業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

 

(1) 経営成績

 

売上高
(千円)

営業利益
(千円)

経常利益
(千円)

親会社株主に帰属する当期純利益
(千円)

1株当たり
当期純利益(円)

2020年3月期

59,246,818

1,132,283

1,062,533

621,544

72.71

2019年3月期

65,096,967

1,233,505

1,147,473

729,569

85.35

増減率

△9.0%

△8.2%

△7.4%

△14.8%

△14.8%

 

 

当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)における世界経済は、米中貿易摩擦を巡る緊張が長期化するなか、欧州ではBREXITによるEU結束の脆弱さが露呈し、さらにイラン情勢が深刻化するなどの影響で総じて下振れ傾向で推移し、そこに年明けより新型コロナウイルス禍が覆いかぶさり一層の低迷状態に陥りました。わが国経済は、前半までは外需の不振による輸出の下降が見られながらも、個人消費や省力化投資などが堅調で、全般的には横ばいを維持したものの、年央の自然災害や消費税増税により徐々に減速がみられていたところに、終盤は新型コロナウイルス禍による旅行などの移動の自粛、イベント開催の中止等は消費の抑制を誘発し、サービス関連業・飲食業界へ未曽有の打撃を与えた結果、景気の悪化に拍車をかけることになりました。

このような状況において、当社グループは、成長分野の一つとしている医療資機材分野は、景気動向に左右されず引き続き底堅さを見せ伸長しましたが、当社グループの売上の50%強を占める主力の精密機器・家電分野において内外の景気減速による需要の低迷を受けて苦戦を強いられ、また建材、日用品、自動車関連も同様に僅かながら低迷しました。拠点別では、海外は特に中国での年初に電子部品を中心とした落ち込みがみられ、中盤以降は回復基調を見せたものの、最終的に当初の落ち込みを挽回するまでには至りませんでした。国内製造子会社は各種産業資材の生産・販売は前年度に引き続き好調で、一層の伸長を見せました。環境型素材の取組みの一環としての、各種プラスチックのリサイクル品の取り扱いは引き続き注力して参りました。

その結果、売上高は前連結会計年度に比べ5,850百万円減少し、59,246百万円対前年同期比9.0%減)となりました。営業利益は101百万円減の1,132百万円(同8.2%減)、経常利益は84百万円減の1,062百万円(対前年同期比7.4%減)、特別損益として投資有価証券評価損67百万円を含む64百万円の損失(純額)を計上した結果、税金等調整前当期純利益は140百万円減の997百万円(同12.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は108百万円減の621百万円(同14.8%減)となりました。上記の投資有価証券評価損には、Toyo Ink Compounds Corporation の株式にかかわる減損処理57百万円が含まれております。

なお、主たる商材である合成樹脂原料の売上高の内訳につきましては、前連結会計年度に比べ、エンジニアリング系樹脂は8.7%減、スチレン系樹脂は11.6%減、オレフィン系樹脂は1.8%減、PET樹脂は1.5%減、塩化ビニール系材料は6.6%減、その他樹脂は19.8%減となりました。

仕入及び販売の状況は、次のとおりであります。

① 仕入実績

区分

仕入高(千円)

前年同期比(%)

合成樹脂原料

47,503,206

89.6

合成樹脂製品

5,398,728

78.1

その他

1,622,787

109.7

合計

54,524,722

88.7

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 販売実績

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

合成樹脂原料

50,592,447

91.6

合成樹脂製品

6,881,734

83.6

その他

1,772,636

107.7

合計

59,246,818

91.0

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産は26,204百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,896百万円の減少となりました。この要因は、現金及び預金の増加があった一方で、受取手形及び売掛金並びに商品及び製品等の減少があったことから流動資産が1,529百万円減少したこと、及び主として株式市場の変動を反映した投資有価証券の減少により固定資産が366百万円減少したことによるものであります。なお、このうち、前連結会計年度末日が休日であったことを要因(以下「休日要因」という。)とする減少額が含まれております。

