事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社グループでは、毎年度リスクを特定し、特定された各リスクに対して、発生頻度や影響度合いによる分析・評価を行い、リスク管理体制の統括管理を行う専門の委員会等にて協議の上、それらリスクの回避、低減や保険付保による移転等の対応方法を策定しております。なお、サプライヤーに影響を及ぼす、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた人的リソース不足や、紛争や政治的な不安による地政学的リスク、原材料価格の高騰のような経済的リスク等のサプライチェーンリスクに対しても、特定のうえ分析・評価を行い事前に軽減策を検討しています。その分析・評価の結果、及び対応方法等は、経営会議等で報告され、経営に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクに対して対応を議論しております。また、重要な業務執行においては、取締役会、経営会議等での意思決定に際して、当該事案に係るリスクを洗い出し、そのリスクへの対応策を事前に確認、議論の上で決議、執行しております。
 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

※以下、発生頻度の「少」は、想定される最大規模のリスクの顕在化の可能性が「10年以上」、影響度の「大」は、その損益影響の可能性が想定される最大規模で「100億円以上」を目途としております。

※これらは提出日現在において判断したものであり、当社グループの事業に関するリスクをすべて網羅しているとは限らず、不確実性も内在しており、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1) 経済情勢の変動に関するリスク

①金利の変動 [発生頻度:中、影響度:小]

当社グループの有利子負債の一部は変動金利となっております。そのため、金利の変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

 金利等の市場動向を注視し、資金調達先や期間の分散、及び、固定金利での調達の利用により、金利変動による影響を抑制するように努めておりますが、影響を完全に回避するものではありません。

②為替の変動 [発生頻度:中、影響度:小]

当社グループは、海外事業に係る外貨建ての資産・負債を有しております。また、海外調達している商品・原材料等については原則として円建てで契約しておりますが、契約価格は契約時点の為替レートが基準となります。そのため、為替レートの変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

 海外調達している商品・原材料等については、契約数量や時期を分散することで、為替レートの変動による影響の軽減に努めておりますが、影響を完全に回避するものではありません。

③原材料の調達 [発生頻度:中、影響度:中]

原油価格の高騰や異常気象等、予測困難な問題によりさらなる原材料価格の上昇及び調達が困難となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

 原材料価格の上昇による影響を抑制するために、代替原料、生産地域が異なる同一原料、複数の調達ルートの確保を図っておりますが、影響を完全に回避するものではありません。

 

(2) 事業活動に関するリスク

①事業活動の変化[発生頻度:中、影響度:大]

 当社グループは、国内コンビニエンスストア事業を主たる事業としております。主たる事業において、国内・事業展開している海外の、経済環境、景気動向、社会構造の変動、異常気象、感染症の拡大がもたらす消費動向の変化・営業規制及び、コンビニエンスストア事業における同業他社・異業種小売業等との競争状況の変化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、感染拡大防止のための緊急事態宣言の発出や更なる外出自粛の要請等の措置の発動等が生じた場合、臨時休業、営業時間短縮等があり、それらによって当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

    (リスクへの対応策等)

経済環境等の変化や競争状況の変化等への対応については、商品力や品揃えの強化を含めた店舗理想形追求プロジェクトの推進等の変化対応を継続して実施しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大の対応については、店頭での感染防止に加え、当社従業員においても、生産性の向上・新たな価値の創造につなげるべく前年度に制定した「リモートワーク勤務規程」の下でリモートワークを推進し、感染を予防しつつ営業を継続しております。人権侵害リスクにおいては、「ローソングループ人権方針」のもと、人権デュー・ディリジェンスを実施し、人権に関する負の影響の回避・軽減のための取組みを進めます。

②食品の安全性・衛生管理及び表示[発生頻度:多、影響度:中]

当社グループは、主たる事業である国内コンビニエンスストア事業、成城石井事業及びエンタテインメント関連事業にて、お客さま向けに食品の販売を行っております。万一、食中毒、異物混入等の重大事由又は食品表示の誤りが発生した場合、お客さまの信頼を損ない、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

    (リスクへの対応策等)

当社グループでは、取引先と協力して製造プロセスから配送・販売に至るまで、品質管理を厳守し、消費期限、賞味期限、産地、原料等の表示を適切に行うとともに、配送・販売時においても厳格な衛生管理と期限管理を行っております。万一当該事由が発生した場合、できる限り速やかにマスコミ等に公表することにより、お客さまへの影響を最小限に抑えるとともにお客さまの信頼確保や回復に努めてまいります。

③M&Aや業務提携[発生頻度:中、影響度:中]

