課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営戦略

当社グループは、プラスチックの専門商社として、「顧客の立場にたったプラスチックの戦略パートナーとしての機能を発揮すること(THE STRATEGIC PARTNER of PLASTICS)」及び「地球環境と地域社会に配慮して適正利潤を得て産業界や社会に貢献すること(Harmony with Nature)」ということを企業理念に掲げ、これらを果たすことが当社の存在意義であり、これらを不断に進めることで、当社の成長と企業価値向上に繋げていく方針であります。

プラスチックの専門商社として、長年プラスチックという商品及び業界に特化してきたことで獲得し、蓄積してきた高度な専門性及び少数精鋭なるがゆえに発揮できる機動力と、より明確化した集中戦略により、顧客であるユーザー、原料メーカー双方との綿密なコミュニケーション、これにグループ国内外拠点間のネットワーク力を活かして実現できる提案力及び少量多品種即納体制、以上をコア・コンピタンス(強み)とし、顧客であるユーザーにおける円滑かつ効率的な生産稼働、更なるコスト削減や環境対応を目指す新商品開発等に貢献すべく努めております。

以上のコア・コンピタンスをもって、当社グループが創業以来培ってきた実績、顧客であるユーザーや原料メーカーとの関係及び知見・ノウハウ等をベースに、当社の取り扱いが向かう産業・商品としては、精密機器、家電・電子分野を主力とし、更に、近年のマーケット状況を勘案して、医療資機材、衛生材料及び自動車分野を成長分野として位置づけて注力していく方針です。海外は、主に上述の主力及び成長分野に属するユーザーの海外展開に合わせて、国内と同等の機能を提供することを目指しております。これらユーザーの多くは今後の成長を海外に求めて更なる展開が進む見込みであり、当社グループとしてもその動きに取りこぼしなく追随する方針で、結果として当社グループ売上の海外比率が一層伸びていくものと予想しております。

プラスチックは誕生してから今日まで様々な機能が付加され、例えば金属・ガラス・陶磁器などから代替されてモノの大幅な軽量化が図られたことでエネルギー負荷の大幅な低減に繋がっており、高機能な食品用フィルムは、食材の鮮度保持・長期保存を可能にし、食品ロスの削減に貢献しています。容易な加工性は様々な産業におけるモノの生産効率を高め、それが環境への負荷低減およびコスト低減を実現しています。

したがって、地球上で人々が快適な生活を維持していく上でプラスチックは欠かすことのできない素材であり、世界においては今後も需要が伸長し、生産体制の増設計画が目白押しの状況です。とはいえ、昨今では廃プラスチックの削減・処理方法、また、とりわけ不法投棄が源となるマイクロプラスチック等について世界的な問題となっております。当社は環境マネジメント[ISO14001 : 2015]の国際規格の認証を取得しており、このような状況に対して積極的に関わって参ります。グループを挙げてプラスチックのリユース、リサイクル品や植物由来のバイオプラスチック等において更に戦略性を高める努力を継続し、提案・供給機能を高めて参ります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが継続的に成長していくための課題として以下の4点を重要施策としております。

① 感染症対策を含めたBCP体制の再構築

当社の現有のBCP(事業継続計画)は地震による甚大な被害が発生した場合を想定したものになっております。この度の新型コロナウイルス禍については、当該BCPにて想定していなかったため、感染の拡大が深刻になりつつあった時点から状況の変化に応じて手探り的な対応を迫られつつ、在宅勤務等の体制を整えるなど、役職員の安全を確保の上、業務への支障を最小限に留めるに至っております。

将来、再度同様の感染症に見舞われた場合には、この度の災禍によって得た情報や体験を踏まえて、系統だった、より迅速、正確かつ徹底した対応を可能とすべく、BCPの再定義を行います。加えて、この機会に台風などの異常気象、火災や大規模事故及びテロ・暴動など、できるだけ広範囲の災害を想定したBCPの実効性ある再策定を行います。

 

② 事業の拡大及び海外拠点の機能強化に資する人材の確保と育成

当社グループの年齢別社員構成を見ると30歳台の社員が少なく、将来的にマネジメントを担うべき人材、また至近では海外駐在員の候補者となり得る人材が不足していると言わざるを得ない状況です。当社グループの持続的な事業拡大及び海外拠点の機能強化のため、積極的に中途採用を実行していきます。入社後は受発注業務を一定期間、国内営業を数年間経験してもらってから海外派遣するなど、個人の適性等に合わせて育成していく方針です。

③ 環境配慮への意識および活動の一層の向上

プラスチックは世界の人々の生活にとって今後も欠かすことのできない素材であり、これまでも既存素材からの代替によりエネルギー負荷低減等、地球環境に貢献してきておりますが、昨今では世界中で廃プラスチックなどの問題で実害なども報告されており、対応を誤るとプラスチック全般に対して負のイメージとなってしまいかねません。当社グループは、プラスチックを専門に扱う商社として、(1)経営方針・経営戦略の後半において記述しましたとおりの方針を継続するとともに、取得済の環境マネジメントISO14001国際規格に沿う活動と合わせ、グループ関係者の一層の環境意識の醸成を図ります。

④ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化

与信、契約、在庫、経費、社内コンプライアンス等の各種社内管理の引き続きの徹底に努めるとともに、2015年施行、2018年改訂のコーポレートガバナンス・コード対応に資する経営者意識の醸成および社内組織の充実を図ります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2020年3月期については、「2019年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」に開示しました同期の連結業績予想値を目標としました。2021年3月期につきましては、新型コロナウイルス禍が、ワクチンなどの防疫や決定的な治療手段が未だ手探り状態で収束の道筋が見えない中、国内外におけるモノの需要動向や、サプライチェーンの影響等について現時点における算定は非常に困難であり、「2020年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」において公表のとおり、2021年3月期の連結業績予想は「未定」としております。新型コロナウイルス禍が収束し、業績予想の開示が可能となった時点で速やかに公表することとしており、その公表値の達成を指標といたします。ただし、業績予想の開示以降に更なる想定外の被害が発生した場合は、収束後の経済再稼働を想定した戦略策定、業績復興のための準備や実績等を指標とします。

また、株主の皆様への安定的な利益還元を経営の最重要政策のひとつとして位置付けると共に、この度の感染症や災害などの不測の事態に備えた十分な手元資金および事業投資や海外展開等の将来に向けた投資に備える内部留保も重要と考えます。これらのバランスを取りながら、財務基盤の安定を図ることが重要と考え、自己資本の充実も指標とします。

当連結会計年度における自己資本比率は40.0%と前連結会計年度比3.2%増となりましたが、経営環境の激変に備えるべく、引き続き自己資本の充実に努めて参ります。

 

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