販売する企業の責任として、アルコール摂取における健康影響に関しても様々な観点から研究を行っています。
(サステナビリティ)
サステナビリティについては、食の安全安心と同様、企業が活動をしていく中で必ず担保していかなくてはならないものであると位置づけて研究活動を行っております。グループとして掲げているアサヒグループ環境ビジョン2050、アサヒカーボンゼロ達成に向けての取り組みの中で、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱ではCO2排出量削減の新たなモデルとして、ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電の実証事業を、アサヒビール茨城工場にて環境省補助事業のもと開始しております。連続運転によって初めて明らかとなる種々の問題に関しても都度適切な解決策を適用、バージョンアップを繰り返すことで、順調に稼働を続けております。本発電システムで得られるエネルギーは完全にカーボンニュートラルなエネルギーとなります。CO2削減についてのその他研究として、ボイラーの排ガスからCO2を分離させ高効率に回収する実証試験を行っています。こちらについても施設内に設備を導入し、1万時間を超える連続稼働を続けております。回収されたCO2は大気に放出されず、CO2排出量の削減に繋がります。さらに回収したCO2を有効利用するCCUSの研究として、国内の食品企業として初となるメタネーション設備の導入を行い、CO2回収装置と接続した実証実験を開始、連続運転をお行っております。また、商品の中身品質を高く保ち、輸送時に十分な強度を保持することで、適切な形でお客様へと商品を提供するための容器包装も、環境に与える影響を鑑み、ペットボトルのリサイクル技術や削減技術など多角的な視点で取り組んでいます。これらの取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と事業収益向上の両立に貢献してまいります。
(新規事業)
グループの事業へ貢献することの出来る新規事業を創出すべく、新規事業開発を行っております。グループ事業におけるシナジー効果の獲得、従来のバリューチェーンを脅かす可能性のある分野の自社のポートフォリオへの獲得を目的に、既存事業のエクステンションを軸として、ベンチャー企業への投資や協業を通じた事業創出を行っています。具体的には、ベンチャー企業と提携し、コーヒー副産物に含まれる成分を活用した凍霜害防止剤を開発し、事業化を目指した試験販売を実施しており、対象作物や販売先を順次拡大しております。この取組みにより、グループ内の飲料工場から排出されるコーヒー副産物を有効活用しながら、安定的な農作物収穫に貢献することで農家の方々の収入減や離農といった課題に取り組んでいます。ます。その他のグループから出てくる副産物の利活用として、ビール製造工程中の副産物であるビール粕の利活用についても外部企業との協業を軸に検討を進めています。また、これまでも様々な事業の中心的役割を担ってきた酵母についても、より一層の付加価値や新たな機能の獲得のための研究開発を進めており、さらなる新規事業としての活用を志向しております。
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