1.香辛・調味加工食品事業、健康食品事業、海外食品事業
当社グループ(当社および当社の関係会社)は、“「食で健康」クオリティ企業への変革”というテーマを掲げております。国内市場で長年にわたりご愛顧をいただいている各製品ブランド力の維持・強化に努めると共に、成熟した市場の中で「食で健康」という領域にフォーカスし、お客さまの立場に立った新しい価値をご提供し続けることができるよう、研究開発活動を行っております。
当社グループにおきましては、研究開発本部、ハウス食品㈱の開発研究所(千葉県四街道市)、ハウスウェルネスフーズ㈱の開発研究所(千葉県四街道市、兵庫県伊丹市)の3部門が、研究開発活動を担っており、「新たな需要の創造」と「確かな設計」の両立を目指し、変化する社会にあって安心してご使用いただけ、ご満足をいただける食品を創出するために、広範な研究開発を実施しております。
(1)研究開発取組概要
① 製品開発・技術開発分野
製品開発・技術開発分野では、日本の成熟市場では潜在化しやすいお客さまニーズを掘り起こし、「新しい価値」を有した製品づくりに努めるとともに、お客さまの食生活と健康に貢献するべく、「よりおいしく、より簡便に、より健康に」にこだわりを持ち、品質の一層の向上に努め、独自性のある技術に裏打ちされた製品の開発に取り組んでおります。
香辛・調味加工食品事業におきましては、従来にないおいしさを感じるカレーパウダーで新しい食の世界を作りたいと考え、特徴となる香りを引き出す技術を約10年かけて研究し、ギャバンのスパイス加工技術も取り入れることで今までにない製造方法を確立。焙煎香由来の香りのコクを引き出すことにこだわった「GABAN®カレーパウダー」<PROFESSIONAL BLEND>を開発いたしました。また、25周年を迎えた北海道シチューでは、定番製品のリニューアルに加え、期間・数量限定ながら「北海道産原料と上質な乳のおいしさ」にとことんこだわるために「濃縮ペーストルウ技術」を採用した「北海道シチュープレミアムクリーム」を開発いたしました。
健康食品事業におきましては、日常生活での疲労感が気になる方に向けて、日常生活の一時的な疲労感を軽減することが報告されている秋ウコンエキスを配合した機能性表示食品、「ラクシテ」を開発いたしました。仕事や家事だけでなくプライベートも含めた日常生活で発生する疲労感の軽減をサポートします。また、ハウスグループの長年の研究でターメリックから発見した希少な健康成分ターメロノール類を、どなたでも毎日継続して摂取いただけるようにソフトカプセル2粒に配合した「ターメリック効果」を開発いたしました。
グループ全体として環境に優しいモノづくりに取組む中、今期は「カリー屋カレー」シリーズを電子レンジ加熱にも対応したパウチへとリニューアルいたしました。トップブランドである「カリー屋カレー」シリーズで実施することで、調理時のCO2排出量削減につながり、環境配慮の面でも大きな意義があると考えております。
② 基礎研究分野
基礎研究分野では、食品科学のみならず、生化学、植物育種・栽培学、化学工学、生理学など多方面からの研究を行い、高水準の技術保有に努めております。当連結会計年度では、弘前大学大学院医学研究科の共同研究講座「食と健康 科学講座」において、健康寿命延伸につながる新たな食スタイルを提案することを目指して、青森県の岩木健康増進プロジェクト健診・いきいき健診や沖縄県のやんばる版プロジェクト健診での味覚感受性試験や食生活アンケートを行い、味覚や食生活と様々な健康指標との関連性の解析を進めました。特に食事調査については、一定期間の実際の食事メニューから栄養素を算出する新しい手法の導入を試みることで、より実際に即した食事内容を把握することにも取組んでいます。一方で、食の安全の分野においては、油脂中に含まれて健康リスクが懸念される3-MCPD脂肪酸エステルとグリシドール脂肪酸エステルについて、弊社が開発した間接分析法の前処理工程の一部を機器メーカーとの共同により自動化することに取組み、成果を学会発表しました。技術開発以外では、近年の食物アレルギーの治療方針が「正しい診断に基づく必要最小限の原因食物の除去」となっていることを受けて、患者さんのQOL向上を目的に「加工食品のアレルゲン含有量早見表(編集:藤田医科大学 等)」を通して、ハウス食品の一部製品を対象にアレルゲン含有量情報を医師に提供しています。この取組みをより多くの医師の方々に知っていただくことを目的に、食物アレルギー研究会にも紹介しました。
タマネギ栽培研究におきましては、お客様にさらに高品質なスマイルボール(涙の出ないタマネギ)を安定的にお届けするだけでなく、生産者の方々にも最適な栽培方法を提供するため、栽培法の検討、品種改良を継続的に進めております。またタマネギ研究の新たな取組としては、涙液が非侵襲的に採取可能な体液試料であることに着目し、過去にドライアイ検査への活用を検討していたタマネギ催涙因子発生技術をベースとして、従来技術で課題となっている採涙量の少なさを改善する技術を確立し、様々な活用の道を模索しています。ハーブ栽培研究につきましては、植物工場事業を行うファームシップ株式会社と共同研究を行い、バジルなどのハーブ類やサラダ野菜の栽培、生産技術開発を進めております。
健康関連の分野では、健康維持に必要なビタミンや、さまざまな生理機能があるといわれるスパイスに加え、近年その健康維持への効果が期待されている乳酸菌につきまして、これらの効果を検証するための試験、ならびに、新しい作用を見出すための基礎研究を継続して精力的に取り組んでおります。当連結会計年度では、「ウコンエキスによる抗慢性炎症」に関する原著論文が学術誌に掲載されました。また、「乳酸菌L-137による肌機能改善効果」「乳酸菌L-137による炎症と脂質代謝に対する改善効果」ならびに「ウコンエキスによる抗慢性炎症および血糖改善効果」に関する研究成果を国内の学術大会において発表いたしました。
(2)研究体制・しくみ
当社グループの3つの研究所は、基礎研究・機能性研究、製品開発、技術開発、容器包装開発、お客様生活研究、グループ技術連携、研究企画、運営の各部門で構成しており、それぞれの部門において専門的な研究開発活動に取り組む一方、リノベーションを行った千葉研究センターを中心に、部門間の垣根を越え、お互いが有機的に連携して相乗効果を高める取組み(One Day a Weekなど)を継続して進めております。また、海外事業における製品開発サポート体制も継続的に強化しております。
組織をフラットな小グループ制とし、柔軟性ある運用により市場の変化と商品の多様化にフレキシブルに対応するとともに、保有技術を目に見えるサービスにいかに具現化していくかというこだわりを持って運営にあたっております。
(3)研究開発費
当連結会計年度における研究開発費の総額
2.外食事業、その他食品関連事業
特に記載すべき事項はありません。
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