当社グループは、株式の取得や業務提携等を通じて事業の拡大や新規事業への進出を行っております。また、これらの投資に伴いのれんを計上している場合もあります。当該事業が目論見どおりの収益を上げられない場合、のれんの減損を含め、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

    (リスクへの対応策等)

株式の取得や業務提携等を実施する際には、第三者機関にも評価を依頼し、十分な事前調査を行うとともに、その意思決定に際しては、精緻な事業計画を立て、撤退基準も明確に設定しております。また、実施後の事業進捗については、社内の重要会議体等において定期的にモニタリングを行い、当該リスクの低減に努めております。

④債権の回収不能に関するリスク[発生頻度:中、影響度:中]

当社グループは、サプライチェーンにおける取引先に対し債権を有しております。また、店舗の賃借に際し賃貸人へ敷金・保証金を差し入れております。そのため、取引先や賃貸人の信用状況が悪化し当社グループの債権が回収不能となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

    (リスクへの対応策等)

新規取引先等、必要に応じて信用調査を実施するとともに、債権管理を徹底し、当該リスクの低減に努めております。

⑤有形固定資産の減損[発生頻度:中、影響度:中]

当社グループは店舗を中心に多額の有形固定資産を有しております。周辺環境の変化等により十分な将来キャッシュ・フローが期待できない状況に至り、減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

    (リスクへの対応策等)

有形固定資産の取得にあたっては、精緻な投資採算の仮説、検証の上で実施しており、十分なキャッシュ・フローの確保に努めております。

⑥個人情報の取扱い[発生頻度:中、影響度:大]

当社グループでは、事業の過程において、お客さま、株主、取引先、FC加盟店オーナー等の個人情報を取り扱っております。万一、個人情報の漏洩・流出が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

    (リスクへの対応策等)

当社グループは個人情報の漏洩及び個人情報への不正なアクセスを重大なリスクと認識し、情報セキュリティに最善の対策を講じるとともに、「ローソングループ個人情報保護方針」を制定し、当社グループ内にも周知徹底しております。万一当該事由が発生した場合、できる限り速やかにマスコミ等に公表することにより、お客さま等関係者への影響を最小限に抑えるとともに関係者からの信頼確保や回復に努めてまいります。

 

(3) 法規制等に関するリスク[発生頻度:中、影響度:中]

当社グループは、コンビニエンスストア事業にて、日本全国47都道府県及び中国、タイ、インドネシア、フィリピン、米国(ハワイ州)に店舗を展開しており、出店地域における、店舗開発、店舗営業、衛生管理、商品取引、環境保護等に関する様々な法規制を遵守し、事業を推進する上で必要な許認可を取得し、事業を行っております。
 将来において、予期せぬ法規制の変更、行政の指導方針の変更等が生じた場合、新たなコストが発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

    (リスクへの対応策等)

当社は、平時から法令の改正情報等の収集・分析を実施し、事前対処により影響の低減を図りますが、予期せぬ変更等が生じた際には、できる限り速やかに対処し、当該変更後の法令等のもとでの収益向上、成長に努める所存です。

 

(4)フランチャイズ(FC)事業に関するリスク[発生頻度:中、影響度:中]

 当社グループは、主たる事業である国内コンビニエンスストア事業にて、フランチャイズシステムを採用し、FC加盟店オーナーとの間で締結するフランチャイズ契約に基づいて、当社グループが保有する店舗ブランド名にてチェーン展開を行っております。従って、契約の相手先であるFC加盟店における不祥事等によりチェーン全体のブランドイメージが影響を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 また、フランチャイズシステムは、契約当事者の双方向の信頼関係により業績が向上するシステムであり、FC加盟店オーナーと当社グループのいずれかの要因により信頼関係が損なわれ、万一多くの加盟店とのフランチャイズ契約が解消される事態に至った場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

 FC加盟店との日常的なコミュニケーションを通じて十分な情報を提供するとともに、適切なサポートを行って、不祥事等を抑止するとともに、安定した店舗経営の継続のための各種の取組みも実施し、加盟店との間に強いパートナーシップを築いてまいります。

 

(5)銀行事業に関するリスク[発生頻度:中、影響度:大]

 当社グループにおいて銀行事業を営む株式会社ローソン銀行は、銀行法、割賦販売法、犯罪収益移転防止法等の法令諸規則、監督官庁の指針等の適用を受けております。また、銀行法では銀行業者に対する自己資本比率規制、アームズ・レングス・ルール等の業務遂行上の様々な規制を定めており、これらが適切に遂行されない場合には、金融庁から営業の全部又は一部の停止等の行政上の措置が課される可能性があります。

 これらの法令諸規則、監督官庁の指針等は、将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては商品・サービスの展開が制限される等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、キャッシュレス決済の急拡大、現金流通の急速な減少等の環境変化に対し、事業構造の変化、対応が遅れた場合にも、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