負債は前連結会計年度末に比べ2,033百万円の減少し、15,729百万円となりました。この要因は、支払手形及び買掛金の減少並びに短期借入金の減少等によるものであり、休日要因による減少額は1,304百万円であります。

なお、休日要因を除く資産・負債の減少は、減収による営業運転資金の減少がその主たる要因であります。

また、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更により、有形固定資産の「リース資産(純額)」が64百万円、流動負債の「その他」及び固定負債の「その他」の合計額が67百万円、それぞれ増加しております。

純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益による増加があった一方で、株式市場の変動を反映したその他有価証券評価差額金の減少があったことから、前連結会計年度末より137百万円増加し、10,475百万円となり、自己資本比率は40.0%となりました。

当社グループの主たる取り扱い品目である合成樹脂原料の取引においては、売上高の変動により売上債権額と仕入債務額の変動及び販売先への迅速な原料供給を目的として保有する在庫額の変動が発生します。また、売上と仕入の代金決済条件が異なることにより、売上債権の増減と仕入債務の増減には差額が発生します。このような、売上債権と仕入債務の増減及び在庫の増減が、当社グループが必要とする営業運転資金の変動要因となり、その変動額については主として、金融機関からの短期借入金及び受取手形等の売却・割引等による資金調達額を増減させることで調整しております。

当連結会計年度末においては、2020年2月以降の新型コロナウイルス感染症の広がりによる期末日以降の資金繰りの不透明感から売上債権の圧縮を行ったことから、現金及び預金の積み増しによる資金の確保を行っております。

なお、当連結会計年度末の金融機関からの借入金総額は、短期借入金・長期借入金を合わせて4,713百万円であり、総資産金額26,204百万円に対して18.0%であります。また、有利子負債/株主資本の比率は0.50倍となっており、会社の財政の健全性は確保されていると判断しております。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少額1,747百万円、法人税等の支払額379百万円等があった一方で、税金等調整前当期純利益997百万円、売上債権の減少額1,967百万円、たな卸資産の減少額581百万円等があったことにより、前期比1,327百万円増加し、1,555百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得16百万円等があった結果、27百万円の支出となり前期比では53百万円の増加となりました。

この結果、フリーキャッシュ・フローは、1,528百万円の増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済229百万円、配当金の支払205百万円等があったことから、前期比927百万円減少510百万円の支出となりました。

これらに、現金及び現金同等物による換算差額を調整した結果、当期末の現金及び現金同等物は前期に比べ994百万円増加し、4,431百万円となりました。

なお、当社グループにおける資本の財源は、経常取引より得られる利益と金融機関からの資金調達であります。

当社グループが販路拡大やシェアアップを目指すに際しては、営業運転資金の増加が伴います。そのため、資本の財源である安定した資金調達先を確保するとともに、一定の手元資金の維持が必要となります。また、新型コロナウイルス禍の影響によって、当社グループの取扱高の一時的な落ち込みや急激な回復がもたらされた場合、必要となる営業運転資金が短期的に変動する可能性がありますので、海外法人も含めたグループ全体の資金繰りを短期・中期ベースで把握する必要があります。

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があり、特に、以下の事項は、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

① たな卸資産の評価

当社グループのたな卸資産の評価方法は、主として先入先出法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)でありますが、収益性の低下及び長期滞留した商品等に対して、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、当社で定めた基準により、評価減を計上しております。そのため、将来の市場状況や販売価格の下落等により、追加の評価減が必要となる可能性があります。

② 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス禍については、それが、国内外におけるモノの需要やサプライチェーンに対して広く影響を与えており、収束時期等を予想することは困難なことから、当事業年度時点で入手可能な外部の情報等を踏まえて、今後、2021年3月期の一定期間にわたり、当該影響が継続するとの仮定のもと、繰延税金資産の回収可能性等の見積りを行っております。

 

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