当社グループの事業その他に関するリスクとして投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末日(2021年3月31日)現在における当社グループの判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予測等であり、多くの要因によって実現しない可能性があります。
当社グループは、航空・空港周辺事業で培った専門性やノウハウ、事業品質等を通じて航空関連事業を基軸とした事業領域で多彩なビジネスを展開しているため、航空旅客数に大幅な変動が生じた場合には、当社グループの主に以下の事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
機内販売事業、空港店舗事業、空港免税店舗事業、航空機エンジン部品販売事業、航空機エンジンリース事業、
海外空港運営事業、食料品製造業
当社は、日本航空㈱の関連会社であり、JALグループ企業に対して、物品の販売及び業務受託を行っています。また、日本航空の「JAL」ブランドを事業上有効に活用するとともに、商品・サービス等の品質に基づく顧客との信頼関係を基盤に事業展開を行っています。今後JALグループとの取引関係に大きな変化が生じた場合に、また、これらの信用力やブランド認知に変化が生じた場合は、当社グループの主に以下の事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
機内販売事業、空港店舗事業、空港免税店舗事業、通信販売事業、ワイン事業
当社では、基幹事業育成のため、新会社の設立や既存会社への出資等の事業投資を実施しています。かかる投資決定に際しては、社内主要メンバーによる専門的見地からのリスク分析と収益性を検討する「投融資審査会」等を通じ、定性・定量の両面から評価を実施し、当該投資の可否を決定する牽制機能を設けています。
投資の実行については、案件の規模や重要性に応じて、投融資審査会、経営戦略会議、取締役会により意思決定しており、戦略上の位置付けや案件選定の背景など諸条件について深く議論しています。また、事業撤退基準を定め、投資実行後も定期的にその事業性と投資価値の評価・見直しを行うことで、損失の極小化に努めています。
しかしながら、事業環境及び経済環境の変化等により、これらの事業投資が計画どおりに進捗せずに、所期の目的を達成できない場合があります。また、当該案件からの撤退等に伴って損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、弁当・惣菜等の製造、生鮮・加工を含む食料品や機内食の販売、また空港店舗等にて飲食店の運営、介護サービス業における飲食サービスの提供等を行っています。食品の安全性については、専門組織により食品の品質管理基準を策定し、食品事故発生の未然防止に努めるとともに、不測の事態に備え「食品事故防止対応マニュアル」を作成し、周知するなどの組織的取り組みにより食品の品質管理体制の強化に努めています。しかし、万が一、食品の安全・安心に関しこれらの取り組みの範囲を超える事象が生じた場合には、社会的信用と企業イメージの失墜、個人への賠償、行政処分等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループにおいては法令等の遵守を行動指針として定めておりますが、2020年6月1日の改正食品衛生法施行に伴う「HACCPに沿った衛生管理の制度化」、また、以降の法令等の改廃、政策決定等により、取り組みの範囲を超える事象が生じた場合には、当社グループの業績や、企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。
ASEANを中心とした世界各国への食品の輸出については、後述のカントリーリスクの顕在化により、当社グループの業績及び企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。
上記の影響を受ける事業は主に以下のとおりです。
食料品製造業、食品販売業、貿易業(食品)、空港店舗事業、贈答用食品事業、通信販売事業(食品)、
介護サービス業
⑤ 市況変動に関するリスク
当社グループは、航空・空港、ライフサービス、リテール、フーズ・ビバレッジの4つの領域にて、事業を展開しておりますが、国内及び世界における経済情勢の変化、顧客の需要変化、気候変動等により、事業コストが増大する、或いは当社グループが提供する商品、サービスの価格に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが購入する商品、資材等の一部には、需要予測を見越して、先行して在庫を保有する場合があります。
また、水産物をはじめ一部市況商品については、社内組織単位及び商品ごとにポジション枠を設け、併せて、ロスカットポイントを用いることで損失限度管理を行っていますが、これらの対応を行っても価格変動リスクを完全に回避できるものではなく、予期せぬ市況変動により滞留在庫やたな卸資産評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 個人情報の管理について
当社グループでは、営業活動に伴って顧客から入手した個人情報を保有・管理しておりますが、国際標準規格ISO27001に準拠した「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」を構築し、第三者の審査機関による審査を毎年受けることで、情報セキュリティが適切に行われていることを確認するなど、法令の遵守とかかる情報の外部漏洩について組織的な取り組みにより細心の注意を払っています。しかし、万が一、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合には、社会的信用と企業イメージの失墜、個人への賠償、行政処分等により当社グループの主に以下の事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
通信販売事業、保険代理店BPO事業