 株式会社ローソン銀行におけるコンプライアンス研修等を通じて、法令の遵守に努めるとともに、当社との定期的なコミュニケーションにおける情報共有、シナジー創出の検討により、環境の変化に対しても適時の変革を図ります。

 

 

(6) 災害、気候変動、トラブル等に関するリスク

①災害等の影響 [発生頻度:少、影響度:大]

当社グループは、コンビニエンスストア事業にて、日本全国47都道府県に店舗等を展開するナショナルチェーンであるとともに、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、米国(ハワイ州)に店舗を展開しております。そのため、地震・津波・洪水・高潮・台風・大雪等の自然災害の到来により当社グループの店舗、ベンダー工場、物流センターその他の施設に物理的な損害又は商品配送の混乱が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、自然災害発生時はもとより、新型インフルエンザ等の感染症拡大においても、当社グループの主たる事業である国内コンビニエンスストア事業は社会的機能維持のために、事業継続計画(BCP)に基づき店舗の営業を継続いたしますが、万一、一時的な店舗閉鎖や企業活動・社会生活・消費動向の大幅な変化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

特に、世界的に拡大しパンデミックに及んでいる新型コロナウイルスの感染拡大に対しては、感染拡大防止に向けた日本政府からの緊急事態宣言の発出等によって、一部店舗においては臨時休業、営業時間短縮につながっており、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

 当社は、大規模災害や新型インフルエンザ等感染症の流行等、会社に著しい損害を及ぼす事態の発生を想定し、指定公共機関として事業中断を最小限にとどめコンビニエンスストアが持つ生活インフラ機能を維持するために、事業継続計画(BCP)を策定し、事業継続マネジメント(BCM)体制の整備に努めております。また、大震災に備え、防災訓練を年間3回実施し、「災害対策マニュアル」及び「BCPマニュアル」の実効性の確保に努めております。なお、保険付保により、一部、リスクの移転を行っております。

他方、現に新型コロナウイルスの感染拡大により、社会生活・消費動向の大幅な変化等が発生しておりますが、この変化は好機でもあると捉え、ローソングループ大変革実行委員会を発足させ、新しいニーズの先取り、ニューノーマル対応にチャレンジしております。

②気候変動に関するリスク [発生頻度:少、影響度:中]

気候変動に伴い、GHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出に関する規制等の脱炭素経済への「移行」に起因するリスクと、気象災害の激甚化等の気候変動による「物理的」変化に起因するリスクが考えられ、それらは、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

当社グループは気候変動問題等の激化する環境問題に対応すべく、CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー:最高サステナビリティ責任者)を設置し、代表取締役社長がこの任に就くとともに、各組織の長が委員として出席する「SDGs委員会」を設け、「脱炭素社会への持続可能な環境保全活動」に取り組んでおります。そして、環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050! ~“青い地球”を維持するために!~」として、GHG(CO 2 )の排出量削減、食品ロス削減、プラスチック削減において高い目標に向けてチャレンジしております。特に、気候変動問題については「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」に賛同し、気候変動に関するリスクと機会の分析を行い、事業戦略への影響を把握し、気候変動の緩和や適応につながる対策を検討しております。そして、目標(KPI)として2030年に1店舗当たりのCO 2 排出量を2013年比50%削減、2050年には同年比100%削減を目指し、再生可能エネルギーの調達や店舗の要冷機器において省エネ効果の高い機器への入れ替えなどを進めております。

③IT(情報技術)システムのトラブル [発生頻度:中、影響度:中]

地震等の自然災害やコンピューターウイルスの感染等により、ITシステムに不具合が生じた場合、商品配送の混乱、店舗サービス業務停止が予測されます。結果として当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

サイバーセキュリティに関しては、技術的側面、プロセス/人的側面、物理的側面等、多面的に対策を講じて、セキュリティの強化に努めております。また、万一問題が発生した際に備え、平時に訓練を行うことで、当該リスクの低減に努めております。

 

④レピュテーションリスク [発生頻度:多、影響度:中]

当社グループの商品・サービスの品質トラブルや、店舗等で発生する事件事故、当社グループの役職員・FC加盟店の不祥事等、当社グループのあらゆる活動における問題発生による評価・評判の悪化は、ブランド価値を低下させ、販売不振等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策等)

 コンプライアンス・リスク管理研修を通じて問題の発生を防止する等、各種の問題発生の防止に努め、万一問題が発生した際には、できる限り速やかにマスコミ等に公表することにより、お客さま等関係者への影響を最小限に抑えるとともに関係者からの信頼確保や回復に努めてまいります。

 

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