当社は、外部格付機関から格付を取得していますが、当社グループの債券格付けが引き下げられた場合、また、世界的な経済状況の変化により、資金調達が計画どおりに実施できない、もしくは資金調達コストが上昇する場合は、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 また、事業資金の効率的かつ安定的な調達を図るため、翌年度資金計画に基づき適切な金額を設定し取引金融機関数行との間で複数のコミットメントライン契約を締結しています。当該契約には一定の財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結決算には、海外の連結子会社・持分法適用関連会社の損益も組み込まれています。当該企業から当社への財務諸表等の各報告通貨を日本円に換算する時点の為替変動により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループは取引から発生する為替リスクを最小限に抑えるため、原則取引と紐づけて為替予約を締結し、為替リスクをヘッジしていますが、予測を超えた為替変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、諸外国からの商品の輸入や米国・英国・中国・タイ・シンガポールなどの当社グループ進出国での商品販売やサービスの提供、ベトナム・ラオス・ミャンマーの国際空港における免税店運営や空港施設運営など、海外で取引を行っており、各国政府による税制改正や法令改正、規制強化、政治的、経済的な不安定さなどの要素により、これらの事業に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対しては、当社グループ各社での情報収集や外部コンサルタントや専門家を起用し、また、カントリーリスクが大きい国との取り組みでは、貿易保険などを活用するなどカントリーリスクのヘッジ策を講じることで、案件ごとのリスク管理に努めていますが、これらを完全に回避できるものではなく、リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生し、当社設備や従業員が被害を受けた場合には、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、自然災害や事故災害に備え、点検・訓練の実施、事業継続計画(BCP)の整備に努めていますが、被害の完全な回避は困難であり、万が一、被害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ コンプライアンスリスク
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業を行っており、日本における会社法、税法、独占禁止法、金融商品取引法等の各種法令、また、事業活動を行う各国・地域の法令、規制といった様々な分野における広範な制約を受けています。これらの国内外の法令・規制を遵守するため、当社グループでは社長直轄のコンプライアンス委員会や内部通報制度を設け早期発見・対応を目指し、グループ全体のコンプライアンス体制を強化しています。また、グループ全役職員にコンプライアンスマインドを浸透・定着させるため、コンプライアンス強化月間の制定、社内セミナーやアンケート等の実施により、社員一人ひとりのコンプライアンス意識の向上を図るなど、全社をあげて対応しております。
しかしながら、このような取り組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法令や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの航空・空港事業及びリテール事業の各セグメントにおいて、特定の業界、取引先との売買取引が集中するリスクがあります。集中リスクを防ぐため、既存事業における利益構造の改善やコスト削減に取組むとともに、非航空・空港ビジネス領域での収益力強化へ取組むことによって、特定の業界や取引先に依存しない事業ポートフォリオの最適化を図っています。なお、施策の詳細につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照下さい。
また、当社グループとして成約残及び債権残が高額になる取引先については定期的に定性及び定量情報を収集し、経営状況や格付け状況をモニターしています。併せて、与信ポートフォリオ図の作成・分析を定期的に行う等、当社グループに与える影響を勘案した大口与信先リスク管理も実施しています。
しかしながら、これら業界、取引先の事業環境が悪化することで、当初見込んだ収益が得られず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 信用リスク
当社グループでは、国内外の多数の取引先に対し、信用を供与し取引を行っています。信用リスクに対処するため、客観的な情報や手法に基づき付与した14段階の信用格付けをもとに取引先毎に取引限度額を設定しており、低格付の取引先に対しては、取引条件の見直し、債権保全、規模縮小、撤退等の取引方針を定め、個別に重点管理を行い、損失発生の防止や抑制に努めています。これらにより、個別与信管理を行い、信用リスクの低減に努める等、与信管理及び債権管理体制の充実を図っています。
また、前述の個別与信管理に加え、ポートフォリオ全体のリスク量把握のため、信用格付けに基づいた信用リスクの計量化やポートフォリオ分析を行い、与信管理に活用しています。
しかしながら、事業環境が大幅に変化した場合、取引先の信用状態が悪化し、当社グループに対する債務の履行に問題が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ その他のリスク
新型コロナウイルス感染症拡大による世界経済の激変、生活様式・消費者嗜好の変化、市場の縮小等による外部環境の変化に対応して、グループの経営戦略や事業ポートフォリオ戦略を適切に見直すことができない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループにおける航空・空港事業セグメントやリテール事業セグメントへの影響は、航空会社の減便、世界的な国外への渡航禁止、国内の移動自粛に伴う空港利用者の減少等に伴い、大きなものとなっています。今後につきましても、世界的な景気の悪化に伴う個人消費の低迷や、国内外の感染状況悪化に伴う空港店舗事業・空港運営事業における施設運営の自粛等により、大きな影響を受ける可能性があります。
また、当社グループでは、役職員の感染リスク、クラスター発生のリスクを低減するため、社内執務エリアにおける各種感染防止対応策を実施し、感染症の拡大状況に応じて役職員に対して在宅勤務を推奨する等の取組を行っていますが、役職員の新型コロナウイルス感染によって事業運営に支障が生じるリスクがあります。
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